【洋楽ジャズ】一度は聴いたことのあるスタンダードナンバー特集
ジャズのスタンダードナンバーと言われて、皆さんはどのような楽曲を思い浮かべますでしょうか。
実はテレビのCMやデパートの店内BGMなどで一度は耳にしている楽曲の多くが、ジャズのスタンダードナンバーであったりするのですね。
今回はジャズ・ミュージックとして長年愛され続けている「スタンダードナンバー」をテーマとして、映画用に作られてそのままジャズ界のアーティストたちに繰り返しカバーされた名曲から、ジャズ・ミュージシャン自身が作曲したナンバーまでを一挙ご紹介。
戦前の有名曲から戦後のモダン・ジャズ、70年代のフュージョン系の名曲に80年代のポピュラー音楽などにも目を向けた幅広いラインアップでお届けします!
【洋楽ジャズ】一度は聴いたことのあるスタンダードナンバー特集(11〜20)
Someday My Prince Will ComeBill Evans Trio

原題の『Someday My Prince Will Come』をぱっと見ただけでは何の曲か分からない、という方もいるかもしれませんが、邦題の『いつか王子様が』と言われれば、あの曲かと納得していただけますよね。
1937年に公開されたディズニー映画『白雪姫』の挿入歌であり、白雪姫の声優であるアドリアナ・カセロッティさんが歌唱も担当しています。
ディズニー・ファンではなくとも世界中で愛され続けているポピュラーソングであり、ジャンルを問わずさまざまなジャンルにおけるカバー・バージョンが存在する永遠のスタンダードナンバー、ということに異論を持つような方はおそらくいないでしょう。
ジャズ界においては、デイヴ・ブルーベックさんやマイルス・デイヴィスさんなどの大物がこぞってカバーしていますが、特にビル・エヴァンスさんはこの楽曲を何度となくカバーし続けており、ジャズ史に残る永遠の名作アルバム『Portrait in Jazz』に収録されたバージョンをはじめとして、多くの録音が残されています。
ジャズ好きな方であれば、原曲の歌入りバージョンよりインストゥルメンタル・バージョンの方に親しまれているかもしれませんね!
Stolen MomentsOliver Nelson

甘美なメロディーと洗練されたハーモニーが織りなす、ジャズの金字塔とも呼べる名曲です。
1961年、オリヴァー・ネルソンさんがアルバム『The Blues and the Abstract Truth』で発表したこの楽曲は、瞬く間にジャズの定番曲となりました。
16小節の独特な構成と、マイナーブルースの要素を巧みに取り入れた楽曲構造が特徴的です。
フレディ・ハバードさんのトランペットとネルソンさんのサックスが奏でる美しいフレーズは、聴く者の心を掴んで離しません。
ジャズを愛する全ての人に聴いてほしい一曲です。
My Favorite ThingsJohn Coltrane

こちらの『My Favourit Things』もまた、大抵の人が一度は耳にしているであろう超有名曲です!
日本では『私のお気に入り』という邦題でも著名なこちらの楽曲は、言わずと知れたミュージカルの傑作『サウンド・オブ・ミュージック』のうちの1曲として誕生した名曲であり、映画版でも印象的な場面で登場人物のマリア先生が歌っているのをすぐに思い出される方も多くいることでしょう。
『私のお気に入り』はジャズ・ミュージシャンによってインストゥルメンタル曲としても頻繁にカバーされており、特に有名なものといえばジャズの歴史において最重要人物の1人と言える巨人、ジョン・コルトレーンさんが1961年に発表した同名のアルバムに収録されているバージョンではないでしょうか。
最も知名度の高く人気のある『私のお気に入り』のカバーであり、コルトレーンさん自身も好んでコンサートで演奏し続けていたのだとか。
歌入りでもインストゥルメンタルでも、親しみやすいメロディを聴いていると不思議と楽しい気持ちにさせられますよね。
ちなみにあのアリアナ・グランデさんが2019年に発表したヒット曲『7 Rings』のメイン・フレーズは、聴けば分かりますが『My Favourit Things』を引用したものです。
原曲と聴き比べてみるのもおもしろいですよ!
Time After TimeMiles Davis

