ボレロの名曲。おすすめのボレロ形式の人気曲と名演
『ボレロ』といえば誰もがフランスの作曲家モーリス・ラヴェルの楽曲を思い浮かべますが、実はスペイン起源の舞踊音楽で一ジャンルとしても存在しています。
もちろんラヴェルによる『ボレロ』が一番有名で本ジャンルの代名詞となっており、さまざまな作曲家に影響を与えており、例えば時代劇『水戸黄門』のテーマ曲にボレロのリズムが使われていたり、同じメロディを繰り返し楽曲の中でアレンジがありながら壮大な盛り上がる作風は『タイム・セイ・グッドバイ』や宇多田ヒカルによるキングダムハーツ『光』のオーケストラ・アレンジでも効果的に使われています。
そんな影響力が強いボレロですが、こんな曲もボレロだったの?
というような曲や演奏家による名演を集めました!
ぜひラヴェルのボレロだけではない作品を聞いてみてください。
ボレロの名曲。おすすめのボレロ形式の人気曲と名演(1〜10)
宇宙戦艦ヤマト 完結編:悲愴のボレロ宮川泰

壮大な交響曲を思わせる音楽が印象的です。
ボレロのリズムを基調としながら、映画『宇宙戦艦ヤマト 完結編』で流れるオーケストラによる重厚なサウンドが特徴的な一曲です。
繰り返されるメロディと徐々に盛り上がっていく展開は、まさしくラヴェルの『ボレロ』を想起させます。
アニメ音楽の中にも『ボレロ』を意識した曲があるのですね。
1983年4月の映画公開とともにリリースされたこの曲は、SF映画ファンや壮大な音楽を好む方におすすめです。
映画の世界観に浸りたい方や、感動的な音楽体験を求める方にぴったりの一曲といえるでしょう。
「Bolero」Maurice Ravel(本人指揮)Maurice Ravel/ラムルー管弦楽団

初演から爆発的な人気を集めた名曲を紹介します。
一定のリズムに乗せた単一の旋律が、徐々に音量を増しながら繰り返される独特の構成が特徴です。
スネアドラムの執拗な反復と、さまざまな楽器による旋律の掛け合いが、聴く者を魅了します。
1928年にバレエ音楽として作曲されたこの曲は、クレッシェンドの妙と斬新なオーケストレーションで、多くの人々の心を捉えました。
音楽ファンはもちろん、リズムの反復に魅力を感じる方にもおすすめです。
1930年1月8日、作曲者本人の指揮による貴重な録音も残されており、その歴史的な演奏を今でも聞くことができます。
BoleroDef Tech

ここからはちょっとかわったボレロをご紹介しましょう。
もともとスペインの風土から生まれた4分の3拍子の舞曲形式による曲がボレロというジャンルです。
18世紀末、1780年頃に舞踊家セバスティアーノ・カレッソ(Sebastiano Carezo)が創作したとも伝えられています。
こちらは日本赤十字社のCMソングとしてとても有名になったDef TechのBolero(ボレロ)。
この曲はモーリス・ラヴェルのボレロにその発想を得てつくられたタイプの曲で、クラシックではなく完全に現代ポップス・ロックの味わいですが、これもまた、現代のボレロですよね。
ショスタコーヴィチ;交響曲第7番ハ長調作品60『レニングラード』第1楽章Dmitri Dmitriyevich Shostakovich

ソビエト連邦の苦難と勝利を象徴する、壮大な交響曲です。
ナチス・ドイツの侵攻をテーマに、平和な日常から戦争の脅威へと変わっていく様子が、迫力がある音楽で表現されています。
特徴的な「戦争の主題」は、単純な旋律が繰り返されながら次第に強くなっていき、聴く人の心に強く響きます。
歴史的な背景を持つこの曲は、戦争の恐怖だけでなく、人々の勇気や希望も描いており、音楽を通じて平和の大切さを感じられる作品です。
「戦争の主題」に置き換えられた展開部はモーリス・ラヴェルの『ボレロ』に影響を受けているといわれ、動画の5分40秒あたりからその雰囲気を味わえます。
タンゴ「ボレロ」Tango ” Boléro ”Juan Llossas

