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【高齢者向け】冬の俳句。有名な俳人が詠む美しい名作をご紹介

俳句には、冬の季節ならではの味わい深さがありますよね。

寒月や初時雨、雪のふわりとした様子など、情景を豊かに詠み込んだ名句の数々。

特に高齢者の方にとって、懐かしい風景や思い出が詰まった俳句との出会いは、心を温かく潤してくれるものです。

今回は、松尾芭蕉や与謝蕪村など、日本を代表する俳人たちが詠んだ冬の俳句をご紹介します。

目を閉じれば、情景が浮かぶような美しい句を厳選しました。

面白い表現や言い回しにも注目しながら、ゆったりとした気持ちで俳句の世界に浸ってみませんか?

【高齢者向け】冬の俳句。有名な俳人が詠む美しい名作をご紹介(31〜40)

草山の 重なり合へる 小春哉NEW!夏目漱石

草山の 重なり合へる 小春哉NEW!夏目漱石

晩秋から初冬にかけての穏やかな「小春日和」を詠んだ俳句です。

「草山」は草におおわれたやわらかな山々を指していて、その山々が幾重にも重なって見える様子を「重なり合へる」と表していますよ。

晩秋の澄んだ空気の中、陽の光に包まれて、遠くの山が優しく重なり合う光景が目に浮かぶようですね。

「小春哉」という季語が、その穏やかであたたかい日差しを感じさせ、冬を前にした心の安らぎを伝えています。

寒さが深まる前の、ほっとするような季節の恵みを静かに味わってくださいね。

あたたかき 今年の冬よ 冬至梅NEW!富安風生

あたたかき 今年の冬よ 冬至梅NEW!富安風生

「冬至梅」は梅の中でも最も早く花を咲かせる品種で、冬至のころに咲き始める花です。

このことから、冬至梅は12月の季語のひとつとして知られています。

12月はまだまだ冬本番で寒い日が続く季節ですが、この年は暖かかったのでしょう。

例年よりも暖かい冬に冬至梅の花が咲いている様子を表現しています。

俳句の世界では梅は春の訪れを告げる季語として使われることから、富安風生の春を待ち望んでいる気持ちが表現されていますね。

初霧や 茎の歯ぎれも 去年までNEW!小林一茶

初霧や 茎の歯ぎれも 去年までNEW!小林一茶

小林一茶が晩秋から初冬にかけての静かな朝を詠んだ作品です。

「初霧」とは、冬の初めに立ちこめるやわらかな霧のこと。

野や畑を包む白い霧の中で、一茶は枯れかけた草の茎を見つめています。

「茎の歯ぎれ」とは、草をかんだときのしゃりっとした感触のこと。

それも「去年まで」と言うことで、今年はもう枯れてしまい、あのみずみずしさがないことを惜しんでいます。

一茶の心には、過ぎ去った季節への名残りや、年を重ねることへのしみじみとした思いがあったのでしょう。

11月の静かな朝に、霧の向こうに過ぎし日々を思い出させるような、やさしくも切ない一句です。

母親を 霜よけにして 寝た子かなNEW!小林一茶

母親を 霜よけにして 寝た子かなNEW!小林一茶

寒さの増す晩秋から初冬にかけての、あたたかな親子の情景を詠んだ句。

「霜よけ」とは、冷たい霜や寒気から守ること。

母親のぬくもりを「霜よけ」にたとえ、子供がその胸にすやすやと眠る様子をやさしく描いていますよ。

外は霜が降りるほど寒いのに、母と子のまわりだけは穏やかであたたかい空気に包まれている情景ですね。

自然の厳しさの中にも、人のぬくもりや愛情の深さが感じられる一句です。

寒さが増す11月に読むと、心がほっと温まるようなやさしさが広がりますよね。

冬の蝶 日溜まり一つ 増やしけりNEW!小笠原和男

冬の蝶 日溜まり一つ 増やしけりNEW!小笠原和男

寒い季節の中で、日だまりに集まる冬の蝶の姿を優しく見つめて小笠原和男が詠んだ俳句です。

「冬の蝶」とは、寒さの中でも日差しに集まる蝶のことで、命のたくましさや自然の小さな生き物の存在を感じさせてくれますよね。

「日溜まり一つ増やしけり」とあるように、日差しの温かい場所に蝶がひとつ、またひとつと集まってくる様子をやさしく描いています。

小笠原は、冬の冷たさの中でも、命や光の温もりに心を寄せる思いを込めたのでしょう。

12月の穏やかな日差しの中で、自然の小さな喜びを感じられます。

【高齢者向け】冬の俳句。有名な俳人が詠む美しい名作をご紹介(41〜50)

スケートの 紐結ぶ間も はやりつつNEW!山口誓子

スケートの 紐結ぶ間も はやりつつNEW!山口誓子

山口誓子が晩秋から初冬の寒さの中で、冬の楽しみを待つワクワクした気持ちを詠んだ俳句です。

「スケートの紐結ぶ間」とは、スケート靴の紐を結んで準備するひとときのこと。

まだ滑り出す前の短い時間ですが、その間にも心がうきうきと高まっていく様子が感じられます。

「はやりつつ」とは、期待や興奮がじっとしていられないほどに早くなっていることを表しています。

誓子は、冬の季節の到来とともに、子供や自分の胸に広がる楽しみや喜びを、自然で素直に描きました。

12月の寒い日でも、体を動かす楽しみや季節の嬉しさを感じられますよね。

海に出て 木枯らし帰る ところなしNEW!山口誓子

海に出て 木枯らし帰る ところなしNEW!山口誓子

この句は明治時代の俳人、山口誓子が詠んだ句です。

木枯らしとは秋から冬にかけて吹く強く乾いた風のことで、天気予報などで耳にしたことがある人が多いかもしれませんね。

木枯らしは一度海に出ていくと、行き場をなくして再び陸に帰ってくることはない、という意味です。

当時50歳くらいだった山口誓子は疎開のため、伊勢湾の近くに住んでいました。

のちに木枯らしを「特攻隊にたとえて」詠んだ句だと名言しています。

木枯らしも特攻隊も、出ていったきり帰ってはこないという嘆きも含んで詠まれた句です。