カフェミュージックにも!ミュゼットの魅力を味わう名曲紹介
フランス生まれの大衆音楽、ミュゼット。
19世紀末からカフェやダンスホールで演奏され、パリジャンの心を癒してきたこの音楽は、アコーディオンの優美な音色とともに世界中で愛されています。
労働者階級の庶民音楽として誕生しながらも、ワルツやジャズの要素も取り入れながら発展してきました。
懐かしさと温もりに満ちたメロディー、ノスタルジックなリズムが織りなすミュゼットの名曲の世界へ、優雅なパリの空気とともにご案内します。
カフェミュージックにも!ミュゼットの魅力を味わう名曲紹介(1〜10)
La Foule / 群衆NEW!Ángel Cabral

パリの祭りの喧騒のなかで、運命的な出会いと別れを描いたこの楽曲。
もともとは1936年にアルゼンチンのギタリスト・作曲家アンヘル・カブラルさんがペルー風ワルツとして作曲したものでしたが、1953年にエディット・ピアフさんがブエノスアイレスで耳にし、帰国後にフランス語詞へと生まれ変わらせました。
群衆に押されるように引き寄せられた二人が、同じ群衆の力で引き離されていく切なさを、躍動的な3拍子のワルツに乗せて歌い上げています。
原曲とは視点もテーマも異なる、まったく新しい物語として仕上げられた点が興味深いところ。
ミュゼットスタイルで演奏されることも多い名曲で、ラテンの情熱とパリの哀愁が溶け合った、カフェで聴きたくなる珠玉の一曲です。
真実のミュゼット・ワルツNEW!Émile Vacher

1920年代のパリで、アコーディオンを主役にした舞踏音楽「バル・ミュゼット」の礎を築いたエミール・ヴァシェさん。
トゥール出身の彼は、わずか10歳からアコーディオンを独学で習得し、モントルイユの労働者向けダンスホールで演奏活動をスタートさせました。
本作は1920年代中期に78回転盤として録音された作品で、3拍子のワルツ・リズムにアコーディオン、ピアノ、バンジョーが織りなす軽快なアンサンブルが特徴です。
「真実の」という冠が示すように、パリの舞踏文化における本格的なミュゼット・スタイルを体現した一曲として高く評価されています。
数百曲もの録音を残したヴァシェさんの代表作として、コンピレーション・アルバム『50 TITRES 1927-1952』にも収録されました。
カフェで流れるBGMとしても最適で、パリの街角を思わせる優雅な雰囲気を楽しみたい方にオススメです。
Sous les ponts de paris / パリの橋の下NEW!Vincent Scotto

パリの情景を描く名曲として知られるこの作品は、ヴィンソン・スコットさんが1913年に作曲したシャンソンですが、ミュゼットでの演奏でも有名な名曲です。
セーヌ川の橋の下を舞台に、昼は観光船が優雅に行き交う華やかなパリと、夜になると橋の下で語らう恋人たちや寝泊まりする人々の姿を対比的に描いています。
アコーディオンの音色に乗せて奏でられる哀愁漂うメロディーは、パリの光と影を同時に映し出す深みを持った作品です。
1913年の発表以降、多くのアーティストにカバーされ、1954年には英語版も制作されました。
カフェでゆったりとした時間を過ごすときや、フランス映画を観た後の余韻に浸りたいときにぴったりの一曲です。
カフェミュージックにも!ミュゼットの魅力を味わう名曲紹介(11〜20)
Brise Napolitaine / ナポリのそよ風NEW!Vetese Guerino / Jean Peyronnin

19世紀末のパリで労働者階級に親しまれたミュゼット。
この音楽文化の黄金期を支えたアコーディオン奏者ヴェテーゼ・ゲリーノさんと、作曲家ジャン・ペイロンニンさんによる共作が本作です。
1933年3月にパリで録音されたこのワルツは、イタリア・ナポリ出身のゲリーノさんのルーツを感じさせる陽光に満ちた旋律が魅力。
アコーディオンの優美な響きに、若き日のジャンゴ・ラインハルトさんを含むジプシー・ギターの軽快なスウィングが絡み合い、フランスとイタリア、そしてロマの音楽文化が交錯する独特の世界を作り出しています。
カフェや社交場でゆったりと流れる時間を演出してくれる、温もりあふれる一曲ですよ。
Douce Joie / 甘い喜びNEW!Gus Viseur

カフェのBGMとして流れていそうな、心地よいアコーディオンの響き。
本作は1942年5月に録音された、ギュス・ヴィズールさんによるミュゼット・ワルツです。
ベルギー出身の彼は、パリのダンスホール文化に根ざしたミュゼットにジャズやスウィングの要素を融合させた革新者として知られています。
ジプシー・ギターとアコーディオンが掛け合う本作は、甘く郷愁を誘う旋律が魅力。
後にコンピレーション・アルバム『Compositions 1934‑1942』にも収録され、今なおミュゼット文化を代表する1曲として愛されています。
パリの街角を思い浮かべながら、ゆったりとしたティータイムのおともにいかがでしょうか。
La Java Bleue / 青色のジャヴァNEW!Géo Koger

パリの下町バル・ミュゼットの甘く切ない空気を閉じ込めた珠玉の一曲。
作詞家ジェオ・コジェさんとノエル・ルナールさん、作曲家ヴァンサン・スコットさんによって1938年に制作された本作は、アコーディオンの哀愁漂う調べに乗せて、目と目を合わせて踊るカップルたちの陶酔と、その瞬間の誓いが永遠には続かない儚さを同時に描き出しています。
タイトルこそダンス形式の「ジャヴァ」を冠しながら、実際にはヴァルス・ミュゼットの拍子で奏でられるという粋な趣向も魅力的です。
1939年の映画「Une java」では主演のフレエルさんが歌唱し、以降156を超えるカバーが制作されてきました。
踊る悦びと刹那的な恋心が交錯するこの名曲は、カフェでゆったりとした時間を過ごしたい方におすすめです。
Mon amant de Saint-Jean / サンジャンの私の恋人NEW!Émile Carrara

アコーディオンの優美な旋律に導かれて、1942年のパリ郊外のダンスホールへと誘われる楽曲です。
エミール・カララさんが作曲したこのワルツは、若い女性の視点から語られる切ない恋物語。
夜のダンス会場で出会った恋人との甘い時間、しかしやがて訪れる別れの予感が、ミュゼット特有の哀愁漂うメロディーに乗せて描かれています。
フランソワ・トリュフォー監督の映画『終電車』でも使用され、時代を超えて愛され続けるスタンダードナンバー。
カフェでゆったりとした午後を過ごすときや、懐かしい思い出に浸りたいときにぴったりの1曲です。
アコーディオンの響きが心に温もりを運んでくれますよ。





