ヒップホップの歴史は長く、その影響力は他のジャンルはもちろんカルチャーやファッションにいたるまで及ぶものです。
ここ日本でも、素晴らしいアーティストが商業的に成功を収めている実績も多く見られますが、まだまだある種のイメージで敬遠している方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、今や海外においてはポピュラー音楽の中心といっても過言ではないヒップホップの、その時代時代におけるエポックメイキング的な作品を中心とした名盤を集めてみました。
進化し続けるヒップホップという音楽を、この機会にぜひ味わってみてください!
- 90年代洋楽ヒップホップまとめ。黄金期のクラシック
- 【ヒップホップ・クラシック】定番HIPHOP・往年の名曲
- 【アメリカ】偉大なヒップホップの名曲
- オシャレなヒップホップ!洋楽JAZZY HIP HOPの名盤まとめ
- 【2025】ヒップホップ初心者に聴いてほしい名曲・人気曲まとめ
- 90年代のラッパー。USヒップホップ黄金期に活躍したアーティスト
- 洋楽ヒップホップ人気ランキング【2025】
- 洋楽ラップのススメ|伝説の名曲たちを紹介
- 偉大なるブラックミュージック・おすすめの名曲
- 歴史を変えたヒップホップ・クラシック
- 【洋楽】ノリのいいヒップホップの名曲
- 20代におすすめのラップの名曲
- 【邦楽ヒップホップ】日本語ラップの名曲
- 海外の人気ラッパー。おすすめの洋楽ラッパー
- 本日のオススメ!ダンスミュージック
- ダンサーが選ぶ、20代にオススメのダンスミュージック。人気の曲集
- 【本日のジャズ】今日聴きたい!往年の名曲や現代ジャズをピックアップ
- 有名曲やヒット曲ばかり!Z世代におすすめしたいK-POPの楽曲
- 80年代テクノ歌謡の魅力~テクノポップの名曲・人気曲
もくじ
- 【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚
- N.Y. State of MindNas
- C.R.E.A.MWu Tang Clan
- AlrightKendrick Lamar
- HypnotizeThe Notorious B.I.G.
- Life Goes On2Pac
- Jazz (We’ve Got) Buggin’ OutA Tribe Called Quest
- Stan (ft. Dido)Eminem
- Straight Outta ComptonN.W.A
- Me, Myself And IDe La Soul
- Bring The NoisePublic Enemy
- Fuck wit Dre Day (And Everybody’s Celebratin’)Dr. Dre
- Walk This WayRun-D.M.C.
- Dirt Off Your ShoulderJay Z
- Don’t Sweat The TechniqueEric B. & Rakim
- All Falls Down ft. Syleena JohnsonKanye West
- No Sleep Till BrooklynBeastie Boys
- RosesOutKast
- YonkersTyler, The Creator
- Ready or NotThe Fugees
- In Da Club50 Cent
- All Of The Lights ft. Rihanna, Kid CudiKanye West
- Take Care ft. RihannaDrake
- Mama Said Knock You OutLL Cool J
- Without MeEminem
- AmeriKKKa’s Most WantedIce Cube
- Get Rich or Die Tryin’50 Cent
- Ride Wit Me ft. St. LunaticsNelly
- Respiration ft. CommonBlackstar
- The Audience’s ListeningCut Chemist
- Lose YourselfEminem
- Make MyThe Roots
- AntidoteTravis Scott
- U Can’t Touch ThisMC Hammer
- Dry your eyesThe Streets
- Anarchy ALbumBusta Rhymes
- Life Is Good (The New Track/Video)Mos Def
- Ghetto Gospel2Pac
- Blue SkyCommon
- La La LaJay Dee
- Champion SoundJaylib
- Work It Out ft. Dave Matthews BandJurassic 5
- Doo-Wop (That Thing)Lauryn Hill
- In Search OfN.E.R.D
- They Reminisce Over You (T.R.O.Y.)Pete Rock & CL Smooth
- Apocalypse 91…The Enemy Strikes BlackPublic Enemy
- 5 minutes (ft. Procussions)The Sound Providers
- Wu-Tang ClanWu Tang Clan
- Speakerboxxx / The Love BelowOutKast
- EardrumTalib Kweli
- GoblinTyler, The Creator
- Food & LiquorLupe Fiasco
【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚(1〜20)
N.Y. State of MindNas

