【バロック音楽】時代を越えて愛され続ける代表作・有名曲を厳選
17世紀初頭から18世紀半ばに生まれた「バロック音楽」。
ヨハン・セバスチャン・バッハやアントニオ・ヴィヴァルディ、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルといった大作曲家が活躍したバロック時代、音楽は主に宮廷や教会で演奏されており、庶民には手の届かない「貴族の楽しみ」として親しまれていました。
今回は、そんなバロック時代に生まれた音楽の中から、数百年の時を越えて愛され続けてきた時代を代表する作品をご紹介します!
【バロック音楽】時代を越えて愛され続ける代表作・有名曲を厳選(1〜10)
おお、汝、父なる神NEW!J.S.Bach

音楽の父、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ。
バッハがヴァイマル時代の1713年頃に残したオルガン曲集『Orgelbüchlein』には、多くの名曲が収められています。
その中の1曲である本作は、「主の祈り」を基にしたコラールを編曲したものです。
穏やかながらも気高い旋律と、それを繊細に彩る内声の動きは、深い祈りの心そのものを表しているかのようです。
もともと教会の礼拝で、会衆が歌う聖歌の導入として演奏されていました。
心を静めたい夜や、清らかな気持ちで一日を始めたい朝に、教会に響く音色を想像し、1音1音を味わいながら聴いてみてくださいね。
ヴァイオリン協奏曲「四季」Antonio Vivaldi

音楽の授業で必ず取り上げられることから、バロック音楽の中でも非常に知名度の高いアントニオ・ヴィヴァルディの『四季』。
1725年の出版から300年以上がたった現在でもなお、多くの者を魅了し続けているクラシックの傑作です。
春夏秋冬を美しい旋律で描いた4つの協奏曲は、季節の移ろいとともに変化する自然を音楽で感じさせてくれます。
情景を思い浮かべやすい作品なので、クラシック音楽にあまりなじみのない方でも飽きずに心地よく聴ける作品といえるのではないでしょうか。
主よ、人の望みの喜びよJ.S.Bach

ヨハン・セバスティアン・バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』は、1723年に作曲された教会カンタータ。
洗練されたメロディとシンプルな和声進行が心を打つ名曲です。
カンタータは声楽曲の形式を指しますが、『主よ、人の望みの喜びよ』はその美しさから、弦楽アンサンブルやオーケストラ、ピアノ独奏、バイオリン独奏など、歌を含まない編成でもたびたび演奏されており、結婚式などのお祝いの場でも感動を呼ぶBGMとして使われています。
カノンJohann Pachelbel

ヨハン・パッヘルベルの『カノン』は、言わずと知れたバロック時代の傑作!
その穏やかさと感情的な深みで、長きに渡って愛され続けている名曲です。
本作品は、3つのバイオリンとバッソ・コンティヌオの為に書かれたもので、その安定感のある和声進行は「カノン進行」と呼ばれ、後世の作曲家に大きな影響を与えてきました。
その影響はクラシックにとどまらず、ポップスやロックにも!
現代のヒット曲の中にもカノン進行を使った楽曲が数多くあるので、興味のある方はぜひ探してみてくださいね。
小フーガ ト短調 BWV578J.S.Bach

『小フーガ ト短調 BWV578』は、バロック時代を代表する作曲家ヨハン・セバスティアン・バッハが手掛けたオルガン曲の中でも特に人気の高い作品。
1700年代初頭に作曲された作品といわれており、主題を異なる声部が追いかけるフーガ形式によって生み出される複雑なハーモニーが、時代を越えて多くの人々の心をとらえています。
フーガは、バッハの作品に多用されている音楽様式の一つ。
バロック音楽を象徴する形式でもあるので、バロック時代の音楽に興味のある方は、ぜひ声部の重なり方などにも注目しながら聴いてみてくださいね。
組曲「水上の音楽」第2組曲 HWV 349Georg Friedrich Händel

ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデルの管弦楽組曲『水上の音楽』は、王が舟遊びをする際に演奏されたというエピソードが残されている彼の代表作です。
第1組曲から第3組曲まで全19曲で構成されていますが、出版された年代や編纂者によって曲数が異なり、さまざまなパターンの楽譜が残されています。
そんな組曲のなかでも、現代において最も演奏される機会が多いのが、第2組曲の第2曲『アラ・ホーンパイプ』。
着飾った貴族たちが集まる宮廷の華やかな様子を連想させるような、華のある1曲です。
G線上のアリアJ.S.Bach

ヨハン・セバスティアン・バッハの名曲『G線上のアリア』は、穏やかで美しい旋律が心に染みるクラシックの名作。
1717年から1723年にかけて作曲されたこの楽曲は、バイオリン独奏による編曲が特に有名で、技術的に要求が高いながらも、その甘美な旋律は多くの人々をひきつけます。
シンプルなコード進行、ロングトーンが多く動きの少ないメロディ……劇的な変化があるわけではないのに、深い感動をおぼえるバッハが生み出した無限の美を、ぜひ体験してみてください!
トランペット・ヴォランタリーJeremiah Clarke

ジェレマイア・クラークが残した『トランペット・ヴォランタリー』は、豪華なバロック様式の輝きを放つ不朽の名作です。
1674年にイングランドで生まれたクラークは、その生涯を通じて宗教音楽を中心に多くの作品を残しました。
中でも本作は、お祝いの場にふさわしい壮大なメロディで親しまれており、結婚式でもたびたび演奏されています。
この曲は『デンマーク王子の行進』という曲名でも知られており、もともとは鍵盤楽器のために作られた作品なのだそう。
トランペットの華やかな音色と相性抜群なので、ちょっと意外ですよね。
オンブラ・マイ・フ(ラルゴ)Georg Friedrich Händel

ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデルの不朽の名作『オンブラ・マイ・フ(ラルゴ)』は、オペラ『セルセ』の中の1曲。
この曲は、映画のテーマ曲やテレビCMのBGMとしてたびたびフィーチャーされ、長きにわたって聴く者に深い感動を与え続けています。
美しいメロディと感動的なハーモニーは、結婚式や入学式、卒業式などのセレモニーにもピッタリ!
高貴な雰囲気の作品ですが、「どこかで耳にしたことがあるような……」と身近に感じていらっしゃる方も多いかもしれませんね。
オーボエと弦楽合奏のための協奏曲 ニ短調Alessandro Marcello

アレッサンドロ・マルチェッロの『オーボエと弦楽合奏のための協奏曲 ニ短調』は、ヨハン・セバスティアン・バッハによるチェンバロ独奏用の編曲でも知られる彼の代表作です。
特に有名な第2楽章『アダージ』は、オーボエの情感豊かな旋律と、弦楽器の繊細な伴奏がゆったりと流れながらからみ合い、聴く者を優雅なバロック音楽の世界へと誘います。
フィギュアスケートの宇野昌磨選手がショートプログラムで使用した曲としても話題となった上品で美しい作品を聴きながら、ゆったりとしたひとときを過ごしてみては?
【バロック音楽】時代を越えて愛され続ける代表作・有名曲を厳選(11〜20)
私を泣かせてくださいGeorg Friedrich Händel

邦題『私を泣かせてください』としても親しまれている『Lascia ch’io pianga』は、ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデル作曲のオペラ『リナルド』の中の1曲。
囚われの悲しみを歌うアルミレーナの心情を描いたこのアリアは、バロック音楽の感動的な美しさを感じさせる声楽の名曲で、イタリア古典歌曲集にもおさめられています。
残念ながら、現在ではオペラとしての上演されることはありませんが、とりわけ美しい本曲は、歌曲としてさまざまな名歌手のコンサートでも取り上げられています。
アダージョ ト短調Tomaso Albinoni

