やわらかい音色、調べが魅力的な楽器、琴。
琴の曲ってお正月など日本らしい行事ごとにぴったりですよね。
聴けば耳に馴染むというか、心が落ち着つきます。
今回この記事では琴の名曲をたくさんご紹介していこうと思っています。
さて、さきほどから「琴」という漢字を使っていますが、もしかしたら「箏」じゃないの?と思われている方もいらっしゃるかもですね。
厳密に言うと「琴」と「箏」は違う楽器なのですが、なるべく多くの曲に触れていただきたいので、ここでは総じて「琴」と表現しています。
では、最後までぜひ見ていってください。
【和の心】琴の名曲。日本の美しい調べ(1〜10)
神仙調舞曲唯是震一

現代箏曲の最高傑作の一つといわれるこちらの曲は、唯是震一さんが作った作品です。
彼は東京音楽学校邦楽科で宮城道雄さんに師事、その後はアメリカにわたりコロンビア大学でヘンリー・カウエルさんに師事し、作曲を学びました。
広いジャンルを知って邦楽に生かしておられるのですね。
唯是さんは他にも舞台音楽や映画音楽も作っておられるので、そちらもぜひ聴いてみてください。
また、こちらの『神仙調舞曲』は琴のソロ曲としても人気が高いんです。
上昇の彼方沢井比河流

沢井箏曲院の創始者、沢井忠夫さんと沢井一恵さんのの長男として生まれた沢井比河流さん。
琴の奏者としてだけでなく、ギタリスト、フルーティストとしても活動しています。
彼が2003年に作ったこちらの曲は、彼の作品群の中でも人気の高い曲で、箏二パートと十七弦の三重奏からなっています。
後押し、スリ爪など、琴でしか表現できない奏法が多用されており、魅力的な曲です。
曲想としては、和とも洋ともとれるイメージを持っており、彼の音楽観が表現されています。
明治松竹梅

松竹梅ものという、正月飾りの松竹梅を主題とする曲の一つで、箏の高低二重奏として作曲されました。
作者の菊塚与市さんはこの曲をはじめ、明治新曲といわれる新時代の趣向を生かした曲をいくつも作りました。
オルゴール調子と呼ばれる特殊な調絃法を取り入れられています。
こ歌がついているのですが、その歌詞は1900年から1902年にかけて、明治天皇や皇后などが作られた和歌でできています。
興味深い合作、と言えますね。
風の歌沢井忠夫

箏の曲としてはとても新しい1970年に作られた曲で、沢井箏曲院の創始者である沢井忠夫さんによって制作されました。
風と、それに吹かれる人の心との対話を描いた作品で、伝統的な曲というより、琴と尺八の合奏の可能性を追求したような新しいタイプの曲です。
今と昔が交わったような音楽性に胸打たれます。
彼は、1985年に「違いがわかる男」のコピーで有名なコーヒーのCMにも出演していたので、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
荒城の月

厳密に「琴の曲」ではありませんが、こちらの『荒城の月』のような日本の歌は、琴で演奏されることが多いですよね。
たくさんの方がアレンジし、演奏しているので、聴き比べるのも楽しいかもしれません。
『荒城の月』は滝廉太郎さんが作った曲で、日本古来の五七調のメロディーと西洋音楽のメロディーが融合した曲。
琴で演奏するとよりその魅力が引き立つのではないでしょうか。
また、誰もが知っている曲なので、バージョンによっては初心者向きの練習曲と言えます。
松の協奏曲三木稔

凛とした独奏から、優雅な合奏、さらに尺八が加わり優美な音楽を奏でる『松の協奏曲』。
邦楽器による新たな音楽の創造を追求する作曲家、三木稔さんによる作品です。
1984年に発表された箏の名曲をぜひご自身の耳で。
夢の輪沢井比河流

女性のみで構成された、いわゆる和楽器版ガールズグループがこちらのさくらこまち和楽団です。
海外公演でも人気が高く、日本の文化を海外に伝えるのにも一役買っています。
こちらの曲は、現代邦楽作曲家として知られている沢井比可流さんが作曲した曲で、和楽器曲の枠をこえた、西洋音楽との融合が感じられる作品です。
ちなみに比可流さんの父親は『風の歌』を作曲した沢井忠夫さん。
他にも興味深い曲を作っておられるので、聴いてみてください。