オペラは楽劇や歌劇とも言われ、クラシックのなかでも総合舞台芸術と言われるジャンルです。
有名な曲の中には、トゥーランドットの『誰も寝てはならぬ』やカルメンの『闘牛士の歌』などがあり、オペラの内容を知らなくても曲だけは知っていた!
という方もきっと多いはず。
オペラは数多くの名曲を残しており、この曲を知っているとオペラを知れる入門的な楽曲をピックアップして紹介します。
オペラと聞くと難しそうと思われがちですが、実は日頃よりオペラの曲は流れていたり身近だったり、ストーリーや作曲者を知っていくと現代にも通じる面白い内容も多く、ぜひ皆さんにより知ってほしいと思いリストにしました。
ぜひ世界の名演とともに楽しんで頂けたらと思います。
オペラ初心者におすすめの名曲。おすすめのオペラの曲(1〜10)
オペラ『リナルド』より「私を泣かせてください」Georg Friedrich Händel

オペラ『リナルド』の中で歌われるアリアで、囚われの身となったヒロインの悲しみと自由への渇望を表現しています。
シンプルながら深い感情を湛えた旋律が特徴で、3拍子の穏やかなリズムと繰り返されるメロディーラインが印象的です。
1711年2月に初演されたこの曲は、ヘンデルがイギリスで発表した最初のイタリア語オペラの一部であり、ヘンデルの国際的な名声を確立する契機となりました。
オペラの世界に興味のある方や、バロック音楽の美しさを感じたい方におすすめの1曲です。
オペラ『蝶々夫人』より「ある晴れた日に」Giacomo Puccini

『蝶々夫人』から有名なアリアをご紹介します。
この曲は世界中で愛されており、映画やCMでも使われているのでどこかで聴いたことがある人も多いのではないでしょうか。
主人公の純粋な愛と切ない願いが美しい旋律に乗せて表現されています。
3拍子の優雅な曲調ですが、ゆったりとした感じなので歌いたときは「いち、にち、さん」と数えながら練習するとよいでしょう。
歌詞の内容を想像しながら、夢見るような甘い雰囲気を出すのがポイントです。
オペラに興味がある人はもちろん、映画音楽が好きな人にもおすすめの1曲です。
1904年にイタリアで初演されてから100年以上たった今でも多くの人々の心を打ち続けています。
オペラ『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」Giacomo Puccini

オペラの中でも特に有名なこのアリアは、物語のクライマックスに向けての重要な場面を彩ります。
カラフ王子の内なる決意と勝利への確信、そしてトゥーランドット姫への深い愛情が壮大なメロディーとともに表現されています。
高い技巧と表現力が求められるため、多くのテノール歌手が挑戦してきました。
1926年にイタリアのミラノで初演されたこの作品は、古代中国の北京を舞台にした三幕構成のオペラです。
オペラファンのみならず、幅広い層の聴衆に愛されており、映画やテレビ、コンサートなどさまざまな場面で取り上げられています。
オペラに興味がある方や、感動的な音楽を求めている方におすすめの一曲です。
オペラ「イーゴリ公」より「韃靼人の踊り」Alexander Borodin

オペラ『イーゴリ公』の中でも特に人気の高い楽曲です。
エキゾチックな雰囲気が漂う旋律と力強いリズムが特徴的で、オーケストラの華やかな響きが聴く人を魅了します。
捕らわれの身となったイーゴリ公を慰めるために披露される踊りの場面を描いており、異国情緒があふれる音楽が物語の世界へと誘います。
1890年11月にサンクトペテルブルクで初演されて以来、多くの人々に愛され続けている名曲です。
オペラ全体を通して聴くのはもちろん、単独の演奏会用作品としても楽しめるので、クラシック音楽に興味のある方にぜひおすすめしたい1曲です。
オペラ『カルメン』より「闘牛士の歌」Georges Bizet

