リヒャルト・シュトラウスの名曲。人気のクラシック音楽
リヒャルト・シュトラウスはドイツの後期ロマン派を代表する作曲家です。
シュトラウスの代表曲、交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」は映画『2001年宇宙の旅』のテーマ曲として知られています。
また作曲された交響詩で『マクベス』や『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』は吹奏楽でもよく演奏されて、吹奏楽経験者にもおなじみの作曲家でもあります。
初期はシュトラウスの父の影響でモーツァルトやシューマンであるようなクラシックの様式を守った作品が多く、ワーグナーの姪の1人と結婚したアレクサンダー・リッターと出会い革新的な作品を作曲するようになっていきます。
今回は古典的な一面と交響詩の巨匠としての変化していくシュトラウスを楽しめる作品たちを紹介していきます。
時代をなぞって聴くと作風の変化が楽しめるので、作られた時代を気にしながら聞いてみて頂けたらと思います。
リヒャルト・シュトラウスの名曲。人気のクラシック音楽(1〜10)
ドン・ファンリヒャルト・シュトラウス

交響詩というジャンルを確立した作曲家の一人といってもいい交響詩の名作曲家リヒャルト・シュトラウスの作品を紹介します。
1888年に作曲された交響詩は、スペインの伝説的な人物ドン・ファンを題材にしています。
理想の愛を追い求めるも満たされず、最後は破滅へと至る主人公の心理と運命を、豊かなオーケストレーションで表現しています。
冒頭の情熱的な弦楽器の上昇音型から、木管楽器の美しい旋律、そしてホルンの力強いメロディーまで、多彩な音色で聴く人を魅了します。
クラシック音楽に興味のある方はもちろん、ドラマチックな物語性のある音楽が好きな方にもおすすめの一曲です。
交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」Fritz Reiner/The Chicago Symphony Orchestra

現在、リヒャルト・シュトラウスの曲のなかでもっとも知られているのは、「ツァラトゥストラはかく語りき」のプロローグ部分ではないでしょうか。
映画「2001年宇宙の旅」で使われて以来、いろいろな映画やテレビで用いられています。
冒頭があまりにも有名ですが、1から9つまである交響詩です。
『ツァラトゥストラ』とは、ドイツの思想家フリードリヒ・ニーチェの同名の著作からインスピレーションを得て作曲されました。
フルで聴くと古典的映画の名作のサントラを聞くような感覚です。
また、こういう曲だったのかと知る良い機会なのでぜひフルで聴いてみてください。
シュトラウスの世界を知れる名曲です。
ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずらデイヴィッド・ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団

吹奏楽出身者にもなじみがあるリヒャルト・シュトラウスの作品、それが『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』です。
吹奏楽コンクール全国大会でも強豪校がこぞって演奏される名曲で、原曲はもちろん管弦楽編成で書かれたオーケストラの曲です。
ホルンのソロがとてもおいしく活躍する曲ですね。
曲名にある『ティル・オイレンシュピーゲル』とは14世紀ごろに北ドイツに実在したとされる伝説の奇人であり、さまざまないたずらをする人物だったそうです。
作品を聞くと交響曲とオペラをほどよく混ぜたオーケストラで物語るように聞こえて、この曲が交響詩というジャンルの代名詞とも言える曲となっていることがわかります。
時折出てくる滑稽なフレーズはまさしくティル・オイレンシュピーゲルの様相を表してます。
吹奏楽コンクールなどで演奏される方はスコアも見ながら聞くと勉強になるでしょう。
セレナーデリヒャルト・シュトラウス

ドイツが誇る後期ロマン派の巨匠から、甘美なセレナードをご紹介します。
1886年12月、冬の寒さが厳しくなる頃にミュンヘンで生み出されたこの曲。
シュトラウスが愛したシャックの詩に、恋心を込めて作曲しました。
きらめく伴奏に乗せて、オクターブの跳躍から始まる旋律が恋の喜びを歌い上げます。
6/8拍子のリズムに乗って、軽やかな足取りで月明かりの庭へと誘う様子が目に浮かびますね。
ロマンチックな夜を過ごしたい人におすすめの1曲です。
ピアノ伴奏とともに歌ってみるのもすてきですよ。
シュトラウスの世界に浸ってみませんか?
英雄の生涯小澤征爾&バイエルン放送交響楽団

