リヒャルト・シュトラウスの名曲。人気のクラシック音楽
リヒャルト・シュトラウスはドイツの後期ロマン派を代表する作曲家です。
シュトラウスの代表曲、交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」は映画『2001年宇宙の旅』のテーマ曲として知られています。
また作曲された交響詩で『マクベス』や『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』は吹奏楽でもよく演奏されて、吹奏楽経験者にもおなじみの作曲家でもあります。
初期はシュトラウスの父の影響でモーツァルトやシューマンであるようなクラシックの様式を守った作品が多く、ワーグナーの姪の1人と結婚したアレクサンダー・リッターと出会い革新的な作品を作曲するようになっていきます。
今回は古典的な一面と交響詩の巨匠としての変化していくシュトラウスを楽しめる作品たちを紹介していきます。
時代をなぞって聴くと作風の変化が楽しめるので、作られた時代を気にしながら聞いてみて頂けたらと思います。
リヒャルト・シュトラウスの名曲。人気のクラシック音楽(11〜20)
ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品8 TrV 110ヴァイオリン:ウルフ・ヘルシャー/管弦楽:シュターツカペレ・ドレスデン/指揮:ルドルフ・ケンペ

シュトラウスといえば交響詩ですが、そのシュトラウスの書き残した唯一のヴァイオリン協奏曲です。
シュトラウスがティーンエイジャーの時に書き残した曲は、以降の特徴となる絵画的な色彩感覚にあふれたものではなく、むしろもう少し古い古典派音楽のようであるのはおもしろい所です。
というのは、幼い頃はホルン奏者であった父の影響で保守的な音楽教育を受けており、シュトラウスの原点はこのような古典的なクラシック音楽。
革新的な作風を書くようになったのはヴァイオリン奏者で、ワーグナーの姪の1人と結婚したアレクサンダー・リッターと出会ってからで、1889年より前に作られたものはこのような古典的な作品が多いのです。
古典的な3楽章形式で、カデンツァありません。
ヴァイオリンパートは、特に両端の楽章で高度な技術を必要とするのが特徴です。
スコア付の動画を紹介するのでヴァイオリン弾きはチャレンジしてみてください。
マクベスケンペ指揮、シュターツィカペレ・ドレスデン

リヒャルト・シュトラウスの大きな業績のひとつは、交響詩という形式の音楽を作った事です。
オーケストラで演奏する交響曲と、声楽家が歌って物語るオペラを程よく混ぜたジャンルで、映画音楽でいうサントラを聴いてシーンを思い浮かべるようなジャンルです。
音のそれやそのものだけを表現するのではなく、なにかの標題に基づいて音を表現していくものです。
「マクベス」は、シュトラウスの書いた最初の交響詩です。
原曲はオーケストラの作品ですが、吹奏楽でもよく演奏される名曲で、吹奏楽部だった人や社会人吹奏楽団に入っている方ではおなじみの1曲ではないでしょうか。
シュトラウスの中では最も改訂が重ねてあり、自ら伝えたい内容のために改訂数が苦戦具合を物語っています。
改訂が重ねられたということはさまざななバージョンがあるということでもし違う録音があったら聞き比べてみてください。
死と変容サー・ゲオルグ・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団

これも交響詩に数えられていますが、実際には表題など音楽外的な要素と直接結び付かない器楽様式の絶対音楽として書かれた作品です。
あまりの素晴らしさに感銘を受けたシュトラウスと旧知の仲であるヴァイオリニストで指揮者でもあったアレクサンダー・リッターが、音楽に対して詩をつけたことから、逆の制作過程の交響詩が完成したというわけです。
その深さと内省的な性格は、「メタモルフォーゼン」に匹敵するほどです。
この作品はシュトラウスの3番目の交響詩となりました。
1949年9月8日、シュトラウスは満85歳で世を去りましたが、死の48時間前に昏睡状態から一度意識を取り戻し、「『死と変容』のなかで作曲したことは全て正確だったと」語ったエピソードがあります。
この曲が生まれるのは必然だったかのようなエピソードですね!
まさにタイトルにある『死と変容』を体感する作品ではないでしょうか。
シュトラウスの中でぜひ聴いてほしい作品の一つです。
オーボエ協奏曲ニ長調シュテファン・シーリ

