【印象主義音楽】クラシック音楽史を彩る印象派の名曲を一挙紹介
20世紀初頭のフランスに興った新たな音楽の潮流「印象主義」。
印象派を代表するクロード・ドビュッシーやモーリス・ラヴェルをはじめとする作曲家らが、光の指し方や色彩の濃淡を音楽で表そうと、多くの繊細な作品を世に送り出しました。
本記事では、そんな印象主義音楽のなかでも、今日に至るまでさまざまなアーティストによって演奏されて親しまれてきた名曲をピックアップ!
曲の特徴や作曲の背景とあわせてたっぷりご紹介します。
【印象主義音楽】クラシック音楽史を彩る印象派の名曲を一挙紹介(1〜10)
交響的スケルツォ「魔法使いの弟子」Paul Dukas

フランスの作曲家ポール・デュカスは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した印象派の作曲家。
厳しい自己批評家として知られ、多くの作品を自ら破棄したため、現存する作品数は少ないものの、その音楽性は高く評価されています。
デュカスの代表作である『交響的スケルツォ「魔法使いの弟子」』は、ゲーテの同名の詩に基づいた音楽作品で、魔法使いの弟子が師匠不在の間に魔法を使ってほうきに水を運ばせるものの、制御不能に陥るという物語を描いています。
豊かなオーケストレーションと劇的な描写力が特徴で、管楽器やパーカッションを効果的に用いた音楽は、聴く者に鮮やかな情景を思い描かせます。
本作は、印象主義音楽に触れるきっかけとして最適な作品の一つといえるでしょう。
組曲「鏡」:洋上の小舟Claude Debussy

夏の午後に、涼やかな風を運んでくれるようなピアノの調べはいかがでしょうか。
クロード・ドビュッシーが手掛けたピアノ連弾のための組曲『Petite Suite』の冒頭を飾るこの一曲は、水面を優雅に漂う小舟を思わせる、穏やかで美しい旋律が心に染み渡ります。
きらめく光や水の揺らぎが目に浮かぶようで、まるで印象派の絵画を音で楽しんでいるかのようですね。
1889年2月に作曲者自らも参加したピアノ連弾で初めて演奏され、フランスの詩人ヴェルレーヌの作品に影響を受けたとされています。
後に1907年にはオーケストラ版も編曲され、そちらもまた違った趣ですてきですよ。
暑さを忘れさせてくれる詩情が豊かな本作は、静かに音楽を楽しみたい方や、日常に美しいアクセントを加えたい方にぴったりでしょう。
ピアノの優しい響きが、きっと心地よい時間をもたらしてくれます。
ベルガマスク組曲 第3曲「月の光」Claude Debussy

ドビュッシーの名曲『ベルガマスク組曲 第3曲「月の光」』。
はじめから終わりまでほとんどがピアニッシモで構成されている、静かで穏やかな心癒やされる作品です。
月明かりがぼんやり浮かぶ静かな夜をイメージさせる曲調ですが、実はもとのタイトルは『感傷的な散歩道』。
こちらのタイトルを知ると、悲しみに暮れながらしょんぼり歩く後ろ姿を連想させる曲にも聴こえてきませんか?
ぜひ、そんな曲の背景も頭に浮かべながら聴いてみてくださいね。
【印象主義音楽】クラシック音楽史を彩る印象派の名曲を一挙紹介(11〜20)
映像 第1集 第1曲「水の反映」Claude Debussy

美しく揺らめく水面に反射する光のきらめき……絵画的なイメージを想起させる美しい楽曲ですね。
水をテーマとしたクラシックのピアノ曲としては、直接的な影響を受けたフランツ・リストの『エステ荘の噴水』、そしてモーリス・ラヴェルの『水の戯れ』と並んで有名な曲として知られるクロード・ドビュッシーの『水の反映』。
ピアノ曲集『映像 第1集』として発表された楽曲で、水の動きそのものに着目した世界観が、作者の繊細な感性によって見事に描き出されています。
古典的な作法から外れた自由な作曲方法で知られるドビュッシーの曲ですから、がちがちのクラシック曲は苦手……という方もぜひチェックしてみてください!
交響詩「海」 3つの交響的スケッチより 第2楽章「波の戯れ」Claude Debussy

クロード・ドビュッシーが作曲した管弦楽曲、海の一場面を切り取ったような作品です。
弦楽器と木管楽器が織りなす、軽やかに跳ねるようなメロディは、太陽の光を浴びてキラキラと輝く水面や、楽しげに戯れる波の様子を鮮やかに思い起こさせます。
聴いているだけで、まるで涼やかな潮風が頬をなでるような心地よさを感じさせてくれるでしょう。
初版楽譜の表紙には葛飾北斎の浮世絵が用いられ、1905年の初演では賛否両論でしたが、1908年の作曲者自らによる再演で高い評価を得ました。
本作の響きは映画『ジョーズ』など後世の作品にも影響を与えたとされています。
暑い季節に清涼感を求める方や、色彩が豊かな音の世界に浸りたい方におすすめです。
交響詩「海」 3つの交響的スケッチより第1楽章「海上の夜明けから真昼まで」Claude Debussy

きらめく海の情景が目に浮かぶような、クロード・ドビュッシーの管弦楽作品より、一日の始まりを告げる楽章です。
本作は、夜明けの微かな光から真昼の眩い太陽へと移り変わる海の姿を、オーケストラの多彩な音色でまるで絵画のように描き出しています。
繊細な音の重なりは、聴く人を涼やかで穏やかな気持ちにさせてくれますね。
1905年10月に初めて演奏された際にはさまざまな意見が出ましたが、今日ではドビュッシーの代表作の一つとして多くの人に親しまれています。
夏の日に爽やかな音楽で心をリフレッシュしたい方や、イマジネーションを広げてくれる美しいメロディに浸りたい方には、ぜひ触れてほしい名曲です。
夢Claude Debussy

ここで紹介するのは、クロード・ドビュッシーが1890年に手がけた、まるで夢の中を漂うような美しいピアノ小品です。
優しく甘美な旋律とアルペジオが織りなす幻想的な雰囲気が特徴で、聴く人を心地よいまどろみへと誘いますね!
静かに目を閉じれば、夏の日の木陰で微睡むような、涼やかで穏やかな情景が目に浮かぶことでしょう。
本作は後にラリー・クリントンによって歌詞がつけられ、「My Reverie」として1938年にヒットし、ビング・クロスビーらにも歌われました。
夏の暑さを忘れさせてくれる、そんな音楽体験を求める方や、穏やかな気分に浸りたい時に聴いてみると、きっとすてきな時間が過ごせるのでおすすめです!