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【高齢者向け】冬の俳句。有名な俳人が詠む美しい名作をご紹介

俳句には、冬の季節ならではの味わい深さがありますよね。

寒月や初時雨、雪のふわりとした様子など、情景を豊かに詠み込んだ名句の数々。

特に高齢者の方にとって、懐かしい風景や思い出が詰まった俳句との出会いは、心を温かく潤してくれるものです。

今回は、松尾芭蕉や与謝蕪村など、日本を代表する俳人たちが詠んだ冬の俳句をご紹介します。

目を閉じれば、情景が浮かぶような美しい句を厳選しました。

面白い表現や言い回しにも注目しながら、ゆったりとした気持ちで俳句の世界に浸ってみませんか?

【高齢者向け】冬の俳句。有名な俳人が詠む美しい名作をご紹介(51〜60)

桐の実の 鳴りいでにけり 冬構NEW!芝不器男

桐の実の 鳴りいでにけり 冬構NEW!芝不器男

芝不器男が晩秋から初冬にかけての自然の移ろいを感じて詠んだ一句。

「桐の実の鳴りいでにけり」とは、桐の実が熟して落ちる音が響く様子を表しています。

その音を聞くことで、冬支度を整える時期が来たことを実感したようです。

「冬構」とは、寒さに備えて家や庭を整えること。

芝不器男は、自然の小さな変化―桐の実の落ちる音―から季節の深まりを感じ、生活と自然のつながりをしみじみと思ったのでしょう。

11月の静かな秋の日、冬の訪れを静かに受け止める、やさしく落ち着いた一句です。

うつくしき 羽子板市や 買はで過ぐNEW!高浜虚子

うつくしき 羽子板市や 買はで過ぐNEW!高浜虚子

この句は、高浜虚子が晩秋から初冬、12月の年の瀬の風物詩を感じながら詠んだ俳句です。

「羽子板市」とは、正月に向けて羽子板を売る市のことで、色とりどりの華やかな羽子板が並びます。

「うつくしき」と感じながらも、「買はで過ぐ」とあるように、今回は手に取るだけで買わずに通り過ぎる様子を描いています。

虚子は、華やかさや楽しさを眺めつつ、あえて自分は参加せず、季節の移ろいを静かに味わう気持ちを込めたのでしょう。

12月の街角で、年の暮れの準備をそっと感じさせる、穏やかで優しい気持ちになれる一句です。

せきの子の なぞなぞあそび きりもなや中村汀女

せきの子の なぞなぞあそび きりもなや中村汀女

昭和を代表する女性の俳人、中村汀女が作ったのが「せきの子の なぞなぞあそび きりもなや」です。

中村汀女は、日常生活を詠んだものが多く、この俳句からも女性の視点からの思いが感じられますね。

季語は咳で同じような季語には、あかぎれや風邪や霜焼けなどがありますよ。

風邪をひいた子供と、布団の中で咳をしているが、なぞなぞをしている。

やめようと思っても子供にせがまれてきりがないなと思う意味になりますよ。

俳句から、親心が感じ取れます。

お子さんがいらっしゃる高齢者の方も、似たような経験があるかもしれませんね。

凩や 海に夕日を 吹き落す夏目漱石

凩や 海に夕日を 吹き落す夏目漱石

夏目漱石は、明治時代の文豪で作家や評論家や英文学者など多くの分野で活躍してきました。

文学がお好きな高齢者の方なら「月がきれいですね」の逸話もご存じなのではないでしょうか?

また、夏目漱石は俳句も多く作っていますよ。

「凩や 海に夕日を 吹き落す」からは、風の吹く強さや一瞬で沈んでしまう冬の夕日など、景色を入れ込んでいます。

俳句の意味は、すごい勢いで吹いているこがらしは、夕日さえも海に突き落としているという意味です。

冬の夕日はこがらしが強く吹いたために沈んだと、この時期の夕日の沈み方の様子が伝わりますね。

【高齢者向け】冬の俳句。有名な俳人が詠む美しい名作をご紹介(61〜70)

スケートの ひもむすぶ間も はやりつつ山口誓子

スケートの ひもむすぶ間も はやりつつ山口誓子

日本の有名な俳人、山口誓子の「スケートの ひもむすぶ間も はやりつつ」はスケートに思いをはせる俳句です。

明治時代から日本人に愛されてきたスケートは当時、富裕層のみが楽しめるスポーツでした。

一般庶民がスケートを楽しめるようになったのは大正時代になってからだったそうですよ。

スケート靴のひもを結ぶわずかな時間でも、もどかしいほど早く滑りたいという思いが感じ取れます。

山口誓子にとってスケートがどれほどわくわくし、気分が高揚するものだったかが伝わってきますね。

いざ行かん 雪見にころぶ 所まで松尾芭蕉

いざ行かん 雪見にころぶ 所まで松尾芭蕉

松尾芭蕉は、江戸時代前期に活躍した俳諧師です。

有名なので高齢者の方の中でも、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

松尾芭蕉が名古屋での雪の席で、詠んだ俳句「いざ行かん 雪見にころぶ 所まで」をご紹介します。

この俳句からは、楽しく弾んだ気持ちが感じられますよ。

雪が降ってきたから、皆の衆雪見に出かけよう。

雪ですべって転んでもそれもよし。

さあ転ぶところまで雪を見に行こう、といった意味があります。

自分の気持ちを俳句にのせて、高齢者の方にも詠んでいただきましょう。

初時雨 猿も小蓑を 欲しげなり松尾芭蕉

初時雨 猿も小蓑を 欲しげなり松尾芭蕉

霧雨や長雨など日本には雨を表現する言葉が、400以上もあるそうです。

かつての日本人は、雨が降ることも楽しんでいるかのように、たくさん雨を表現する言葉があります。

俳句でも雨を表現する言葉は季語になっていることが多いようです。

松尾芭蕉が詠んだ「初時雨 猿も小蓑を 欲しげなり」も、初時雨が季語となっていますよ。

初時雨の意味をみなさんはご存じでしょうか?

時雨は秋の終わりから冬の初め頃にパラパラと降る雨のことです。

ですので俳句では、旅の途中にその年初めて、秋の終わりから冬の初め頃にパラパラと雨が降りました。

趣を感じ、しばらく雨宿りをしていると、猿も近くの樹の上で雨を寒そうに見て、小さいみのを欲しそうにしているとの意味になります。