力強い行進曲のリズムと情熱的な旋律が印象的な一曲です。
闘牛士エスカミーリョの勇敢さと魅力を表現しており、スペインの文化や闘牛の雰囲気を感じさせます。
観客の熱狂や闘牛場の興奮を活気がある曲調で描写し、聴く人を魅了します。
オーケストラの華やかな伴奏と相まって、高揚感があふれる構成となっています。
オペラ全体の中でも人気が高く、単独でコンサートやさまざまなメディアで演奏されることも多い名曲で、クラシック音楽に興味のある方や情熱的な曲調がお好きな方におすすめです。
1875年3月にパリで初演されたこの曲は、当初は不評でしたが、後に世界的な名作として評価されるようになりました。
オペラ「ローエングリン」第2幕より「エルザの大聖堂への行列」Richard Wagner

荘厳な旋律で始まり、次第に高揚感が増していくこの楽曲。
吹奏楽のレパートリーとしても人気を誇っています。
木管楽器による清らかな旋律が印象的で、コラール風の旋律が繰り返される中で、楽器編成やダイナミクスが徐々に拡大していきます。
エルザが婚礼のために大聖堂へ向かう様子を描写しており、純粋さと結婚への期待が表現されています。
1850年8月28日の初演以来、多くの人々を魅了し続けています。
オペラファンはもちろん、吹奏楽愛好家にもおすすめの一曲です。
荘厳な雰囲気や美しい旋律を味わいたい方にぜひ聴いてほしい名曲となっています。
オペラ『ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)』のための序曲Gioachino Rossini

ジョアキーノ・ロッシーニは、イタリアのオペラ作曲家です。
ロッシーニがてがけたオペラの曲で、「セビリアの理髪師」と「ウイリアム・テル」の2曲は今も世界中で頻繁に演奏されるほどの人気です。
とりわけ「ウイリアム・テル序曲」は、一般的にも認知度が高く、一度聴いたら知ってた!
となる曲ではないでしょうか。
トランペットとホルンがファンファーレを奏でて、クラリネットが最初のモチーフを吹きます。
その後、弦楽器が合流し壮大な曲へと変化していきます。
3分ほどの短い曲ですが、テンポが早く細かいパッセージも多く、意外にも技巧的な曲です。
とてもオーケストラが映える華やかで、聴き終えたら思わずブラボーと言いたくなります。
オペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ」』より「間奏曲」Pietro Mascagni

イタリアのオペラ作曲家マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、ヴェリズモのきっかけとなったオペラです。
ヴェリズモとは、19世紀後半の「現実主義」のことで、後期ロマン派による、空想的で現実逃避的な傾向に対して、台頭してきたものです。
とても美しい楽曲で、オペラの中では最も美しい間奏曲としても評価が高い楽曲です。
技術的に必要とされるところもなくオーケストラのコンサートでは単体で演奏されることも多い曲で、オーケストラ演奏者の中でもオペラ曲を演奏する入門的存在にもなっています。
弦楽器と儚げに歌うオーボエが素晴らしく、美しいハーモニーを感じて演奏できる最適な曲です。
オペラ『カルメン』より「第1幕への前奏曲」Georges Bizet

オペラの序章として重要な役割を果たす管弦楽曲です。
情熱的なスペインの雰囲気を醸し出し、オペラ全体のエッセンスを凝縮した名曲として評価されています。
冒頭の行進曲のような旋律は、テレビ番組やCMなどで頻繁に使用され、多くの人々に親しまれていますね。
短い時間の中で多彩な旋律を効果的に組み合わせ、オペラ全体の雰囲気やテーマを予告する構成は見事です。
オペラに興味があるけれどまだなじみがない方や、クラシック音楽入門としてオススメの1曲です。
2分程度の短い曲なので、気軽に聴いてみてはいかがでしょうか。
オペラ『魔笛』より「夜の女王のアリア」Wolfgang Amadeus Mozart

オペラ『魔笛』の中でも有名な楽曲は、ニ短調で書かれた激しい感情を表現する曲です。
夜の女王が娘のパミーナに宿敵ザラストロの殺害を命じるシーンで歌われます。
コロラトゥーラ・ソプラノの超絶技巧が要求され、特に高音域のF6まで達する部分があり、演奏者には高度な技術が必要です。
この曲は、オペラ全体の中でも重要な位置を占めており、夜の女王のキャラクターを強烈に印象付けます。
映画『アマデウス』や『フィフス・エレメント』などでも使用され、クラシック音楽を象徴する楽曲として広く知られています。
オペラに興味がある方や、ソプラノの技巧を堪能したい方におすすめの一曲です。
オペラ初心者におすすめの名曲。おすすめのオペラの曲(11〜20)
喜歌劇「メリーウィドウ」セレクションFranz Lehar