ドイツ・ミュンヘンの作曲家リヒャルト・シュトラウスが書いた、最後の交響詩です。
シュトラウスは当初、保守的な音楽教育を受けており、その影響からか伝統的な楽式ある作品に興味がありましたが、優れたヴァイオリン奏者で、ワーグナーの姪の1人と結婚したアレクサンダー・リッターと出会ったあと、新しい音楽に興味を持ち始めます。
初めて作曲した交響詩『ドン・ファン』が成功し、以降は新しい作風の試みをしながら、1898年に最後の交響詩として誕生したのがこの『英雄の生涯』です。
演奏には100名を超える巨大なオーケストラが必要であり、また演奏時間も40分を大きく超えるもので、シュトラウス最後の交響詩ということもあって最高のオーケストレーションを持つ曲とも言われています。
この「英雄」とは誰とは明示されていませんが、作品を順に聞き続けていくと、まるでシュトラウスのことを指すのかと思うような集大成だと実感します。
ホルン協奏曲第1番 変ホ長調リヒャルト・シュトラウス

作曲家リヒャルト・シュトラウスが18歳の頃に書いた作品です。
父親への敬意を込めて作曲されたこの曲は、ホルン奏者にとって大切なレパートリーの1つ。
3つの楽章が切れ目がなく演奏され、若々しく晴れやかな雰囲気が魅力です。
1楽章は華やかなファンファーレ風の旋律、2楽章は穏やかで伸びやかな旋律、3楽章は軽快で爽快な雰囲気。
ホルンの柔らかく美しい音色が際立ちます。
1883年にピアノ伴奏版で初演され、その後1885年3月4日に管弦楽伴奏版が初演されました。
クラシック音楽が好きな方におすすめの1曲です。
組曲「ばらの騎士」リヒャルト・シュトラウス

後期ロマン派を代表する作曲家リヒャルト・シュトラウスの名作オペラから抜粋された組曲を紹介します。
18世紀のウィーンを舞台に、貴族社会の恋愛模様を描いたこの作品は、1911年1月にドレスデン宮廷歌劇場で初演され大成功を収めました。
モーツァルトを意識した親しみやすい旋律と、ワルツのリズムを取り入れた華やかな音楽が特徴です。
愛の儚さや時間の移ろい、自己犠牲の美徳をテーマにした物語は、人々の心に深く響きます。
オペラ全体を20分程度に凝縮した本作は、クラシック音楽に興味はあるけれど長時間の鑑賞は苦手という方にもおすすめです。
優雅で美しい旋律を楽しんでみてはいかがでしょうか。
組曲「町人貴族」リヒャルト・シュトラウス

モリエールの戯曲『町人貴族』を基にした組曲で、貴族に憧れる町人ジュルダン氏を風刺的に描いています。
シュトラウスらしい繊細な室内楽的編成で、古典的な舞曲形式を取り入れつつ新古典主義的な作風が光る作品です。
1920年1月にウィーンで初演されました。
優雅なメヌエットや軽快な踊りの音楽など、物語の雰囲気を見事に表現しています。
クラシック音楽に興味のある方にぜひおすすめしたい1曲です。
シュトラウスの音楽の魅力を存分に味わえますよ!
13管楽器のためのセレナード広上淳一指揮京都市交響楽団

リヒャルト・シュトラウスが世に出るきっかけとなった出世作です。
当時、人気ドイツの指揮者であったハンス・フォン・ビューローがこの曲を気に入ってコンサートで演奏した事で、まだティーンエイジャーだったシュトラウスの名が知れ渡るようになったと言われています。
シュトラウスが幼い頃は、ミュンヘン宮廷歌劇場の首席ホルン奏者で父親のフランツ・シュトラウスの影響で保守的な音楽教育を受けています。
革新的な交響詩の親ともいえるシュトラウスですが、この頃の作品を聞くと父の影響からか結構古典的様式美を守った作品だと伺えます。
和声的であり、各楽器がとてもきれいに鳴っていて美しいですね。
シュトラウスの中でもクラシックらしい作品で、管楽器奏者であれば一度は聴くべきであり、演奏しておくべき作品です。
サロメリヒャルト・シュトラウス