情熱的で哀愁を帯びたメロディーが印象的な一曲です。
タンゴの伝統的な要素とボレロのリズムを融合させた独特の構成が特徴で、聴く人の心を捉えて離しません。
1938年8月3日にバルナバス・デ・ゲッツィのオーケストラによって録音された演奏は、特に高い評価を受けています。
ダンスホールやラジオ放送で頻繁に流れた本作は、今でも多くのオーケストラやアンサンブルによって演奏され続けています。
タンゴやボレロの魅力を再発見したい方、情熱的な音楽を求めている方におすすめの一曲です。
La gataMoncho

スペインのカタルーニャ地方出身のモンチョは、「ボレロの王」として知られる歌手です。
彼の温かみのある歌声は、スペインの暑い午後を思わせるメロディーを紡ぎ出します。
本作は、失恋した女性の心情を描いた楽曲。
偶然の出会いとその終わりを穏やかに受け入れながらも、雨の中で雌猫のように彼を思い続ける女性の姿が描かれています。
深い寂しさと切なさが伝わってくる歌詞は、聴く人の心に響いてきます。
恋愛の喜びと苦しみを味わいたい方におすすめの1曲。
1996年10月にリリースされた本作で、クラシックのモーリス・ラヴェルとは違うボレロの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
ピアノ版『ボレロ』Maurice Ravel/角野隼人

モーリス・ラヴェルの代名詞となっている名曲『ボレロ』を、かてぃんさんこと角野隼斗さんがピアノソロで表現した意欲的な作品です。
オーケストラの多彩な音色をピアノ一台で再現するという挑戦的な試みで、静かな導入から爆発的なクライマックスへと至る過程が、ピアノの繊細なタッチと豊かな音色で見事に表現されています。
角野さんの卓越した演奏技術と音楽性が光る本作は、クラシック音楽ファンはもちろん、ピアノの可能性に興味がある方にもおすすめです。
ボレロ ハ長調 作品19Fryderyk Franciszek Chopin/Vladimir Ashkenazy

『ボレロ』といえばフランスの作曲家モーリス・ラヴェルが有名ですが、ラヴェルによるボレロの出現前にも、たとえばウェーバーの劇音楽「プレチオーザ」の中の舞曲などがあり、ジャンルとしては昔から存在していました。
その後、多数の曲が作られていた、当時の流行りのリズムや音楽だったことが分かります。
現代にも残っており、ラヴェル以外でクラシック作品の中で有名なのは、フレデリック・ショパンのピアノ曲『ボレロ ハ長調 作品19』です。
初期の練習曲として利用されていることもあり、広く知られています。
ショパンといえばポロネーゼがありますが、ボレロというよりどちらかというとポロネーゼの方をイメージされるかもしれませんね。
『タルカス』より「アクアタルカス」Emerson Lake&Palmer

精緻な編曲と壮大なスケール感が魅力のプログレッシブ・ロック名盤『タルカス』。
その中でも圧巻なのが、クラシックとロックを融合させた壮大な組曲の一部です。
複雑なリズムの変化や予測不可能な展開、そしてエマーソンの卓越したキーボード演奏が織りなす音の世界は、聴く者を圧倒します。
インストゥルメンタルながら、音楽だけで物語を紡ぎ出す表現力は見事。
終盤部の『アクアタルカス』では特に同じ旋律とリズムが繰り返され、非常に熱くなる展開はまさしくプログレ版『ボレロ』といっても過言ではありません。
吉松隆さん編曲によるオーケストラもおすすめです。
オーケストラで演奏されるとより迫力があるプログレ版『ボレロ』に変貌しますね!
和楽器と日本舞踊によるボレロMaurice Ravel

