福島の民謡・童謡・わらべうた。歌い継がれる故郷のこころ
伊佐須美神社の境内に響く高田甚句、盆の供養を伝えるじゃんがら念仏踊り、炭鉱の記憶を今に伝える常磐炭坑節。
福島の民謡には、先人たちの暮らしと祈りが深く刻まれています。
野口雨情さんの「しゃぼん玉」や額賀誠志さんの「とんぼのめがね」には、懐かしい故郷の風景が息づいています。
古から受け継がれてきた羽黒節や相馬土搗唄の音色に、心を響かせてみませんか?
福島の民謡・童謡・わらべうた。歌い継がれる故郷のこころ(21〜40)
常磐炭坑節芸の虫保存会

今では「スパリゾートハワイアンズ」と呼ばれている大型レジャー施設も昔は「常磐ハワイアンセンター」の名称で親しまれていました。
高度成長期時代は日本の資源の大事な一つは石炭でした。
「常磐炭坑節」はいわき市浜通りにある常磐住田で働く坑員が歌われたものが、お座敷唄となり酒席でも歌われるようになりました。
いわき市の財源だった炭坑が閉鎖された後に、ハワイアンズが誕生したのです。
今は炭鉱地であった場所は「いわき市石炭・化石館」と称した博物館になり、民謡も歌い継がれています。
相馬土搗唄(そうまどつきうた)金山武

この民謡には三つの意味が込められています。
一つは地盤を固めるという家を建てる時には必要な現実的な意味合いと、土の中へ強い霊力を封じ込めるという信仰的な意味合いと、家を建てた主人を大黒柱としお祝いの意味が込められています。
あの有名な「花笠音頭」や「花笠踊り」は相馬土搗唄から生まれました。
玄如節馬場ゆかり

諸説が2つあり、「げんじょ」という美しいお坊さんに、村の娘たちが慕って唄にしたとの説と、逆に「げんじょ」という美しい娘に村の若者たちが恋して歌ったともいわれています。
会津地方に伝わる民謡なのですが、現在では殆ど唄われていないそうで、実際には男性と女性の掛け合いが入る結構複雑な民謡で現在では「猪俣トメノ」さんという方が唯一の伝承者ですが、なかなか1人では掛け合いから全ては難しいようで、今後、しっかりとどなたかが受け継がれる事を期待します。
新相馬盆唄原田直之

戦後、初代鈴木正夫さんが唄い始め、全国的に有名となり、今では福島県を代表する民謡の一つとなりました。
宮城の「石投げ甚句」のハアーと、相馬の「草刈り唄」、酒盛り唄の「相馬節」の3つを合わせできた新民謡です。
唄って全国に広めたのは鈴木正夫さんですが、作られたのは、師匠となる相馬市出身の堀内秀之進さんで、相馬地方は数多くの民謡の発祥地である事から、従来の民謡を合わせ作られたとされています。
会津松坂根本美希

会津一円で婚礼や祝い事の席に必ず唄われます。
松阪なのか松坂か正しいのか調べたところ、元は新潟県新発田市生まれの松波謙良氏が作られたもので、もともと「松坂」の意味は越後を中心に東北地方に分布する祝い唄の事で、土地によって荷方節や謙良節などと呼ばれています。
現在の漢字では松坂の方が一般的のようです。
各地方に松坂が存在する為に会津民謡と区別するためにタイトルの先に会津とつけました。