この曲は1905年に初演されたオペラで、新約聖書の挿話を基にした物語です。
官能的で背徳的な内容が特徴で、初演当時は物議を醸しました。
主人公サロメ役は、可憐さと狂気を併せ持つ難しい役柄として知られています。
豊かなオーケストレーションと深い心理描写が魅力的で、特に「7つのヴェールの踊り」は有名ですね。
世界中のオペラハウスで上演され、多くの人々を魅了し続けています。
人間の欲望と狂気を描いた深遠なテーマは、現代でも色褪せることなく、観る人の心に強い印象を残すはずです。
リヒャルト・シュトラウスの名曲。人気のクラシック音楽(11〜20)
アルプス交響曲Bernard Haitink/Vienna Philharmonic Orchestra

リヒャルト・ワーグナーとフランツ・リストの後継者と言われているリヒャルト・シュトラウスの名曲を紹介します。
この曲もタイトルこそ交響曲ですが、実際には交響詩とも言ってもよい内容です。
アルプスの山の中に入り、山を登り、嵐が来て、最後には山頂に至るという高峰登山の様子が、音楽で写実的に、そして見事に表現されています。
吹奏楽でも演奏される名曲で、この曲をコンクールや定期演奏会のために半年も1年も練習した人もいらっしゃるのではないでしょうか。
交響曲には珍しく楽章が1つしかない単楽章の曲ですが、演奏には50分もかかり、数小節ごとに曲をイメージさせるタイトルがつけられ、各部分は切れ目がなく演奏されます。
数小節ごとにタイトルがあることから、楽譜から演奏するところと作曲者のイメージがつきやすい1曲です。
ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品8 TrV 110ヴァイオリン:ウルフ・ヘルシャー/管弦楽:シュターツカペレ・ドレスデン/指揮:ルドルフ・ケンペ

シュトラウスといえば交響詩ですが、そのシュトラウスの書き残した唯一のヴァイオリン協奏曲です。
シュトラウスがティーンエイジャーの時に書き残した曲は、以降の特徴となる絵画的な色彩感覚にあふれたものではなく、むしろもう少し古い古典派音楽のようであるのはおもしろい所です。
というのは、幼い頃はホルン奏者であった父の影響で保守的な音楽教育を受けており、シュトラウスの原点はこのような古典的なクラシック音楽。
革新的な作風を書くようになったのはヴァイオリン奏者で、ワーグナーの姪の1人と結婚したアレクサンダー・リッターと出会ってからで、1889年より前に作られたものはこのような古典的な作品が多いのです。
古典的な3楽章形式で、カデンツァありません。
ヴァイオリンパートは、特に両端の楽章で高度な技術を必要とするのが特徴です。
スコア付の動画を紹介するのでヴァイオリン弾きはチャレンジしてみてください。
マクベスケンペ指揮、シュターツィカペレ・ドレスデン

リヒャルト・シュトラウスの大きな業績のひとつは、交響詩という形式の音楽を作った事です。
オーケストラで演奏する交響曲と、声楽家が歌って物語るオペラを程よく混ぜたジャンルで、映画音楽でいうサントラを聴いてシーンを思い浮かべるようなジャンルです。
音のそれやそのものだけを表現するのではなく、なにかの標題に基づいて音を表現していくものです。
「マクベス」は、シュトラウスの書いた最初の交響詩です。
原曲はオーケストラの作品ですが、吹奏楽でもよく演奏される名曲で、吹奏楽部だった人や社会人吹奏楽団に入っている方ではおなじみの1曲ではないでしょうか。
シュトラウスの中では最も改訂が重ねてあり、自ら伝えたい内容のために改訂数が苦戦具合を物語っています。
改訂が重ねられたということはさまざななバージョンがあるということでもし違う録音があったら聞き比べてみてください。
エレクトラリヒャルト・シュトラウス