スタンダードナンバーと言われると、大抵が戦前や50年代60年代といった時代に生まれた曲というイメージですが、本稿で紹介する楽曲は80年代に生まれた珠玉のスタンダードナンバーです。
大の親日家としても有名なアメリカ出身の女性シンガーソングライター、シンディ・ローパーさんが1983年にリリースした特大ヒットアルバム『She’s So Unusual』に収録されている『Time After Time』は、80年代を代表する名バラードとして2020年代の今も愛される名曲ですよね。
CMなどでも何度となく起用されていますし、若い音楽ファンであっても切ないメロディを聴けばすぐにそれと分かるはず。
実はこの『Time After Time』ですが、ジャズ界においてもスタンダードナンバーとして多くのアーティストがカバーし続けているのです。
ジャズ界における帝王、マイルス・デイヴィスさんが『Time After Time』が発表されて間もない時期の1984年にインストゥルメンタル・バージョンとして録音、翌年の1985年にシングルとしてもリリースしたことが直接的なきっかけとなっています。
その後はマイルスさんのライブ・パフォーマンスにおいても、繰り返し演奏されたという経緯があるのですね。
もちろん、ジャズに限らずさまざまな分野でカバーされ続けている永遠の名バラードを、オリジナル・バージョンでもマイルスさんのカバーでもぜひ楽しんでくださいね!
BirdlandWeather Report

メイナード・ファーガソンさんのバンドやマイルス・デイヴィスさんのグループのメンバーという共通点を持つ、シンセサイザー奏者のジョー・ザヴィヌルさんとサックス奏者のウェイン・ショーターさんを中心として1970年に結成されたウェザー・リポートは、フュージョン~クロスオーバーを代表するグループです。
高度なテクニックを持つミュージシャンたちによる、ジャンルの枠内をとびこえた自由度の高いアンサンブルと先鋭的なセンスが生み出す作品の数々が後続のアーティストやバンドに多大なる影響を及ぼしたことは、いまさら語るまでもないでしょう。
そんな彼らが作り上げた名曲もスタンダードナンバーの地位を確立した楽曲が多く、中でも1977年にリリースされて大ヒットを記録した名盤『Heavy Weather』のオープニングを飾る『Birdland』は、フュージョンの歴史においても非常に重要な楽曲として評価されている名曲中の名曲です。
不世出のベーシスト、ジャコ・パストリアスさんのフレットレス・ベースによるピッキング・ハーモニクスを駆使したプレイのインパクトは絶大ですし、メイン・フレーズのメロディも覚えやすくて素晴らしいですよね。
実際、ジャズ・コーラス・グループのマンハッタン・トランスファーがボーカル曲としてカバーしてヒットさせているのですよ。
ちなみにこちらの楽曲のタイトルは、チャーリー・パーカーさんのニックネームにちなんだ名前を持つ、1949年から1965年までニューヨーク市マンハッタンに存在したジャズクラブをオマージュしたものです。
A Night in TunisiaDizzy Gillespie

『チュニジアの夜』という邦題でも有名な『A Night in Tunisia』は、著名なジャズ・トランペッターのディジー・ガレスピーさんとピアニストのフランク・パパレリさんが共作して生まれた曲で、作曲された時期は1942年と言われていますが1943年、または1944年という説もあるそうです。
ガレスピーさんはいわゆるモダン・ジャズの原型となった「ビバップ」の立役者であり、新世代のジャズの名曲として早い段階で多くのジャズ・アーティストがライブのレパートリーに取り上げ、50年代の時点ではすでにスタンダードナンバーとしての地位を確立していたという楽曲なのですね。
ラテン・ジャズを世に知らしめた一面も持つガレスピーさんらしいアフロ・ビートを用いたパートと、王道のジャズ的な4ビートのパートが組み合わさった楽曲展開が何ともクールでカッコいいです!
この楽曲については後に歌詞が付けられて歌曲としても愛され続けており、中でもあのチャカ・カーンさんは『And The Melody Still Lingers On (A Night in Tunisia)』というタイトルで自ら作詞してファンク・バージョンとしてリメイク、作曲者のガレスピーさんも参加してのレコ―ディングが実現しています。
1981年にリリースされたアルバム『What Cha’ Gonna Do for Me』に収録されていますから、そちらもぜひチェックしてみてください!
【洋楽ジャズ】一度は聴いたことのあるスタンダードナンバー特集(21〜30)
St. ThomasSonny Rollins

カリプソのリズムとジャズの融合が生み出す魅力的な一曲。
ソニー・ロリンズさんの母親が幼少期に歌ってくれた子守唄をもとに作られたこの楽曲は、カリブの陽気な雰囲気と自由な即興演奏が見事に調和しています。
1956年6月22日、ニュージャージー州で録音された本作は、アルバム『Saxophone Colossus』に収録され、ジャズのスタンダードナンバーとしての地位を確立しました。
軽快なメロディーと力強いサックスの音色が、聴く人の心を明るく躍らせます。
ストレス解消や気分転換したい時、また、ジャズの魅力を再発見したい方にぜひおすすめです。