静かに始まり、徐々に盛り上がっていく独特の構成が魅力の傑作です。
箏や尺八、太鼓などの和楽器と日本舞踊によって、モーリス・ラヴェルの『ボレロ』に新たな解釈が加えられました。
リズムと旋律の繰り返しが、時の流れや人間の内面の変化を表現し、不死鳥の復活というテーマが込められています。
2021年12月の初演以来、多くの人々を魅了し続けており、YouTubeでの再生回数も10万回を超えました。
クラシック音楽と日本の伝統芸能の融合に興味がある方にぜひおすすめです。
ボレロの名曲。おすすめのボレロ形式の人気曲と名演(11〜20)
「Bolero」Maurice RavelMaurice Ravel/下羽南 オーボエ・マルチプレーヤー MINAMI

こちらは一人でオーボエをプレイしているYouTuber下羽南さんによるボレロ。
「いやー、最初のシンプルな旋律の前半の部分だけなら、1人で演奏できるかも」と思う方は在っても、実際に演奏される方、それ以上に、まさかこの動画をアップロードして世界に見せようという方はなかなか居ませんよね。
持ち替えがすごく大変そうですが最後まで一人でいろいろな楽器を吹きこなす姿に脱帽です。
楽器経験者であればより苦労が分かる一人ボレロをぜひ最後までお聞きください!
「Bolero」Maurice RavelMaurice Ravel/押尾コータロー

もともと舞曲でありスペインの楽曲の影響を受けているという点からも想像がつくように、このメロディライン、非常にギターとの相性もよく、美しく聴かせてくれる作品でもあります。
こちらは、日本の俳優でも有りミュージシャンでも有る押尾コータローが演奏する、アコースティック・ギターによるボレロです。
俳優やタレントとしての彼しか知らない世代には、信じられないような豊かな音色が出ています。
ぜひ一度聴いてみてください!
タイム・トゥ・セイ・グッバイFrancesco Sartori/Andrea Bocelli

クラシックとポップスの融合が生んだ傑作です。
壮大なメロディと感動的な歌詞が織りなす世界観は、聴く者の心を強く揺さぶります。
愛と別れ、そして新たな旅立ちへの希望を描いた歌詞は、人生の転機を迎えた方々の心に響くことでしょう。
アンドレア・ボチェッリさんとサラ・ブライトマンさんの美しいハーモニーが、曲の魅力をより一層引き立てています。
1996年にドイツで開催されたボクシングイベントでの初披露以来、世界中で愛され続けている名曲です。
再現部でのオーケストラアレンジではスネアのリズムにモーリス・ラヴェルの『ボレロ』を思わせるリズムが採用されており、音楽の引き立て役として効果的に一躍買っています。
別れの場面や新たな出発を迎える時など、人生の大切な瞬間に寄り添う1曲として、長く記憶に残ることでしょう。
キングダムハーツより『HIKARI (-KINGDOM Tres Orchestra Instrumental Version-)』宇多田ヒカル

『キングダム ハーツ』シリーズのテーマ曲として有名な楽曲のオーケストラ版です。
もともとの歌詞には、光を求める心情や希望、闇との戦い、自分を取り戻す意志が込められています。
オーケストラによる壮大なアレンジは、ゲームの感動的なシーンを想起させ、聴く人の心に強く訴えかけます。
ピアノや弦楽器、金管楽器が美しく調和し、広がりのある音楽空間を作り出しています。
中盤部から後半にかけてスネアや各楽器が同じリズムを繰り返して盛り上がっていく『ボレロ』のような構成になっており、終盤までのテンションを上げていく重要や役割を担っています。
原曲の歌も素晴らしいですが、オーケストラ・アレンジによってより迫力があり、ゲームの物語を想起させるような壮大な名曲に仕上がっています。
ゲーム音楽ファンはもちろん、壮大なオーケストラサウンドを楽しみたい方にもおすすめの一曲です。
ああ人生に涙あり(水戸黄門第18-27部主題歌)一番/あおい輝彦、二番/伊吹吾郎

ここまで聴いてくると、なんとなく、「そういえば俺の知っているあの曲、ボレロなんじゃないか?」と思われている方も多いかもしれません。
実は、あの、日本でもっとも有名ともいわれる超長寿番組、時代劇ドラマ「水戸黄門」の主題歌としても、あのボレロ形式のリズムが使われているのです!!
通奏部分のリズムが一定であることを、この曲では「ボレロ形式」として呼ぶ方が多いようです。
まさか、日本で、しかも演歌調歌謡曲領域にまで強い影響を今もって与え続ける、モーリス・ラヴェル。
いかにその楽曲が強烈なイメージで存在していたかが伺えますね。
ドラマ『王様レストラン』より「ギャルソンのボレロ」服部隆之