ドイツが誇る後期ロマン派の巨匠リヒャルト・シュトラウスの傑作オペラから、ギリシャ悲劇をモチーフにした作品を紹介します。
この曲は複雑な音楽構造で知られていますが、海外でも評価が高く、クラシック音楽ファンの間で人気ですね!
1幕構成の大規模なオーケストラ編成で、不協和音や多調性を駆使して登場人物の心理を表現しています。
テーマは復讐と狂気。
父を殺害された主人公の激しい感情が音楽に反映されているので、その心情を想像しながら聴くとより楽しめるでしょう。
1909年1月にドレスデンで初演された本作は、賛否両論を呼びましたが、今ではシュトラウスの代表作として世界中で上演されています。
ナクソス島のアリアドネリヒャルト・シュトラウス

交響詩『ドン・ファン』や『マクベス』でおなじみのリヒャルト・シュトラウスは、父はミュンヘン宮廷管弦楽団の首席ホルン奏者であり、その父による音楽教育によってシュトラウスは6歳から本格的に作曲を始めました。
幼い時から作曲も行っていることもあり、シュトラウスは200曲を超える歌曲をはじめ多数の作品を残しています。
本作は、ギリシャ神話を題材にしたオペラで、悲劇と喜劇の融合が特徴です。
小編成のオーケストラながら、シュトラウスの巧みな音楽表現が光ります。
1916年10月4日にウィーン宮廷歌劇場で初演された改訂版が、現在でも上演されています。
クラシック音楽に興味のある方や、オペラの新しい魅力を発見したい方におすすめの1曲です。
メタモルフォーゼン~23の独奏弦楽器のための習作リヒャルト・シュトラウス

第二次世界大戦末期の1945年4月に完成したこの曲は、23人の弦楽器奏者のために書かれた変奏曲風の作品です。
戦争による文化的喪失への深い悲しみが込められており、ベートーヴェンの『英雄』交響曲第2楽章の動機が引用されています。
緻密で複雑な音の織りなすハーモニーが特徴的で、シュトラウスの芸術的探求心が感じられます。
クラシック音楽ファンはもちろん、戦争と音楽の関係に興味がある方にもおすすめの1曲です。
死と変容サー・ゲオルグ・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団

これも交響詩に数えられていますが、実際には表題など音楽外的な要素と直接結び付かない器楽様式の絶対音楽として書かれた作品です。
あまりの素晴らしさに感銘を受けたシュトラウスと旧知の仲であるヴァイオリニストで指揮者でもあったアレクサンダー・リッターが、音楽に対して詩をつけたことから、逆の制作過程の交響詩が完成したというわけです。
その深さと内省的な性格は、「メタモルフォーゼン」に匹敵するほどです。
この作品はシュトラウスの3番目の交響詩となりました。
1949年9月8日、シュトラウスは満85歳で世を去りましたが、死の48時間前に昏睡状態から一度意識を取り戻し、「『死と変容』のなかで作曲したことは全て正確だったと」語ったエピソードがあります。
この曲が生まれるのは必然だったかのようなエピソードですね!
まさにタイトルにある『死と変容』を体感する作品ではないでしょうか。
シュトラウスの中でぜひ聴いてほしい作品の一つです。
オーボエ協奏曲ニ長調シュテファン・シーリ

後期ロマン派を代表する巨匠リヒャルト・シュトラウスが、晩年の1945年に作曲しました。
古典的な雰囲気を守りつつ、これまで書いてきた標題音楽にあるようなオーケストラ伴奏がつけられています。
和声だけ鳴らすような部分ではなく、雰囲気や物語るような作り方があり、シュトラウスらしい協奏曲となっています。
オーボエが活躍する作品は多いですが、コンチェルト形式で書かれた曲はこの曲しかないので、シュトラウスのオーボエコンチェルトといえばこの曲のことを指しています。
交響詩の良さを持ってきつつ、宮廷音楽のような作品で聴いていると豪華で優雅な雰囲気になってきますね。
交響的幻想曲『イタリアから』作品16Zdenek Kosler/Slovak Philharmonic Orchestra

