鬼束ちひろの名曲・人気曲
鬼束ちひろさんは2000年にデビューし、同年リリースした楽曲『月光』でブレイクしました。
少しハスキーでありながらもきれいに出る高音の歌声が大変魅力的ですよね。
また彼女の楽曲の魅力としては歌詞が大切にされているということが挙げられますが、それは彼女のこだわりであり、曲作りの際にも詩を先に書いてから曲を書くそうです。
代表曲から隠れた名曲までピックアップしましたので、ぜひじっくりと聴いてみてください。
鬼束ちひろの名曲・人気曲(1〜10)
陽炎鬼束ちひろ

2009年に発売されたシングルです。
曲調は全体をとおしてゆったりとしていますが、その中に歌に込められた信念を感じる力強さがある、壮大なロックバラードです。
楽曲のテーマが日本の美だということで、歌詞に四季の情景が取り入れられているところも印象的です。
誰かに向けての捨てられない強い感情、それを四季の描写と重ねることによって、一年をとおして思い続けていると表現しているような、恐怖すら覚えてしまいそうな情念を感じる楽曲です。
infection鬼束ちひろ

2001年に発売された5枚目のシングルです。
ドラマ『氷点2001』の主題歌にも起用されました。
ピアノとストリングスで構成されるサウンドと自分の中の苦しみを思わせる歌声が印象的です。
弱くなっていく自分への葛藤、少しずつ壊れていく心、それを自分でせめたてる様子を描いた、人間の弱い部分を表現したような楽曲です。
楽曲の終盤に向かってサウンドと歌声が強くなっていく点も、感情がこらえきれないようすを表現しているようで、心に響きます。
sign鬼束ちひろ

初期の鬼束さんのシングル曲の中では、とくにポップで比較的明るいメロディ、軽やかなバンド・アンサンブルが耳に残るナンバーです。
当時は「J-PHONE」と呼ばれていたソフトバンクの携帯電話キャリアが発売、東芝が開発を担った「J-T08」および「J-T09」のCM曲でもあり、携帯を「点滅」という言葉で表現する鬼束さんならではのレトリックも注目してください。
世間に流布しているイメージだけで鬼束さんをとらえようとすると、直情的なタイプで情念を歌う……といった先入観を持っている方は意外と多いのではないでしょうか。
この『Sign』のように、少年の純粋な思いを描いた小さな恋物語を、見事に歌詞として落とし込んでポピュラリティの高いポップソングとして表現する才能を持つシンガーソングライターであることを、あらためて知っていただきたいですね。
鬼束ちひろの名曲・人気曲(11〜20)
Cage鬼束ちひろ

2000年に発売された3枚目のシングルです。
ひとりになった時におそってくる強い不安、欠けてしまった心を埋めるように、過去の良かったことにすがろうとするようすなど、不安定な感情を描いた歌詞が印象的です。
軽やかなピアノの音色が取り入れられた、アップテンポなサウンドもまた印象的です。
歌詞の暗い雰囲気との対比で、今の場所からはやく逃げ出したいと焦る気持ち、感情が定まらず揺れ動いているようすを表現しているようにも感じます。
蛍鬼束ちひろ

2008年に発売されたシングルです。
映画『ラストゲーム 最後の早慶戦』の主題歌にも起用されました。
タイトルの蛍は季節を表すものではなく、はかなさの象徴として使用されています。
大切な時間が一瞬で過ぎてしまうことへの悲しさ、いつまでも続いてほしいと願う気持ちを蛍の一瞬の輝きと重ねて表現しています。
一瞬で過ぎてしまうからこそ、今というこの瞬間を大切にしたいと思わせてくれる、やさしさやあたたかさ感じる楽曲です。
書きかけの手紙鬼束ちひろ

2020年の6月に発表された、鬼束ちひろさんによる配信限定のシングルです。
同年の2月にデビュー20周年を記念してリリースされたベスト・アルバム『REQUIEM AND SILENCE』のリカット・シングルという位置付けの楽曲であり、デビュー時からなんら変わらないシンガーソングライターとしての鬼束さんの個性を十二分に味わえる名バラードとなっています。
鬼束ちひろさん、そして徳永英明さんといったビッグネームのコンサートでバンドマスターを担っているキーボディストの坂本昌之さんによるサウンド・アレンジも見事です。
鬼束さんいわく「初めて自分のことを歌った曲」とのことですが、アーティストとしてどこか突き放したような客観的な視線も感じられた初期の名曲たちの歌詞と比べても、赤裸々な記憶の断片や希望を感じさせるメッセージは、40代となる年を迎えた鬼束さんだからこそ書くことのできた言葉と言えるでしょう。
同時に「自分」という言葉を使用しつつも「私」という一人称をあえて避けているようにも思えるのは、ソングライターとしての業のようなものを思わず想像してしまいます。
シャイン鬼束ちひろ

「大丈夫、私がすべてを撃ち殺してあげる」という強烈なキャッチコピーとともに発表されたデビューシングル曲。
学校の閉塞感を歌った歌詞とストリングスをフィーチャーしたアレンジが、どこか危うさと悲壮感に満ちたイメージを作り出しています。
また、1stアルバム『インソムニア』ではアルバムバージョンとしてピアノ演奏のみの歌唱となっており、そちらを知っているという方も多いかもしれませんね。
牢屋にいるかのような重々しい空気感が鬼束ちひろさんの世界観を表現している、その高い表現力や音楽センスを感じさせるダークなナンバーです。