夏に聴きたいクラシック|涼しげ&爽やかな名曲をピックアップ
夏といえばどんな情景を思い起こしますか?
キラキラと輝く青い海、照りつける太陽が眩しい白い砂浜、濃い緑が目にも鮮やかな山々……。
ジメジメと蒸し暑いなかでも、爽やかな風景を思い浮かべると、ほんの少しだけ暑さが和らぐような気がしませんか?
この記事では、そんな皆さんのイメージをさらに広げてくれる、夏にピッタリのクラシック作品をご紹介します。
この夏は、涼しげな雰囲気を演出してくれる珠玉のクラシック音楽とともに、爽やかに過ごしましょう。
夏に聴きたいクラシック|涼しげ&爽やかな名曲をピックアップ(1〜10)
水上の音楽 第2組曲 – II. アラ・ホーンパイプGeorg Friedrich Händel

川面を渡る音楽というと、穏やかな旋律を思い浮かべるかもしれませんが、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルが手掛けた水上の音楽の一節は、聴く者を祝祭へと誘う華やかさに満ちています。
この楽曲は、1717年7月のテムズ川での演奏が最初で、国王があまりの素晴らしさに何度もアンコールを重ねたという逸話も残っています。
トランペットやホルンが勇壮に響き渡り、聴けばいかに心が浮き立つかと思うような躍動感があふれる曲想は、夏の開放感を一層高めてくれますね!
児童向け映像「Little Einsteins」などでも親しまれており、世代を問わず楽しめるでしょう。
蒸し暑さを忘れさせてくれるような、爽快なひとときを求める方々に、ぜひ耳を傾けていただきたい作品です。
夏の朝Heino Kasuki

フィンランドの作曲家ヘイノ・カスキの手による、作品番号Op. 35-1「夏の朝」として知られるピアノ曲です。
本作は、北欧の澄み切った朝の空気をそのまま音にしたような、透明感があふれる旋律がとても美しい曲です。
繊細なトリルは木漏れ日のきらめきを思わせ、穏やかながらも徐々に広がる明るさが、聴く人の心を爽やかに満たしてくれるでしょう。
ジメジメとした暑さを忘れさせてくれるような清涼感があり、静かに音楽を楽しみたい時にぴったりです。
1920年代初頭に作られたとされ、ピアニスト舘野泉による名盤『Piano Works』にも収録されています。
交響詩「海」 3つの交響的スケッチより 第2楽章「波の戯れ」Claude Debussy

クロード・ドビュッシーが作曲した管弦楽曲、海の一場面を切り取ったような作品です。
弦楽器と木管楽器が織りなす、軽やかに跳ねるようなメロディは、太陽の光を浴びてキラキラと輝く水面や、楽しげに戯れる波の様子を鮮やかに思い起こさせます。
聴いているだけで、まるで涼やかな潮風が頬をなでるような心地よさを感じさせてくれるでしょう。
初版楽譜の表紙には葛飾北斎の浮世絵が用いられ、1905年の初演では賛否両論でしたが、1908年の作曲者自らによる再演で高い評価を得ました。
本作の響きは映画『ジョーズ』など後世の作品にも影響を与えたとされています。
暑い季節に清涼感を求める方や、色彩が豊かな音の世界に浸りたい方におすすめです。
抒情小品集第10曲-2「夏の夕べ」Edvard Grieg

エドヴァルド・グリーグの名曲『抒情小品集第10曲-2「夏の夕べ」』。
タイトルの通り、夏の夕べをイメージさせる淡い曲調に仕上げられた作品なのですが、おもしろいことに一部のフレーズではジャズのようなメロディーがかなでられます。
恐らく、グリーグのルーツであるノルウェーの民族音楽を主体とした国民楽派の一面が、このような現代的なメロディーを生んだのでしょうね。
非常にエモーショナルな作品ですので、ぜひ卒業アルバムでも片手に楽しんでくださいませ。
動物の謝肉祭 第14曲「フィナーレ」Camille Saint-Saëns

