1980年代初頭のイギリスで生まれたニューロマンティック。
華やかなメイクとファッション、シンセサイザーを多用したサウンドは、新たな音楽シーンを切り開く原動力となりました。
パンクの反動として生まれたこの音楽スタイルは、ムーブメントとしては短いものでしたがグラマラスな装いと共にダンスミュージックとの融合を果たし、日本も含めて多くのミュージシャンに影響を与えているのですね。
本記事では、そんなニューロマのルーツとも言える曲から代表的な楽曲までをご紹介!
最近ニューロマンティックという言葉を知った、という方もぜひチェックしてみてくださいね。
【80’s】ニューロマンティックを代表する名曲まとめ【New Wave】(1〜10)
To Cut A Long Story ShortNEW!Spandau Ballet

1980年に発表された、イギリスのバンド、スパンダー・バレエの記念すべきデビューシングルです。
鋭く切り込んでくるシンセのフレーズと、タイトでダンサブルなビートが、ニューロマンティック時代の幕開けを鮮やかに告げているかのようですよね。
「To Cut a Long Story Short」つまり「要するに」というタイトルが象徴するように、過去の感傷的な話はもう終わりだと、未来へ突き進む若者のヒリヒリするような決意を感じさせます。
自分たちは新しく、美しく、そして何よりクールなんだという宣言が、この無機質でありながら熱を帯びたサウンドからダイレクトに伝わってくるようです。
当時のクラブの熱気を真空パックしたような、聴く者の背筋を伸ばしてくれる名曲ですね。
Fade To GreyNEW!Visage

イギリスのバンド、ヴィサージが放つ、ニューロマンティックを象徴する一曲です。
無機質なシンセサイザーの旋律と、フロントマンであるスティーヴ・ストレンジさんの物憂げな歌声が、聴く者の心を深く捉えて離しません。
この曲を唯一無二の存在たらしめているのが、英語の歌詞に重なるミステリアスなフランス語のささやき。
まるで霧深いヨーロッパの石畳を一人さまようような、冷たくも美しい世界観に引き込まれます。
「灰色に消えていく」というタイトルが暗示するように、歌われているのは深い孤独と虚無感。
人生の彩りが失われていく感覚に、胸を締め付けられる方も多いのではないでしょうか?
その退廃的な美しさは、今もなお多くの人を魅了してやみません。
Back to NatureNEW!Fad Gadget

ニューロマンティックの黎明期に異彩を放った、イギリス出身のファド・ガジェットさんによるデビュー曲です。
Mute Records初のアーティストとして発表されたこの一曲は、「自然へ還れ」というタイトルとは真逆に、耳に飛び込んでくるのは無機質で冷たいシンセの音と機械的なビート。
この痛烈な皮肉こそが、彼の表現の核心なのかもしれませんね。
文明に囲まれた生活から抜け出そうともがくのに、結局はテクノロジーから逃れられない……そんな現代社会の矛盾を、感情を排したかのような淡々とした歌声が突きつけてくるようです。
きらびやかなサウンドとは一線を画す、実験的でシニカルな世界観が心に深く刻まれます。
ElectricityNEW!Orchestral Manoeuvres in the Dark

イギリスの先駆的エレクロトニック・バンド、オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダークの記念すべきデビューシングルです。
1979年にファクトリー・レコードから発表され、後のシーンに絶大な影響を与えました。
クラフトワークに触発されたという実験的な電子音に、パンクの性急なエネルギーを掛け合わせたサウンドは、まさに時代の発明といえるかもしれませんね。
ボーカルの代わりにメロディーを奏でるシンセのフレーズが、無機質でありながら不思議なほどの哀愁を帯びて耳に残ります。
「電気」という近代エネルギーのきらめきを通して、未来への無限の可能性や、人と人との間に流れる見えない絆を歌っているかのよう。
彼らの原点にして、ニューウェイヴを象徴する一曲として愛され続けています。
Life in TokyoNEW!Japan

グラムロックとニューウェーブの架け橋的存在とも言えるジャパンが、ディスコ界の巨匠ジョルジオ・モロダーさんと手を組んでグラムロックから大胆な転換を遂げた楽曲です。
幾度かの再リリースを経てヒットしたのを覚えている方もいらっしゃるかもしれませんね。
きらびやかなシンセのフレーズは、まるで近未来都市・東京のネオンを音で描いたかのよう。
デヴィッド・シルヴィアンさんのクールで抑制された歌声が、華やかな喧騒の中に潜む孤独感や、どこか傍観者のような視線を映し出します。
無機質なビートの上で官能的にうねるミック・カーンさんのベースが、楽曲に生々しい体温を吹き込んでいるのも印象的です。
Being BoiledNEW!The Human League

80年代英国ニューウェーブを代表するユニット、ザ・ヒューマン・リーグが放ったまさに「未来の音楽」を予感させた楽曲です。
不穏に響くシンセサイザーと、フィリップ・オーキーさんの淡々としたボーカルが一度聴くと脳裏に焼き付きますよね。
歌詞では「仏陀の声に耳を傾け、養蚕をやめよ」と歌われており、その挑戦的なメッセージに驚かされます。
まだ誰も聴いたことのない音を手探りで生み出そうとする、初期衝動の鋭さがひしひしと伝わってくるようです。
この冷たくも革新的なサウンドは、後の華やかなニューロマンティックシーンの確かな礎となったのかもしれませんね。
Warm LeatheretteNEW!The Normal

イギリスのダニエル・ミラーさんによるプロジェクト、ザ・ノーマルの楽曲です。
後のニューロマンティックにも繋がるシンセサウンドの原点として知られ、1978年に自宅機材のみで制作された革新的な一曲といえるでしょう。
J.G.バラードの小説『クラッシュ』を題材としており、自動車事故の瞬間を切り取った歌詞は、聴く者に鮮烈なイメージを突きつけます。
砕ける鋼鉄、ステアリングの感触といった即物的な言葉の連なりと、感情を削ぎ落としたミニマルなシンセの響き。
この二つが織りなす無機質で倒錯的な美しさに、当時衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか?
グレース・ジョーンズの名カバーでもおなじみですね。