【おすすめ】交響曲&宗教曲の大家・ブルックナーの名曲を厳選
交響曲と宗教音楽の大家と知られた、オーストラリアの作曲家兼オルガニスト、アントン・ブルックナー。
本記事では、重厚感のある曲調や、敬けんなカトリック教徒であったことがうかがえる宗教色の強い作風で知られる彼の作品の中でも、名曲として幅広く知られている作品をご紹介します。
オーストリアの豊かな自然と荘厳なバロック建築の教会を思わせる優雅で壮大な風景が見え隠れする、ブルックナーらしい深みのある作品の数々を、動画と解説あわせてお楽しみください。
【おすすめ】交響曲&宗教曲の大家・ブルックナーの名曲を厳選(1〜10)
交響曲 第8番 ハ短調Anton Bruckner

1878年に完成し、その後改定が繰り返された後、1892年に初演された作品。
当時のオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフに献呈された、演奏時間が80分を超える大作です。
叙情的で野趣あふれる曲調が魅力的で、国内外の演奏会で頻繁に取り上げられています。
交響曲 第5番 変ホ長調Anton Bruckner

アントン・ブルックナーの交響曲の中でも、荘厳で力強い曲調を持つことで有名な作品です。
第1楽章から気迫のある金管楽器が鳴り響き、高揚と沈静を繰り返しながら、第4楽章へと力強く進んでいきます。
1年の始まりで気持ちを引き締めたいとき、重厚で格調高いクラシック音楽を聴きたいときにおすすめの1曲です。
交響曲 第3番 ニ短調「ワーグナー」Anton Bruckner

リヒャルト・ワーグナーに献呈されたエピソードから『ワーグナー交響曲』とも呼ばれる作品。
ワーグナーの作品からの引用や、ミサ曲の一部が織り込まれるなど、美しく荘厳な印象の1曲です。
ブルックナー中期の作品の一つとして、愛好家の中では人気のある交響曲です。
交響曲 第4番 変ホ長調「ロマンティック」Anton Bruckner

「ロマンティック」との副題が示すとおり、冒頭のホルンの響きから始まる流麗な曲調が魅力的な作品です。
4つの楽章から構成され、小鳥のさえずりを模したバイオリンの音や、一日の始まりを告げるホルンを表現した箇所などが織り込まれ、明るく広々とした田舎の風景を思い起こさせます。
交響曲 第7番 ホ長調Anton Bruckner

バイエルン王ルートヴィヒ2世に献呈された曲で、1884年の初演で大成功を収めた作品として知られています。
明るく輝かしい第1楽章から始まり、転調に富んだ第2楽章、野趣あふれる第3楽章へと進み、親しみやすい第4楽章で幕を閉じます。
現在でも人気があり、演奏機会の多い1曲です。
ヘルゴラントAnton Bruckner

アントン・ブルックナーが生涯最後に完成させた、男声合唱とオーケストラのための作品で、ウィーン男声合唱協会の創立50周年のために作曲されました。
この曲が生まれた当時は、「ヘルゴラン島」が正式にドイツ領として認められたこともあり、ドイツ族主義的色彩がこめられています。
交響曲 第1番 ハ短調Anton Bruckner

1866年に完成しましたが、その後作曲家により何度も改定が重ねられ、複数の稿が存在する作品です。
端正なメロディをもつ第1楽章、美しい風景を思わせる第2楽章、素朴な味わいのある第3楽章へと進み、ドラマティックな第4楽章で締めくくられます。
弦楽五重奏曲 ヘ長調Anton Bruckner

1879年、アントン・ブルックナー55歳のときに作曲された室内楽曲。
当時、ウィーンで著名なバイオリニストであったヨーゼフ・ヘルメスベルガー1世の勧めによるといわれていますが、一部の改作を巡るやりとりが長引き、1881年にようやく初演されました。
バイオリンとビオラ、そしてチェロの音色が響き合う、厚みのある1曲となっています。
デ・テウム ハ長調Anton Bruckner

アントン・ブルックナーの宗教音楽の中でも比較的よく演奏されるのが、この『デ・テウム』です。
「神なる御身を我らはたたえ」という伝統的歌詞から始まる合唱曲で、全5曲から構成されています。
荘厳で力強く、重厚感あふれる曲調が印象的な作品です。
思い出 変イ長調 WAB.117Anton Bruckner

アントン・ブルックナーのピアノ作品『思い出 変イ長調 WAB.117』は、1868年に作曲され、1900年にウィーンで出版されています。
生涯を通じて宗教音楽と交響曲の作曲家として名をはせたブルックナーですが、この作品では彼の別の一面、すなわちオルガニストとしての技術と深い感情表現を垣間見ることができます。
約5分間の演奏で描かれるのは、内省的で情感豊かな一幕。
さりげなく語られる旋律が、聴く者の心に深くしみ入る1曲です。
【おすすめ】交響曲&宗教曲の大家・ブルックナーの名曲を厳選(11〜20)
ミサ曲 第3番Anton Bruckner

