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【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚

ヒップホップの歴史は長く、その影響力は他のジャンルはもちろんカルチャーやファッションにいたるまで及ぶものです。

ここ日本でも、素晴らしいアーティストが商業的に成功を収めている実績も多く見られますが、まだまだある種のイメージで敬遠している方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、今や海外においてはポピュラー音楽の中心といっても過言ではないヒップホップの、その時代時代におけるエポックメイキング的な作品を中心とした名盤を集めてみました。

進化し続けるヒップホップという音楽を、この機会にぜひ味わってみてください!

もくじ

【洋楽】ヒップホップ史に残る名盤!押さえておきたい基本の1枚(1〜20)

The Black Album

Dirt Off Your ShoulderJay Z

ヒップホップ史上最も人気のあるラッパーの1人であり、実業家としての活動も含めて最も裕福なミュージシャンとしても知られるジェイ・Zさん。

奥さまがあのビヨンセさんという、最強夫婦ということでも有名ですよね。

あまりヒップホップに興味のない方で、ゴシップな話題性でしかジェイ・Zさんのことを知らないというのは損をしているかもしれません。

ラッパーとして、ミュージシャンとして破格の才能を持った存在であり、リンキン・パークとコラボレーションを果たすなど柔軟な姿勢の持ち主であり、とてつもない努力を重ねたからこそ、ハードな人生を乗りこえて誰もがうらやむ成功を手にしたのです。

そんなジェイ・Zさんが引退作として2003年にリリースした『The Black Album』を、今回は取り上げます。

豪華なプロデューサー陣やゲスト・ミュージシャンがそれぞれの手腕を発揮しながらも、あくまで主役はジェイ・Zさんであり、よりすぐりのキラーチューンがずらりと並ぶ見事な1枚です。

引退騒動は後に撤回しますが、当時はこれが最後と決めて本作を作り上げたということを念頭に置いてから、このアルバムと向き合ってみるとまた違った聴こえ方がしてくるかもしれませんよ。

Don’t Sweat The Technique

Don’t Sweat The TechniqueEric B. & Rakim

80年代半ばから90年代初頭にかけての、いわゆる「ゴールデンエイジ・ヒップホップ」と呼ばれる世代はそれこそ伝説的なアーティストやグループが多く存在しています。

本稿で取り上げているエリック・B&ラキムは、その中でも知名度や影響力どちらにおいてもトップ・クラスのデュオであり、とくにMCのラキムさんのラップはヒップホップの歴史において最も影響力のあるものの一つとして評価されているほどなのですね。

ギャングスタ・ラップや政治的なアジテーションを基本とするラップとはまた違う、思慮深い洞察力や哲学的な感性を軸とした詩を、どこまでもクールに冷静に語りかけるように巧みにラップする様は唯一無二のかっこ良さ。

そんな彼らにとって最後のアルバムとなった1992年の『Don’t Sweat The Technique』は、ウッド・ベースによる黒いジャズ・グルーブがあまりにも印象的な表題曲をはじめとして、センスの良いサンプリング・ソースを用いてメロディアスかつファンキーに仕上げた古き良きオールドスクール・ヒップホップの良心の如き作品です。

残念ながらクレジットの表記などでトラブルとなり、グループ解散の引き金となったと言われていますが、本作を含めて4枚しかない彼らのアルバムは、すべて聴いてみることをオススメします!

The College Dropout

All Falls Down ft. Syleena JohnsonKanye West

天才であるがゆえの破天荒なキャラクターで、2020年代を過ぎた今もお騒がせなアーティストとしてゴシップな話題も提供するカニエ・ウェストさん。

ソロ・アーティストとしてはもちろんプロデュース業でもファッションデザイナーとしても成功を収め、2000年代以降においてジャンルをこえた最も著名なアーティストの1人といっても過言ではないでしょう。

これまでにリリースしたソロ・アルバムのほとんどが全米チャート1位を記録、時には物議を醸しだす問題作も次々と発表し続けるカニエさんにとって、ソロ・アーティストとしての第一歩となった2004年の名作デビュー・アルバム『The College Dropout』を紹介します。

アルバム・タイトルの由来は、プロデューサー業に専念するために本人が大学を中退したという事実から。

本作の素晴らしさは、当時ヒップホップに興味のなかった人でもこぞってこのアルバムを絶賛していたということからも分かるのではないでしょうか。

ソウル・ミュージックからの巧みなサンプリング、印象的なドラム・パターンにストリグスやコーラスを駆使した見事な楽曲展開、豪華なゲスト・アーティストに埋もれることなく輝くカニエさんの存在感はまさに天才の仕事と言えるでしょう。

カニエさんの人生経験から生まれたリリックもしっかりと読み込んでほしいですが、全体的にとにかくソウルフルかつキャッチーでポップな作風はハードなヒップホップが苦手な方にもオススメです!

