【印象主義音楽】クラシック音楽史を彩る印象派の名曲を一挙紹介
20世紀初頭のフランスに興った新たな音楽の潮流「印象主義」。
印象派を代表するクロード・ドビュッシーやモーリス・ラヴェルをはじめとする作曲家らが、光の指し方や色彩の濃淡を音楽で表そうと、多くの繊細な作品を世に送り出しました。
本記事では、そんな印象主義音楽のなかでも、今日に至るまでさまざまなアーティストによって演奏されて親しまれてきた名曲をピックアップ!
曲の特徴や作曲の背景とあわせてたっぷりご紹介します。
【印象主義音楽】クラシック音楽史を彩る印象派の名曲を一挙紹介(1〜10)
牧神の午後への前奏曲Claude Debussy

フランス印象主義を代表する作曲家クロード・ドビュッシーの作品のなかでも、特に印象主義の要素が色濃く表れていると評価されている曲の一つが、詩人マラルメの『牧神の午後』に感銘を受け作曲された管弦楽作品『牧神の午後への前奏曲』です。
夏の昼下がりに官能的な夢想に耽る牧神を、フルートの中低音域の旋律で象徴的に表現。
弦楽器とのかけ合いで、夢とまどろみの間を行き来する様子を巧みに描いています。
牧歌的な情景を愛でながら、どこか陶酔感のある雰囲気を味わいたいときにオススメの1曲です。
アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲Jacques Ibert

フランス印象派の作曲家ジャック・イベールは、新古典主義のスタイルを持ちながら、軽妙でウィットに富んだ作風で知られています。
彼の代表作の一つである『アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内協奏曲』は、サクソフォンの表現力を最大限に引き出した魅力的な作品です。
本作は、サクソフォンのレパートリーにおいて重要な位置を占めており、独奏者の高い技術と音楽性が求められます。
室内楽の編成でありながら協奏曲的な要素も持ち合わせた、サクソフォンの魅力を存分に堪能したい方にオススメの1曲です。
管弦楽のための映像「イベリア」Claude Debussy

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、フランス音楽界をけん引した作曲家クロード・ドビュッシー。
彼は伝統的な和声法や旋法を超えた革新的な作曲技法を用いることで知られ、印象主義音楽の潮流を切り開きました。
ドビュッシーの代表作の一つとして知られる『管弦楽のための映像「イベリア」』は、ドビュッシーが想像上のスペインを音楽的に描いた作品で、その色彩感豊かなオーケストレーションと繊細な和声の妙味が魅力です。
スペインへの訪問経験はほとんどなかったというドビュッシーによる情熱的で神秘的なイベリア半島の世界観を味わいたい方、印象主義音楽の真髄に触れてみたい方にオススメの名曲です。
交響詩「海」-管弦楽のための3つの交響的素描-Claude Debussy

印象派音楽の巨匠クロード・ドビュッシーは、パリ音楽院で学んだ後、独自の音楽スタイルを確立しました。
彼の交響詩『海』は、海のさまざまな表情を繊細かつ色彩豊かに描写した作品です。
波の動きや光の反射、風の音色など自然の細やかなニュアンスを巧みに表現し、聴く者を海の情景へといざないます。
本作は、伝統的な交響曲の形式にとらわれない新しい音楽の可能性を切り開いた革新的な作品であり、音楽を通して感覚や雰囲気を描くことに挑戦した意欲作です。
印象派絵画にも影響を受けたドビュッシーの音楽は、独特の和声法と色彩感にあふれ、その美しい旋律は多くのクラシック音楽ファンを魅了してやみません。
水の戯れMaurice Ravel

モーリス・ラヴェルの『水の戯れ』は、1902年の初演以来、多くのピアニストに愛されている名曲です。
この作品の魅力は、心地よい水の流れを感じさせるような緩やかな旋律。
フランツ・リストの影響を受けながらも、水彩画のような淡い雰囲気が特徴的なラヴェルらしさを十分に楽しめ、さらに親しみやすさも感じられるこの曲は、印象主義の作品に触れる最初の1曲としてもオススメです。
発表会曲や練習曲として丁寧に取り組めば、演奏する喜びと技術の向上を体感できるでしょう。
ボレロMaurice Ravel

フランス近代音楽を代表する作曲家、モーリス・ラヴェル。
スイス、バスクの血を引き、緻密で完璧なスタイルを追求した彼の作品は、今なお世界中で愛され続けています。
なかでも管弦楽のための作品『ボレロ』は、その独創的な構成と圧倒的な音の高まりで知られる名曲。
単調なリズムとシンプルなメロディが、次第にオーケストラ全体へと拡大していくさまは、まるで生命の進化のようです。
ラヴェルが織りなす緊張感あふれる音世界に、聴く者は引き込まれずにはいられません。
喜びの島Claude Debussy

大胆な表現力と鮮やかな色彩感に満ちあふれた作品。
画家ジャン・アントワーヌ・ヴァトーの作品『シテール島への巡礼』からインスピレーションを得て作曲されたといわれています。
若い男女の恋人たちが集い、愛の女神ヴィーナスの島シテール島への船出にこぎ出そうするシーンを描き出したものであり、官能的な雰囲気や出航する喜びが感じられる作品です。