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グスタフ・マーラーの名曲。人気のクラシック音楽

グスタフ・マーラーの名曲。人気のクラシック音楽
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グスタフ・マーラーの名曲。人気のクラシック音楽

交響曲と歌曲の大家として知られ、オーストリアのウィーンで活躍した作曲家、指揮者のグスタフ・マーラーの作品を紹介します。

今では交響曲1番『巨人』や2番の『復活』、交響曲8番『千人の交響曲』などこぞって演奏される作品が多いマーラーですが、当時は指揮者として高い地位を築いた一方で、作曲家としてはなかなか評価されることに時間がかかったそうです。

聴けば聞くほどマーラーの魅力にハマる作り上げた名曲の数々をピックアップしてみました。

ぜひチェックしてみてください。

グスタフ・マーラーの名曲。人気のクラシック音楽(1〜10)

交響曲第9番 ニ長調Gustav Mahler

Mahler Symphony No.9 | Seiji Ozawa & Boston Symphony Orchestra | マーラー:交響曲第9番 小澤征爾 & ボストン交響楽団
交響曲第9番 ニ長調Gustav Mahler

グスタフ・マーラーの遺言とも言える壮大な交響曲が、この作品です。

生涯最後に完成されたこの曲は、マーラーの死生観が色濃く反映されています。

4楽章構成で、各楽章が独特の表情を持っています。

第1楽章では生と死の対比が描かれ、第2楽章はオーストリアの民俗舞踊を基調としています。

第3楽章ではユーモアと辛辣さが融合され、最終楽章は静謐で深遠な音楽が展開されます。

1909年に作曲されたこの曲は、マーラーの死後に初めて公開されました。

本作は、マーラーの音楽的集大成とも言える作品で、多くの音楽愛好家に深い感動を与え続けています。

静かに音楽に耳を傾けたい方におすすめの1曲です。

交響曲第5番 嬰ハ短調Gustav Mahler

レヴァイン指揮マーラー交響曲第5番
交響曲第5番 嬰ハ短調Gustav Mahler

オーストリアが生んだ音楽界の巨匠グスタフ・マーラーが残した壮大な交響曲です。

5つの楽章からなる約70分の大作で、弦楽器の美しい旋律と管楽器の力強い響きが織りなす豊かな音の世界が広がります。

特に第4楽章「アダージェット」は映画『ベニスに死す』で使用され、マーラー音楽の代名詞となりました。

本作は1902年に完成し、1904年10月18日に初演されました。

マーラー自らの人生や自然への思いが込められた本作は、聴く者の心に深く響く感動的な名曲です。

クラシック音楽に興味のある方はもちろん、壮大な音楽に触れたい方にもおすすめです。

交響曲 第2番 ハ短調「復活」Gustav Mahler

マーラー - 交響曲 第2番 ハ短調「復活」  マゼール ウィーンフィル
交響曲 第2番 ハ短調「復活」Gustav Mahler

グスタフ・マーラーの2番目の交響曲です。

愛称付きの作品は親しまれるのか、それとも親しみと共感があって愛称が付いたのか、「巨人」に続いて演奏頻度の高い交響曲です。

クラシック界の作曲家や偉大な演奏家の追悼公演でもよく取り上げられるこの「復活」ですが、マーラー本人はこの名称を使用したことはないそうです。

編成は交響曲1番に比べて大きくなっており、オルガンや舞台外の楽隊バンダの導入、4楽章と5楽章に声楽を取り入れるなど編成が肥大化していく時期でもありました。

マーラーの作曲した作品で『葬礼』というのがありますが、この1楽章の原型の曲ですのでぜひ『葬礼』も聞いてみてください。

交響曲第1番 ニ長調「巨人」Gustav Mahler

「巨人」の愛称で知られるグスタフ・マーラーが作曲した最初の交響曲です。

「青春」と改題しても良いのではないかと思う位、人間の青年期における心象風景を描き尽くしています。

チャイコフスキーやカリンニコフの交響曲第1番などと同じく若書きの作品でありながら完成度が極めて高い名曲です。

マーラーが作曲した交響曲の中では編成もちょうどよく、他の交響曲に比べて演奏時間も短いのでオーケストラのコンサートで演奏頻度が最も高い曲でもあります。

初演時には「交響詩」として発表され、1893年に上演された際にこの『巨人』というタイトルがつけられましたが、このタイトルはマーラーの愛読書であったジャン・パウルの小説『巨人』から取ったものとされています。