お祭りの最後を飾るような、きらびやかで心躍る作品が、カミーユ・サン=サーンスの組曲『動物の謝肉祭』の終曲です。
この作品は1886年に私的な演奏会のために作られ、作曲者の没後1922年に初めて一般に公開されたという経緯があります。
冒頭のピアノの華麗なトリルから、さまざまな楽器が加わり、これまでの楽章に登場した動物たちのモチーフが次々と現れる様子は、まさにお祭りのクライマックスといった趣です。
ユーモラスな雰囲気が全体を包み込み、最後は動物の鳴き真似で締めくくられるのも楽しい魅力となっています。
1999年公開のディズニー映画『ファンタジア2000』で使用されたことでも知られ、夏の暑さを忘れさせてくれるような爽快な気分にさせてくれるでしょう。
クラシック音楽に普段あまり触れない方にも、その楽しさを発見してもらえる一曲です。
交響詩「海」 3つの交響的スケッチ 第3楽章「風と海との対話」Claude Debussy

海の雄大さと神秘性を音で見事に描き出した、クロード・ドビュッシーの管弦楽作品、名盤『La Mer』のクライマックスを飾る一曲です。
この楽曲では、風と海が対話するかのように、激しくも美しい自然のドラマが展開されます。
弦楽器のうねり、木管楽器の鋭い響き、そして金管楽器と打楽器が一体となって迫力がある音の情景を創り上げています。
1905年10月に初演された本作は、夏の暑さを忘れさせてくれるような爽快感と涼やかさを持っています。
オーケストラの色彩が豊かな音響に浸りたい方や、吹奏楽編曲版などを通じてクラシック音楽の壮大さに触れたい方にもおすすめの作品となっています。
水上の音楽 ホーンパイプGeorg Friedrich Händel

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルによる、王室の舟遊びを彩るための管弦楽組曲があり、その中の一曲は夏にふさわしい涼やかさと華やかさを兼ね備えています。
本作は、1717年7月のテムズ川での初演時、国王ジョージ1世があまりの素晴らしさに何度もアンコールを命じたという記録が残るほど、当時から人々の心をつかんでいました。
トランペットやホルンといった管楽器が躍動し、聴く者を晴れやかで祝祭的な気分へと誘います。
映画『いまを生きる』のワンシーンを彩ったことでも知られていますね。
蒸し暑い日々に爽快なひとときを求める方や、バロック音楽の持つ荘厳かつ軽快な魅力を気軽に楽しみたい方にはうってつけの一曲かと思います。
交響詩「モルダウ」Bedřich Smetana

雄大な川の旅路を音楽で見事に描き出した、チェコの作曲家ベドルジフ・スメタナによる交響詩です。
フルートとクラリネットによる二つの泉のきらめきから始まり、次第に大きな流れとなって農民の結婚式の賑わいや月光の下で妖精が舞う幻想的な風景を映し出し、やがて古都プラハを悠々と流れる様は一度聴いたら忘れられないほど壮大です。
名高い交響詩集『Má vlast』中の一編である本作は、スメタナが聴力を失いつつあった1874年に書かれた作品で、その美しい旋律は多くの人を魅了します。
映画『ツリー・オブ・ライフ』などでも使用され、親しまれている名曲となっています。
夏の日に涼やかな気分を味わいたい方や、情景が豊かなオーケストラ音楽に浸りたい方に聴いてほしい一曲です。
「四季」第2番「夏」第3楽章Antonio Vivaldi

アントニオ・ヴィヴァルディの偉大なヴァイオリン協奏曲、『四季』。
クラシックをたしなむ方であれば、誰でも知っている有名な作品ですね。
こちらはそんな四季に登場する作品『第2番「夏」第3楽章』で、全体を通して悲劇的なメロディーに仕上げられています。
それぞれの楽章に明確なストーリーがこめられているため、この曲をより深く知りたいという方は、夏だけではなく第1番の『春』から聴いてみることをオススメいたします。
夜の海辺にてHeino Kasuki

北欧の夜の海辺にきらめく光の粒を音にしたような、そんなピアノ小品はいかがでしょうか。
このフィンランドの作品は、ピアノの高音が澄み渡り、まるで夜空にまたたく星々を眺めているかのような気分にさせてくれます。
ピアニスト舘野泉が1999年4月に残した録音でもその魅力は際立っており、繊細な音色が心の奥深くに染み渡りますね。
本作の持ち味である穏やかで幻想的な旋律は、夏の蒸し暑さを忘れさせてくれることでしょう。
静寂の中で美しいピアノの響きに耳を傾け、涼やかなひとときを過ごしたいあなたにおすすめの作品です。
夏に聴きたいクラシック|涼しげ&爽やかな名曲をピックアップ(11〜20)
交響詩「海」 3つの交響的スケッチより第1楽章「海上の夜明けから真昼まで」Claude Debussy

