RAG MusicHouse-Techno
おすすめのハウス・テクノ
search

ミニマルテクノとは?心地よい反復が生む音楽の魅力を解説します

規則的なリズムと反復するフレーズが生み出す、心地よくも深い音の世界。

ミニマルテクノやミニマルミュージックは、シンプルだからこそ研ぎ澄まされた音の魅力で、クラブシーンから日常のBGMまで幅広く愛されています。

でも実際のところ、テクノとミニマルテクノの違いって何?

どんな特徴があるの?

そんな疑問を感じたことはありませんか?

この記事では、ミニマルミュージックの奥深い世界を紐解きながら、聴けば聴くほど虜になる名曲の数々をご紹介していきます。

ミニマルテクノとは?心地よい反復が生む音楽の魅力を解説します(41〜50)

MasallaLUCIANO

チリのアーティストたちによる独自のミニマル・テクノ、日本における通称「チリアン・ミニマル」の代表格といえば、リカルド・ヴィラロボスさんとルチアーノさんでしょう。

ルチアーノさんはスイス出身で12歳の時に母親の出身校であるチリへと移住したという経歴を持ち、ラテン・ミュージックの要素を取り入れた独創的なミニマル・サウンドを鳴らす先鋭的なミュージシャンであり、トップDJでもあり、ミニマル~テック・ハウスと呼ばれるジャンルの大人気レーベル「CADENZA」を主宰するなど、まさにシーンの頂点に君臨する存在です。

今回取り上げている『Masalla』は、ミニマル・ハウスやテック・ハウスといったジャンルを定義づけたルチアーノさんが、2007年に発表した2枚組EP『Etudes Electroniques』のC面に収録された人気の1曲。

細かく刻まれていくトライバルなビートと美しさを感じさせるシンセのメロディが反復しながらも徐々に展開していく様が、実にドラマチックかつアブストラクトなクリック~ミニマルの名曲です!

12分近い大作ではありますが、このサウンドがいつまでも続いてほしいと感じてしまうほどに、独創的な音世界へと没入できることをお約束します!

PassionMarkus Nikolai

Markus Nikolai – Passion [Perlon, 1999]
PassionMarkus Nikolai

こちらの『Passion』は、リカルド・ヴィラロボスさんやルチアーノさんといった大物の作品もリリースしている、ドイツはベルリンの名門レーベル「Perlon」の立ち上げメンバーとしても著名なマルクス・ニコライさんによる楽曲です。

1999年に同レーベルよりリリースされて以来、ミニマル・テクノ~ハウスファンの間では高い評価を受けているクラシックな名曲なのですね。

硬質で無機質なミニマル・テクノとは一線を画す、ボーカル入りのポップさを兼ね備えたキラーチューンで、ハウスとミニマルテクノの融合といった雰囲気のサウンドは「ミニマルハウス」のひな形といっても過言ではないでしょう。

残念ながら、マルクスさんが世に発表した楽曲はそれほど多いものではありませんから、この曲が気に入った方はぜひ他の楽曲もチェックしてみてくださいね。

CelestialLUCIANO

サンバのような躍動的なドラムのパターンと美声が繰り返され、聴いていて晴れやかな空のイメージが浮かんできます。

パーティでこのアルバムをかければ盛り上がること間違いなしですね!

同じフレーズを、速度を変えて再利用したりと、ミニマルテクノらしい細やかな配慮が行き届いています。

とっても壮大な作品に聴こえますが、ドラムにおいても同じ音が別の場面で再利用されていたりと、よく聴くと無駄な音が極力減らされていることがわかります。

MarionetteMathew Jonson

『Marionette』という曲のタイトルに、ダークかつ耽美で妖しい雰囲気を感じ取る方もいらっしゃるのでは?

ジャズの影響を受けた独創的なエレクトロニック・ミュージックを鳴らして高い評価を得たカナダのトリオ、コブルストーン・ジャズの中心人物でもあるマシュー・ジョンソンさんが2004年に自身が主催するレーベル「Wagon Repair」より12インチ・シングルとして発表した名曲です。

イントロから響き渡るどこか物悲しいエレピのフレーズはどこかサイケデリックでもあり、硬質なビートは初期のミニマル・テクノを継承しつつ、より攻撃的にディープなサウンドへと昇華。

11分をこえる大作ではありますが、反復しながら少しずつ変化していく様は非常にドラマチックで飽きさせることのない楽曲展開はマシューさんの持つ鋭い音楽センスを感じさせますね。

ちなみにこの楽曲には、より深いエコーをかけたディープすぎる音響空間にトリップ必至の「Live Edit」が存在していますから、合わせてチェックするためにもぜひオリジナルの12インチを手に入れてもらいたいですね!

We (All) SearchRichie Hawtin

イギリス出身のリッチー・ホゥティンさんは、昔ながらのテクノと今風なEDMのちょうど中間の時代に活躍し、ジャンルの架け橋のようになった重要な存在です。

名作『We (All) Search』ではディスコミュージックのような音が入っていたり、イギリスで流行したアシッドハウスのようなオシャレ系の装飾が施されたり、ところどころに効果音が入っていたりと、かなり聴きやすいですね。

同じイギリス出身のUnderworldが好きな方にもぜひオススメしたい音楽です。

ArthurKelly Lee Owens

ウェールズ出身のケリー・リー・オーウェンズさんによる『Kelly Lee Owens』は、幻想的な歌声やゆったりとした自然音をフィーチャーした、ドリームポップのような雰囲気の作品です。

東洋、西洋それぞれまったく異なる民族音楽が奇妙な形で混ぜ合わされていたり、アルバムの途中でリズムやテンポがまるきり変わってしまったりと、映画のサウンドトラックを聴いているかのようですね。

古いサイケデリック系のロックやフォークが持っていた世界観が、現代のテクノロジーを通して興味深い形で再解釈されています。

ZuluStephan Bodzin

Stephan Bodzin – Zulu (Official)
ZuluStephan Bodzin

「ブレーメン・サウンド」と呼ばれる独自のテクノ・ミュージックで知られるシュテファン・ボッツィーンさんは、シーンにおいて高い人気を誇るドイツはブレーメン出身のDJ兼テクノ・ミュージシャン。

「Herzblut Recordings」という自身が主催するレーベルのオーナーでもあり、年間で230日をこえるという圧倒的なライヴ・パフォーマンスでも有名なシュテファンさんは、エモーショナルで豊潤なメロディ・センスを持ち合わていることから「MELODY MAN」とも評されているのですね。

そんな「MELODY MAN」による楽曲『Zulu』は、2015年にリリースされたオリジナル・アルバム『Powers of Ten』に収録されている楽曲。

プログレッシブ・ハウスとも呼ばれる彼の音楽スタイルは直球のミニマル・テクノとはまた違いますが、独自のシンセ・サウンドがちりばめられたハーモニーが実に美しくドラマチックで、初心者にとっても取っ付きやすい楽曲と言えそうです。

夜のドライブのBGMにもオススメですよ!

おわりに

ミニマルテクノとは、反復と変化が織りなす音の旅路そのものです。

テクノのなかでも独特の立ち位置を持つミニマルミュージックの世界は、聴くたびに新しい発見をもたらしてくれます。

シンプルな構造に宿る深い表現力を、ぜひご自身の耳で確かめてみてください。