交響曲第3番 ニ短調Gustav Mahler

マーラー/交響曲第3番:ハイティンク/ベルリン・フィル
交響曲第3番 ニ短調Gustav Mahler

8本の勇壮なホルンで開始されるこの交響曲、始まった途端にオーストリアが誇る作曲家で、巨匠グスタフ・マーラーの世界に引き込まれてしまいます。

マーラーは作曲する度に長く、そして編成も肥大化しており、この曲では弦楽器だけで88人も必要で、演奏時間も交響曲1番の時は55分くらいだったのに対し、6楽章構成でなんと1時間40分に及びます。

かつては「世界最長の交響曲」としてギネスブックに掲載されていたほどの長さです。

しかし、人間の内面的ドラマを描いた前2作の交響曲と異なり、自然への強い共感と賛歌がこの作品には見られます。

当初は7楽章構成で構想されていたそうなので、いかにマーラーの作曲意欲の高さが伺える作品です。

交響曲「大地の歌」Gustav Mahler

Mahler “Das Lied von der Erde” Otto Klemperer
交響曲「大地の歌」Gustav Mahler

1908年にグスタフ・マーラーが作曲した二人の独唱による声楽が伴う交響曲です。

大地の歌は交響曲第8番に次いで完成され、本来ならば「第9番」という番号が付けられるべきものでしたが、ベートーヴェンやブルックナーが第9交響曲を書いて世から去っていることを意識したマーラーは、この曲に交響曲番号を与えずに「大地の歌」としました。

ドイツの詩人ハンス・ベートゲが編んだ詩集「中国の笛」(Die chinesische Flöte)による6楽章からなる交響曲です。

交響曲第6番 イ短調Gustav Mahler

ショルティ指揮マーラー交響曲第6番
交響曲第6番 イ短調Gustav Mahler

後期ロマン派音楽の頂点に君臨する作品といえるでしょう。

本作は、人生の苦悩や運命との戦いを描いた壮大な交響曲です。

1903年に完成され、約80分の演奏時間を要します。

4つの楽章で構成され、特に最後の楽章では「運命の鉄槌」と呼ばれる衝撃的な打楽器音が印象的です。

力強い行進曲のリズムや、不規則な拍子を用いた複雑な音楽構造が特徴的で、聴く者の心を揺さぶります。

グスタフ・マーラーは本作を通じて、人間存在の深遠なテーマに迫っています。

クラシック音楽の醍醐味を味わいたい方や、音楽を通じて人生の真理を探求したい方におすすめの一曲です。

歌曲集「亡き子をしのぶ歌」から「いま晴れやかに陽が昇る」Gustav Mahler

Mahler – Kindertotenlieder – Nun will die Sonn so hell aufgehn (with lyrics) (1/5)
歌曲集「亡き子をしのぶ歌」から「いま晴れやかに陽が昇る」Gustav Mahler