きらめく海の情景が目に浮かぶような、クロード・ドビュッシーの管弦楽作品より、一日の始まりを告げる楽章です。
本作は、夜明けの微かな光から真昼の眩い太陽へと移り変わる海の姿を、オーケストラの多彩な音色でまるで絵画のように描き出しています。
繊細な音の重なりは、聴く人を涼やかで穏やかな気持ちにさせてくれますね。
1905年10月に初めて演奏された際にはさまざまな意見が出ましたが、今日ではドビュッシーの代表作の一つとして多くの人に親しまれています。
夏の日に爽やかな音楽で心をリフレッシュしたい方や、イマジネーションを広げてくれる美しいメロディに浸りたい方には、ぜひ触れてほしい名曲です。
ベルガマスク組曲 第1曲 プレリュードClaude Debussy

クロード・ドビュッシーの『ベルガマスク組曲』といえば第3曲『月の光』が突出して有名ではありますが、本稿で取り上げているのは第1曲『前奏曲』です。
「ピアノの画家」と呼ばれることもあるドビュッシーらしい、絵画的なイメージが浮かぶような色彩豊かな旋律がとても美しく、まさに「プレリュード」というタイトルにふさわしい、何かの始まりを予感させるエモーショナルな楽曲展開は暑い夏にもぴったりと言えるかもしれません。
均整の取れた緻密な構成の楽曲というよりは、自由なテンポという指示のある作品ということもあって、演奏者それぞれの感性で作品の雰囲気が変わることも踏まえて、複数のピアニストによる演奏をチェックすることをおすすめします。
組曲「鏡」:洋上の小舟Claude Debussy

夏の午後に、涼やかな風を運んでくれるようなピアノの調べはいかがでしょうか。
クロード・ドビュッシーが手掛けたピアノ連弾のための組曲『Petite Suite』の冒頭を飾るこの一曲は、水面を優雅に漂う小舟を思わせる、穏やかで美しい旋律が心に染み渡ります。
きらめく光や水の揺らぎが目に浮かぶようで、まるで印象派の絵画を音で楽しんでいるかのようですね。
1889年2月に作曲者自らも参加したピアノ連弾で初めて演奏され、フランスの詩人ヴェルレーヌの作品に影響を受けたとされています。
後に1907年にはオーケストラ版も編曲され、そちらもまた違った趣ですてきですよ。
暑さを忘れさせてくれる詩情が豊かな本作は、静かに音楽を楽しみたい方や、日常に美しいアクセントを加えたい方にぴったりでしょう。
ピアノの優しい響きが、きっと心地よい時間をもたらしてくれます。
夢Claude Debussy

ここで紹介するのは、クロード・ドビュッシーが1890年に手がけた、まるで夢の中を漂うような美しいピアノ小品です。
優しく甘美な旋律とアルペジオが織りなす幻想的な雰囲気が特徴で、聴く人を心地よいまどろみへと誘いますね!
静かに目を閉じれば、夏の日の木陰で微睡むような、涼やかで穏やかな情景が目に浮かぶことでしょう。
本作は後にラリー・クリントンによって歌詞がつけられ、「My Reverie」として1938年にヒットし、ビング・クロスビーらにも歌われました。
夏の暑さを忘れさせてくれる、そんな音楽体験を求める方や、穏やかな気分に浸りたい時に聴いてみると、きっとすてきな時間が過ごせるのでおすすめです!
森にてAlbert Ketèlbey

木漏れ日が差し込む穏やかな森の情景が目に浮かぶような、そんなピアノ曲はいかがでしょうか。
アルバート・ケテルビーによるこの楽曲は、まるで森の中で深呼吸しているような、安らぎを与えてくれます。
ピアノの優しい旋律が、木々のささやきや小鳥のさえずりを描いているかのようですね。
ピアノ曲集『A Dream Picture』に収められ、その愛らしさから「かわいい」と評されることもあるんですよ。
1993年のローズマリー・タックによる録音もまた、心に染み入りますね。
約3~4分の短い中に自然の息吹が凝縮されていますね!
暑さを忘れ、心静かに過ごしたい時や読書のお供にいかがでしょう。
本作を聴けば、きっと穏やかな気持ちになれるはずです。
静かな潟Eric Coates

