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【4つ打ちの魅力】ハウス・ミュージックの名盤。基本の1枚

ハウス・ミュージック、省略して「ハウス」とも呼ばれる音楽は、1970年代のディスコ・ミュージックを起源としてクラブ・ミュージックのみならずポップスなどのポピュラー音楽にまで影響を与え続けているジャンルです。

ハウス特有のいわゆる「4つ打ち」と呼ばれる1小節ごとに4回のキック・ドラムが鳴らされるビート・スタイルは、意識せずとも一度は耳にしているはずです。

その定義や歴史などを短い文章で語ることは困難ではありますが、今回の記事ではそんなハウス・ミュージックの基本的かつ王道の名盤をピックアップ。

これからハウス・ミュージックを聴いてみたい、という方に向けたラインアップでお届けします!

【4つ打ちの魅力】ハウス・ミュージックの名盤。基本の1枚(1〜20)

Phuture And Other Classics From DJ Pierre

Acid TracksPhuture

アシッドハウスの生みの親と言われるDJピエールさんが1985年に結成したシカゴハウスの名グループ、Phutureが生み出した大名曲『Acid Tracks』は、その名の通り世界で初めて世に出たアシッドハウスの作品として知られている歴史的な名曲です。

ピエールさんがローランドの名機「TB-303」のツマミを動かした結果、偶発的に生まれたウネウネといった電子音が、アシッドハウスの基盤となったという偶発的な出来事は、ダンスミュージック史において非常に重要なトピックの1つですよね。

デトロイトシカゴの最重要人物、セオ・パリッシュさんを始めとする世界中のDJたちが好んでプレイし続けていることも踏まえて、この楽曲の革新性はどれだけ年月が過ぎても色あせることはないでしょう。

ハウスは基本的に12インチ文化であり、オリジナル・アルバムを出していないアーティストやグループも多く、Phutureも例外ではないのですが、2005年に名門Trax Recordsよりリリースされたコンピレーション盤『Phuture And Other Classics From DJ Pierre』には前述した『Acid Tracks』も含めた名曲たちが収録されていますから、興味を持たれた方はぜひ一度手に取ってみてくださいね。

Day Of The Onion

Day Of The OnionMarshall Jefferson

1959年にシカゴで生まれたマーシャル・ジェファーソンさんは、シカゴハウスのゴッドファーザーとして尊敬を集める最重要人物の1人です。

少年期にはロックを好んで聴いていたというマーシャルさん、シカゴの伝説的なDJであるロン・ハーディさんがレジデントを務めていたクラブ「The Music Box」にてダンスミュージックと出会い楽曲制作をスタートさせ、当時から無名ながらも高く評価されていたという逸話も興味深いですよね。

2020年代の現在もバリバリの現役として活躍するマーシャルさんは、まさにシカゴハウスの生き字引的な存在。

1986年に名門Trax Recordsより発表されたピアノのフレーズが印象深い『Move Your Body』も、ハウスの歴史における永遠の大名曲もマーシャルさんの作品なのですよ。

ハウスという音楽ジャンルは12インチでの作品リリースが主体のため、手っ取り早く名曲たちをまとめて聴くならコンピレーション盤などを手にするのが最適解かと思われます。

マーシャルさんは1996年にソロ名義で唯一のアルバム『Day Of The Onion』をリリースしておりますが、クレジット表記を見る限りサンプリングを一切使わずにマーシャルさん自らがキーボードやドラムマシーンを駆使して作り上げた、ある意味貴重な逸品です。

おそらくレコードもCDも廃盤で入手困難のため、興味のある方はレコードショップなどで探してみてください!

The Album

I Can’t Get No Sleep ft. IndiaMasters At Work

India – I Can’t Get No Sleep [Official Video] #LaIndia #YoSoyLaIndia #LaPrincesadelaSalsa
I Can't Get No Sleep ft. IndiaMasters At Work

ルイ・ヴェガさんとケニー・ドープさんという、ニューヨークが生んだトップDJにして音楽プロデューサーの2人が組んだ最強のハウス・ユニットが、マスターズ・アット・ワークです。

ラテン音楽やアフリカン・ジャズなどのアフロ・ミュージックをルーツとするルイさん、ヒップホップやレゲエといったストリート発のサウンドを基盤とするケニーさんという、異なるバックグラウンドを持つ2人だからこそ作り出せるハウスミュージックは、ハウスミュージック好きだけではなく幅広い音楽ファンの間で高い人気を誇っていますね。

そんなマスターズ・アット・ワークが1993年にリリースした記念すべきデビュー・アルバム『The Album』は、Indiaさんをゲスト・ボーカリストに迎えて大ヒットを記録した歌モノのハウス名曲『I Can’t Get No Sleep』をはじめとして、初期の代表的な楽曲が多く収録された作品です。

本作の最大の特徴は、2枚組という形式の中でラガヒップホップ・サイドとハウス・サイドに分かれているという面ですね。

ハウスミュージックを期待する方はディスク2をオススメしますが、2枚合わせていかにも90年代初頭といった空気感が満載ですから、むしろ現代の若い音楽ファンであれば新鮮に感じられるかも?

