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【魅惑の即興演奏】フリー・ジャズの代表作・人気のアルバム

【魅惑の即興演奏】フリー・ジャズの代表作・人気のアルバム
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たとえば既存のクラシック音楽から全く違った様式や手法を試みたものが現代音楽と呼ばれるようになり、通常のスタイルのロックとは違ったアプローチを展開したポスト・ロックと呼ばれるジャンルがあったり、一定のジャンルにおけるサブジャンルは多く存在していますよね。

「フリー・ジャズも、まさに言葉通り前衛的な方法論やフリーキーな即興演奏が特徴的な、ジャズという括りの中で新たに生まれたジャンルです。

今回はそんなフリー・ジャズと呼ばれる作品の代表的な1枚や人気作を選出してみました。

決して万人受けするような音楽ではありませんが、興味を持たれた方はぜひこの機会に挑戦してみてください!

もくじ

【魅惑の即興演奏】フリー・ジャズの代表作・人気のアルバム(1〜20)

The Shape of Jazz to Come

Lonely WomanOrnette Coleman

『ジャズ来るべきもの』という邦題でも知られているこちらの『The Shape of Jazz to Come』は、フリー・ジャズのひな形を作り上げたと評される偉大な作品です。

ジャズ・サックス奏者にしてフリージャズの先駆的な存在、オーネット・コールマンさんが1959年に発表したアルバムで、スタンダードナンバーのカバーなどは含まれず、全曲がオーネットさんの作曲によるオリジナル曲で構成されています。

コルネット奏者のドン・チェリーさんとドラマーのビリー・ヒギンスさんに加えて、ベース奏者のチャーリー・ヘイデンさんが参加、2つのホーンがフロントに立つカルテットが生み出したサウンドは、ピアノを軸とした従来のジャズとはまったく違う音楽を生み出しました。

決まったコード進行や楽曲構成を意図的に逸脱し、不協和音が生み出す不思議なずれと美しい旋律とが同居する、まさに自由度の高い前衛ジャズの原点と呼ぶべきサウンドが本作の偉大な価値を決定付けているのです。

とはいえ、今聴くとそこまで難解というわけではなく、オーネットさんの作曲家としての才能も感じ取れるジャズの名盤として聴けるのではないでしょうか。

Unit Structures

StepsCecil Taylor

ニューヨークはクイーンズ出身、ジャズ界における前衛的なピアニストとしてその名を刻むのがセシル・テイラーさん。

フリージャズの先駆的な存在として知られているテイラーさんですが、幼少期からピアノを弾き、音楽カレッジでクラシック音楽の教育を受けていた経歴を踏まえると、いわゆるアカデミックな音楽的教養がテイラーさんにはあるというのが重要ですよね。

同時に現代音楽などにも親しんでいたというテイラーさんが1966年に発表した『Unit Structures』は、60年代のフリー・ジャズ・ムーブメントにおいて重要とされる1枚です。

ジャズの名門中の名門レーベル、ブルーノートからリリースされた本作は、それこそ現代音楽的な手法でいくつかのテーマをコラージュのようにつなぎ合わせ、演奏者それぞれの個性が火花を散らし、スリリングな展開を見せるサウンドはフリー・ジャズという概念を抜きにしても十分カッコいいですね。

嵐のように打ち鳴らされるテイラーさんのピアノのスタイルを聴けば、ピアノという楽器は弦楽器であるのと同時に打楽器でもあるということがよくわかるはずです。

Ascension

Ascension 1/4John Coltrane

モダンジャズの歴史において、まさに巨人と言えるサックス奏者がジョン・コルトレーンさんです。

若くしてプロとして活動を始めたにもかかわらず、なかなか芽が出なかったコルトレーンさんですが、1957年にリリースしたリーダー作『Blue Train』で高い評価を得てからは、偉大なジャズ・ミュージシャンとして多くの偉大な仕事を残しました。

