フォルクローレの名曲と歴史。南米アンデスの伝統音楽を解説
南米アンデス地方の伝統音楽「フォルクローレ」。
アルゼンチンのアリエル・ラミレスさんやボリビアのエルネスト・カブールさんといった名手たちが織りなす、ケーナやチャランゴの繊細な調べは、悠久の歴史と豊かな文化を今に伝えています。
哀愁を帯びた「コンドルは飛んでいく」や情熱的な「シン・ティ」など、アンデスの大地から生まれた名曲の数々は、世界中の人々の心に深い感動を与え続けています。
南米の心と魂が息づく珠玉の音楽をご紹介します。
フォルクローレの名曲と歴史。南米アンデスの伝統音楽を解説(11〜20)
アモローサ・パロミータロス・チョロス・アンディーノス

アンデスの伝統が息づく深い情感を湛えた調べが、ボリビアの民族楽器ケーナとサンポーニャの響きに乗って優美に奏でられます。
ロス・チョロス・アンディーノスの美しいインストゥルメンタル作品には、はるか彼方の山々が織りなす壮大な景色が映し出されているかのよう。
1978年から1981年にかけて5枚のアルバムをリリースした彼らの演奏には、アルゼンチン出身の名手ファシオ・サンティジャンさんのケーナが心を揺さぶります。
アルバム『Ecos del Ande』に収録された本作は、アンデスの自然と人々の暮らしに根ざした哀愁漂うメロディーラインが印象的です。
穏やかな夜のひとときや、心を落ち着かせたい時に聴きたい一曲として、多くの音楽ファンに愛され続けています。
ブランカ・ロサフェルナンド・ヒメネス

アンデスの哀愁漂うフォルクローレのスタンダード曲「ブランカ・ロサ」です。
ラテンアメリカのリズムに物悲しいケーナの音色が冴えます。
多くの演奏家によって奏でられていますが、ボリビアを代表するサンポーニャ奏者、フェルナンド・ヒメネスさんの演奏をぜひ聴いていただきたいです。
平原の魂ペドロ・エリアス・グティエレス

ペドロ・エリアス・グティエレスさん作曲の「平原の魂」は、ベネズエラの第2の国歌とされています。
ジャノスという平原に住む人々の心意気が歌われています。
ベネズエラのポピュラーな様式のホローポで、その中でも最も有名な名曲です。
山の花ナウエル・ホフレ

アンデスの伝統が息づく叙情的な旋律が魅力のアルゼンチン出身、ナウエル・ホフレさん。
2016年にリリースされたアルバム『Canciones En Cuyo Vuelo』に収録された本作は、優美なアコースティックギターの調べと温かみのある歌声が見事に調和しています。
山々の壮大な景色と人々の想いを優しく紡ぎ出す繊細な表現力は、聴く人の心に深く響きます。
アルゼンチンの伝統音楽フォルクローレを基調としながらも、現代的なエッセンスを効果的に取り入れた印象的な一曲です。
ギタリストのルイス・サルバドールさんとの共演バージョンも魅力的で、穏やかな夜のひとときや、大切な人との語らいのBGMにぴったりです。
アンデスの大地が育んだ情感豊かな音世界を、ぜひ味わってみてください。
灰色の瞳ウニャ・ラモス

アルゼンチンの音楽家、作曲家でケーナ奏者のウニャ・ラモスさんが作曲した「灰色の瞳」です。
フォルクローレ愛好者にはよく知られた曲で、哀愁を帯びたメロディーが特徴です。
日本でも加藤登紀子さんや森山良子さん、椎名林檎さんなどのミュージシャンがカバーしています。
青い星ピートコ・キャラバジャル

アルゼンチン音楽の伝承者でミュージシャンのピートコ・キャラバジャルさんが歌う、ペテコ・カラバハルさん作曲の「青い星」です。
妻と別れ、離れ離れになってしまった幼い娘を想う男性の心情を歌い上げたものと言われています。
フォルクローレの名曲と歴史。南米アンデスの伝統音楽を解説(21〜30)
エル・ウマ・ウアケーニョロス・アタウアルパス

南米アンデス地方の伝統音楽を世界に届けるロス・アタウアルパスの演奏は、聴く人の心を優しく包み込みます。
2011年1月にアルバム『Sounds Around the World: Sound of the Andes』でデビューしたグループが奏でるメロディーは、アンデスの壮大な自然と人々の暮らしを映し出すかのよう。
アルゼンチン北西部のウマワカ渓谷をイメージした本作では、ケーナやチャランゴといった伝統楽器の音色が、澄み切った空気の中で響き渡ります。
明るく軽快なリズムに乗せて、大地の鼓動のように力強い打楽器が心を躍らせます。
アンデスの伝統を今に伝えるこの珠玉の一曲は、南米の文化や風景を紹介するドキュメンタリー番組でもたびたび使用され、多くの人々に感動を与え続けています。