昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ
あなたは「春」と聞いて、どんな歌を思い浮かべますか?
戦前から戦後にかけての昭和初期には、季節の移ろいを繊細に描いた流行歌や唱歌、童謡が数多く生まれました。
本特集では、そんな時代の春にまつわる歌謡曲や唱歌をたっぷりとお届けします。
リンク先の音源動画資料には当時のオリジナル音源を選んでいる曲もありますから、レトロな響きとともに当時の春の空気を味わってみてください。
懐かしいメロディーを口ずさみながら、穏やかな春のひとときをお楽しみいただければ幸いです。
昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ(1〜10)
リンゴの唄並木路子

戦後の日本に希望の光を灯した名曲を、並木路子さんの澄んだ歌声でつづった傑作です。
青い空を見上げながら、無垢な心で愛をうたう優しさに満ちた楽曲は、当時の人々の心に深く響きました。
モノラルの音質で刻まれた音の記憶は、昭和初期の空気感を鮮やかに伝えています。
本作は1945年10月公開の映画『そよかぜ』の主題歌として世に送り出され、翌年1月にレコード化されました。
作詞のサトウハチローさんと作曲の万城目正さんが紡ぎ出した温かなメロディーは、戦後の復興期を生きる人々の心の支えとなりました。
春の訪れを感じながら、懐かしい思い出とともに聴いていただきたい一曲です。
早春賦唱歌

春の訪れを待ちわびる心情を描いた楽曲として、吉丸一昌さんと中田章さんにより1913年に制作された本作は、暖かな季節への期待と早春の寒さが見事に表現されています。
ウグイスの歌声や解けゆく氷、芽吹き始めたアシなど、繊細な情景描写により春の息吹を感じられますね。
高齢者の方にもなじみ深い本作は、懐かしい思い出を振り返りながら楽しく歌えるレクリエーションにピッタリですよ。
たのし春風ディック・ミネ

春の訪れとともに聴きたくなるような、明るく軽快なジャズ・ソングとして親しまれているのが本作です。
もともとは『CARELESS LOVE』というアメリカの伝承歌なのですが、島田磬也さんの作詞と三根徳一さんの編曲により、日本的な情緒と洋楽の洒落たセンスが融合した名演となっています。
昭和10年5月の新譜としてテイチクから発売されたレコードで、歌唱を務めるディック・ミネさんは、実は編曲者の三根徳一さんと同一人物であり、歌手のみならず演奏家や俳優としても活躍した多才なエンターテイナーだったのですね。
フォックストロットのリズムが心地よい本作は、モダンな昭和初期の気分に浸りながら、うららかな春のひとときを過ごしたい方にぜひおすすめしたい1曲です。
昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ(11〜20)
街は春風中野忠晴

春の風が街を吹き抜ける、そんなモダンで軽やかな光景が目に浮かぶような一曲です。
この歌は、1938年5月に発売されたレコードのB面曲として世に出ました。
歌唱を担当したのは、和製ポップスの先駆者とも言える中野忠晴さん。
作曲にはアメリカの著名なアーヴィング・ベルリンの名前があり、編曲を仁木他喜雄さんが手掛けるという、当時の洋楽ジャズを日本の流行歌へ見事に落とし込んだ作品ですね。
実は明確な映画主題歌などの記録は残っていないのですが、その洗練されたメロディはまるで銀幕の世界のようです。
軽快なリズムと中野さんのあざやかな歌声が、新しい季節の訪れに胸を躍らせる人々の心に寄り添います。
お洒落をして街へ出かけたくなる、そんなウキウキとした春の日に聴いてみたいですね。
祇園小唄作詞:長田幹彦 / 作曲:佐々紅華

京都の風情ある花街を舞台に、四季折々の情景と舞妓の恋心を情緒たっぷりに描いたのがこの楽曲です。
昭和5年に公開された映画『祇園小唄絵日傘』の主題歌として制作された本作は、長田幹彦さんが作詞を、佐々紅華さんが作曲を担当しており、藤本二三吉さんの艶やかな歌声とともに大ヒットしました。
歌詞には春の「東山」や「おぼろ月」といった美しい言葉が並び、「だらりの帯」というフレーズが印象的な一節は、聴く人の心に京都の風景を鮮やかに映し出します。
実は日本舞踊の演目としても親しまれており、単なる流行歌を超えて花街のお座敷芸としても長く愛され続けているのですね。
あたたかな陽気の中で古都の春を感じたいときや、しっとりとした和の雰囲気に浸りたいときにおすすめしたい名曲です。
梅に春風新橋喜代三

春の訪れを告げる花として、梅の花を思い浮かべる方もきっと多いのではないでしょうか?
本稿で紹介している『梅に春風』は、1935年1月に発売された流行歌で、昭和初期の空気を色濃く残す1曲です。
歌唱を担当したのは、民謡や小唄で人気を博し、のちに作曲家の中山晋平さんの妻となったことでも知られる新橋喜代三さん。
作詞を時雨音羽さん、作曲を田村しげるさんが手がけた本作は、梅と春風という日本の美しい情景を、新橋喜代三さんの粋な歌声で表現しています。
当時の花柳界やお座敷文化を思わせる軽やかなメロディーは、穏やかな春の日にのんびりと聴きたくなるような魅力がありますよね。
戦前の流行歌ならではのレトロな響きが、懐かしい気分にさせてくれることでしょう。
うぐいす童謡

春の訪れを告げる鳥といえば、真っ先に思い浮かぶのはあの鳴き声ではないでしょうか?
本稿で紹介する『うぐいす』は、そんな春告げ鳥のさえずりを愛らしく表現した童謡ですよね。
梅の小枝にとまって歌う姿や、鳴き声を模したフレーズの繰り返しが、春ののどかな情景を鮮やかに思い出させてくれます。
本作は、1941年発行の国民学校の教科書『ウタノホン 上』に掲載されたのが始まりです。
作詞を林柳波さん、作曲を井上武士さんが手掛けたこの歌は、難しい言葉を使わずに季節の移ろいを描いており、学校教材として長きにわたり親しまれてきました。
昭和の初めから歌い継がれるメロディーですが、今もなお春の陽だまりの中で、お子さんと一緒に口ずさむのにぴったりな1曲ですよね。



