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踊れるジャズ!~アシッドジャズの名盤・オススメのアルバム

アシッドジャズと聞いて、当時のブームの熱気をよく知っている世代の方々はともかく、若い音楽ファンの中には「オシャレなイメージだけど実際にどのような音楽なのかいまいち分からない」と感じている方は多いのでは?

ジャンルというよりは、クラブ世代が生み出した一種のカルチャーそのもの、というべきアシッド・ジャズは、日本においてもSuchmosなどのバンドの登場もあって、にわかに再評価の波が来ているように感じます。

そこで今回は、アシッドジャズのブームを盛り上げた往年の名盤を中心として、2020年代を過ぎた今だからこそ聴きたいアルバムを集めてみました!

踊れるジャズ!~アシッドジャズの名盤・オススメのアルバム(1〜10)

Rooftop Soundcheck

SoulstyleJustice System

アメリカのニューヨーク州ウェストチェスター出身のJustice Systemは、1990年に結成されたヒップホップ・バンドであり、ジャズ・ラップやアシッドジャズの要素を取り入れた独自の音楽スタイルで知られています。

高校のタレントショーや地元のクラブでの演奏からキャリアをスタートさせ、1992年にはDe La SoulさんやRun-D.M.C.といった大物アーティストと共演する機会を得て注目を集めました。

1994年にMCA Recordsからリリースされたデビュー・アルバム『Rooftop Soundcheck』は、ニューヨークのSear Soundスタジオで録音された、ヒップホップとジャズを融合させた記念すべき作品です。

シングル『Summer in the City』をはじめ、アフリカ・バンバータさんやサンタナさんへのトリビュート曲も収録され、彼らの音楽的ルーツへの敬意が表れています。

ジャズ・ラップやアシッドジャズ、ソウル・ジャズ、ジャズ・ファンクなど多様なジャンルを融合させたライブ感あふれる演奏が特徴で、当時のヒップホップシーンに新たな風を吹き込みました。

商業的な成功には至らなかったものの、その音楽的完成度と独自性から、The Rootsさんなどと比較されることもあり、ジャンルを超えた音楽の可能性を示す作品として今なお高く評価されています。

ジャズとヒップホップの融合に興味がある方や、ライブ感あふれるオーガニックなサウンドを求める方には特にオススメの名盤です。

Making Bones

The SleeplessRed Snapper

イギリス・ロンドンが生んだ、アシッドジャズ~エレクトロニカの革新集団、レッド・スナッパー!

1993年に結成されたこのインストゥルメンタル・トリオが1998年に発表したセカンド・アルバム『Making Bones』は、ジャズとドラムンベースを融合させた画期的な名盤です。

アリ・フレンドさんのダブルベース、リチャード・ザイアーさんのドラム、デイビッド・エアーズさんのギターという編成に、ゲストとしてMCデットさんやアリソン・デイビッドさんが参加し、アコースティック楽器とエレクトロニクスをシームレスに融合させた先鋭的なサウンドを完成させています。

アシッドジャズの枠を超越したハイブリッドなグルーブは、クラブ世代はもちろん現代的なサウンドを求める音楽ファンにも強烈にアピールする、時代を先取りした至福の音楽体験を提供してくれるのですね。

Manual prático para festas, bailes e afins. Vol. 1

Lustres E PingentesEd Motta

ブラジルが生んだマルチミュージシャン、エド・モッタさん!

ティム・マイアさんの甥でもある彼が1997年に発表した『Manual prático para festas, bailes e afins. Vol. 1』は、MPB、ネオソウル、アシッドジャズ、ファンクなどを見事に融合させた傑作です。

ユニバーサル・ミュージック移籍後の初作品となった本作は、リタ・リーさんとの共作『Fora da Lei』がテレビドラマの挿入歌として話題となり、ブラジル国内で30万枚を超えるプラチナディスクを獲得しました。

洗練されたAORサウンドにブラジル音楽の豊かさを織り交ぜた16曲は、どれも極上のグルーブを生み出しており、エド・モッタさんの多才な音楽性が存分に発揮された名盤中の名盤!