ゆったりとした夏の夕暮れに耳を傾けたい、そんなワルツ=セレナーデはいかがでしょうか。
エリック・コーツが1930年に作曲したこの作品は、スセックス地方の穏やかな海辺の景色、夕焼けに染まる街並みから着想を得たと伝えられています。
ヴァイオリンの甘美な旋律が、まるで夕凪の海を渡るそよ風のように心地よく響くことでしょう。
1940年には歌詞も付けられ、多くの人々に愛されるスタンダードナンバーとなりました。
BBCラジオの人気長寿番組のテーマ曲としても長年親しまれており、どこか懐かしさを感じるかもしれません。
日常の喧騒を忘れ、穏やかな気分に浸りたい時にぴったりの一曲ですね!
本作を聴きながら、ゆったりとした時間を過ごしてみましょう。
風の即興曲中田喜直

アルバム『こどものゆめ』に収録された一曲は、まるで風が吹き抜けていくような爽やかな旋律が印象的です。
軽やかで流れるような自由なメロディが心地よく、グリッサンドの技法を取り入れた仕上がりは発表会でも魅力的な要素となっています。
本作は、流麗なフレーズと繊細なタッチが溶け合い、ピアノならではの表現力を存分に引き出した1分20秒の小品。
2011年のピティナ・ピアノコンペティションでC級の課題曲に選ばれた本作は、ピアノの発表会だけでの演奏に留まらず、夏の爽やかな風もイメージさせられる作品としても聴いていられます。
海辺の夕暮れ H.128 第3曲「嵐の海辺」Bohuslav Martinů

ピアノの巧みなアルペジオが、夕暮れ時の海辺に打ち寄せる波、そして吹きすさぶ風の情景を描き出す作品です。
ボフスラフ・マルトゥーによる本作は、1921年に書かれたピアノ独奏のための小品で、アルバム『Evening on the Sea-shore H.128 他3曲』に収録されています。
印象派的な色彩が豊かな響きのなかに、ロンド形式という古典的な骨格が息づき、自然の描写と構築美の対話が見事な1曲となっています。
ダイナミックな展開は副題の「嵐」を思わせ、技巧的なカデンツァを経て再び穏やかさを取り戻す構成が印象的です。
夏のひとときに、ドラマティックでありながらも涼やかなピアノの調べに浸りたい方に聴いてほしい名曲です。
動物の謝肉祭 第13曲「白鳥」Camille Saint-Saëns

組曲『Le Carnaval des animaux』からの旋律で、カミーユ・サン=サーンスによる名高い作品です。
元は1886年初頭の謝肉祭の余興として構想された組曲中の1曲で、作曲者が存命中に唯一出版を許したものです。
チェロが奏でる流麗なメロディは、水面を滑る白鳥の優雅な姿や、伝説に語られる「白鳥の歌」の幻想的な情景を思わせます。
1905年にアンナ・パヴロワがこの曲に合わせて創作したバレエ「死の白鳥」は世界的に知られ、フィギュアスケートの羽生結弦選手もエキシビションで使用し感動を呼びました。
夏の暑さを忘れさせ、心に潤いを与えてくれるような、美しいチェロの音色に浸りたい方に聴いてほしい一曲です。
サマータイムGeorge Gershwin

曲名から夏らしさが伝わってくる曲です。
ジョージ・ガーシュウィンはアメリカを代表する作曲家であり、この曲は1935年にアメリカで公演されたオペラ「ポーギーとベス」でヒロインのベスが歌う子守歌として有名になりました。
ジャズとクラシックを融合させた作品が多く、本作品にもそれが良く表れています。
2600を超える多くのカバーが出されているため、一度聴けばぴんとくる方も多いかもしれません。
紹介している動画ではピアノ独奏ですが、さまざまなアレンジがあるため、自分が好きなアレンジを見つけてぜひ聞いてみてください。
夏に聴きたいクラシック|涼しげ&爽やかな名曲をピックアップ(21〜30)
組曲「シンデレラ」夏の精Sergei Prokofiev

