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実は楽器演奏の基本が詰まっている。教育用カスタネットで遊ぼう!

実は楽器演奏の基本が詰まっている。教育用カスタネットで遊ぼう!
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実は楽器演奏の基本が詰まっている。教育用カスタネットで遊ぼう!

打楽器(パーカッション)に属する楽器は、「叩く」ものであるならば、ほぼ何でも打楽器になってしまうため、かなりの数にのぼります。

音楽大学の打楽器専攻で取り扱われる楽器だけでも相当数ありますが、その中で私が最近注目しているのが「教育用カスタネット」です。

今回はこのカスタネット演奏を例に、打楽器演奏がどうしたら効率よく熟達できるか、について書いてみたいと思います。

カスタネットってこんなに面白い楽器だったのか!

カスタネット

打楽器科に所属していた大学時代、カスタネットはほどんと演奏したことがなく、そもそもあまり眼中にない楽器でした。

しかし最近、ふとしたことでカスタネット演奏の動画を鑑賞し、「こんなに面白い楽器だったのか!」と、認識を新たにしたところです。

教育用カスタネット奏者:ミハルス☆アキ(山本晶子)さんのカスタネット演奏動画

幼稚園や小学校にもありそうなカスタネットで、こんなに面白いことができるなんて!

私はさっそくカスタネットを購入し、動画を何度も鑑賞しつつ、練習しました。

最初の関門は、右手の3本(4本の場合もある)の指を順番に使って、連打する演奏でした。

指を順番に、カスタネットにあてていくだけだと、リズムがぎこちなくなったり、そもそも音が鳴らなかったりします。

さらに、カスタネットは木でできているため、何度も指があたると痛いんです。

練習しているうちに、指先が痛くなってきて、「ああ、なんでうまくいかないのかな?」と、早くも諦めモードに入りそうになりました。

その時、「指紋の中心を意識したらどうなるだろう?」とふと思い、さっそく、カスタネットを叩いている各指の、指紋の中心を感じ取るようにしてみました。

すると……。

何と不思議なことが!

指紋の中心にはしっかりとした力が自然に入りつつも、それ以外の指先の部分は、余分なりきみが消えてフワフワと柔らかくなり、吸盤のように楽器にピタリと吸い付く感覚が生まれてきたのです!

そうなると、もう連打も自由自在!

教育用カスタネット 演奏/高木リィラ

練習を始めてから1週間くらいでここまで弾けるようになったのは、指の指紋の中心を意識し、指先の力を抜いたことによる成果です。

他の楽器にも応用できる

この「力が抜ける」という状態が、楽器演奏をはじめ、あらゆる身体運動において、非常に重要なファクターなのです。

たとえば、姿勢が極端に悪いと、身体を支えるために、本来ならば使う必要のない力が休みなく入っている状態となり、あちこちの筋肉が硬直化して、自由に動けなくなります。

そうなると身体運動に支障が出てきて、楽器演奏も下手になりますね。

それと同じで、指先に余分な力が入って、カチカチに固くなっていると、カスタネットのような楽器で細やかな表現をするのは難しくなります。

逆に、力が抜ければ抜けるほど、デリケートで奥深い表現が可能となるのです。

さらに、この「指紋の中心を意識して、それ以外の部分の力を抜く」という方法は、ピアノ等の鍵盤楽器にも応用できます(おそらく、弦楽器等、他の楽器にも応用できると思います)。

試しにピアノを弾いてみると、指先が鍵盤に吸い付くようになめらかに動き、ピアニッシモなどの繊細な表現がとても楽にできるようになりました。

「一流のピアニストは、指先が柔らかくフワフワで、余計な力が入っていないんだな」と思いました。

そうでないと、1日何時間もピアノを練習し続けることなどできませんね。

ピアノ専攻の学生は、1日6~8時間くらいはピアノの練習をしているそうです。

力を抜くことの難しさ

さて、「力を抜く」と簡単に言葉にしていますが、実はこの「力を抜く」というのが、非常に難しいのです。

指先の力を抜いたつもりで、フニャフニャの腑抜け状態では、カスタネットをリズミカルに鳴らすことはできません。

指先にしっかりしたハリを保ちつつ、演奏に必要ない力だけを抜くことが必要です。

しかし、「力を抜こう」と能動的に行なっても、ほぼ間違いなく抜けません。

「力を抜く」という状態は、「入っている力をオフにする」という意味で、「オン」では抜くことができないためです。

ではどうしたらよいのでしょうか。

余分なりきみを「オフ」にするためには、ちょっとしたコツがいります。

まず、カスタネットを叩いている指先に意識を向け、わざとギューッと力を入れてみます。

すると、固くした分、演奏がぎこちなくなります。

そして次が重要なのですが、自分でギューッと入れた力を「入れることをやめて」オフにします。

力を入れることを「車のアクセルを踏む」と捉えてください。

そして、「ブレーキを踏んで」やめるのではなく、「アクセルを離す」ことだけを行ないます。

ブレーキを踏むのは、能動的に、強制的にストップをかけることですが、踏んでいたアクセルを離すと、「アクセルを踏む」というコマンドがオフになって、その結果、緩やかに動きが止まります。

つまり、能動的な行為ではないわけです。

ブレーキを踏むようなやり方で新しい力を加えて、今まで入っていた力を抜くことは、そもそもできないのです。

入っている力は「力を入れている」というコマンドをオフにすることでしか解除できません。

指先に力をギューッと入れた時、自分がどうやって力を入れているかをよく観察し、その「力を入れよう」とするコマンド(指令)を、スイッチを切るようにオフにします。

すると、ぎこちなかったカスタネットの音が、軽やかに、なめらかに、細やかになっていくのがわかるでしょう。

それまで入っていた余分が力が抜けた分、カスタネット演奏に熟達するというわけなのです。

簡単でシンプルな方法なので、ぜひ試してみてください!

ただし、「力を抜く」練習は、1回や2回ではなかなか身に付かないので、根気よく継続することが大事です。

ちなみに、指紋の中心の位置は、自分で思っているのと随分ずれていることが多いので、実際によく目で確認し、楊枝やお箸の先などでもタッチして、位置をしっかり把握してください。

指紋の中心にマジックで黒く点を書くのもおすすめです。

教育用カスタネットは300円以下で購入できるので、興味がある方はぜひ手に取って遊んでみてください!

注:「指紋の中心を意識する」、「入っている力をオフにする」などは、「ヒーリング・アーツ」というメソッドを応用したものです。

詳しくは、以下のサイトをご覧下さい。

高木一行著『ヒーリング・ディスコース』

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