本曲はグスタフ・マーラーが作曲した声楽とオーケストラのための連作歌曲の一つです。

「虫の知らせ」とは一般的には不幸の訪れを予感することですが、潜在的にマーラーに何かが「知らされた」のでしょう。

マーラーはこの作品を書いた4年後、最愛の娘マリアを猩紅熱によって4歳で失うという悲劇に襲われます。

弟の自殺など肉親との死別の多かったマーラーですが、この曲では皮肉にも娘の死を悲しむ父親の姿が見事に表現されています。

通常歌曲はピアノ伴奏であることが多いのですが、本作品ではオーケストラが伴奏となっており、オーケストラによる伴奏がより劇伴感があって物悲しくなります。

交響曲第4番 ト長調Gustav Mahler

『交響曲第4番 ト長調』は、グスタフ・マーラーの作品の中でも親しみやすい雰囲気が特徴的です。

全4楽章からなるこの曲は、特に第4楽章でソプラノ独唱が導入され、天上の生活を描いた『少年の魔法の角笛』の詩が用いられています。

軽快で明るい曲想の中に、マーラーならではの皮肉や風刺が隠されており、聴けば聴くほど新たな発見がある作品です。

1901年11月の初演時には聴衆からブーイングを受けたそうですが、今では多くの人々に愛される名曲となっています。

クラシック音楽に興味はあるけれど難しそうと感じている方にもおすすめの1曲です。

交響詩『葬礼』Gustav Mahler

Mahler: Totenfeier ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Eliahu Inbal
交響詩『葬礼』Gustav Mahler

死と葬儀をテーマにした交響詩として構想された本作は、グスタフ・マーラーの深い思索が込められた傑作です。

低音の弦楽器による物悲しくも威厳がある主題で始まり、葬送行進のリズムが展開していきます。

ベートーヴェンやショパンの葬送曲とは異なり、柔らかな心の揺れ動きが感じられる音楽性が特徴的です。

マーラーの個人的な死生観や苦悩、悲しみが表現されており、人生の儚さや死を超えようとする人間の葛藤が音楽に反映されています。

深遠なテーマを扱った本作は、人生や死について考えたい方におすすめの1曲です。

グスタフ・マーラーの名曲。人気のクラシック音楽(11〜20)