トマソ・アルビノーニの『アダージョ ト短調』としてバロック時代の作品に含めましたが、実はこの曲……アルビノーニの『ソナタ ト短調』の断片を使用して音楽学者のレモ・ジャゾットさんが1958年に作曲した作品なのだそうです!
『アルビノーニのアダージョ』として作曲家の名前入りで紹介されることも多い作品ですが、アルビノーニのエッセンスを取り入れた現代の作品だったというのが事実。
とはいっても、バロックらしさが感じられる点は否めないので、バロック音楽の雰囲気にひたりたいときにはピッタリの作品といえるのではないでしょうか。
古い時代の作品にありがちな「実はこの人の作品ではなかった!?」といったエピソード、とっても興味深いですよね。
調子のよい鍛冶屋Georg Friedrich Händel

『調子のよい鍛冶屋』は、ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデルが1720年に出版したハープシコード組曲の最後を飾る作品です。
この曲は、繰り返されるテーマと洗練された5つの変奏で構成されており、テクニカルなトリルやアルペジオ、三連符などが随所に盛り込まれています。
現在では、ピアノ学習者が練習する定番曲としてもおなじみになっているバロック時代の名曲、ハープシコードなどのバロック時代に実際に使われていた楽器の音色で聴いてみると、また違った印象を受けることでしょう。
トランペット ・チューン・アンド・エアHenry Purcell

ヘンリー・パーセルが1685年に生み出した『トランペット・チューン・アンド・エア』は、壮麗なトランペットの旋律が印象的な作品。
鍵盤楽器のために書かれ、その後トランペットの名曲として広く知られるようになりました。
上品さと華やかさを兼ね備えたこの曲は、結婚式などの幸せな瞬間によく演奏されますが、日本ではカップラーメンのCMで使われた曲としてもおなじみ。
替え歌のコミカルなイメージしかない!という方は、ぜひ原曲を味わってみてくださいね。
トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565J.S.Bach

『トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565』は、ヨハン・セバスティアン・バッハのオルガン曲の代表的な作品です。
即興的で華やかな「トッカータ」と模倣技法を駆使する「フーガ」に分かれており、トッカータは日本では「鼻から牛乳」の替え歌で有名なあのメロディから始まります。
この作品はバッハの作品とされているものの、他の作品とは一線を画す特徴を持つことから、ペーター・ケルナーという別の作曲家の作かもしれないとも言われているのだそう。
いまだ謎多きバロック時代の名曲、替え歌のイメージから離れて、クラシック作品として改めてじっくり聴いてみてはいかがでしょうか?
マタイ受難曲J.S.Bach

ヨハン・セバスティアン・バッハの大作『マタイ受難曲』は、キリストの最後の日々を感動的に描き出した名曲です。
1727年の初演から約300年後の今も、聴く者の心を動かし続けるこの作品は、その豊かな表現力と規模の大きさで知られています。
特に、1829年、ロマン派を代表する作曲家のひとりであるフェリックス・メンデルスゾーンによる復活上演は、バッハ再評価のきっかけとなったそう。
深い感動を呼ぶ本作は、国籍や宗教などに関係なくすべてのクラシック音楽ファンにオススメの名作です。
水上の音楽 ホーンパイプGeorg Friedrich Händel

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルによる、王室の舟遊びを彩るための管弦楽組曲があり、その中の一曲は夏にふさわしい涼やかさと華やかさを兼ね備えています。
本作は、1717年7月のテムズ川での初演時、国王ジョージ1世があまりの素晴らしさに何度もアンコールを命じたという記録が残るほど、当時から人々の心をつかんでいました。
トランペットやホルンといった管楽器が躍動し、聴く者を晴れやかで祝祭的な気分へと誘います。
映画『いまを生きる』のワンシーンを彩ったことでも知られていますね。
蒸し暑い日々に爽快なひとときを求める方や、バロック音楽の持つ荘厳かつ軽快な魅力を気軽に楽しみたい方にはうってつけの一曲かと思います。
おわりに
バロック時代を代表する作品をご紹介しました。
貴族だけのものだったこれらの音楽が、数百年後には世代や身分を問わず多くの人々から愛されている……きっと当時の大作曲家たちには想像もつかなかったことでしょう。
本記事で挙げた以外にも、バロック時代には素晴らしい作品が多数残されています。
これを機に、バロックの魅力にどっぷりひたってみてはいかがでしょうか?