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【洋楽ジャズ】一度は聴いたことのあるスタンダードナンバー特集

ジャズのスタンダードナンバーと言われて、皆さんはどのような楽曲を思い浮かべますでしょうか。

実はテレビのCMやデパートの店内BGMなどで一度は耳にしている楽曲の多くが、ジャズのスタンダードナンバーであったりするのですね。

今回はジャズ・ミュージックとして長年愛され続けている「スタンダードナンバー」をテーマとして、映画用に作られてそのままジャズ界のアーティストたちに繰り返しカバーされた名曲から、ジャズ・ミュージシャン自身が作曲したナンバーまでを一挙ご紹介。

戦前の有名曲から戦後のモダン・ジャズ、70年代のフュージョン系の名曲に80年代のポピュラー音楽などにも目を向けた幅広いラインアップでお届けします!

【洋楽ジャズ】一度は聴いたことのあるスタンダードナンバー特集(21〜30)

Spring, Spring, SpringJohnny Mercer

春の生命力が躍動する陽気なメロディーと、ウィットに富んだ歌詞が魅力的な一曲。

アメリカを代表する作詞家ジョニー・マーサーさんが描く春の情景は、カエルやカモなどの生き物たちの姿を通して、自然界の喜びと再生を温かく表現しています。

1954年6月にM-G-Mスタジオオーケストラによってリリースされ、同年のミュージカル映画『掠奪された七人の花嫁』で主要なシーンを彩りました。

本作は、1976年にはビング・クロスビーさんとフレッド・アステアさんによるデュエットでも取り上げられ、新たな輝きを放っています。

朝の散歩や春の行楽のお供に聴いていただきたい、心温まるジャズスタンダードです。

Round MidnightThelonious Monk

Thelonious Monk Quartet – ‘Round Midnight
Round MidnightThelonious Monk

なんというか『’Round Midnight』というタイトルだけ見ても、実にクールな雰囲気を感じ取れますよね!

もちろん楽曲自体も最高にクールで美しい名曲『’Round Midnight』は、即興による独特のピアノ・スタイルと多くのスタンダードナンバーを生み出した作曲家として著名なジャズ界の巨人、セロニアス・モンクさんが作曲して1944年に発表した楽曲です。

モンクさんの録音としては1947年のものが初とされており、そちらは1951年にリリースされた『Genius of Modern Music: Volume 1』で聴くことができます。

また、あのマイルス・デイヴィスさんが好んでこの楽曲を取り上げていたことでも知られており、1956年にリリースされた名盤『’Round About Midnight』ではオープニング・ナンバーとして収録されていますね。

そんなジャズのスタンダードナンバーとして最も有名な楽曲の1つであるこちらの『’Round Midnight』なのですがいろいろと謎も多く、原曲となったバージョンはモンクさんが19歳の時に作曲したものとも言われており、初めてこの楽曲を録音したのはクーティ・ウィリアムスさんが率いる楽団によるもので、かつスタンダードナンバーとして知られているバージョンはモンクさんによるオリジナルとは違う、というのも興味深いですよね。

Summer TimeBillie Holiday

オペラやミュージカルに映画音楽、管弦楽曲や協奏曲などさまざまなジャンルの楽曲を手掛け、ポピュラー音楽とクラシック音楽の両分野において活躍して「アメリカ音楽を作り上げた作曲家」とも呼ばれているのがジョージ・ガーシュウィンさんです。

彼の生み出した多くの名曲の中でも、今回はジャズに限らずソウルやポップスなどあらゆる音楽ジャンルの中でカバーされ続けている永遠のスタンダードナンバー『Summertime』を紹介しましょう。

こちらは1935年に初演された、キャスト全員が黒人という当時としては画期的なオペラ作品『ポーギーとベス』のためのアリアとして作曲された曲で、劇中ではヒロインが子守唄として歌唱しています。

前述したように膨大な数のカバーが存在している名曲なのですが、世間的にヒットを記録したのは女性ジャズ・シンガーの伝説的な存在であるビリー・ホリデイさんが1936年に歌唱したバージョンが最初であると言われています。

白人アーティストによるカバーとしては、やはり伝説的なロック・シンガーであるジャニス・ジョプリンさんによる歌唱があまりにも有名ですね。

歌詞が重要な楽曲であるにもかかわらず、インストゥルメンタル・バージョンとしても多くのジャズ・ミュージシャンがカバーしていることから分かるように、普遍的なメロディの素晴らしさがミュージシャンたちの、そしてリスナーの心をとらえて離さないということでしょう。