少年の魔法の角笛 6.魚に説教するパドヴァの聖アントニウスGustav Mahler

風刺的なユーモアと深い洞察が織り交ぜられた名作です。

聖アントニウスが魚たちに説教するという奇妙な設定ながら、人間社会への鋭い批評が込められています。

軽快な3/8拍子のメロディーと、のっそりとした亀や、ヌルヌルしたウナギを思わせる伴奏が、ユーモラスな雰囲気を醸し出しています。

一時的に感動しても元の習性に戻ってしまう魚たちの姿は、私たち人間の姿を映し出しているようで、思わず苦笑してしまいます。

クラシック音楽に馴染みのない方でも、この曲のウィットに富んだ表現を楽しめるでしょう。

人間性を深く見つめたい方におすすめの1曲です。

交響曲第1番「巨人」 より「花の章」Gustav Mahler

ウィーン国立歌劇場の指揮者として活躍したマーラーが残した『巨人』。

その第2楽章「花の章」は、マーラーの恋愛感情がよく表れており、儚げな音楽です。

トランペットの穏やかな旋律にヴァイオリンが寄り添い、木管楽器が抒情的に歌います。

1889年の初演後、マーラーはこの楽章を削除しましたが、1967年に復活初演されました。

マーラーの初期作品に見られるロマンティシズムや個人的な感情表現が垣間を見える貴重な楽章です。

クラシック音楽の中でもロマンティックな音楽を好む方におすすめです。

カンタータ「嘆きの歌」Gustav Mahler

嘆きの歌( マーラー)ブーレーズ指揮・ロンドン交響楽団
カンタータ「嘆きの歌」Gustav Mahler

グスタフ・マーラーの名曲ともいえるこの作品は、カンタータとしての魅力が存分に詰まっています。

若き日のマーラーが手掛けた壮大な作品で、オーケストラと独唱、合唱を駆使した複雑な編成が特徴的です。

民話をもとにした物語は、兄妹の悲劇的な運命を描き、愛と裏切り、復讐といったテーマが織り込まれています。

マーラーの後の交響曲に通じる音楽的な試みが随所に見られ、豊かな管弦楽法や感情表現の深さが印象的です。

人間ドラマに興味がある方や、マーラーの音楽的世界を深く知りたい方におすすめの1曲です。

交響曲第10番 嬰ヘ長調Gustav Mahler

クラシック音楽の世界で異彩を放つ未完の交響曲を紹介します。

本作は、作曲家の内面的な苦悩や絶望感が色濃く反映された深い表現力を持っています。

第1楽章の緩やかなテンポと悲痛なメロディが特徴的で、聴く者の心に強く響きます。

1910年に作曲が開始されたものの、翌年の作曲家の死により未完のまま遺されました。

しかし、その後の音楽学者たちの尽力により、現在では演奏が可能な形で楽しめます。

革新的な和声やトーン・クラスターの使用など、現代音楽への影響も見逃せません。

クラシック音楽の奥深さや人間の感情の機微に触れたい方におすすめの一曲です。

交響曲第7番 ホ短調Gustav Mahler

10年にわたって務めてきたウィーン王立歌劇場音楽監督の時代に作曲されたグスタフ・マーラーの7番目の交響曲です。

指揮者や音楽監督として多忙だったマーラーは1899年に南オーストリア、ヴェルター湖岸のマイアーニックという場所に作曲のための別荘を建設していました。

その別荘にて、1904年の夏『交響曲第6番イ短調』や『亡き子をしのぶ歌』とほぼ同時に本『交響曲第7番』の作曲に着手、先に2つの「夜曲」が完成し、1年後に残りの楽章を作って完成させています。

第7番の作曲当時にヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品を持ち込んでおり、その影響からかバロック時代を思わせるのような雰囲気があるフレーズが多々出てきます。

1908年9月にプラハで初演されたこの曲は、独特の構成と多彩な音色で聴衆を魅了し続けています。

少年の魔法の角笛 10.トランペットが美しく鳴り響くところ (Wo die schönen Trompeten blasen)Gustav Mahler

愛と戦争を描いた歌曲で、優しさと切なさが交錯しています。

恋人たちの穏やかな会話と、戦争を象徴するトランペットをイメージした音が対照的に描かれ、深い感情を表現しています。

民謡的な要素と情熱的な表現が融合し、聴く人の心に響く作品となっています。

トランペットの号令をイメージしたモチーフが象徴的に使われ、戦争への召集を暗示しています。

1892年から1893年にかけて作曲されたこの曲は、マーラーの音楽的革新性が光る一曲です。

人生の儚さや無常を感じたい方、深い感動を求める音楽ファンにおすすめの一曲です。

歌曲集「さすらう若人の歌」から「僕の胸の中には燃える剣が 」Gustav Mahler

グスタフ・マーラーの作品には、珍しい編成のものがたくさんあります。

この曲は歌と管弦楽のために作られた作品で、声の美しさを引き出している名曲です。

通常の歌曲は伴奏にピアノが使われますが、オーケストラを用いることで豊かな音色と表現力を実現しています。

歌詞の内容も深く、失恋の痛みを鋭く描写しており、聞いても飽きません。

ハーモニーも素晴らしく、感情表現も豊かで、リスナーだけでなく実際に歌う歌手にもおすすめの作品です。

心の痛みを音楽で表現したい方や、マーラーの音楽世界に触れてみたい方にぴったりの曲ではないでしょうか。

歌曲集「若き日の歌」から「春の朝」Gustav Mahler

クラシック音楽の名曲、今回は若き日のグスタフ・マーラーが紡いだ美しい歌曲をご紹介します。

春の訪れを告げる菩提樹が、眠る人を優しく起こそうとする情景が描かれています。

3拍子から5拍子へと変化する軽やかなリズムが、春の朝の爽やかさを見事に表現しています。

マーラーの若々しい感性と自然への愛情が感じられる一曲です。

シューマンの影響を感じさせるロマンティックな旋律は、聴く人の心に春の喜びを運んでくれることでしょう。

クラシック音楽入門者の方にもおすすめの、親しみやすくも奥深い名作です。

ピアノ四重奏曲 イ短調Gustav Mahler

交響曲と歌曲に膨大な作品を残したグスタフ・マーラーですが、室内楽として残存している唯一の作品がこの「ピアノ四重奏曲」があります。

マーラーは15歳のときにウィーン楽友協会音楽院へ入学し、16歳の時に作曲科の試験に提出するために創作されました。

学生時代に作られたということもあり、内容も非常に和声を勉強し始めたような古典のクラシック音楽に寄っています。

学生時代に『ピアノ小品集』や『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ』などあったと言われるものの、卒業後のマーラーは交響曲や歌曲の作曲を主に行っているため、室内楽作品は作曲されませんでした。