そんなコルトレーンさんが第一線で活躍していた10年程度の短いキャリアの中で、フリー・ジャズとの関わりは1965年以降の後期にあたります。

今回紹介する『Ascension』は、コルトレーンさんが初めて本格的なフリー・ジャズへと足を踏み入れたとされる重要な1枚。

1965年に発表され、通常のカルテットに加えてトランペット奏者2人にサックス奏者4人、ベース奏者1人という大編成による即興演奏が一丸となって迫りくる様は、まさに音を聴くというよりも「音を浴びる」呼ぶべきものですね。

混沌の中でも一本筋の通った芯のぶれないサウンドは、雰囲気に流されない一流のプレイヤーだからこそ成しえたのだと言えましょう。

Closeness

O.C.Charlie Haden

1937年にアメリカはアイオワ州にて生まれたチャーリー・ヘイデンさんは、フリー・ジャズという枠内をこえて、偉大なベース奏者としてその名を音楽史に刻むミュージシャンです。

アヴァンギャルドなスタイルからフュージョンまで、幅広い分野で長きに渡ってジャズ・シーンの最前線を走り続けたヘイデンさんは、20代前半でオーネット・コールマンさんのカルテットに参加しており、フリー・ジャズの歴史において先駆的な存在の1人としても著名ですよね。

今回紹介しているアルバム『Closeness』は、1976年にリリースされたヘイデンさんのリーダー作です。

全4曲がヘイデンさんのオリジナル曲で、キース・ジャレットさん、オーネット・コールマンさん、アリス・コルトレーンさん、ポール・モチアンさんというジャズ界の巨匠たちと、それぞれデュオ形式で演奏するという豪華な内容。

共演相手それぞれの個性と対話するような、粘っこいベースの音色と多彩なフレーズが実にスリリングでカッコいいですよ。

Machine Gun

Machine GunPeter Brötzmann

The Peter Brötzmann Octet – Machine gun
Machine GunPeter Brötzmann

ドイツ出身のフリー・ジャズ・サックス奏者であり、クラリネット奏者としても高名なペーター・ブロッツマンさんが1968年にリリースした『Machine Gun』は、まさに欧州フリー・ジャズ・シーンの初期代表作として歴史にその名を刻む名作です。

もともとは美術学校で絵画やグラフィック・デザイナーとしての勉強に励んでいたというブロッツマンさんは、ミュージシャン仲間と出会い、独学でクラリネットやサックスの演奏をマスターして音楽家としての道を歩み始めたそうです。

今やフリー・ジャズ界における重鎮となったブロッツマンさんですが、美術関係の仕事も精力的に行っており、美術展が開かれるほどのキャリアを持っているのですね。

はちきれんばかりの芸術への熱意を持ったブロッツマンさんが若き日に残した『Machine Gun』は、冒頭で述べた通りヨーロッパにおけるフリー・ジャズの名盤であり、八重奏曲という形式で生み出された迫力の1枚。

とくにタイトル通り機関銃掃射をイメージした表題曲の刺激的な演奏の応酬は、曲の始まりから度肝を抜かれることは間違いありません!

クレイ

クレイ山下洋輔トリオ

日本におけるフリー・ジャズは、決して欧米の後追いなどではなく、むしろ世界に誇るべき驚きの個性と実力を持ったミュージシャンたちによって生まれました。

海外から輸入したというよりは、日本でも1960年代の時点で独自の音楽を鳴らすジャズ・ミュージシャンが現れて、同時代的にそれぞれのムーブメントが勃発していたのだと言えそうです。

当時の日本のフリー・ジャズがどれほどのものであったのかを私たちに教えてくれる作品の1つとして、今回は山下洋輔トリオの傑作ライブ・アルバム『クレイ』を紹介します。

1974年、ドイツにて行われたジャズのフェスティバルに出演した彼らの演奏が録音された本作は、ピアニストの山下洋輔さん、サックス奏者の坂田明さん、ドラムスの森山威男という3人の日本人による新しいジャズの形を、当時のヨーロッパのジャズ愛好家たちに知らしめた歴史的事実を真空パックしたもの。

アバンギャルドな演奏ながら、小難しい理屈をねじ伏せる暴力的なまでのパワーは、今聴いても衝撃的の一言ですね。

演奏が終わり、耳の肥えたオーディエンスから万雷の拍手と大歓声が巻き起こったのも当然でしょう。