Licensed to ill

No Sleep Till BrooklynBeastie Boys

Beastie Boys – No Sleep Till Brooklyn (Official Music Video)
No Sleep Till BrooklynBeastie Boys

音楽シーンのみならず、ファッションや社会的な活動までさまざまな分野へ多大なる影響を及ぼし、最も売れた白人ラップ・グループとして2020年代の今も多くのアーティストから尊敬されるのが、ニューヨーク発のビースティ・ボーイズです。

ロックとヒップホップの境界線を壊した自由な音楽性、90年代的なサブカルチャーの象徴でもある、DIYの精神で立ち上げた自身のレーベル「グランドロイヤル」の先進性、社会的な意義を込めた大規模なフェス「チベタン・フリーダム・コンサート」の開催など、その偉業は数え切れません。

彼らが残した作品はどれも名盤ばかりですが、今回は記念すべき1986年のデビュー・アルバム『Licensed to Ill』を取り上げましょう。

まだまだ若くやんちゃだった彼らならではの過激なリリックや皮肉たっぷりのMVなどは、今の価値観で見ればやや不謹慎と思われるかもしれません。

そのような問題はささいなことで、名曲『(You Gotta) Fight For Your Right (To Party!)』をはじめとするハードロック的なトラックの上で激しくラップするスタイルや、スレイヤーのケリー・キングさんをフィーチャーした『No Sleep Till Brooklyn』など、Run-D.M.C.の影響下にあるとはいえ、細かい理屈も何もかもをなぎ倒すその圧倒的なパワーは、今もなお衝撃的ですよね。

大量のサンプリングなどの手腕も含めて、あらためて本作の素晴らしい魅力を若い方々にも知っていただきたいですね。

Speakerboxxx / The Love Below

RosesOutKast

Outkast – Roses (Official HD Video)
RosesOutKast

アンドレ・3000さんとビッグ・ボーイさんから成るアウトキャストは、今やヒップホップのみならずポップスやロックといったジャンルでも当たり前のように使われるトラップ・サウンドを生み出したとされる、いわゆる「サザン・ヒップホップ」の先駆的な存在です。

アメリカ南部を中心とするヒップホップであり、西海岸と東海岸が全盛期の時代に最初に南部出身のラップ・グループとして全米進出に成功したのがアウトキャストなのですね。

彼らのサウンドはヒップホップの文脈にとらわれず、臆することなく革新的な音楽を生み出すスタイルが高く評価され、商業的にも大きな成功を収めています。

そんな異色の存在とも言えるアウトキャストの2人が、それぞれの実質的なソロ・アルバムを2枚組としてリリースした通算5枚目のアルバム『Speakerboxxx/The Love Below』は、まさに既存のルールにとらわれない彼ららしい作品であり、世界中で大ヒットを記録した作品です。

それぞれの個性が存分に発揮され、タイプもコンセプトも違う2枚のアルバムを同一のグループ名義で1つの作品としてリリースするということ自体、普通のミュージシャンならばやろうとは思わないですよね。

当時は街中で流れていた『Hey Ya!』など、多くのヒット曲も生まれた本作は、ヒップホップ・ファンだけでなくオルタナティブ・ロックなどの音楽ファンをも熱狂させたのです。

Goblin

YonkersTyler, The Creator

2010年代のオルタナティブ・ヒップホップ・シーンの幕開けを告げる、代表的な1枚と言っても過言ではないでしょう。

2010年代初頭に頭角を現した新世代グループ、オッド・フューチャーの創設メンバーであり、2020年代を過ぎた今もリリースする作品は常に高い評価を受け、商業的にも成功を収めるなどトップ・アーティストとして活躍するタイラー・ザ・クリエイターさんによる本格的なソロ・デビュー作『Goblin』です。

当時はインターネット上の耳の早い音楽ファンを中心として、オッド・フューチャーという若く才能のあるグループの存在が注目を集めつつあった時期で、タイラーさんのアルバムが名門XL Recordingsからリリースされることが判明した時は、ヒップホップ好きのみならずインディー・ロックを愛聴しているリスナーの間でも大いに話題となりました。

リリース時はまだ20歳を迎えたばかりのタイラーさんの鬼才ぶりが存分に発揮された本作は、先行シングルとして発表された『Yonkers』の過激な内容のMVも強烈なインパクトを与えましたね。

もちろん、単なる話題性だけでなく重々しくも浮遊感のあるトラックと低音のラップが織り成す奇怪な音世界は、彼の才能を如実に示すものでしょう。

リリースから10年が過ぎた20年代、あらためて本作の魅力を味わってほしいですね。