フランツ・レハールの代表作から選りすぐりの名曲を吹奏楽用にアレンジした楽曲集です。
「ヴィリアの歌」や「メリー・ウィドウ・ワルツ」など、美しいメロディーがちりばめられています。
物語の展開に合わせて、恋愛や喜びが表現されており、聴く人の心をつかんでいきます。
華やかなワルツのリズムや、情感が豊かなアリアが印象的で、オペレッタの魅力が詰まっています。
オペラやオペレッタに興味のある方はもちろん、クラシック音楽入門としてもおすすめです。
1905年12月に初演され、30万回以上上演された名作の世界を、ぜひ吹奏楽の音色でお楽しみください。
オペラ『アイーダ』より「凱旋行進曲」Giuseppe Verdi

壮大なファンファーレで始まるこの曲は、エジプト軍の勝利を祝う華やかな場面で演奏されます。
特注のアイーダトランペットが使用され、勝利の喜びと栄光を象徴的に表現しています。
エジプトの民衆や司祭たちが神々に感謝し、勝利を祝う歌詞が印象的です。
しかし、華やかな祝賀の裏には主要人物たちの内面的な葛藤が潜んでおり、オペラ全体のテーマである「愛と忠誠の葛藤」を象徴的に表現しています。
壮大な音楽と深いテーマ性により、多くの人々に愛され続けている本作は、クラシック音楽ファンはもちろん、オペラ初心者の方にもおすすめの1曲です。
オペラ『運命の力』より「序曲」Giuseppe Verdi

『運命の力』序曲は、オペラの世界を代表する名曲の一つです。
冒頭の「運命のモティーフ」と呼ばれる3つの和音から、聴く人の心をつかんで離しません。
物語の登場人物たちの葛藤や運命への抗いが、豊かな旋律と劇的な展開で表現されており、オペラを知らない方でも十分に楽しめる曲となっています。
オーケストラの華やかな響きと、ヴェルディの天才的な作曲技法が融合した本作は、クラシック音楽に興味のある方や、ドラマチックな音楽を好む方にぜひおすすめしたい一曲です。
1869年2月27日にミラノ・スカラ座で上演された改訂版は大成功を収め、今でも多くの人々に愛され続けています。
オペラ『フィガロの結婚』より「序曲」Wolfgang Amadeus Mozart

オペラの幕開けを飾る名曲で、軽快で華やかな雰囲気が特徴です。
ニ長調の明るい調性と、弦楽器と木管楽器の軽やかなやり取りが印象的です。
短い時間の中で多彩な表情を見せる点も魅力的ですね。
オペラ全体の喜劇的で活気に満ちた性格を反映しており、これから始まる物語への期待感を高めてくれます。
1786年5月1日にウィーンのブルク劇場で初演されたこの曲は、今でも世界中のコンサートで演奏される人気曲です。
クラシック音楽に興味はあるけれど、まだなじみが薄い方にもおすすめできる1曲ですよ。
オペラ『椿姫』より「乾杯の歌」Giuseppe Verdi

華やかなワルツのリズムに乗せて、人生の儚さと愛の喜びを謳歌する楽曲です。
1853年3月に初演されたこの曲は、パリの社交界を舞台に、享楽的な雰囲気を見事に表現しています。
軽快なメロディーと、ソリストと合唱の掛け合いが絶妙に組み合わされており、聴く人の心をつかんで離しません。
結婚式のBGMや新年のコンサートなど、祝賀ムードを高める場面でよく使用されています。
クラシック音楽に興味はあるけれど、難しそうと感じている方にもおすすめの1曲です。
親しみやすいメロディーと、人生を謳歌する前向きな歌詞は、きっとあなたの心に響くはずです。
ゲーム『ファイナルファンタジーⅥ』より「マリアとドラクゥ」植松伸夫

