【古典派音楽】バロックとロマン派を繋ぐ重要な時代に生まれた名曲を厳選
ハイドン、ベートーヴェン、モーツァルトを中心とするウィーン古典派の作曲家らが活躍した「古典派時代」。
旋律を伴奏が支えるホモフォニーによる作曲が主流となり、ソナタ形式や交響曲、協奏曲、弦楽四重奏曲、ピアノソナタといった音楽形式、形態が確立した、クラシック音楽史を語るうえで欠かせない時代です。
本記事では、そんな古典派の時代に生まれた音楽のなかから、特に有名な曲や歴史上重要とされている作品をご紹介します!
【古典派音楽】バロックとロマン派を繋ぐ重要な時代に生まれた名曲を厳選(1〜10)
暁の星はかがやくNEW!Philipp Nicolai

荘厳なコラールの名曲の中でも、ひときわ輝かしい希望を感じさせる、まさに「賛美歌の女王」と称されるにふさわしい作品です。
作者は神学者であり詩人でもあったフィリップ・ニコライ。
1597年頃、ペストの流行で1日に30もの墓が掘られたという絶望的な状況下で、人々の慰めとなるように本作は書かれました。
暗闇を照らす暁の星のような荘厳な旋律は、心に深く染みわたりますよね。
1599年に出版された賛美歌集『Frewdenspiegel deß ewigen Lebens』で世に広まり、後にはヨハン・ゼバスティアン・バッハもこの旋律を基にカンタータを作曲しています。
心が疲れてしまった時や静かな夜に、その神聖なハーモニーが心を優しく包み込んでくれるようです。
2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448 K6.375a 第1楽章Wolfgang Amadeus Mozart

古典派音楽の代表的作曲家であるヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、その短い生涯にもかかわらず800以上もの楽曲を残した天才作曲家。
『2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448 K6.375a』は、ウィーンで親交のあったピアニストのために作曲された傑作で、ガラン様式の中に細工された構造と純粋な喜びが込められた名曲として知られています。
この曲は、3つの楽章から成り、各楽章がそれぞれ独自の音楽的展開を見せます。
特に2台のピアノが旋律を引き継ぎながら進行していく第1楽章は、漫画が原作のドラマ『のだめカンタービレ』で取り上げられたことから、幅広く親しまれいます。
トランペット協奏曲 変ホ長調 Hob.VIIe:1Franz Joseph Haydn

古典派音楽の巨匠、ハイドンが64歳の時に作曲した名曲『トランペット協奏曲 変ホ長調 Hob.VIIe:1』は、トランペット奏者のヴァイディンガーのために書かれました。
当時開発されたクロマチックに演奏可能な新しいトランペットの魅力を存分に引き出したこの曲は、ソロとオーケストラの絶妙な掛け合いが楽しめる3楽章形式。
演奏会やコンクールの課題としてトランぺッターたちから親しまれているだけでなく、香港のバラエティ番組のテーマ曲やNetflixドラマにも使用された、クラシック音楽ファンだけでなく幅広い層にオススメの作品です。
交響曲 第6番 ヘ長調 Op.68「田園」Ludwig van Beethoven

ドイツの巨匠ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、古典派からロマン派への過渡期を代表する作曲家です。
彼の革新的な作品は、後世の音楽家たちに多大な影響を与えました。
『交響曲 第6番 ヘ長調 Op.68「田園」』は、ベートーヴェンが自然への愛を音楽で表現した珠玉の交響曲です。
田園風景への憧れと、そこで感じる喜びや安らぎが見事に描かれています。
鳥のさえずりや嵐の表現など、緻密な楽器法も聴きどころ。
自然の美しさに心癒やされたい時、ゆったりと音楽に浸りたい時にオススメの1曲です。
交響曲 第40番 ト短調 K.550Wolfgang Amadeus Mozart

『交響曲 第40番 ト短調 K.550』は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの数多くの交響曲のなかでも特に人気の高い1曲です。
この時期のモーツァルトの音楽は、経済的な不安定さや私生活の困難とは裏腹に、芸術的にはむしろ円熟期を迎えていました。
本作は、ビオラの序奏から始まる哀切なメロディと、ソナタ形式の堅固な構成が印象的な、深遠にして洗練された作品です。
生と死、光と闇が交錯するかのような情緒豊かな旋律は、聴く者の心に強く訴えかけます。
クラシック音楽の入門者から上級者まで、ぜひ一度は耳にしておきたい不朽の名曲といえるでしょう。
エリーゼのためにLudwig van Beethoven

