邦楽フュージョンの名曲~懐かしの曲から近年のオススメ曲まで~
「フュージョン」と呼ばれる音楽は、ジャズを軸としながらも、ロックやワールド・ミュージック、電子音楽からクラシックに至るまで、多くの要素を融合させたハイブリッドな音楽ジャンルです。
ここ日本においても、70年代後半から80年代前半にかけてフュージョンのブームが巻き起こり、商業的に大きな成功を収めるバンドやアーティストが次々と登場しました。
今回は、日本人アーティスト及びバンドに焦点を当てた形で、邦楽フュージョンの名曲をご紹介。
J-POPの歴史にも大きな影響を与え、近年話題のCITY POPと呼ばれる音楽におけるキーパーソンも多く存在している、日本のフュージョンの素晴らしさをぜひ楽しんでくださいね!
邦楽フュージョンの名曲~懐かしの曲から近年のオススメ曲まで~(1〜20)
コズミック・サーフィンYellow Magic Orchestra

日本が世界に誇るYMOことイエロー・マジック・オーケストラが1978年にリリースした、記念すべきセルフ・タイトルのデビュー・アルバムのレコードの帯に「フュージョン」と書かれていたことを踏まえつつ、細野晴臣さんが作曲を手掛けた名曲『コズミック・サーフィン』をぜひ聴いてみてください。
異国情緒を感じさせる特徴的なフレーズ、飛び交う自由奔放な電子音楽、テクノ・ポップとフュージョンの間をいくようなサウンドは革新的としか言いようがありません。
実はギタリストとして高中正義さんが参加しており、フュージョンの要素はそういった事情からも感じ取れるのかもしれません。
実はこの楽曲はもともと細野さんが鈴木茂さん、山下達郎さんが参加したオムニバス・アルバム『PACIFIC』に収録されていたものが原曲で、さらに言えばライブでは全く違う形で演奏されているのですね。
純然たるフュージョンではありませんが、この音がフュージョンという文脈で語られていた時代背景を念頭に置いておくと、また違った発見がありそうです!
YOU BABE松原正樹

スタジオ・ミュージシャンのギタリストとして長きに渡って日本の音楽シーンを支え、J-POPの歴史に残る多くの名曲に携わった松原正樹さん。
フュージョン・バンドのPARACHUTEの主要メンバーでもあり、ソロ・ミュージシャンとしても精力的に作品を発表していた松原さんのディスコグラフィの中でも、今回はロマンティックなフレーズが心地良いフュージョン・ナンバーの『You Babe』を紹介しましょう。
1983年にリリースされたソロ・アルバム『SNIPER』に収録されており、松原さんと同じくPARACHUTEのメンバーにして数え切れないほどのJ-POPの名曲に参加したギタリスト、今剛さんも参加しています。
甘くせつないメロディが生み出す絶妙なムードは、都会的でありどこか哀愁を感じさせるものですね。
まさに大人の音楽と呼べる、フュージョンらしい名曲と言えましょう!
CyclingPRISM

日本のフュージョンを語る上では欠かせないバンド、プリズムが1977年にリリースした、セルフ・タイトルのデビュー・アルバムに収録されている名曲です!
デビュー前から、あのエリック・クラプトンさんの日本武道館公演で前座を務めるなど、前評判の高かったプリズムが、その実力をいかんなく発揮した名盤の収録曲の中でも高い人気を誇る楽曲で、ベスト盤などでも大抵選ばれるナンバーです。
軽快なギターのカッティングを軸とした、疾走感のあるメロディアスなフュージョンのお手本のような展開の中にも、ハードロックのダイナミズム、プログレッシブ・ロックの革新性、ラテンやファンクといった要素も盛り込まれた、当時の日本における才気あふれる若きプレイヤーが繰り広げるサウンドの応酬は、聴いているだけでノックアウトされてしまいますね。
SUPER SAFARINative Son

1970年代後半から1980年代に巻き起こった日本のフュージョン・ブームを代表するバンドとして、ネイティブ・サンの名前を思い出す方も多いのでは?
バンドのことを知らなかったとしても、当時青春を過ごした方であれば、日立マクセル・カセット・テープのCMソングとして起用されたこちらの『SUPER SAFARI』を聴いて、懐かしさに目を細めてしまうかもしれませんね。
キーボード奏者の本田竹広さん、サックス奏者の峰厚介さんを中心としたネイティブ・サンの代表曲でもある『SUPER SAFARI』は、耳になじむメロディアスなサックスのフレーズを軸とした王道のフュージョン・ナンバーであり、後半以降テンポ・チェンジして疾走していく展開も最高にカッコいいです!
余談ですが、この楽曲の7インチ・シングルのジャケットはいかにもフュージョンらしい海辺に、なぜか冬の装いのバンド・メンバーが演奏しているというのが何だかおもしろいです。
ぜひ、レコード屋さんで探してみてください。
SEA LINE “RIE”角松敏生

近年、海外の音楽ファンの中で大ブームを巻き起こしている、1970年代後半から1980年代にかけて盛り上がった邦楽シティポップの中心的な存在である角松敏生さん。
シンガーソングライターであり、音楽プロデューサーとしても杏理さんや中森明菜さん、中山美穂さんなどの仕事でも知られているJ-POP界の大御所ですが、角松さんのルーツの1つでもあるフュージョンにフォーカスした、1987年のアルバム『SEA IS A LADY』を皆さんはご存じでしょうか?
インストゥルメンタル・アルバムであり、角松さんのギター・プレイを全面的にフィーチャーした作品なのですね。
先行シングルとなった『SEA LINE “RIE”』は、CM曲のタイアップとしても起用されたキラーチューンです。
縦横無尽に弾きまくる角松さんの爽快なギター・プレイ、メロディアスなシンセ・サウンド、ファンキーなベース・ライン、ど派手なブラス・セクション……まさに「夏と海」といった雰囲気が満載ですよ!