ゲームの中のオペラというと想像がつかないと思いますが、ゲーマーの中では語り継がれるオペラを題材とした名曲があります。
それはスクウェア・エニックス株式会社が作った世界的人気ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズよりVlの中で使われているオペラ『マリアとドラクゥ』です。
ゲームの中でオペラを再現するという意欲的な内容に加えて、音楽もクラシックを踏襲しつつ現代的なオペラとなっています。
ゲーム内では選択肢があり、選択肢によって内容が変化するドラマ風味のミニオペラになっており、『序曲』、『アリア』、『婚礼のワルツ~決闘』、『大団円』の4つの曲で構成されています。
いかにもクラシックなオペラと異なり、オーケストラ版実演でも14分ほどと短く、オペラの雰囲気を疑似的に体験できる初心者おすすめのゲームのオペラです。
「ルスランとリュドミュラ」序曲Mikhail Glinka

とても華やかなオペラの名曲です。
ミハイル・グリンカはロシアの国民楽派を作曲家のひとりです。
「ルスランとリュドミュラ」はメルヘン・オペラのひとつで、ロシア民謡の特徴が混じっています。
グリンカが活躍した19世紀には「民族主義」という考えが台頭し、帝国主義を広げるヨーロッパ中心地に対して、周辺の地域が自国文化を守ろうとしたことが大きなきっかけとなっています。
オーケストラがトッティで冒頭を演奏し、弦楽器パートが駆け上がるようなパッセージを演奏します。
木管が追いかけるようにフレーズをつなぎ、弦楽器も歌い上げ、全曲を通して疾走感がある曲です。
楽譜を見るとどのパートも各フレーズをつなぐように書かれており、聴く分には楽しい曲ですが、演奏する側は結構必死だったりします。
見事弾ききったオーケストラには思わずブラボーと言いたくなりますね。
オペラ『ワルキューレ』より第3幕「ワルキューレの騎行」Richard Wagner

『ヴァルキューレの騎行』とも言われるリヒャルト・ワーグナーの曲では有名な曲です。
後期ロマン派最大のオペラ作曲家と言えば、ドイツのワーグナーで、ワーグナーは、演劇と文学と音楽を統合する総合芸術を目指しました。
「ニーベルングの指環」の中に含まれるこの曲は、第3幕の序盤で演奏され、ブリュンヒルデを含むワルキューレたちが戦場で戦士の魂を集める様子を描いています。
すぐに幕が開き、音楽に乗って8人のヴァルキューレたちが声を上げながら岩山に集まってきます。
木管楽器のトレモロと弦楽器の駆け上がりがテンションを上げ、ホルンとトランペットがあの有名な旋律を演奏します。
オーケストラで演奏する側もテンションが上がっていく曲です。
「天国と地獄」より”カンカン”Jacques Offenbach

とても有名な喜歌劇の一曲ですね。
運動会で流す学校も多いのでこの曲は聴いたことがある人も多いはず。
ドイツ生まれで主にフランスで活躍したジャック・オッフェンバックによる作品で。
流すオペラのうちでも、セリフと踊りのあるオーケストラ付きのものを「オペレッタ」(喜歌劇または軽歌劇)といいます。
オッフェンバックはオペレッタの原型を作った作曲家として有名です。
「天国と地獄」のうちの1曲であるカンカンは、明るく盛り上がるのでオーケストラのコンサートでも単独で演奏されることも多いです。
オペラ『タイス』より「瞑想曲」Jules Massenet

ヴァイオリンソロの名曲として知られる「タイスの瞑想曲」として知られるこの曲は、フランスの作曲家ジュール・マスネが作ったオペラ『タイス』の間奏曲です。
オペラの中には序曲やアリアだけではなく、こうした間奏曲が有名になることもあり、他に有名な曲といえば『カヴァレリア・ルスティカーナ』より「間奏曲」が有名です。
この曲が人気な曲の秘密はヴァイオリンのメロディが美しく儚く、ソロとしても実は弾きやすいこともあり数多くのヴァイオリン奏者がレパートリーとして演奏されます。
オペラ『タイス』を知らなくてもこの曲は知っているという方も多いので、この曲から『タイス』の他の曲も聞いてみてはいかがでしょうか。