この「ピアノ四重奏曲」以外は紛失しており、この作品でも1楽章しか残っておらず、『ピアノ四重奏断章』とも言われています。

学生時代の習作として書かれた作品です。

交響曲第8番 変ホ長調Gustav Mahler

Mahler – Symphony No. 8 in E-flat major – Jansons/BRSO
交響曲第8番 変ホ長調Gustav Mahler

クラシック界のバベル塔というべきグスタフ・マーラーが巨匠と言われる由縁となる交響曲です。

「千人の交響曲」の名で広く知られている作品で、8人の独唱者、2つの児童合唱団、チェレスタ、ピアノ、オルガン、ハルモニウム、ハープ 2パート、マンドリンとオーケストラという膨大な編成を持ち、ミュンヘンで行われた初演では実際に千人を超える演奏者で公演されました。

初演には1年がかりで進められ、一堂に会することが困難なために練習も分散して行われてました。

初演は大成功をおさめ、マーラーは生涯の中で最高の名声の絶頂に達したと言われています。

妻アルマ・マーラーに贈られました。

自らの作品を他者に献呈したのは、これが唯一の作品です。

マーラーは初演8カ月後にこの世から去りましたが、この作品を生むことが天命だったのかもしれません。

以降、1911年の秋から翌春にかけて、第8交響曲はウィーンだけで13回上演されました。

グスタフ・マーラーの名曲。人気のクラシック音楽(21〜30)

リュッケルトの詩による5つの歌曲から「私はこの世に捨てられて」Gustav Mahler

マーラー歌曲『わたしはこの世に忘れられて』/クレンペラー指揮(歌詞字幕つき)
リュッケルトの詩による5つの歌曲から「私はこの世に捨てられて」Gustav Mahler

