青森の民謡・童謡・わらべうた。歌い継がれる故郷のこころ
青森の民謡には、津軽五大民謡の「あいや節」や「おはら節」、三味線の音色が魂を揺さぶる「じょんがら節」など、豊かな歌の世界が息づいています。
厳しい自然と向き合い、時に海へ、時に山へと生きる糧を求めて歩んできた人々の歓びや祈り、そして郷土への想いが、素朴で力強い歌声となって今に伝わっています。
子守唄からお祭りの唄まで、青森の民謡は、世代を超えて大切に歌い継がれる心のふるさとなのです。
青森の民謡・童謡・わらべうた。歌い継がれる故郷のこころ(1〜20)
とらじょさま清野明子

調べると岩手県民謡としても有名なのですが、地域としては岩手県二戸市~青森県七戸市の広範囲で唄われた盆唄です。
「とらじょ」とは諸説ありますが、虎蔵が訛ったものとされ、地域によっては「虎女さま」とも言われています。
青森県の民謡としては「南部とらじょさま」といわれています。
地域ごとにある詩なので、若干違ってきているようですが、何だか不思議でおもしろい盆唄です。
津軽甚句高橋つや

元々は「どれだばち」と呼ばれた盆唄で意味は津軽弁で「どだばどオだればじゃ」が略されてこの名がついたと思われるのですが、やはり地元の方でないと方言はさっぱり意味がわかりません。
調べると、「どこのだれだ?」という意味ですが、津軽弁で唄われる所がこの唄のいい味を出しています。
南部牛方節立柳祐一

旧南部領三戸地方の牛方が、牛をひいての道中に唄った牛追いの唄。
八戸港で水揚げされた塩や魚・雑貨などを牛の背につみ、秋田県鹿角郡へ売りに行き、帰りは鹿角郡の鉱石を積んでの長旅で牛方の孤独をまぎらわせるかのように、牛への子守歌かわりとして唄われた曲です。
もうっこ赤い鳥

津軽地方のわらべ歌で、もうっことは蒙古の事です。
秋田のはまはげと同様にいい子にしていないと、山から蒙古人が襲ってくるぞという感じで、なんとなく子守歌なのですが、ちょっと怖い感じがしますね。
今では子どもが怖がるので、やさしい”なまはげ”と風化しつつありますが、子守歌などの地方のわらべ唄はけっこう子どもが怖がる唄も多いのです。
加瀬の奴踊り三音麻央

五所川原市嘉瀬に300年程前から伝わる盆唄なのですが、世の風刺唄でもあり、正直者は馬鹿を見て、立ち回りの上手な小狡い人間が得をするという意味も込められていて、何年経っても人間て変わらないなと思います。
話は変わりますが、吉幾三さんの「俺ら東京さ行ぐだ」は五所川原市が舞台なのですが、住民にかなりの反感を買ったらしいです。
「そんな田舎でねぇ!」と……・あの頃確かテレビもラジオもない村と歌っていましたからね。