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、古典派音楽の集大成とロマン派音楽の先駆けとして知られる、クラシック音楽史上最も重要な作曲家のひとりです。
彼の作品は、複雑さ、革新性、感情的な深みが特徴であり、政治的・文化的変動が反映されています。
『エリーゼのために』は、1810年頃に作曲されたとされる、ベートーヴェンの最も人気のある作品の一つ。
献呈者が誰であったかについては諸説ありますが、そのシンプルでキャッチーなメロディは、今なお多くの人々に愛されています。
クラシック音楽初心者からベテランまで、幅広い層にオススメしたい名曲です。
交響曲 第5番 ハ短調 Op.67「運命」Ludwig van Beethoven

ベートーヴェンの『運命』といえば、誰もが冒頭の「ジャジャジャジャーン」を思い浮かべるのではないでしょうか?
この『運命』というタイトルは、ベートーヴェンがこの冒頭の旋律について「運命は、こう扉をたたく」と語ったと、弟子のシンドラーが伝えたことに由来するといわれています。
この旋律は「運命のモチーフ」とも呼ばれ、この曲中のいたる所で出てきます。
ぜひ探しながら聴いてみてください。
交響曲 第9番 ニ短調 Op.125「合唱付き」Ludwig van Beethoven

あまりのも有名なベートーベンの『交響曲 第9番 ニ短調 Op.125「合唱付き」』。
古典派の以前の音楽の集大成ともいえるような総合性を備えると同時に、来たるべきロマン派音楽の時代の道しるべとなった記念碑的な大作です。
第4楽章は独唱および合唱を伴って演奏され、歓喜の歌としても知られていますね。
原曲の歌詞はドイツ語ですが、世界中のあらゆる言語に翻訳さています。
ベートーベンが22才の時から構想を温めていたいわば「ライフワーク」のような曲で、音楽界のみならす文化、芸術に与えた影響は計り知れないものがあります。
歌劇「魔笛」より「夜の女王のアリア」Wolfgang Amadeus Mozart

モーツァルトのオペラの中でもとくに人気のある『魔笛』。
その中でもこの曲は、夜の女王が復しゅうのため、娘のパミーナに宿敵であるザラストロを殺してくるようにと命じる場面で歌われるアリアで、超高音をコントロールをするのがとても難しい超絶技巧を要する曲として知られています。
うまく歌えるのは、プロのソプラノ歌手の中でもほんの一握りなのだそう。
オラトリオ「天地創造」Franz Joseph Haydn

古典派音楽を代表する作曲家、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン。
オーストリア出身のハイドンは、交響曲や弦楽四重奏曲の分野で特に優れた業績を残し、「交響曲の父」「弦楽四重奏曲の父」とも称されています。
そんな彼の代表作の一つが、1798年に初演されたオラトリオ『天地創造』です。
この曲では、旧約聖書の創世記をもとにした壮大な物語を、独唱、合唱、オーケストラの織りなす美しい音楽で表現。
天地創造の過程や、アダムとイヴの愛、自然との調和が描かれ、聴く者に深い感銘を与えます。
信仰心と啓もう思想が融合した本作は、音楽を通して人間と自然の美しい関係性を伝える不朽の名作です。
【古典派音楽】バロックとロマン派を繋ぐ重要な時代に生まれた名曲を厳選(11〜20)
アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525Wolfgang Amadeus Mozart

18世紀後半のウィーンにおいて、モーツァルトは古典派音楽の黄金時代をけん引した作曲家のひとりでした。
彼の作品は、優美なメロディと精緻な構成により高く評価されており、現代でも広く親しまれています。
『アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525』は、社交の場で演奏される軽妙な音楽であるセレナーデの形式で書かれた室内楽曲です。
明るく活気に満ちた第1楽章、美しく叙情的な第2楽章、優雅なメヌエットの第3楽章、そして快活な終楽章と、それぞれの楽章が聴き手を魅了します。
特に第2楽章のロマンスは、甘美なメロディが印象的。
本作は、ゆったりとした午後のひと時を過ごすときや、大切な人と語らうひとときなど、日常のさまざまなシーンを彩るのにふさわしい曲です。
ホルン協奏曲 第1番 ニ長調 K.412/514Wolfgang Amadeus Mozart

幼少期から非凡な才能を発揮し、多岐にわたるジャンルの作品を800以上も作曲した古典派音楽の巨匠、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。
そんな彼の親友であり卓越したホルン奏者、ヨーゼフ・ライトゲーブのために書かれた『ホルン協奏曲 第1番 ニ長調 K.412/514』は、技術的難易度の高さとモーツァルトらしい洗練された旋律が魅力です。
特に、楽譜に記された奏者への励ましや冗談は、2人の親密な関係性を感じさせます。
クラシック音楽の入門としてはもちろん、名曲を堪能したいすべての方にオススメの1曲です。
弦楽四重奏曲 第67番 ニ長調 Op.64-5 Hob.III:63Franz Joseph Haydn