18世紀のドイツの詩人リュッケルトは、ドイツ・リート史上最も作曲家に愛された詩人で、シューベルトを始め多くの作曲家が彼の詩を使っています。

マーラーも彼の詩から連作歌曲集を作曲しました。

穏やかにコール・アングレから始まるこの曲では、俗世から離れ孤高の精神で過ごす芸術家の姿が感動的に描かれています。

マーラーのゆったりした旋律は極上です。

交響曲 第5番 嬰ハ短調 第4楽章「アダージェット」Gustav Mahler

静ひつな美しさと深い情感をたたえた名曲として知られるマーラーの作品。

1901年、ウィーン宮廷歌劇場の指揮者として多忙を極めていた彼が、夏の休暇中にオーストリア南部で着想を得たものです。

弦楽器とハープのみで構成された繊細な楽想は、愛する人への思いを込めて紡がれたとされ、聴く者の心に深く染みわたります。

ゆったりとしたテンポで奏でられる旋律は、まるで時が止まったかのような静寂の中で、聴く者を静かな感動の渦に巻き込みます。

心を落ち着かせたいとき、深い感情に浸りたいときにオススメの1曲です。

リュッケルトの詩による5つの歌曲から「真夜中に」Gustav Mahler

ジェシー・ノーマンはアメリカのソプラノ歌手で、「ソプラノ・ドラマティコ」と呼ばれるドラマティックな歌唱で定評があります。

かといって抒情的表現にも欠けることはなく主としてオペラで活躍しています。

陰鬱な楽想が深夜と絶望が描枯れて行きますが、金管楽器とともに歌われる終結部では一転オペラのようなドラマティックな展開となり曲を閉じます。

交響曲第2番「復活」Gustav Mahler

マーラー - 交響曲 第2番 ハ短調「復活」  マゼール ウィーンフィル
交響曲第2番「復活」Gustav Mahler

この曲は1888年から1894年にかけて作曲されました。

この曲の作曲中、彼にはさまざまな悲劇が訪れます。

それでも、彼は作曲し続けました。

「復活」という表題は最終楽章のものです。

大編成の管楽器や、コーラスが美しいですね。

彼の境遇を想像しながら聴くとまた一段と深みの出る曲だと思います。

交響曲 第5番より第4楽章 アダージェットGustav Mahler

グスタフ・マーラーが手掛けた『交響曲 第5番』のなかの第4楽章は、弦楽器とハープのみで構成された美しい作品。

マーラーの当時の妻アルマへの愛情を表現したとされ、別名「愛の楽章」とも呼ばれています。

ゆったりとしたテンポと深い感情表現が特徴的で、静かで瞑想的な雰囲気が漂います。

1971年の映画『ベニスに死す』で使用されたことで広く知られるようになり、その後も多くの人々に愛され続けてきました。

複雑な感情や内省を音楽で描写しており、静寂の中に潜む情熱を感じ取ることができます。

歌曲集「さすらう若人の歌」から「恋人の婚礼の時」Gustav Mahler

青年期の失恋の経験は人の一生に影響するものですが、この歌曲集もマーラーの失恋から生まれたと言われています。

作曲家自身が作詞しており、マーラーの人生の一時代をくっきりと描き出されている作品であると思います。

また初期の交響曲群との関連性が強く、歌謡性の強いマーラーの作曲技法の発展が予見されています。

歌曲集「さすらう若人の歌」から「恋人の青い目」Gustav Mahler

Mahler: Lieder eines fahrenden Gesellen, Fischer-Dieskau & Furtwängler (1952) さすらう若者の歌
歌曲集「さすらう若人の歌」から「恋人の青い目」Gustav Mahler

主人公の恋は成就することなく恋人は彼の元から去って行きました。

菩提樹の木陰に横たわり「何事も起こらなければよいのに、万事がうまくいくと良いのに、何かも……・・恋も……悲しみも……世界も……夢も……」と願いながら、花びらが体の上に覆いかぶさるのに任せます。

諦めと詠嘆、この曲も「巨人」第3楽章で使用されています。

歌曲集「さすらう若人の歌」から「朝の野を歩けば」Gustav Mahler

交響曲第1番「巨人」第1楽章の主要主題として知られる旋律がこの歌曲です。

「今朝、野を行くと、露がまだ草の上に残っていた」と快活に歌いだされるメロディーは青年らしい純粋さと活気に満ちています。

しかし「私の幸せは始まったのだろうか?

いや、私の望むものは決して花開くことはない」と否定的な心情が歌われ曲を閉じます。

マーラーの青春の歌と言えるでしょう。

歌曲集「亡き子をしのぶ歌」から「きみのお母さんが戸口から入ってくるとき」Gustav Mahler

多くのマーラーの歌曲集は、ピアノ伴奏で構想されその後管弦楽伴奏が付されたものと考えられます。

ピアノという楽器は色彩感ではもちろんオーケストラには匹敵しませんが、音域、和声などオーケストレーションする要素としては全てを備えておりピアニストは「一人オーケストラ」の指揮者であるとも言えるでしょう。

この動画ではピアノ伴奏でお聴きください。

歌曲集「子供の不思議な角笛」から「3人の天使がやさしい歌を歌う」Gustav Mahler

Konzerte der Gustav Mahler Vereinigung — XXII — “Es sungen drei Engel einen süssen Gesang”
歌曲集「子供の不思議な角笛」から「3人の天使がやさしい歌を歌う」Gustav Mahler

交響曲第3番第5楽章「天使たちが私に語ること」として有名なのがこの曲です。

歌曲としてよりも、シンフォニーの中で聴くことが圧倒的に多い作品です。

鐘の音を思わせる児童合唱に始まり、弦楽器、管楽器によるスピード感とメリハリのある伴奏に乗ってソプラノが歌い出します。

マーラーの楽器法や管弦楽法、高い音楽的な知性を感じさせる名曲です。

グスタフ・マーラーの名曲。人気のクラシック音楽(31〜40)