交響詩の巨匠でドイツを代表とする作曲家リヒャルト・シュトラウスは、標題をつけた音楽を数多く作曲し、絶対音楽ではなくて、景色や人物、その他のものを音楽であらわす事の多かったのですが、シュトラウスがはじめて標題つきの音楽を書いたのは、1886年に作曲されたこの曲、交響的幻想曲『イタリアから』です。
「ナポリ人の生活」など、イタリアの情景が描かれます。
シュトラウスは父親の影響で保守的な音楽教育を受けていたため、当初はモーツァルトを崇拝し、この作品にもその影響が多くあります。
交響詩の巨匠となっていくちょうど節目の作品であり、内容も見るとまだ描写的な表現はなく、ソナタ形式など4楽章構成のベートーベンやブラームスにあるような曲想となっています。
ここから今でよく聞く交響詩のシュトラウスとなる原点を聞けるのでこの曲から以降、以前の作品を聞いてみるとよいかもしれません。
作風の移り変わりが聞けて楽しめると思います。
ブルレスケ ニ短調(ピアノと管弦楽)マルタ・アルゲリッチ

交響詩『ドン・ファン』や『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』など交響詩の名人という印象があるリヒャルト・シュトラウスですが、立派なピアノコンチェルトも残しています。
そのコンチェルトの一つに『ブルレスケ』があり、タイトルが耳慣れないものですが、クラシック音楽にある楽式の一種です。
ピアノ演奏が超絶技巧のレベルであり、作曲から初演までに時間を要しました。
初演はベートーヴェン直系でリストの高弟であるダルベールでした。
世界のクラシック音楽界で高い評価を受けているピアニストの一人マルタ・アルゲリッチによる演奏もたいへん有名なものです。
技術的な演奏の難しさもですが、風景な部分でも雰囲気を出して聞かせるように弾くのは難しいようです。
しかし、音がどこか風景や人物が物語っているように聞こえる部分が多いのがシュトラウスらしいですね。
リヒャルト・シュトラウスの名曲。人気のクラシック音楽(21〜30)
4つの最後の歌ジョージ・セル指揮/ベルリン放送交響楽団

「セレナーデ」がピアノ伴奏で短い歌曲であるのに対し、シュトラウスが晩年に書いたこの曲は、管弦による伴奏のうえ、全体が4部に分かれるという大きなものです。
詩はヘッセによるものと、アイヒェンドルフによるものから選ばれています。
弦楽オーケストラとハープを伴ったクラリネットとファゴットのための二重小協奏曲 ヘ長調 TrV 293リヒャルト・シュトラウス

リヒャルト・シュトラウスの晩年の作品を紹介します。
1947年に作曲されたこの曲は、クラリネットとファゴットの二重協奏曲で、弦楽オーケストラとハープを伴奏に持つ珍しい編成です。
当初は「豚の番人と王女」といった物語的な要素を持たせる予定でしたが、最終的には純粋な器楽作品として完成されました。
3つの楽章が切れ目がなく演奏される約20分の曲で、クラリネットとファゴットの美しい対話が印象的です。
シュトラウスの円熟した作風が感じられ、クラシック音楽ファンにおすすめの一曲です。
13管楽器のための組曲リヒャルト・シュトラウス

20歳の時に作曲された本作は、古典的な組曲形式を踏襲しつつ、ロマン派の要素を取り入れたリヒャルト・シュトラウスの意欲作です。
13種類の管楽器で構成され、全4楽章からなります。
シュトラウスの楽器の用法の巧みさや、緻密な動機操作、対位法の手腕が随所に見られ、若き作曲者の力作として高く評価されています。
1884年10月にミュンヘンで初演され、シュトラウス自身が指揮を務めました。
クラシック音楽に興味がある方や、管楽器の魅力を堪能したい方におすすめの一曲です。
ホルン協奏曲第2番変ホ長調リヒャルト・シュトラウス

リヒャルト・シュトラウスの晩年の名作です。
シュトラウスの父はホルン奏者で、シュトラウスは幼少期からホルンの音色に親しんでいました。
本作は、シュトラウスの成熟した作曲技法と深い音楽的洞察が反映されています。
全3楽章から成り、特に第3楽章はモーツァルトへのオマージュを感じさせる軽快さと明るさを持っています。
1943年8月11日にザルツブルク音楽祭で初演されましたが、戦時中にもかかわらず希望に満ちた雰囲気を持つ曲です。
ホルンの豊かな表現力を存分に引き出しており、クラシック音楽ファンはもちろん、ホルンの魅力に惹かれる方にもおすすめです。
ヴァイオリン・ソナタリヒャルト・シュトラウス