アシッドジャズを愛する方はもちろん、ソウルフルなサウンドやブラジル音楽に興味がある方にも確実に聴いてもらいたい1枚ですね。

踊れるジャズ!~アシッドジャズの名盤・オススメのアルバム(11〜20)

Dad Man Cat

ChowdownCorduroy

1990年代の、いわゆる渋谷系とされるムーブメントのリアルタイム世代ならば、イギリス出身の4人組インストゥルメンタル・グループ、コーデュロイの作品を青春の1枚として挙げられる方はいらっしゃるでしょう。

彼らの作品は、あのフリッパーズ・ギター~コーネリアスとして著名な小山田圭吾さんが主宰していたレーベル、トラットリアから国内リリースされていたことも踏まえて、ザ・ジェームス・テイラー・カルテットと並んで、当時の空気感を象徴するバンドの1つと言えそうですよね。

そんなコーデュロイの記念すべきデビュー・アルバム『DAD MAN CAT』は、ジャズやソウル、60年代のスパイ映画のサントラから着想を得たような、ファンキーでヒップなインスト曲がずらりと並んでおり、小憎らしいほどにしゃれた味わいのサウンドは、まさに踊れるジャズと呼ぶにふさわしい内容です。

強調しておきたいのは、キャリアのある実力派のバンドとはまた違った、若いミュージシャンならではのみずみずしい感性と、良い意味でのB級感が味わえることでしょう。

作品をリリースするごとに洗練され、演奏技術も明らかに向上した後の作品にはない、デビュー作ならではの魅力をぜひ味わってみてください。

In the Hand of the Inevitable

Love Will Keep Us TogetherJames Taylor Quartet

アシッドジャズという音楽ジャンルのオシャレなイメージを象徴するようなグループの筆頭として挙げられるのが、ザ・ジェームス・テイラー・カルテットです。

1980年代に、いわゆるネオ・モッズ・シーンから頭角を現したハモンド・オルガン奏者のジェームス・テイラーさん率いる実力派グループで、2020年代を過ぎた現在も、バリバリの現役として活躍中なのですね。

多くの名盤を世に送り出した彼らのディスコグラフィの中でも、アシッドジャズ・レコーズ史上最大のヒット作と言われている、1995年リリースの大傑作『In The Hand of The Inevitable』はとくにオススメの1枚です。

アーバンな英国ソウル・シンガーのアリソン・リメリックさんを迎えた大名曲『Love Will Keep Us Together』を始めとして、最高にグル―ヴィでファンキーかつヒップな楽曲がずらりと並ぶ、まさに90年代英国アシッドジャズ~ファンクの金字塔!

80年代のシティポップの再評価の流れで、90年代の渋谷系が若い音楽ファンの間で注目を集めている2020年代という時代だからこそ、改めて本作のような名盤に目を向けてもらいたいですね。

Made in Sweden

It Should Have Been YouBlacknuss

Blacknuss – It Should Have Been You (feat. Titiyo & Jennifer Brown)
It Should Have Been YouBlacknuss

アルバムのタイトル通り、スウェーデン出身の大所帯ジャズ・ファンク・バンドによるデビュー・アルバムです!

スウェーデンにあるジャズ・クラブをルーツとする彼らが1994年にリリースした本作は、70年代~80年代ソウル・ミュージックの楽曲を取り上げて、イギリスらしい洗練されたジャズ・ファンクへと昇華したアシッドジャズの名盤として根強い人気を誇っている作品なのですね。

アリサ・フランクリンさんやスティービー・ワンダーさんといった超大物アーティストのバック・ボーカルを務め、ソングライターとしても才能を発揮したグウェン・ガスリーさんが1982年にリリース、ガレージ・クラシックとしてクラブ世代に人気の高い『It Should Have Been You』を始めとして、90年代ヒップホップの名曲『Hey Mr. D.J.』のサンプリング・ネタとして知られる『Risin’ to the Top』など、センスの良いカバー曲が実にクールでカッコいい。

ジャズ・クラブのハウスバンドという出自ならではの演奏能力とアンサンブルで、全曲通して心地良く安心して聴ける1枚ですよ。

ドライブのお供としてもオススメです!

Road to Freedom

Apparently Nothin’ (Soul River)Young Disciples

アルバムのオープニングを飾る『Get Yourself Together』における、冒頭の最高にソウルフルかつスモーキーなボーカルが耳に飛び込んできた瞬間、この作品の素晴らしさを確信する方は多くいらっしゃるのでは?

1991年にトーキング・ラウドよりリリースされた傑作『Road to Freedom』は、作品の質の高さでアシッドジャズのファンのみならず、90年代ソウル・ミュージックを愛する音楽ファンから熱狂的な支持を集めるヤング・ディサイプルズが残した唯一のアルバムです。

イギリス人男性デュオにアメリカはテキサス出身のボーカリスト、カーリーン・アンダーソンさんというトリオ編成のグループで、解散後もカーリーンさんはソロ活動や多くのグループの客演をこなすなど、シーンに欠かすことのできない存在として活躍しておりますね。

The Marvelettesの『Here I Am Baby』のリズムを引用、全英チャートで13位を記録した名曲『Apparently Nothin’』を始めとして、ソウルやファンク、R&Bのみならずヒップホップの要素を大胆に導入した楽曲群は、アシッドジャズというジャンルを決定付けただけでなく、いわゆるネオソウル系のアーティストにも影響を与えました。