アシッドジャズと聞いて、当時のブームの熱気をよく知っている世代の方々はともかく、若い音楽ファンの中には「オシャレなイメージだけど実際にどのような音楽なのかいまいち分からない」と感じている方は多いのでは?
ジャンルというよりは、クラブ世代が生み出した一種のカルチャーそのもの、というべきアシッド・ジャズは、日本においてもSuchmosなどのバンドの登場もあって、にわかに再評価の波が来ているように感じます。
そこで今回は、アシッドジャズのブームを盛り上げた往年の名盤を中心として、2020年代を過ぎた今だからこそ聴きたいアルバムを集めてみました!
踊れるジャズ!~アシッドジャズの名盤・オススメのアルバム(1〜20)
Virtual InsanityJamiroquai

アシッド・ジャズと呼ばれる音楽ムーブメントの中で、商業的にも大きな成功を収めて世界的なスターとなった存在と言えば、イギリス出身のミュージシャンであるジェイ・ケイさん率いるジャミロクワイです。
1992年のデビュー以降、アシッドジャズ・レコーズの看板アーティストとして、クロスオーバーかつ先鋭的な音楽性でシーンを席巻。
ここ日本においても、当時は渋谷系といったオシャレな音楽を聴くリスナー層から注目を集めていました。
そんなジャミロクワイの名前を世界規模のものとしたのが、1996年にリリースされたサード・アルバム『Travelling Without Moving』です。
世界中で700万枚を売り上げた本作には「ジャミロクワイと旅に出よう」という副題がつきましたが、斬新なMVでも有名な代表曲『Virtual Insanity』を始めとして、まさに聴いているだけで音楽の旅に出ているような、最高にクールでカラフルな音の万華鏡といった楽曲群の素晴らしさは、今もなお色あせることはありません。
生バンドによるアシッドジャズの醍醐味を味わいたい方は、まずは本作と初期の2作を聴いてみてください!
NeverThe Brand New Heavies

1985年にイギリスはロンドンにて結成されたブラン・ニュー・ヘヴィーズは、アシッドジャズを語る上では絶対に欠かせないグループです。
クラブ世代のジャズ~ファンク・バンドとして、イギリスのアンダーグラウンド・シーンで人気と注目を集め、1990年には伝説的なレーベルのアシッドジャズ・レコーズと契約。
同年にリリースしたデビュー・アルバム『The Brand New Heavies』は、まさにアシッドジャズの歴史における重要な1枚と言えるでしょう。
今回取り上げているのは1990年リリースのオリジナル版ではなく、ボーカリストとしてエンディア・ダヴェンポートさんを迎えて1991年に北米盤として再発されたものです。
『Dream Come True』や『Never Stop』といったクラブ・アンセムを収録しており、70年代のソウルやファンクを下敷きとしながらも、洗練された英国ジャズとしてダンサンブルに料理した楽曲はどれもハッピーなものばかり。
踊れるジャズ、の真骨頂というべき名盤です。
SoulstyleJustice System

アメリカのニューヨーク州ウェストチェスター出身のJustice Systemは、1990年に結成されたヒップホップ・バンドであり、ジャズ・ラップやアシッドジャズの要素を取り入れた独自の音楽スタイルで知られています。
高校のタレントショーや地元のクラブでの演奏からキャリアをスタートさせ、1992年にはDe La SoulさんやRun-D.M.C.といった大物アーティストと共演する機会を得て注目を集めました。
1994年にMCA Recordsからリリースされたデビュー・アルバム『Rooftop Soundcheck』は、ニューヨークのSear Soundスタジオで録音された、ヒップホップとジャズを融合させた記念すべき作品です。
シングル『Summer in the City』をはじめ、アフリカ・バンバータさんやサンタナさんへのトリビュート曲も収録され、彼らの音楽的ルーツへの敬意が表れています。
ジャズ・ラップやアシッドジャズ、ソウル・ジャズ、ジャズ・ファンクなど多様なジャンルを融合させたライブ感あふれる演奏が特徴で、当時のヒップホップシーンに新たな風を吹き込みました。
商業的な成功には至らなかったものの、その音楽的完成度と独自性から、The Rootsさんなどと比較されることもあり、ジャンルを超えた音楽の可能性を示す作品として今なお高く評価されています。
ジャズとヒップホップの融合に興味がある方や、ライブ感あふれるオーガニックなサウンドを求める方には特にオススメの名盤です。
The SleeplessRed Snapper

イギリス・ロンドンが生んだ、アシッドジャズ~エレクトロニカの革新集団、レッド・スナッパー!
1993年に結成されたこのインストゥルメンタル・トリオが1998年に発表したセカンド・アルバム『Making Bones』は、ジャズとドラムンベースを融合させた画期的な名盤です。
アリ・フレンドさんのダブルベース、リチャード・ザイアーさんのドラム、デイビッド・エアーズさんのギターという編成に、ゲストとしてMCデットさんやアリソン・デイビッドさんが参加し、アコースティック楽器とエレクトロニクスをシームレスに融合させた先鋭的なサウンドを完成させています。
アシッドジャズの枠を超越したハイブリッドなグルーブは、クラブ世代はもちろん現代的なサウンドを求める音楽ファンにも強烈にアピールする、時代を先取りした至福の音楽体験を提供してくれるのですね。
Lustres E PingentesEd Motta

ブラジルが生んだマルチミュージシャン、エド・モッタさん!
ティム・マイアさんの甥でもある彼が1997年に発表した『Manual prático para festas, bailes e afins. Vol. 1』は、MPB、ネオソウル、アシッドジャズ、ファンクなどを見事に融合させた傑作です。
ユニバーサル・ミュージック移籍後の初作品となった本作は、リタ・リーさんとの共作『Fora da Lei』がテレビドラマの挿入歌として話題となり、ブラジル国内で30万枚を超えるプラチナディスクを獲得しました。
洗練されたAORサウンドにブラジル音楽の豊かさを織り交ぜた16曲は、どれも極上のグルーブを生み出しており、エド・モッタさんの多才な音楽性が存分に発揮された名盤中の名盤!
アシッドジャズを愛する方はもちろん、ソウルフルなサウンドやブラジル音楽に興味がある方にも確実に聴いてもらいたい1枚ですね。