Hemisphere

Hooked On LoveKerri Chandler

ハウスミュージックの中でも、ジャズやファンク、ソウルにゴスペルといったブラックミュージックの要素を持ち、110~124ほどのBPMで展開するダウンテンポのハウスは「ディープハウス」と呼ばれています。

その定義はEDMが登場して以降は変化しつつありますが、今回はEDM以前のディープハウスとして、アメリカはニュージャージー州が生んだUSディープハウス界の重鎮である、ケリー・チャンドラーさんが1996年に発表した『Hemisphere』を紹介します。

本作はケリーさんが本人名義でリリースしたコンセプチュアルな作品シリーズの1つであり、ケリーさんの地位を不動のものとした傑作。

ヘビーなベースと骨太なキックといったケリーさん特有のスタイルを軸として、中毒性の高いボーカルやウワモノの巧みな扱い方には脱帽してしまいますね。

決して派手というわけではなく、むしろシンプルな音作りだからこそケリーさんのオリジナリティあふれるセンスが際立ちますし、そのスタイルは後の2ステップといったジャンルへも多大な影響を及ぼしていますよ。

Another Side

Can You Feel ItFingers Inc.

Fingers Inc – Can You Feel It (Vocal)
Can You Feel ItFingers Inc.

シカゴハウス~ディープハウスのオリジネイター、ミスター・フィンガーズことラリー・ハードさん。

もともとはフュージョンのバンドでドラマーを務めていたというラリーさんは、バンドを脱退後にシンセサイザーとドラムマシンを手にして楽曲制作をスタートさせ、多くのハウス・アンセムを世に送り出し、メジャー・シーンにおいても大きな成功を収めます。

そんなラリーさんは「Mr. Fingers.」としてのソロ活動と並行して、ボーカリストのロバート・オーウェンズさんとダンサーのロン・ウィルソンさんとともに1986年にフィンガーズ・インクという音楽ユニットを結成。

本稿では、そのフィンガーズ・インク名義では唯一となった1988年のオリジナル・アルバム『Another Side』を紹介します。

長い間幻の作品として入手困難な状態が続いておりましたが、2014年にリイシューされて日本のハウスミュージック・フリークを大いに喜ばせました。

シカゴハウス、そしてディープハウス最初期の傑作として名高い本作は、永遠のハウス・アンセム『Can You Feel It』をはじめとして、浮遊する官能的なボーカルと妖しくもはかなげなトラック作りは「機能的なダンスミュージック」としてのハウスとは違った趣を感じさせ、1980年代のシカゴハウス・シーンの空気感をそのまま真空パックしたようなサウンドが実に素晴らしい1枚です。

25 Years Later

So SpecialBlaze

1984年にアメリカはニュージャージー州にて結成されたブレイズは、ハウスミュージックを基盤として多くの人気曲・ヒット曲を生み出し、大物アーティストのプロデューサーなども手掛ける2人組。

ニューヨークハウス・シーンにおける重要アーティストのバーバラ・タッカーさんをシンガーとして迎えて、2004年に発表されたヒット曲『Most Precious Love』を覚えていらっしゃる方も多いのでは?

現在は残念ながらユニットとしての活動を停止しているようですが、ハウスミュージックを語る上ではやはり取り上げるべきグループの1つだということは間違いないでしょう。

そんなブレイズがボーカリストのクリス・ハーバートさんが在籍していたトリオ編成だった頃にリリースされた、名盤デビュー・アルバム『25 Years Later』を紹介します。

あのソウル・ミュージックの名門中の名門レーベルであるモータウン・レコーズが初めてリリースしたハウス・アルバムということでも話題を集めた本作、残念ながら商業的な成功を収めることはできませんでしたが、ソウル色の強いハウスといった趣が今もなお新鮮な傑作なのですね。

ハウス以降のビート感覚を軸としながらも、生楽器をふんだんに用いたアンサンブルと素晴らしいメロディが際立つ、古き良きソウル・ミュージックへの憧憬が込められた良質なブラックミュージックとして楽しめるはず。