後期ロマン派を代表するリヒャルト・シュトラウスは、1864年にミュンヘンで生まれた作曲家です。
シュトラウスの音楽キャリアは父の繋がりを通じて加速し、指揮者としても名声を高めました。
本作は1887年から1888年にかけて作曲された唯一のヴァイオリンソナタで、古典的な3楽章形式を踏襲しつつ、シュトラウス独自の個性が色濃く反映されています。
特に第2楽章「即興曲」は、甘美で美しい旋律が特徴で、後に結婚するソプラノ歌手パウリーネ・ド・アーナとの出会いを思わせるロマンティックな情熱が感じられます。
クラシック音楽ファンの方々には、シュトラウスの作風の転換期を象徴する魅力的な楽曲としてぜひ聴いていただきたいですね。
家庭交響曲リヒャルト・シュトラウス

ドイツの後期ロマン派を代表する作曲家リヒャルト・シュトラウスが家庭生活を描いた標題交響曲です。
シュトラウスは1864年6月にミュンヘンで生まれ、父の影響で6歳から本格的に作曲を始めました。
この曲は1902年から1903年にかけて作曲され、1904年3月にニューヨークで初演されました。
4管編成の大規模なオーケストラで演奏され、演奏時間は約43分です。
シュトラウス自身、妻パウリーネ、息子フランツの3人が主要なテーマとして登場し、家庭の日常が音楽で表現されています。
本作は、シュトラウスの卓越したオーケストレーション技術と家庭生活への深い愛情が感じられる作品です。
クラシック音楽に興味のある方や、音楽で日常を表現する作品が好きな方におすすめです。
万霊節Barbara Bonney

ドイツの後期ロマン派を代表する作曲家、リヒャルト・シュトラウス。
彼の作品の中でも特に美しいのが、1885年に発表された『最後の葉による8つの歌曲』の最終曲です。
この曲は、亡き人を偲ぶ11月2日の万霊節にちなんだ作品で、古い恋愛を蘇らせようとする心情が描かれています。
ピアノ伴奏による歌曲でありながら、後期ロマン派特有の退廃的な美しさが凝縮された名バラードとして知られています。
シュトラウスの初期のリリシズムが存分に発揮された本作は、クラシック音楽愛好家に広く親しまれ、1932年にはヘーガーによってオーケストラ編曲版も作られました。
深い感動と共感を呼び起こすこの曲は、人生や愛について静かに考えたい方におすすめです。
ドン・キホーテジョージ・セル指揮、クリーブランド管弦楽団

これも交響詩です。
もととなった物語は、スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスが書いた「ドン・キホーテ」です。
この曲は、管弦楽の中に独奏のチェロやヴィオラが出てくる事で有名で、曲だけでなく作曲技法上でも注目されました。
交響曲第2番田中健指揮、ISP

交響曲ですら標題をつけることの多かったシュトラウスですが、この交響曲第2番には標題がついておらず、純粋な絶対音楽として書かれています。
タイトルこそ交響曲2番ですが、1番が未出版のため、この曲は番号をつけずに呼ばれる事もあります。
「影のない女」による交響的幻想曲ティーレマン指揮ウィーン・フィル

これもやはり元はオペラ用の音楽であったものを、演奏会用に編曲し直したものです。
演奏時間はおよそ25分ほどで、シュトラウス後期の独特な耽美的で退廃的な魅力の詰まった曲です。
台本は「ばらの騎士」と同じホフマンスタールです。
おわりに
幼いときから父親によって徹底した、しかし保守的な音楽教育を受けて育ったリヒャルト・シュトラウス。
1882年に作られた「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」や「13管楽器のためのセレナード」などはいかにもモーツァルトやシューマンなどのクラシック作品を作曲しています。
しかし、ワーグナーの姪の1人と結婚したアレクサンダー・リッターと出会い一変、今ではよく知る交響詩の巨匠として今までよりも革新的で標題音楽の作品を書くようになっていきます。
時代をなぞって聴いていくとシュトラウスの音楽の変化が楽しめ、音楽とともに壮大な人生と音楽感を味わえることでしょう。
ぜひこの記事でお気に入りの作品を見つけてシュトラウスの世界観に入り込んでくださいね!
見て頂きありがとうございました。