昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ
あなたは昭和初期というと、いつくらいの時代をご想像されるでしょうか?
本特集では、戦前から戦後直後の昭和初期に絞って、その頃の流行歌や唱歌、童謡を中心に楽曲をセレクトしてみました。
できるだけ「昭和のレトロ感」的なものをお楽しみいただきたいと考え、リンクの音源動画資料もなるべく原曲のオリジナル音源を選ぶように心がけています。
レトロなモノラルの音質とともに昭和初期の春の空気をお伝えできれば幸いです。
あの時代を思い出しつつ、ぜひ、みなさん一緒に口ずさみながらお楽しみください!
昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ(31〜40)
さくらさくら唱歌

春といえば真っ先に思い浮かぶのは桜の花ではないでしょうか?
他にも有名は花はたくさんありますが目を閉じてまぶたの裏に思い描くのは桜並木ですよね。
そしてこの曲『さくらさくら』は日本を代表する楽曲、さくらソングですよね。
お琴の練習曲としても有名な1曲ですよね。
よく日本を象徴するような場面でもBGMとして流れています。
昭和16年より前は歌詞も少し違っていたようでまた古い歌詞で歌ってみるのも楽しいです。
日本の美しい四季、春を代表する1曲です。
うれしいひなまつり

2006年、日本において文化庁とが親子に長く歌い継がれてほしいという名目で童謡や唱歌、歌謡曲などから選定した101曲が「日本の歌百選」として発表されました。
本稿で紹介している『うれしいひなまつり』は、その101曲に選ばれた楽曲の1つです。
説明するまでもなく有名な童謡ですし、誰もが聴いたことのある曲ですよね。
昭和10年にサトウハチローさんの作詞、河村直則さん作曲による童謡として発表され、タイトル通りひな祭りをテーマとした『うれしいひなまつり』ですが、ひな祭りを楽しく過ごす時間を情緒的に描いた歌詞にもかかわらず、マイナーコードを基調としたいわゆる「短調」の曲というのがおもしろいですよね。
また、実際のひな人形に対して不正確な描写があることも事実ではあるのですが、楽曲の素晴らしさは変わらないからこそ、冒頭で述べたように日本を代表する春の童謡としていつまでも愛され続けているのでしょう。
さくら道成寺三門順子

1937年、三門順子さんによってリリースされヒット曲となりました。
「道成寺もの」といえば、『安珍・清姫伝説』をベースに作られた作品のことで、「能、歌舞伎、日本舞踊にも取り上げられるポピュラーなテーマです。
どんな伝説かというと、旅の僧、安珍に一目惚れし、思いに応えてもらえない清姫が大蛇となり、最後には安珍を焼き殺してしまうという、なんとも怖ろしくも真っすぐな愛の物語。
桜吹雪の中、狂おしく咲き乱れるドラマチックな愛の劇場にひととき身を置き、しっとりと聴き入ってみてください。
国境の春岡晴夫

戦前から戦後を駆け抜けた流行歌手であり、最盛期の昭和20年代においては『憧れのハワイ航路』などの楽曲を大ヒットさせた岡晴夫さん。
そんな岡さんの記念すべきデビュー曲が、昭和14年に発表された『国境の春』です。
当時のソ連と満州国の国境に滞在していると思われる主人公が、故郷である日本の春への郷愁を歌ったような歌詞が実に切ない。
岡さんの端正な歌声による見事な歌唱が、この曲が持つ独特の哀愁を説得力のあるものとしていますよね。
春まだ浅く有島通男

26歳の若さで亡くなった明治時代を代表する歌人であり詩人、石川啄木の短編小説『雲は天才である』に登場する歌が使われたこちらの『春まだ浅く』は、昭和11年に公開された映画『情熱の詩人啄木 ふるさと篇』の主題歌として誕生した楽曲です。
作曲は日本を代表する国民的作曲家の古賀政男が務め、歌唱は有馬通男さんによるもの。
実は過去に古賀さんが手掛けた寮歌をアレンジしたものということで、そういった原曲の雰囲気が残っているのも特徴ですね。
昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ(41〜50)
うれしいひなまつり河村順子

春の訪れとともに色とりどりのぼんぼりや桃の花を飾るひな祭り。
そんな風物詩を歌い上げたのが、河村順子さんによる『うれしいひなまつり』です。
1936年に発表されて以来、日本中の家庭で親しまれてきたこの曲は、子供から大人まで誰もが口ずさむ名曲。
この歌を聴けば、にわかに春の気配を感じ、ほっと温かな気持ちになるでしょう。
サトウハチローさんによる歌詞は、家族の絆と優しい時間が交錯するひな祭りの風景を描いており、聴く人の心に沁み入ります。
アルバム『河村順子・童謡の歩みI』や『河村順子・童謡の歩みII』に収録されており、今聴いてもその郷愁を感じさせるメロディーは色褪せることがありません。
春が訪れるたびに耳にしたくなる、そんな1曲ですね。
梅と兵隊田端義夫

バタヤンという愛称で知られる、歌手でありギタリストの田端義夫さんが1941年に発表し、ヒットした昭和歌謡。
戦場で頑張る兵士が、家で自分の帰りを待っているであろう母親への思いを歌っています。
戦争時代のつらく強い思いが、梅の美しさとともに胸に迫り涙を誘うんですよね。
そして散りゆく花のように覚悟を決めている力強さに胸が熱くなります。
日本人が今ももつ、家族への深い愛情はもちろん、はかなさの美を追求する感性がふくよかにただよう1曲です。