ヒップホップと聞いて、なんとなくマッチョで悪そうなイメージだけを持たれている方は2020年代の今も多いかもしれません。
ストリートの現実や自身のハードな人生、社会的なメッセージなどを独創的な詩情を兼ね備えたリリックでラップする「神の子」ことナズさんの大傑作ファースト・アルバム『Illmatic』を聴けば、そのイメージはきっと変わるはず。
幼少期のナズさん本人の写真が使われたアートワークも印象的な本作は1994年にリリースされ、当時は西海岸のGファンク勢の盛り上がりに押されていたヒップホップ界において、ニューヨークから現れた若き天才的なMCの誕生はシーンに大きな衝撃を与えました。
当時20歳そこそこ、という年齢とは思えないほどの落ち着きと洞察力は、ナズさんの突出した才能を物がるものでしょう。
DJプレミアさん、ピート・ロックさん、ラージ・プロフェッサーさんというレジェンド級のプロデューサーが参加したことでも知られていますが、ラップの客演は1人だけで基本的にはナズさんのラップだけで構成されている、というのも重要な点ですね。
本作に影響を受けたと語るラッパーは多く、アルバムを題材としたドキュメンタリー映画が2014年に公開され、2017年にはハーバード大学の図書庫に永遠に保管されることが決定されるなど、その影響力は多岐に渡ります。
C.R.E.A.MWu Tang Clan

90年代における東海岸ヒップホップの代表的な1枚であり、金字塔的なアルバムとして評価される傑作です!
『燃えよウータン』という、事情を知らない人からすれば思わず二度見してしまいそうな邦題でも知られる本作『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』は、RZAことプリンス・ラキームさんを中心として、個性豊かなメンバーによる大所帯のMCグループ、ウータン・クランが1993年にリリースした衝撃的なデビュー・アルバムです。
メソッド・マンさんや残念ながら2004年に亡くなったオール・ダーティー・バスタードさんなど、ソロとしても大成功を収めたMCを輩出し、リーダーのRZAさんは映画音楽などでも成功していますね。
そんなウータン・クランによる本作は、往年のカンフー映画のファンであればアルバムのタイトルだけで思わず察してしまうでしょうが、メンバーのカンフー趣味が炸裂した世界観、それぞれタイプの違うスキルを持ったMCたちによる傍若無人なラップの応酬、RZAさんが作る濃厚なファンクネスを誇るトラックが最高に魅力的で、そのカッコ良さはいつの時代に聴いても格別なものがありますね。
ナイーブで内省的な現代のヒップホップとは違う世界を知りたい方は、ぜひウータンの世界へと飛び込んでみましょう!
AlrightKendrick Lamar

2010年代以降のヒップホップ・シーンにおいて、最も重要な存在の1人といえば間違いなくケンドリック・ラマーさんでしょう。
1987年生まれ、カリフォルニアはコンプトン出身のケンドリックさんはその圧倒的なラップのスキルと音楽センス、アメリカの現実を的確に描写するリリックが高く評価され、西海岸出身の大物ラッパーたちから「西海岸の新王者」と呼ばれながらも、自身はギャングスタ的な世界とはまるで無縁の存在、という絶妙な立ち位置でその一挙一動が注目されるアーティストである、というのは誰もが認める事実でしょう。
作品の芸術的価値と商業性を見事に両立させ続けるケンドリックさんが2015年にリリースしたメジャー第二弾アルバム『To Pimp a Butterfly』は、2010年代のヒップホップ界における最重要作品というだけでなく、ジャンルをこえたポピュラーミュージック史における金字塔としてその名を残す傑作です。
生楽器の多用によるジャジーでソウルフルなグルーブ、見事なプロダクションから生まれた楽曲の中で的確に配置された豪華なゲスト・ミュージシャンたちの名演、多彩なフロウで魅せるケンドリックさんのボーカルから繰り出される素晴らしいリリックの数々……全16曲、78分をこえる大作であり、グラミー史上2番目に多い11部門にノミネート、5部門を受賞という栄誉も当然といえる内容となっております。
HypnotizeThe Notorious B.I.G.

