【魅惑の即興演奏】フリー・ジャズの代表作・人気のアルバム
たとえば既存のクラシック音楽から全く違った様式や手法を試みたものが現代音楽と呼ばれるようになり、通常のスタイルのロックとは違ったアプローチを展開したポスト・ロックと呼ばれるジャンルがあったり、一定のジャンルにおけるサブジャンルは多く存在していますよね。
「フリー・ジャズも、まさに言葉通り前衛的な方法論やフリーキーな即興演奏が特徴的な、ジャズという括りの中で新たに生まれたジャンルです。
今回はそんなフリー・ジャズと呼ばれる作品の代表的な1枚や人気作を選出してみました。
決して万人受けするような音楽ではありませんが、興味を持たれた方はぜひこの機会に挑戦してみてください!
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【魅惑の即興演奏】フリー・ジャズの代表作・人気のアルバム(1〜10)
Ghosts: First VariationAlbert Ayler

2020年は、フリー・ジャズの伝説的なサックス奏者アルバート・アイラーさんが1970年に34歳という若さで夭折してしまってからちょうど50年目という節目の年でもありましたね。
2021年1月には『AA 五十年後のアルバート・アイラー』という書籍も刊行され、50年以上が過ぎた今もさまざまな分野へ大きな影響力を持つ天才は、1936年にアメリカはオハイオ州にて生まれました。
早くからミュージシャンとして活動していたアイラーさんのスタイルはなかなか受け入れられなかったそうですが、今回取り上げている1964年にリリースされたアルバム『Spiritual Unity』が評価され、オーネット・コールマンさんなどが生み出したフリー・ジャズの後継者として世に知られ始めます。
まさにアイラーさんのキャリアにおけるターニングポイントとなった本作は、テナー・サックスとベース、そしてドラムという変則的なトリオによって演奏され、フリー・ジャズの聖典として歴史に刻まれる傑作となりました。
ロジカルではなく精神性に重きを置いたエモーションの発露が、そのまま音色となって聴き手の魂を揺さぶる圧巻の音楽体験は、フリー・ジャズに興味がないという方でも一度は味わっていただきたいですね。
クレイ山下洋輔トリオ

日本におけるフリー・ジャズは、決して欧米の後追いなどではなく、むしろ世界に誇るべき驚きの個性と実力を持ったミュージシャンたちによって生まれました。
海外から輸入したというよりは、日本でも1960年代の時点で独自の音楽を鳴らすジャズ・ミュージシャンが現れて、同時代的にそれぞれのムーブメントが勃発していたのだと言えそうです。
当時の日本のフリー・ジャズがどれほどのものであったのかを私たちに教えてくれる作品の1つとして、今回は山下洋輔トリオの傑作ライブ・アルバム『クレイ』を紹介します。
1974年、ドイツにて行われたジャズのフェスティバルに出演した彼らの演奏が録音された本作は、ピアニストの山下洋輔さん、サックス奏者の坂田明さん、ドラムスの森山威男という3人の日本人による新しいジャズの形を、当時のヨーロッパのジャズ愛好家たちに知らしめた歴史的事実を真空パックしたもの。
アバンギャルドな演奏ながら、小難しい理屈をねじ伏せる暴力的なまでのパワーは、今聴いても衝撃的の一言ですね。
演奏が終わり、耳の肥えたオーディエンスから万雷の拍手と大歓声が巻き起こったのも当然でしょう。
AmajeloDon Cherry

フリー・ジャズの開祖的な存在、オーネット・コールマンさんとともに活動し、フリー・ジャズ史における重要作『ジャズ来るべきもの』や『フリー・ジャズ』などに参加したのが、アメリカはオクラホマ州出身のドン・チェリーさんです。
トランペット、そしてコルネット奏者であるチェリーさんは「ポケット・トランペット奏者」と呼ばれ、60年代においては多くのフリー・ジャズ系のミュージシャンと共演し、70年代以降はスウェーデンに定住して多彩なジャズ・サウンドを世に送り続けました。
チェリーさんの代表作の1つと呼ばれている『mu” First Part』は、1969年にフランスのジャズ・レーベルから発表されたタイトルです。
トランペットだけでなくフルートやピアノも担当したチェリーさんと、多くの作品でタッグを組んだジャズ・ドラマーのエド・ブラックウェルさんの2人だけで作り上げられた本作は、音楽家同士のスピリチュアルな対話の如きサウンド。
プリミティブな衝動を軸とした即興演奏から生まれたフレーズとリズムの応酬は、実験音楽という括りをこえた純度の高い創造物の結晶と言えるでしょう。
Globe UnityAlexander von Schlippenbach

1966年の11月、ドイツはベルリン出身で当時28歳だったジャズ・ピアニスト兼作曲家のアレキサンダー・フォン・シュリッペンバッハさんが結成した、フリー・ジャズを大所帯のアンサンブルで演奏するグローブ・ユニティ・オーケストラが、ベルリン・ジャズ祭にて演奏を披露し、聴衆に衝撃を与えました。
現代音楽の教育も受けていたシュリッペンバッハさんは、アメリカで始まったフリー・ジャズを現代音楽的な手法で解釈し、斬新なサウンドを構築したのです。
翌年の1967年にシュリッペンバッハさんのソロ名義でリリースされたスタジオ・アルバム『Globe Unity』は、ヨーロッパのフリー・ジャズの歴史において先駆的な作品となりました。
その後の精力的な活動も含めて、欧州フリー・ジャズの潮流を知りたければ必ずや聴いておくべき作品である、と断言できるでしょう。
フリー・ジャズ特有の即興演奏の中で、雰囲気や情緒に溺れない乾いた美学のようなものに、ヨーロッパ人としての、ドイツ人としての誇りを感じさせるのです。
Space Is the PlaceSun Ra

スピリチュアル、と書くとなんとなくうさん臭さを感じてしまう方も多いかもしれませんが、自らを土星生まれと称する伝説的な音楽家にして独自の宇宙哲学の持ち主、サン・ラさんの生み出したフリー・ジャズ~スピリチュアル・ジャズに広がる豊潤な音世界は、決してこけおどしなどではありません。
ジャズというジャンルの中で位置づけられているのは単なる偶然であって、あまりにも自由なサン・ラさんの魂を音として表現した結果、というだけな気もしますね。
1972年にリリースされた宇宙的傑作『Space Is The Place』は、タイトル自体がサン・ラさんの座右の銘であり、自ら「アーケストラ」と名付けた自身の楽団による演奏は、一切の音楽理論の制約から解き放たれた原始的な異国の祝祭のようです。
20分をこえる表題曲からして、アフリカン・リズムのグルーヴと飛び交うモーグとオルガンの響きでまったく違う世界へと聴き手を連れていってしまいす。
サンプリング・ソースとしてクラブ世代にも人気がある作品ですし、女性ヴォーカルの導入も含めて、サン・ラさんの宇宙に足を踏み入れるための入門編としても、ぜひ。