歌曲集「子供の不思議な角笛」から「この歌を作ったのは誰?」Gustav Mahler

ドイツリートの中でマーラーの存在は特異です。

シューマンやブラームス、遡ってベートーヴェンやシューベルトは、ピアノ伴奏付歌曲がほとんどです。

ところがマーラーは管弦楽伴奏版を多く残しました。

同じく後期ロマン派に属するリヒャルト・シュトラウスも同じ傾向にあり、表現の多様性や色彩感を求めた結果なのではないかと思います。

歌曲集「子供の不思議な角笛」から「トランペットが美しく鳴り響くところ」Gustav Mahler

うつむいいてゆったりと歩いていくマーラー青年の姿が見えるようです。

シューベルトの冬の旅に共通する詩情を感じます。

マーラーは強度の躁鬱病であったと言われていますが、心の振幅が人一倍広かったので、激情も憧憬も強烈だったのでしょう。

この曲でも、穏やかで静かな楽想の中から、強い憧れの歌が聴こえてきます。

歌曲集「子供の不思議な角笛」から「ラインの伝説」Gustav Mahler

Mahler / Elisabeth Schwarzkopf, 1968: Rheinlegendchen – Des Knaben Wunderhorn
歌曲集「子供の不思議な角笛」から「ラインの伝説」Gustav Mahler

ライン川はヨーロッパ、特にドイツにとって「父なる川」として重要な河川です。

ゆったりと流れるライン川の明るい水面を思わせる音形からソプラノが美しい歌を歌い出します。

短い歌曲の中に自然に田する尊敬や敬意、その中で生きる人間の幸福が歌われています。

悲観的だったと思われるマーラーですが、こんな楽天性も持っていたのですね。

歌曲集「子供の不思議な角笛」から「死んだ鼓手」Gustav Mahler

軍楽隊の行進を感じさせる重々しくも推進するリズムがほどよい緊張感を作り出しています。

歌っているジョゼ・ヴァン・ダムはベルギーのバリトン歌手で、オペラなどの舞台芸術やリートで活躍しています。

この演奏でも、リートの名手として存在感のある美しい歌声を聴かせてくれており、オーケストラとのアンサンブルも完璧です。

歌曲集「子供の不思議な角笛」から「番兵の夜の歌」Gustav Mahler

当初ピアノ伴奏で作曲されたこの歌曲集は、作曲者の初期交響曲群に大きな影響を与えています。

生家が軍隊の宿営地の近くだった彼は、作品に信号ラッパや兵隊達の行進を感じさせる楽想を多く書いています。

この曲にもその要素が多く見られますね。

指揮のバーンスタインはマーラーを得意とし、多くの優れた録音を残しています。

歌曲集「子供の不思議な角笛」から「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」Gustav Mahler

イアン・ボストリッジは、世界中で活躍しているテノール歌手の一人です。

録音でも多くの賞を獲得しており、グラミー賞に12回ノミネートされる等高い人気を維持しています。

この曲は、交響曲第2番の第3楽章に使用されていることでも有名ですが、歌詞はルートヴィヒ・アヒム・フォン・アルニムとクレメンス・ブレンターノが収集した、ドイツの民衆歌謡の詩集からとられています。

交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」 第3楽章:緩慢なことなく、壮重に威厳をもってGustav Mahler