20世紀最大の作曲家との呼び声も高い、セルゲイ・プロコフィエフ。
クラシックを普段から聴いている方であれば、誰でもご存じの近代音楽家ですよね。
そんなセルゲイ・プロコフィエフの作品のなかで、夏にぴったりなのが、こちらの『組曲「シンデレラ」夏の精』。
時代が時代ということもあり、ジャズのようなメロディーがいくつも登場する作品で、全体を通してファンタジーな雰囲気に仕上げられています。
ぜひチェックしてみてください。
組曲「動物の謝肉祭」第7曲「水族館」Camille Saint-Saëns

フランスの作曲家カミーユ・サン=サーンス作曲の組曲『動物の謝肉祭』の第7曲目は、水族館の幻想的な世界を美しく表現した作品です。
高音のピアノとグラスハーモニカのきらめき、フルートの純粋な音色、そして弦楽器の控えめな響きが組み合わさり、海中の神秘的な風景を描き出しています。
緩やかなテンポと流れるようなアルペジオ、グリッサンドが特徴で、水中を漂う感覚を見事に表現。
この曲は、その幻想的な音楽から多くのメディアで使用されており、ディズニー映画『美女と野獣』の一部のシーンにインスピレーションを与えたとも言われています。
夏の暑さを忘れさせてくれる、涼しげで爽やかな1曲をぜひお楽しみください!
ガランタ舞曲Kodály Zoltán

ブダペスト・フィルハーモニック協会が創立80周年を迎える記念にと作曲を依頼されたもので、1933年の夏に完成しました。
ハンガリーの作曲家コダーイが子どものころを過ごしたガランタ地方の民俗音楽が題材として使われています。
SummerFrank Bridge

民謡からインスパイアを受けた独特の音楽性で人気を集めた作曲家、フランク・ブリッジ。
生前はそこまで注目されることはなかったものの、1970年代に再評価されるようになった作曲家です。
そんなフランク・ブリッジの作品のなかでも、特に夏にオススメしたいのが、こちらの『Summer』。
のどかな田園風景をイメージさせる曲調から、森林をかけぬけるような爽快な曲調へ変化していく作品です。
涼しさを音楽で感じたいというかたは、ぜひチェックしてみてください。
アルプス交響曲Richard Strauss

シュトラウスが少年の頃に、ドイツ・アルプスで登山をしたときの体験がこの曲のもととなっていて、朝早くから山を登りはじめ、山を降りるまでのストーリーが描かれています。
夏の山の美しい自然に、激しい雷雨を体験して、シュトラウスは登山から帰って、翌日にはこの体験をピアノで再現したそうです。
牧神の午後への前奏曲Claude Debussy

印象派音楽の代表的作曲家、クロード・ドビュッシーの出世作となった名作。
夏の午後、牧神の官能的な夢想を描いた詩に触発された本作は、フルートが象徴的な役割を担います。
中低音域のフルートソロでは、けだるい雰囲気を見事に表現。
ハープの響きも相まって、真夏の昼下がりの夢うつつのような世界を織りなします。
1894年12月の初演では2度のアンコールを記録。
革新的な手法で近代音楽に大きな影響を与えた傑作です。
夏の暑さを忘れ、音楽で涼を感じたい方にオススメの1曲ですよ。
ポルカ「雷鳴と電光」Johann Strauss II

1868年に芸術家協会のために作曲されたもので、はじめは「流星」というタイトルで着想されたようです。
打楽器が活躍する作品で、遠雷を思わせる大太鼓のトレモロがクレッシェンド・デクレッシェンドで鳴り響き、中間部ではシンバルで表された稲妻と雷鳴がとどろくという、とてもにぎやかな曲です。
「夏の名残の薔薇」変奏曲Heinrich Wilhelm Ernst

19世紀に数々の音楽家たちがこの『夏の名残の薔薇』を編曲し、たくさんの音楽作品が誕生しました。
『夏の名残の薔薇』という題名もステキですよね。
ご紹介する『夏の名残の薔薇』変奏曲はオーストリアヴァイオリニスト、作曲家として活躍したハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンストの作品です。
ヴァイオリンの繊細で細やかな音色を楽しめる作品で、夏のあつい日に聴いても清々しく心地よい気分になれるような美しい曲なのでリフレッシュしたいときにオススメの曲です。
バレエ音楽「四季」第3幕「夏」より「コーダ」Alexander Glazunov

