昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ
あなたは「春」と聞いて、どんな歌を思い浮かべますか?
戦前から戦後にかけての昭和初期には、季節の移ろいを繊細に描いた流行歌や唱歌、童謡が数多く生まれました。
本特集では、そんな時代の春にまつわる歌謡曲や唱歌をたっぷりとお届けします。
リンク先の音源動画資料には当時のオリジナル音源を選んでいる曲もありますから、レトロな響きとともに当時の春の空気を味わってみてください。
懐かしいメロディーを口ずさみながら、穏やかな春のひとときをお楽しみいただければ幸いです。
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昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ(1〜10)
梅に春風新橋喜代三

春の訪れを告げる花として、梅の花を思い浮かべる方もきっと多いのではないでしょうか?
本稿で紹介している『梅に春風』は、1935年1月に発売された流行歌で、昭和初期の空気を色濃く残す1曲です。
歌唱を担当したのは、民謡や小唄で人気を博し、のちに作曲家の中山晋平さんの妻となったことでも知られる新橋喜代三さん。
作詞を時雨音羽さん、作曲を田村しげるさんが手がけた本作は、梅と春風という日本の美しい情景を、新橋喜代三さんの粋な歌声で表現しています。
当時の花柳界やお座敷文化を思わせる軽やかなメロディーは、穏やかな春の日にのんびりと聴きたくなるような魅力がありますよね。
戦前の流行歌ならではのレトロな響きが、懐かしい気分にさせてくれることでしょう。
うぐいす童謡

春の訪れを告げる鳥といえば、真っ先に思い浮かぶのはあの鳴き声ではないでしょうか?
本稿で紹介する『うぐいす』は、そんな春告げ鳥のさえずりを愛らしく表現した童謡ですよね。
梅の小枝にとまって歌う姿や、鳴き声を模したフレーズの繰り返しが、春ののどかな情景を鮮やかに思い出させてくれます。
本作は、1941年発行の国民学校の教科書『ウタノホン 上』に掲載されたのが始まりです。
作詞を林柳波さん、作曲を井上武士さんが手掛けたこの歌は、難しい言葉を使わずに季節の移ろいを描いており、学校教材として長きにわたり親しまれてきました。
昭和の初めから歌い継がれるメロディーですが、今もなお春の陽だまりの中で、お子さんと一緒に口ずさむのにぴったりな1曲ですよね。
チューリップ童謡

春の訪れとともに花壇を彩るあの花、誰もが一度は口ずさんだことがある童謡ではないでしょうか。
赤や白、黄色といった鮮やかな色が並んで咲く様子を描き、どの花もそれぞれに美しいと肯定する歌詞は、シンプルながらも深い優しさに満ちていますよね。
実は本作、1932年7月に発行された『絵本唱歌 夏の巻』が初出なのですが、当時は作詞者名が伏せられており、のちに裁判を経て近藤宮子さんが作者として認められたという歴史があるのです。
1933年にはレコード化もされ、以来長きにわたり入園式や春の行事などで親しまれてきました。
小さなお子さんが初めて歌う一曲としてもぴったりですし、懐かしいメロディに耳を傾けて、穏やかな春の陽気を感じてみるのもすてきですね。
昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ(11〜20)
花の街童謡

1947年、昭和22年にNHKラジオ番組『婦人の時間』を通して広まった『花の街』は、江間章子さんの美しい詩と團伊玖磨さんの上品な旋律が心に響く、戦後を代表する春の童謡ですよね。
平和への切実な祈りが込められた本作は、まだ焼け跡の残る当時の日本において、夢に見るようなあこがれの春の情景を人々に届けてくれました。
1952年4月にレコードが発売されたシングルであり、2006年には「日本の歌百選」にも選ばれるなど、世代を超えて愛され続けている1曲です。
学校の授業や合唱コンクールで歌ったという方も多いのではないでしょうか。
幻想的な世界観の中にふと現実の悲しみが混じるような奥深さがあり、穏やかな春の日に平和の尊さを感じながら、静かに歌い継ぎたい楽曲ですね。
祇園小唄作詞:長田幹彦 / 作曲:佐々紅華

京都の風情ある花街を舞台に、四季折々の情景と舞妓の恋心を情緒たっぷりに描いたのがこの楽曲です。
昭和5年に公開された映画『祇園小唄絵日傘』の主題歌として制作された本作は、長田幹彦さんが作詞を、佐々紅華さんが作曲を担当しており、藤本二三吉さんの艶やかな歌声とともに大ヒットしました。
歌詞には春の「東山」や「おぼろ月」といった美しい言葉が並び、「だらりの帯」というフレーズが印象的な一節は、聴く人の心に京都の風景を鮮やかに映し出します。
実は日本舞踊の演目としても親しまれており、単なる流行歌を超えて花街のお座敷芸としても長く愛され続けているのですね。
あたたかな陽気の中で古都の春を感じたいときや、しっとりとした和の雰囲気に浸りたいときにおすすめしたい名曲です。
十九の春神楽坂浮子

沖縄民謡として知られる同名の楽曲も存在しますが、本稿で紹介する『十九の春』は昭和31年に「最後の芸者歌手」と呼ばれた神楽坂浮子さんの歌唱で大ヒットした楽曲です。
神楽坂さんにとっては歌手としての出世作でもあり、この曲のヒットがきっかけで一気にスターダムへとのし上がり、女優としても活躍することとなるのですね。
歌詞の内容としては、タイトルにもあるように十九歳の女性が主人公で、おそらく気持ちを言い出せないまま失恋してしまった切ない乙女心を情緒たっぷりに描いています。
何かが始まるだけではなく、何かが終わるのも春の特徴ということを思い出させてくれますね。
街は春風中野忠晴

春の風が街を吹き抜ける、そんなモダンで軽やかな光景が目に浮かぶような一曲です。
この歌は、1938年5月に発売されたレコードのB面曲として世に出ました。
歌唱を担当したのは、和製ポップスの先駆者とも言える中野忠晴さん。
作曲にはアメリカの著名なアーヴィング・ベルリンの名前があり、編曲を仁木他喜雄さんが手掛けるという、当時の洋楽ジャズを日本の流行歌へ見事に落とし込んだ作品ですね。
実は明確な映画主題歌などの記録は残っていないのですが、その洗練されたメロディはまるで銀幕の世界のようです。
軽快なリズムと中野さんのあざやかな歌声が、新しい季節の訪れに胸を躍らせる人々の心に寄り添います。
お洒落をして街へ出かけたくなる、そんなウキウキとした春の日に聴いてみたいですね。