StardustNat King Cole

1960年代に青春を過ごされた方であればザ・ピーナッツが音楽番組『シャボン玉ホリデー』で歌う曲として、80年代であればトヨタ自動車の初代カリーナEDのCMに疲れた曲として、それぞれ記憶されているのではないでしょうか。

世界的に有名なジャズのスタンダードナンバー『Stardust』は、1927年に『我が心のジョージア』などで知られるアメリカの作曲家ホーギー・カーマイケルさんが手掛けたもので、もともとはインストゥルメンタル曲でした。

数年後の1929年に作詞家のミッチェル・パリッシュさんによる歌詞が付けられ、1931年にはビング・クロスビーさんによる歌唱でヒット曲となって世間的にも知られるようになり、以降はインストゥルメンタルとしても歌曲としても多くのジャズ・ミュージシャンが取り上げる名曲となったのです。

その中でも特に日本で知られているバージョンと言えば、ナット・キング・コールさんによるカバーでしょう。

冒頭で述べたCMもコールさんのバージョンが使用されていますし、あの美空ひばりさんが1965年に発表したアルバム『ひばりジャズを歌う~ナット・キング・コールをしのんで』においても、1曲目に『Stardust』が取り上げられています。

過去の恋愛を懐かしんでいるような歌詞はほんのりビターではありますが、悲しい曲というわけではなく、甘やかな思い出がよみがえるといった雰囲気が良いですね!

Waltz For DebbyBill Evans Trio

「ジャズ・ピアノの詩人」と呼ばれる知的で美しく、独創的なスタイルで歴史にその名を残す偉人ビル・エヴァンスさんは作曲家としても多くの名曲を残しており、後続のアーティストたちの多くがこぞってカバーしている楽曲も多数存在しています。

中でも今回紹介している『Waltz For Debby』はスタンダードナンバーとして愛され続けている名曲中の名曲で、タイトルにあるようにワルツのリズムに乗せた親しみやすいメロディはジャズのファンならずとも一度は耳にしているはず。

そんな『Waltz For Debby』は1961年に発表された同名のライブ・アルバムのバージョンがあまりにも有名ですが、実はエヴァンスさんにとって初のリーダー作品となった1957年リリースの『New Jazz Conceptions』が初出なのですね。

最初のバージョンはエヴァンスさんのピアノ・ソロとして収録されており、先述したライブ盤ではエヴァンスさん、25歳の若さで亡くなった天才的なベーシストのスコット・ラファロさん、長きに渡りジャズ・シーンを支え続けてきたドラマーのポール・モチアンさんというジャズ界における伝説的なトリオによる演奏で披露されています。

FootprintsWayne Shorter

ジャズの世界に革命をもたらした名曲が、ここにあります。

12小節のブルース形式を基調としながら、独特のリズムとハーモニーで聴く者を魅了します。

アフリカ音楽にルーツを持つポリリズムや、通常とは異なるコード進行が、深い音楽性を感じさせます。

1966年、アルバム『Adam’s Apple』で初めて世に出たこの楽曲は、同年にマイルス・デイヴィスのアルバム『Miles Smiles』にも収録され、ジャズ界に大きな影響を与えました。

ジャズの歴史や進化に興味がある方、そして複雑なリズムとハーモニーを楽しみたい方にぜひおすすめです。

ウェイン・ショーターさんの音楽的探求心が詰まった一曲を、ぜひじっくりと味わってみてください。

My Funny VallentineFrank Sinatra

有名なジャズのスタンダードナンバー『My Funny Valentine』と聞いて、皆さんはヴォーカル・バージョンとインストゥルメンタル・バージョンのどちらを最初に思い浮かべますでしょうか?

本稿ではフランク・シナトラさんによる歌唱バージョンを紹介していますが、マイルス・デイヴィスさんが1957年に発表した『Cookin’』のオープニング曲として取り上げていますし、ジム・ホールさんとビル・エヴァンスさんによる名盤『Undercurrent』では原曲とは全く違う速いテンポでカバーされるなど、さまざまな形で多くのミュージシャンたちがカバーし続けている名曲なのです。

もともとはミュージカルの分野を中心として膨大な曲を作曲、アメリカ音楽の歴史においてその名を刻むリチャード・ロジャースさんがミュージカル作品『ベイブス・イン・アームス』において発表した楽曲で、作詞はリチャードさんとのコンビで知られるロレンツ・ハートさんが担当しています。

ちなみにジャズ・シンガーによるカバーであれば、トランペッター兼シンガーとして知られるチェット・ベイカーさんによる歌唱も非常に有名ですね。

1956年に発表されたウエストコースト・ジャズの名盤『Chet Baker Sings』に収録されていますよ。