マーラーは、ドイツの作曲家です。

「巨人」の第3章は、ティンパニの静かな打音が静かに始まります。

次に古くからのボヘミア民謡を思わせるような哀感の漂うオーボエの旋律が重なります。

曲全体には重苦しい雰囲気が漂います。

「巨人」という題名は、ドイツのロマンは作家パウルの師をもとに付けられました。

交響曲 第5番から「アダージェット」Gustav Mahler

19世紀と20世紀の音楽をつなぐ作曲家グスタフ・マーラーが手掛けた交響曲の一部です。

マーラーは1860年にオーストリア帝国で生まれ、1911年に亡くなりました。

彼の音楽には自然や民俗音楽の要素が取り入れられています。

この楽曲は、ハープと弦楽器による美しい旋律が特徴で、マーラーの妻アルマへの愛が込められているそうです。

1904年に初演された際は受け入れられませんでしたが、今では映画やイベントでも使われる人気曲になりました。

静かな中にも強い感情が込められた本作は、心を落ち着かせたい時や大切な人への思いを感じたい時におすすめです。

交響曲第1番「巨人」Gustav Mahler

こちらの曲はグスタフ・マーラーが作曲した最初の交響曲です。

この曲に『巨人』というタイトルがつけられたのは彼の愛読書、ジャン・パウルの小説からきています。

この小説は主人公が恋愛や多くの人生経験を重ねて、成長していく姿が描かれています。

マーラーの交響曲の中では演奏時間が短く、親しみやすい曲想なので、演奏されることが多い作品です。

カッコウの鳴き声ともとれるメロディーが繰り返し出てきて、自然がいっぱいの森の中にいるかのような気分になる曲です。

交響曲第3番 第1楽章Gustav Mahler

マーラー交響曲第3番 第1楽章(インバル)
交響曲第3番 第1楽章Gustav Mahler

マーラーはアッター湖畔のシュタインバッハに小さな「作曲用の小屋」を建てて、午前中は作曲、午後は散歩、と夏の休暇を楽しんでいました。

そしてその美しい自然を交響曲第3番として表しました。

第3番にはかつて「夏の朝の夢」というタイトルがつけられ、世界で最も長い交響曲としてギネスブックにも登録されていました。

グスタフ・マーラーの名曲。人気のクラシック音楽(41〜50)

交響曲第5番Gustav Mahler

グスタフ・マーラー 交響曲 第5番 嬰ハ短調 by バーンスタイン
交響曲第5番Gustav Mahler

トランペットの不吉なファンファーレから始まるこの曲は、20世紀にマーラーが書いた最初の交響曲です。

重々しく始まるこの曲は後半になるにつれ、明るく壮大となり、「葬送」から「勝利」へと導かれて行きます。

この曲には自身が作曲した歌曲『少年の魔法の角笛』や『亡き子をしのぶ歌』などから引用されているメロディーもあります。

4楽章はヴィスコンティ監督の映画『ベニスに死す』で使われたことでも有名です。

交響曲第5番第4楽章Gustav Mahler

マーラー: 交響曲第5番 – 第4楽章 アダージェット[ナクソス・クラシック・キュレーション #癒し]
交響曲第5番第4楽章Gustav Mahler

1912年に公開されたルキノ・ヴィスコンティの映画、『ヴェニスに死す』の中で印象的に使われたことでも有名なこの曲。

マーラーが20歳年下のアルマと結婚し、さまざまな芸術家とつきあいを始めた絶頂期に書いた作品の一つです。

この曲は、結婚したばかりのアルマへのラブレターとも言われています。

神秘的なハープの伴奏を伴って、バイオリンが情緒的な旋律をゆったりと奏で始めます。

美しくも切ない旋律が紡がれながら、徐々に厚みと深みが増していく魅力的な一曲です。

交響曲第3番Gustav Mahler

マーラーの交響曲の中で最も演奏時間が長く、約100分である。

これはベートーヴェンの第九交響曲を超え、世界一長い交響曲としてギネス認定されている。

全六楽章からなり、オーケストラの他にアルト独唱、児童合唱、女声合唱が導入されている。

おわりに

いかがだったでしょうか。

オーケストラを良く聞くという方はマーラーの交響曲1番『巨人』や8番の『千人の交響曲』は聴いたことがあると思いますが、歌曲の名曲も数多く残していたり、唯一といっていい室内楽作品もあります。

どれも素晴らしい作品で、有名曲で知っていたマーラーのイメージが変わったのではないでしょうか。

当時は指揮者としては高い評価もあったため、指揮者として名言も多く、あのヨハネス・ブラームスやピョートル・チャイコフスキーも聞きに行ったほど評価が高いものでした。

オーケストラの録音は残っていないのですが、交響曲第4番・5番や歌曲はマーラー本人が弾いたピアノロールは残っており、これも必聴ものです。

マーラーの作品は奥深く、これからも作品を聴き続けて頂けたらと思います。

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