後期ロマン派を代表する巨匠リヒャルト・シュトラウスが、晩年の1945年に作曲しました。
古典的な雰囲気を守りつつ、これまで書いてきた標題音楽にあるようなオーケストラ伴奏がつけられています。
和声だけ鳴らすような部分ではなく、雰囲気や物語るような作り方があり、シュトラウスらしい協奏曲となっています。
オーボエが活躍する作品は多いですが、コンチェルト形式で書かれた曲はこの曲しかないので、シュトラウスのオーボエコンチェルトといえばこの曲のことを指しています。
交響詩の良さを持ってきつつ、宮廷音楽のような作品で聴いていると豪華で優雅な雰囲気になってきますね。
交響的幻想曲『イタリアから』作品16Zdenek Kosler/Slovak Philharmonic Orchestra

交響詩の巨匠でドイツを代表とする作曲家リヒャルト・シュトラウスは、標題をつけた音楽を数多く作曲し、絶対音楽ではなくて、景色や人物、その他のものを音楽であらわす事の多かったのですが、シュトラウスがはじめて標題つきの音楽を書いたのは、1886年に作曲されたこの曲、交響的幻想曲『イタリアから』です。
「ナポリ人の生活」など、イタリアの情景が描かれます。
シュトラウスは父親の影響で保守的な音楽教育を受けていたため、当初はモーツァルトを崇拝し、この作品にもその影響が多くあります。
交響詩の巨匠となっていくちょうど節目の作品であり、内容も見るとまだ描写的な表現はなく、ソナタ形式など4楽章構成のベートーベンやブラームスにあるような曲想となっています。
ここから今でよく聞く交響詩のシュトラウスとなる原点を聞けるのでこの曲から以降、以前の作品を聞いてみるとよいかもしれません。
作風の移り変わりが聞けて楽しめると思います。
ブルレスケ ニ短調(ピアノと管弦楽)マルタ・アルゲリッチ

交響詩『ドン・ファン』や『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』など交響詩の名人という印象があるリヒャルト・シュトラウスですが、立派なピアノコンチェルトも残しています。
そのコンチェルトの一つに『ブルレスケ』があり、タイトルが耳慣れないものですが、クラシック音楽にある楽式の一種です。
ピアノ演奏が超絶技巧のレベルであり、作曲から初演までに時間を要しました。
初演はベートーヴェン直系でリストの高弟であるダルベールでした。
世界のクラシック音楽界で高い評価を受けているピアニストの一人マルタ・アルゲリッチによる演奏もたいへん有名なものです。
技術的な演奏の難しさもですが、風景な部分でも雰囲気を出して聞かせるように弾くのは難しいようです。
しかし、音がどこか風景や人物が物語っているように聞こえる部分が多いのがシュトラウスらしいですね。
リヒャルト・シュトラウスの名曲。人気のクラシック音楽(21〜30)
弦楽オーケストラとハープを伴ったクラリネットとファゴットのための二重小協奏曲 ヘ長調 TrV 293リヒャルト・シュトラウス

リヒャルト・シュトラウスの晩年の作品を紹介します。
1947年に作曲されたこの曲は、クラリネットとファゴットの二重協奏曲で、弦楽オーケストラとハープを伴奏に持つ珍しい編成です。
当初は「豚の番人と王女」といった物語的な要素を持たせる予定でしたが、最終的には純粋な器楽作品として完成されました。
3つの楽章が切れ目がなく演奏される約20分の曲で、クラリネットとファゴットの美しい対話が印象的です。
シュトラウスの円熟した作風が感じられ、クラシック音楽ファンにおすすめの一曲です。