1880年代から1920年代にかけて活躍した作曲家、アレクサンドル・グラズノフ。
クラシックをたしなむ方の間では、神童として現在も語り継がれていますね。
こちらの『Glazunov : The Seasons Op.67 : XII Summer – Coda』は日本語で『四季』という作品の第4番である『夏』の第5楽章『終曲』で、生命がみなぎる夏をイメージした力強く、壮大なメロディーに仕上げられています。
明るい気分になりたいときにはピッタリの楽曲です。
ぜひチェックしてみてください。
エステ荘の噴水Franz Liszt

クラシックは「水」をテーマとした作品も多く、夏真っ盛りの時期に涼やかな気持ちにさせてくれる曲も多いです。
こちらの『エステ荘の噴水』は19世紀を代表する作曲家兼ピアニスト、フランツ・リストによるピアノ独奏曲集『巡礼の年』の第3年に収められた楽曲で、水をイメージしたクラシック曲としてクロード・ドビュッシーの『水の反映』やモーリス・ラヴェルの『水の反映』といった作品に影響を与えたと言われている重要な位置付けでもあるのですね。
繊細で美しいアルペジオが噴水の水しぶきを想起させ、夏の日に涼やかさを与えてくれる噴水のイメージが目に浮かぶようです。
目を閉じてこの曲を聴いて、イタリアの美しい噴水庭園をぜひ思い描いてみてください。
夏に聴きたいクラシック|涼しげ&爽やかな名曲をピックアップ(31〜40)
Midsummer NocturneAaron Copland

20世紀のアメリカを代表する作曲家の1人、アーロン・コープランド。
1900年に生まれ、16歳の頃には有名な作曲家であるルービン・ゴールドマークに師事しています。
そんな彼の夏をテーマにしたクラシックが、こちらの『Midsummer Nocturne』。
日本語では『真夏の夜想曲』というタイトルで知られており、夏の夜をイメージさせるようなしっとりとしたピアノのクラシックに仕上げられています。
幻想的なメロディーが好きな方は必見の作品です。
ぜひチェックしてみてください。
交響曲第6番ヘ長調「田園」第4楽章Ludwig van Beethoven

1801年の夏、ベートーヴェンがその自然をこよなく愛していたウィーン郊外のハイリゲンシュタットで作曲されました。
第4楽章「雷と嵐」では不安定な和音や、チェロ、コントラバスの激しい動きで、猛烈な嵐が描写されています。
映像 第1集 第1曲「水の反映」Claude Debussy

フランス印象派を代表する作曲家クロード・ドビュッシーのピアノ曲『映像 第1集』の第1曲は、水面に映る光や景色を音楽で表現した作品です。
静かな湖面のきらめきや波紋の広がりを、繊細なタッチと複雑な和声構造で描写しています。
1905年に出版されたこの曲には、ドビュッシーの独特な和声感覚やリズムの扱い方がよく表れており、印象派音楽の典型例といえます。
自然からインスピレーションを受けることの多かったドビュッシーらしく、パリ郊外の風景を散策した体験が本作に反映されているそうです。
夏の暑さを忘れさせてくれる、涼しげで爽やかな1曲。
ピアノの新しい音色を探求したい方にもオススメですよ。
3つの演奏会用練習曲 S.144/R.5 第3番「ため息」Franz Liszt

流れるような甘美な旋律が魅力的なフランツ・リストの本作。
ピアノの名曲として広く親しまれているこの曲は、1845年から1849年の間に作曲されました。
リストが宮廷楽長に就任した時期の作品で、ショパンの影響が感じられる情感豊かな旋律が特徴です。
両手でメロディを歌い継ぐ高度な技巧が求められますが、その美しさは聴く人の心を癒やしてくれるでしょう。
夏の暑さを忘れさせてくれるような涼やかな響きを持つ本作は、静かな夜にゆったりと耳を傾けたい方にオススメです。
シシリエンヌ Op.78Gabriel Fauré

繊細な旋律と優雅な雰囲気が特徴のこの曲は、ガブリエル・フォーレの代表作の一つです。
フォーレは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの作曲家。
1893年に創作され、後にチェロとピアノ用に編曲されたこの曲は、シシリアーナと呼ばれるダンス形式に基づいています。
緩やかで流れるようなメロディで始まり、チェロが主題を奏で、ピアノが表現豊かな伴奏で支える構成になっています。
牧歌的な美しさを感じさせる本作は、その穏やかな響きと感傷的な表現によって、多くの音楽愛好家に愛されています。
夏の暑さを忘れさせてくれるような涼しげな雰囲気を味わいたい方にオススメの1曲です。
ニーベルングの指環「神々の黄昏」夜明けとジークフリートのラインへの旅Richard Wagner