『ミサ曲 第3番 ヘ短調』は1867~68年に作曲された作品。
彼の深い信仰心と成熟した作曲技法が融合し、荘厳ながらも情感豊かな音楽に仕上げられているこのミサ曲は、ブルックナーの宗教音楽の集大成といっても過言ではありません。
特にベネディクトゥスの部分では、弦楽器の温かみある音色が心に響くでしょう。
ブルックナーの音楽は、複雑ながらも美しい和声で聴く人の心を捉えます。
静寂を求める夜、心を落ち着かせたいときなどに聴いてみてはいかがでしょうか?
交響曲 第0番 ニ短調Anton Bruckner

アントン・ブルックナー初期の筆頭とも言える作品。
第1番より先に着手されたものの、完成は1番より後だったというのが現在における定説です。
演奏会や録音で取り上げられることは少なく、かつては交響曲全集にも含まれなかった作品ですが、ブルックナー交響曲の奔りとして注目されています。
レクイエム ニ短調Anton Bruckner

アントン・ブルックナーが亡き恩人に哀悼の意を示すために作曲したのが、このレクイエムです。
男女の独唱と混声4部合唱、オーケストラとオルガンで構成され、切なくも格調高い曲調の作品として知られています。
1849年、聖フローリアン教会で初演されましたが、晩年の1982年に改定され、現在に残されています。
ミサ・ソレムニスAnton Bruckner

1854年に作曲された『ミサ・ソレムニス』は、アントン・ブルックナーがザンクトフローリアン修道院の強い影響を受け、深い信仰心を音に込めて作曲した全6楽章のミサ曲です。
ソリ、4部混声合唱、オーケストラによって演奏されるこの曲からは、ブルックナーの音楽的な深さと、彼の信仰の深さが感じられます。
宗教色が強い作品ではありますが、敬けんなカトリック教徒だった彼の心情が表れた音楽を耳にすれば、信仰の有無にかかわらず誰もが清々しい気分に浸れることでしょう。
前奏曲 ニ短調Anton Bruckner

アントン・ブルックナーは交響曲や宗教音楽の他、オルガン曲も7曲ほど残しています。
この『前奏曲 ニ短調』は1864年頃に作曲された作品。
3分弱ほどの小品ですが、ブルックナーらしい荘厳さをたたえた曲調と、重厚な和音が魅力的な1曲です。
幻想曲 ト長調Anton Bruckner

1868年に作曲されたピアノ曲。
さざなみのような伴奏に明るく叙情的なメロディが重なり、この上ない魅力を醸しだしています。
「ブルックナーといえば荘厳で力強い曲調」というイメージを良い意味で裏切る作品といえるでしょう。
ブルックナーの少し違う側面を見てみたい方におすすめの1曲です。
管弦楽のための3つの小品Anton Bruckner

『行進曲 ニ短調』とともに、アントン・ブルックナーが初めて完成させた管弦楽曲といわれており、『行進曲 ニ短調』とまとめて『4つの管弦楽小品』と呼ばれることもあります。
演奏会で取り上げられることは少ないようですが、初期のブルックナー作品を味わえる貴重な作品集です。
行進曲 ニ短調 WAB.96Anton Bruckner

1862年に作曲された『行進曲 ニ短調 WAB.96』は、アントン・ブルックナーがチェロ奏者オットー・キッツラーに師事していた際に練習のために書かれた作品。
ロマン派のスタイルを特徴とするこの楽曲には、オーストリアの豊かな自然やバロック建築の荘厳さを思わせるブルックナーらしさが詰まっています。
初演はブルックナーの死後の1927年10月12日、フランツ・モイスル指揮の下、クロスターノイブルクで行われたことから比較的知名度は低いものの、彼のオーケストラ作品や交響曲の傑作群の中で重要な位置を占めています。
間奏曲 ニ短調 WAB.113Anton Bruckner

1879年に作曲された『間奏曲 ニ短調 WAB.113』は、本来弦楽五重奏曲のスケルツォ部分として構想された曲が、独立した作品として発表されたものです。
ブルックナーの深い宗教観と彼の音楽に対する情熱が溶け合ったこの作品には、オーストリアの豊かな自然や、荘厳なバロック教会を思わせるような雄大さがちりばめられています。
バルトルディ五重奏団やメロス四重奏団など、さまざまな楽団がそれぞれの解釈によってブルックナーの世界観を再現した名演が残されていますので、聴き比べを楽しむのもオススメです。
行進曲 変ホ長調 WAB.116Anton Bruckner

アントン・ブルックナーの作品で唯一の吹奏楽曲として、ブルックナーの多彩なスタイルを示している『行進曲 変ホ長調 WAB.116』。
1865年に完成したこの曲は、彼の生前にはほとんど演奏されることがなく、初演や出版も彼の死後になされました。
ブルックナーの後期作品を予感させる旋律や和声がちりばめられているものの、形式的にはシンプルであり、楽章間の結びつきも弱いとされています。
演奏や録音は少ないですが、リンツ・ブルックナー管弦楽団による名演の録音が存在し、ブルックナーの作品を深く知る上で貴重な1曲です。
ブルックナーの世界観をもっと知りたい方、または吹奏楽の魅力に触れたい方にオススメします。