フジテレビ系ドラマ『王様のレストラン』で流れるボレロ調の楽曲です。
軽快でありながら、エレガントで幻想的な雰囲気を醸し出しています。
オーケストラの華やかなサウンドが特徴的で、ドラマの中でレストランのギャルソンたちが舞台で繰り広げる軽妙な動きとともに使用されています。
クラシック音楽の伝統に基づきながらも、ドラマのテンポ感にぴったりと合った音楽になっています。
1995年5月21日にソニーレコードからリリースされたサウンドトラックに収録されており、ドラマファンはもちろん、優雅な雰囲気の音楽がお好きな方にもおすすめです。
ゼルダの伝説時のオカリナ:炎のボレロ近藤浩治

ボレロの形式を取り入れた代表作といえば、この曲を挙げる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ゲーム『ゼルダの伝説 時のオカリナ』より「炎のボレロ」です。
ゲーム内で重要な役割を果たすメロディーは、プレイヤーの記憶に強く残ります。
炎や熱を連想させるテーマが込められており、ギターのような弦楽器のリズムやフルオーケストラ的な壮大なメロディーが特徴です。
最初は神秘的な雰囲気を持ちながらも、次第に力強さを増し、冒険の始まりを予感させます。
ゲームの世界観に興味がある方や、壮大な音楽が好きな方におすすめの一曲です。
1998年11月にサウンドトラックがリリースされ、多くの音楽ファンから愛され続けています。
懐しのボレロ藤山一郎

昭和14年9発発売、昭和の国民的歌手藤原一郎による、歌謡曲の「懐しのボレロ」。
歌詞の部分などはどちらかというと、ハワイや南洋の島々をイメージして作られている感じも有ります。
官能的な楽曲、フラメンコなどの音部分に加えて、同じく円舞や拍手と打楽器弦楽器などによる即製の舞歌文化の有るポリネシアなどを想定したのかもしれませんが、それとはまたちがう、ごく日本的な歌謡曲です。
発想としては、おじさまがこうした文化をまるごとひっくるめて、若い世代に自作の日本語歌で伝えてくれるような……そんな、イメージが有ります。
昭和歌謡によるボレロの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
ちょっと日本風のボレロ株式会社ネクサス音楽出版 サックス4重奏

フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが作曲した『ボレロ』をベースに、音楽出版社が遊びやイベント、演奏会で使える楽譜のTIPSを紹介している「ちょっと日本風のボレロ」です。
ベースはラヴェルですが、全日本吹奏楽コンクールの課題曲を多く作曲している主に吹奏楽の作曲、編曲家である松尾善雄の手によって、日本の和を感じさせる曲になっており、素晴らしいアレンジによってサックス4重奏という世界に引き込まれていきます。
このネクサス音楽出版、いたって真面目な企業ですが、このようにクラシックやポップスの、おもしろアレンジ曲がたくさん。
吹奏楽アレンジなども有り、動画集はおすすめです。
ボレロ(イン ポップス)東京佼成ウインドオーケストラ

東京佼成ウインドオーケストラといえば、全国の、いや、アジア一円の、吹奏楽マニアが求めるさまざまな演奏とアレンジで楽しませてくれるプロフェッショナルの吹奏楽団であることは、周知の事実でしょう。
ロックやポップスの吹奏楽によるクラシックへ昇華、またクラシックのポップスアレンジなど「だって吹奏楽だろ、無謀だろ」といわれる無理難題を、スマートに演奏し切るプロのワザが光るあのスタイルで、ラヴェルのボレロもこんな仕上がりです。
いかにも吹奏楽愛好家憧れのプロ吹奏楽団「東京佼成ウインドオーケストラ」らしい、変わらぬ個性と伝統が光ります。