【カルテット】弦楽四重奏の名曲と人気曲
2017年放送のテレビドラマの『カルテット』で取り上げられ、クラシックファン以外からも注目を集めた弦楽四重奏。
ドラマでその魅力にハマった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
弦楽四重奏は、バイオリン2本、ビオラ,チェロの編成の室内楽重奏形式で、18世紀後半にフランツ・ヨゼフ・ハイドンが確立して以降、最も洗練された室内楽形式として親しまれてきました。
この記事では、そんな弦楽四重奏曲の魅力が詰まった名曲をご紹介します。
ぜひ、弦楽器の優雅で上品な響きをお楽しみください。
【カルテット】弦楽四重奏の名曲と人気曲(1〜10)
弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 作品76-3 Hob.III:77「皇帝」第2楽章Franz Joseph Haydn

古典派音楽の巨匠フランツ・ハイドンが作曲した弦楽四重奏曲。
その中でも『皇帝』の愛称で親しまれる本作は、後のドイツ国歌にもなった壮大な旋律が特徴です。
ハイドンがイギリス滞在中に感銘を受けた国歌をモチーフに、1797年に作曲されました。
ナポレオン軍の侵攻に脅かされていたオーストリアへの愛国心が込められた、力強くも美しい曲調は聴く者の心を捉えて離しません。
クラシック音楽に馴染みのない方も、この曲を聴けば弦楽四重奏の魅力にきっと引き込まれることでしょう。
弦楽四重奏曲 第8番 ハ短調 Op.110Dmitri Shostakovich

ロシアを代表するピアニストであり、作曲家でもあるドミトリ・ショスタコーヴィチ。
彼が3日で書き上げたという逸話とともに知られているのが『弦楽四重奏曲 第8番 ハ短調 Op.110』です。
こちらは1960年当時のロシア国内の不安定な情勢や、抑圧的な体制を踏まえて書き下ろされた楽曲で、陰鬱なメロディーからは怒りや悲しみ、絶望が感じられるでしょう。
ちなみに、ドミトリ・ショスタコーヴィチは本作を披露した後、涙を見せたといわれています。
弦楽のためのアダージョ Op.11Samuel Barber

アメリカの作曲家であるバーバー。
この曲は、イタリアへ留学した際に作曲した作品です。
この作品の第二楽章は弦楽合奏用に編曲され「弦楽のためのアダージォ」として広く親しまれています。
ジョン・F・ケネディの葬儀で使用されて以来有名となり、映画やテレビドラマでもたびたび使用されています。
すすり泣くような旋律や中間部終わりの激しく突き上げる遺憾のようなクライマックスが印象的です。
切なさや悲しさのなかに激しさや情熱がかいま見えるような1曲です。
弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 Op.130 第5楽章「カヴァティーナ」Ludwig van Beethoven

弦楽器の優雅な響きが魅力の弦楽四重奏。
その名曲の1つが、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの晩年の傑作です。
1825年から1826年にかけて作曲された本作は、繊細で美しい旋律が特徴的。
完全に聴力を失った状態で書かれたとは思えないほど、ベートーヴェンの音楽的想像力の豊かさが感じられます。
静寂の中でゆったりと奏でられる旋律は、作曲家の内なる葛藤や深い感情を表現しているかのよう。
クラシック音楽の初心者の方にも、ぜひ一度聴いていただきたい名曲です。
弦楽器の響きに包まれながら、ベートーヴェンの心の声に耳を傾けてみませんか?
弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 Op.132 第3楽章「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」Ludwig van Beethoven

ベートーベンが亡くなる2年前に創作された極めて完成度の高い弦楽四重奏です。
全5楽章からなるこの曲の第3楽章は、全体のクライマックスに位置しており、穏やかな喜びにあふれた1曲です。
ある日突然にわか雨が降り出し、その後空に虹が架かるような美しい風景さえも浮かぶ『交響曲第9番』を感じさせるような、まさに彼の真骨頂と言える作品です。
ベートーベンが恐れていた重病から快復した後に作曲されたため、明るく喜びに満ちた曲調に仕上がっています。
弦楽四重奏曲 第1番ハ短調 Op.51-1 第2楽章Johannes Brahms

『弦楽四重奏曲第2番』と同時に発表され、2曲とも著名な外科医でありアマチュアの音楽家であった親友、テオドール・ビルロートにささげられています。
ブラームスというと交響曲を作るのにベートーヴェンの偉大な幻影に悩まされ交響曲第1番を作曲するのに20年以上もの歳月をかけたというのは有名な話ですが、弦楽四重奏においても同様に慎重を重ね、同時に発表された最初の2曲には最低8年間の歳月をかけています。
優しく甘美な旋律と切なさを併せもつ心に響く1曲です。
弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 Op.96「アメリカ」第2楽章Antonín Dvořák

チェコ出身であるドヴォルザークは、ニューヨークのナショナル音楽院の院長として渡米しました。
故郷を離れ歴史も文化も違うアメリカで、黒人霊歌やアメリカの先住民の音楽にも興味を持ち、自身の作品にも取り入れていきました。
『アメリカ』という曲も、彼が渡米生活で受けた刺激を感じられる作品の1つです。
第2楽章であるこの曲は、感動的な緩徐楽章で、高らかに黒人霊歌のような切ない旋律を歌い上げ、チェロがこれを受け継ぎボヘミア風の民謡を奏でる郷愁を誘う楽章となっています。