バイロイト祝祭音楽祭は、ワーグナーが自作の「ニーベルングの指環」を上演するために作った音楽祭で、毎年7月下旬から8月にかけて開かれています。
「ニーベルングの指環」4部作はワーグナー35歳から61歳にかけて作曲され、上演には約15時間を要するため、少なくとも4日間がかけられるという作品です。
A Summer Day, Children’s Suite for Small Orchestra, Op. 65bSergei Prokofiev

ロシアの作曲家で、バレエ「ロミオとジュリエット」の作者としても知られているセルゲイ・プロコフィエフ。
彼の手掛けた夏の曲といえば『A Summer Day, Children’s Suite for Small Orchestra, Op. 65b』でしょう。
こちらは「子供が楽しみやすい」というのを前提に作られた全7曲の組曲の1つ。
タイトルの通り夏をテーマにしていて、そのメロディーからは清々しさや、楽し気な雰囲気を感じられます。
真夏の夜の夢「序曲」Felix Mendelssohn

ドイツの音楽家フェリックス・メンデルスゾーンがわずか17歳で完成させた曲『夏の夜の夢』です。
シェイクスピアの戯曲が元になっているそうです。
日本で愛されつづけているテレビアニメ、ドラえもんの映画『ドラえもん のび太と銀河超特急』にも『夏の夜の夢』が使用されているようです。
オーケストラならではのダイナミックで壮大な演奏に圧倒されますよ。
作中曲としても使われていて親しみやすくクラシック音楽の魅力がたっぷりな曲なので聴いてみてください。
3つの歌 Op.18 – 1 “ネル”Gabriel Fauré

フランスを代表する作曲家にしてピアニストのガブリエル・フォーレ。
彼が夏の日の一場面を情緒たっぷりに描いたのが『3つの歌 Op.18 – 1 “ネル”』です。
この曲で描かれているのは、日差しが照り付ける暑い夏の日に木陰で涼む様子です。
ただし、ストレートにではなく、さまざまな言い回しで情景が表現されています。
想像を膨らませながら聴いてみてくださいね。
ちなみにこの「3つの歌」は季節の移り変わりをテーマにしていて、3曲のタイトルは『秋』です。
スウェーデン狂詩曲 第1番「夏至の徹夜祭」Op.19Hugo Alfvén

スウェーデンの作曲家、ヒューゴ・アルヴェーンさんが1903年に作った曲がこちらです。
スウェーデンでも最も有名な曲の一つではないでしょうか。
昔のスウェーデンで真夏に目覚めたときのことを曲にしたものだといわれています。
ちょっとユーモラスなイメージのこの曲、このキャッチーなメロディーはいろいろな人によって引用されてきました。
日本の長寿番組、『きょうの料理』のテーマ曲にも限りなく似ている気がするのですが、この曲のオマージュでしょうか。
夏に聴きたいクラシック|涼しげ&爽やかな名曲をピックアップ(41〜50)
交響詩「夏のおとぎ話」 Op. 29Josef Suk

人間の複雑な感情の変化を表現している『交響詩「夏のおとぎ話」Op. 29』もオススメです。
こちらはチェコの作曲家、ヨーゼフ・スクが制作した作品。
『Voices of Life and Consolation』から『Night』までの全5曲で構成されています。
その特徴は曲調が激しく変化することです。
前半は穏やかなのですが、次第に迫力のある激しいサウンドに変化していきます。
これは当時の社会情勢を表現しているとも、その中で生まれた喜怒哀楽の変化を表現しているともいわれているんですよ。
The American Seasons, SummerMark O’Connor

グラミー賞を3度受賞したことでも知られるマーク・オコナーさん。
彼はクラシックに別の音楽ジャンルの要素を足す作風で知られています。
そして夏をテーマに制作した『The American Seasons, Summer』では、最も得意とするカントリーミュージックとクラシックの融合を見せてくれています。
その曲調は確かにクラシックなのですが、第一印象はカントリーミュージックという不思議な作品に仕上がっていますよ。
Violin Sonata No. 2: I. Summer DreamsWilliam Bolcom