ウィーン古典派の巨匠フランツ・ヨーゼフ・ハイドンは、交響曲や弦楽四重奏曲を中心に多数の傑作を生み出しました。
『弦楽四重奏曲 第67番 ニ長調 Op.64-5 Hob.III:63』は、高音域で飛び回るようなバイオリンのメロディが印象的な『ひばり』の愛称で親しまれる名曲。
4楽章から成る全体を通して、ハイドンならではの高度な音楽構造と豊かな表現力が発揮されています。
穏やかな歌心あふれる旋律、快活なリズム、対位法的手法の導入など多彩な魅力に満ちた作品は、聴き手に喜びと感動を与えてくれるでしょう。
ピアノ・ソナタ 第14番 Op.27-2「月光」Ludwig van Beethoven

ベートーベンのピアノソナタの中でも、そのポピュラーな旋律によって広く親しまれている作品。
『月光』という呼び名は、詩人レルシュターブのコメントから採られています。
第1楽章は夜をイメージするような厳かさをもちますが、第3楽章は一風変わって嵐や稲妻をイメージさせるような激しさがあります。
ベートーベンのさまざまな顔が楽しめる1曲です。
交響曲 第101番 ニ長調 Hob.I:101Franz Joseph Haydn

ウィーン古典派を代表する作曲家フランツ・ヨーゼフ・ハイドン。
彼は交響曲や弦楽四重奏曲の分野で優れた業績を残し、「交響曲の父」「弦楽四重奏曲の父」とも称されています。
ハイドンがロンドン滞在中に作曲した『交響曲 第101番 ニ長調 Hob.I:101』は、「ロンドン交響曲」の一つとして知られる傑作です。
本作は各楽章の多様性と独創性が魅力で、特に第2楽章に登場する時計の振り子を思わせるリズムが印象的!
規則正しく刻まれるリズムは、ときの流れの不変性を表現しているかのようです。
また、軽快な旋律が印象的な第3楽章、ソナタ形式の展開部と再現部が融合したような構造の第4楽章など、聴きどころが満載。
古典派音楽の世界を味わいたいすべての方に、ぜひ聴いていただきたい1曲です。
交響曲 第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」Wolfgang Amadeus Mozart

ウィーン古典派の代表的作曲家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの最後の交響曲であり、荘厳で壮大なスケールを誇る『交響曲 第41番 ハ長調 K.551』は、クラシック音楽の中でも際立った存在感を放っています。
本作は、優雅なメロディから始まり、「ジュピター音型」と呼ばれるモチーフがさまざまな楽器で演奏されることで多彩な表情を見せます。
特に終楽章のフーガは圧巻で、モーツァルトの天才ぶりを如実に示しています。
リヒャルト・シュトラウスやカール・ベームなど、後世の大音楽家からも称賛された本作は、美しい旋律と複雑で洗練された構成が見事に融合した傑作です。
アヴェ・ヴェルム・コルプスWolfgang Amadeus Mozart

クラシック音楽の世界で「奇跡の名曲」と称される本作。
その深い敬虔さと静謐な美しさは、聴く者の心に深く響きます。
わずか46小節という短さながら、その中に込められた祈りの力は計り知れません。
ニ長調から始まり、イ長調、ヘ長調、ニ短調と巧みに転調を重ねていく手法は、作曲家の卓越した技巧を物語っています。
1791年6月23日、ウィーン郊外の小さな教会で初演された際、その美しさに涙する聴衆も多かったといいます。
宗教音楽に興味のある方はもちろん、心静かに音楽と向き合いたい方にもおすすめの一曲です。
ピアノソナタ第1番 作品2-1 第4楽章Ludwig van Beethoven

力強く情熱的な演奏が魅力の一曲です。
2分の2拍子のプレスティッシモ(非常に速く)で書かれ、三連音符の分散和音と和音の刻みが織りなす躍動感があふれる展開が聴く人の心をつかみます。
ピアノとフォルテの強弱の対比が効果的に使われ、オクターヴの順次下降が印象的な副次主題も、会場全体を引き込む魅力に満ちています。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは1796年にウィーンのArtaria社からこの作品を出版し、師であるフランツ・ヨーゼフ・ハイドンに献呈しました。
テクニックに自信のある方にぴったりの、聴衆を魅了できる演奏会向けのレパートリーとしておすすめです。
おわりに
本記事では、ベートーヴェンやモーツァルトらが活躍した古典派時代の代表的な音楽をご紹介しました。
古典派の名曲はまだまだたくさん!
形式的でありながらも、作曲家それぞれの独特な個性が反映された名曲の数々を、楽しんでみてはいかがでしょうか?