1,000万枚という破格のセールスを記録、ヒップホップ史上において3番目に高い売り上げを誇るアルバムが、ノトーリアス・B.I.G.さんが1997年にリリースしたセカンド・アルバム『Life After Death』です。
前作『Ready To Die』の成功でラッパーとして大成したノトーリアス・B.I.G.こと愛称ビギーさんが、これからの人生を見すえて名付けられたというアルバム・タイトルとは裏腹に、ビギーさんはアルバムのリリース前にいまだ未解決の事件に巻き込まれて亡くなってしまったのですね。
当時のヒップホップにおける東西抗争など、そういった事情も含めて作品のセールスを後押しした面もあるかもしれませんが、ダブル・アルバムで全29曲という大作である本作の価値はそのようなゴシップ的な話題とはかけ離れたものです。
映画のようなMVが話題を呼んだ『Hypnotize』や、同じく特大ヒットを飛ばした『Mo Money Mo Problems』をはじめとして、ずらりと並ぶヒップホップ・クラシックの数々は、ビギーさんの圧倒的な存在感とスキルを余すところなく発揮した楽曲ばかり。
ビギーさんのフロウは重厚ながらも聴きやすく、ヒップホップ初心者にもすんなり耳に入るものではないでしょうか。
ぜひ自伝的な歌詞の意味や、楽曲の引用元などを調べる楽しみも見つけてみてください!
Life Goes On2Pac

ヒップホップ史における最も有名なレジェンドの1人であり、25歳という若さで最期を迎えた2パックさん。
カリフォルニアを拠点として活動していた2パックさんと、ニューヨーク出身で同じく若くして亡くなったノトーリアスB.I.G.さんとの確執、東西のラッパーによる抗争はヒップホップ史上の悲劇的な出来事であり、歴史的な事件として記憶され続けています。
その人生自体が90年代ヒップホップの歴史そのもの、といった2パックさんの生前最後のアルバムにして代表作『All Eyez On Me』は1996年3月にリリースされ、特大ヒットを記録した説明不要のヒップホップ・クラシックです。
伝説的なプロデューサー、ドクター・ドレーさんがプロデュースした先行シングル『California Love』、兄弟デュオのケーシー&ジョジョを迎えた『How Do U Want It』といった全米チャート1位に輝いた名曲を筆頭に、これを聴かずしてヒップホップは語れないと言わんばかりの楽曲が揃ったダブル・アルバムの大作となっており、まさにマスターピースの名にふさわしい作品だと言えるでしょう。
その破滅的なライフ・スタイルは今や神格化され、ロック・スターやポップ・スターとして同列に語られる2パックさんの人となりを知りたい方は、2017年に公開されたアルバムと同名の伝記映画をご覧になってみてはいかがでしょうか。
Jazz (We’ve Got) Buggin’ OutA Tribe Called Quest

1988年の結成から1998年の解散、一時知的に再結成を果たして2016年に新作をリリースするも再び解散した人気ヒップホップ・グループのア・トライブ・コールド・クエスト。
彼らはジャズとヒップホップを融合させたサウンドで人気を博した存在で、同じくジャズ・ラップの先駆的な存在であるジャングル・ブラザーズがグループ名の名付け親なのです。
本稿で取り上げている『The Low End Theory』は、まさにジャズ・ヒップホップの金字塔的な作品として知られる大名盤!
グループにとってはセカンド・アルバムにあたる本作は1991年にリリースされ、ジャズ・ベーシストの巨人、ロン・カーターさんが参加していることからも、彼らの本気度が伺えるというものでしょう。
当時としては目新しかったジャズやフュージョン・ミュージックからの巧みなサンプリングを用いて、とことん骨太でとことんクール、最高におしゃれな音楽が生み出されました。
オープニング・トラックのイントロで鳴り響くぶっといベース・ラインが生み出すグルーブは、いつ聴いてもかかる良すぎますね。
2020年代の今、ローファイ・ヒップホップなどを愛聴している若い方にも、このような革新的な作品が何十年も前にあったということをぜひ知っておいてもらいたいですね。