アメリカの作曲家William Bolcomが作曲した「Violin Sonata No. 2: I. Summer Dreams」という作品です。
ジャズのように軽やかなリズムに激しく鳴るバイオリンが感情的で、胸を締め付けられます。
くりかえされるメロディーは複雑ながら、さりげなく展開しており、細部までこだわっている作品ですね。
交響詩「禿山の一夜」Modest Mussorgsky

この曲は、夏至の頃に、はげ山で地霊が手下たちと大騒ぎするが夜明けとともに消え去っていく、というロシアの民話をもとに作られています。
19世紀のロシアで活躍したムソルグスキーが作曲し、リムスキー・コルサコフが管弦楽用に編曲したものが有名ですが、近年ムソルグスキー自身の手による原典版も知られるようになりました。
Summerland (From Three Visions)William Grant Still

幻想的な世界観を楽しめる『Summerland (From Three Visions)』を紹介します。
こちらはオペラの名作を数多く残した、ウィリアム・グラント・スティルさんの作品。
ピアノ独奏3曲で構成される「Three Visions」の2曲目に当たります。
実はタイトルのサマーランドというのは「天国」を表す言葉で、曲の中ではそのおだやかな雰囲気や、温かみが表現されています。
肉体の消滅を描く『Dark Horsemen』、生まれ変わりを描く『Radiant Pinnacle』とともに聴いてみてください。
小組曲 第1番「小舟にて」Claude Debussy

フランス印象派音楽の先駆者として知られるクロード・ドビュッシーが初期に作曲した、優雅で爽やかな作品。
静かな水面を小舟で漂う様子を描写した本作は、ピアノ連弾のために書かれましたが、後にオーケストラ版も制作されています。
軽やかで繊細な音色が特徴的で、聴く人を穏やかな水上の世界へと誘います。
ゆったりとしたリズムと美しいメロディが、夏の暑さを忘れさせてくれる涼しげな雰囲気を醸し出していますよね。
静かな時間を過ごしたい方にオススメの1曲です。
ボレロラベル

この曲は、ロシアの舞踏家のスペイン風バレエ作品を、という依頼で作曲されました。
ラヴェルは、ある夏、友人と泳ぎに行く前に、ピアノで主題を指1本で弾いてみせ、「ぼくはこれを全く展開させずに何度も繰り返して、オーケストレーションを少しずつ大きくしていこうと思っている」と構想を述べたそうです。
3 Preludes, Op. 56: No. 2. SummerHenning Mankell

スウェーデンの作家として知られるヘニング・マンケルさん。
その祖父で同じ名前のヘニング・マンケルさんが書いた曲がこちらです。
隠れた名曲といいますか、マンケルさんの曲は書かれてからあまり取り上げられなかったのですが、ピアニストのアンナ・クリステンソンさんがその素晴らしさに魅了され、録音したものがこちらの音源です。
スウェーデンの大地を思いおこさせるような壮大なピアノ曲は、北の大地に旅行したような気持ちにさせられますね。
アンダンテ・コン・モートClaude Debussy

音楽というのは人の気分を簡単に変えてしまいます。
気分が変われば感覚や体調も変わっていきます。
日本の暑苦しい夏に飽きた方は、音楽で涼を取ってみてはいかがでしょうか?
ドビュッシーの名曲である、こちらの『アンダンテ・コン・モート』は日本でもさまざまなCMやテレビ番組で使われている作品です。
ゆったりとした涼やかな曲調は、夏にほんの少しだけ訪れる涼しい風が吹く瞬間をイメージさせますね。
睡眠用のBGMとしてもピッタリですので、夏に寝心地が悪くなる方は必見です。
歌劇 「ジョコンダ」第3幕より「時の踊り」Amilcare Ponchielli

19世紀イタリアオペラの巨匠、アミルカレ・ポンキエッリが作曲した楽曲は、夏の暑さを忘れさせてくれる爽やかな作品です。
オペラ『ジョコンダ』の一場面として作られたバレエ音楽は、昼と夜の移り変わりを表現した優雅な旋律が印象的。
軽快なリズムと華やかな音色が、涼しげな風景を思い起こさせます。
ディズニー映画『ファンタジア』での使用で知られる本作は、クラシック初心者の方にもオススメ。
夏の夜、窓辺に座って星空を眺めながら聴くのもすてきですよ。
ポンキエッリの才能が光る、夏にピッタリの1曲です。