【日本の軍歌・行進曲】昭和や戦時中の世代に深く心に刻まれている日本の名曲集
勇壮な瀬戸口藤吉の「軍艦マーチ」、桜が散る春に響く鶴田浩二の「同期の桜」、戦友への想いが胸を打つ島津亜矢の「戦友」。
日本の軍歌や行進曲には、祖国への誇り、戦地へ赴く兵士たちの決意、そして帰らぬ戦友への深い追悼の祈りが込められています。
時に力強く、時に哀しく響くメロディーは、戦争の記憶を語り継ぎ、平和の尊さを私たちに問いかけています。
日本の歴史とともに、今なお多くの人々の心に刻まれている珠玉の名曲をご紹介します。
【日本の軍歌・行進曲】昭和や戦時中の世代に深く心に刻まれている日本の名曲集(1〜10)
告別行進曲瀬戸口藤吉

威厳と格式が漂う吹奏楽の名作が、日本の明治期を代表する軍楽家である瀬戸口藤吉さんの手によって華麗な姿を見せます。
誰もが知る「蛍の光」のメロディを荘厳な行進曲へと昇華させた本作は、1897年に当時の天賞堂本店で新譜として紹介されたSPレコードに収められました。
独逸ポリドール軍楽隊による演奏は、哀愁を帯びながらも力強い西洋式三段構成で展開され、瀬戸口さんが重んじた12名から45名までの段階的な吹奏楽編成の妙を存分に引き出しています。
儀式や式典など、厳かな雰囲気が求められる場面で心に響く一曲として、今なお色褪せない魅力を放っています。
進撃追撃行進曲吉本光蔵

格調が高く力強い行進曲が、海軍軍楽隊の演奏で甦ります。
冒頭から銅管パートと打楽器による緊迫感がある序奏が鳴り響き、中盤では華やかなメロディと精緻なテンポの変化を交えた構成に思わず身を乗り出してしまいます。
終盤に向かって高まる荘厳な展開は聴く者の心を揺さぶり、当時の軍楽隊の気概が伝わってきます。
吉本光蔵さんによる本作は、1927年11月に大観艦式・観兵式を記念したSPレコードとして発売された記念碑的な楽曲です。
1998年には名盤『蘇る独逸ポリドール軍楽隊~黄金時代の行進曲集』に収録され、再び多くの人々の心を打ちました。
唱歌「むすんで ひらいて」がトリオに組み込まれており、編曲の妙としても勉強になる作品です。
吹奏楽ファンの方におすすめしたい一曲です。
国民進軍歌江口 源吾

雄々しい行進曲に乗せて、力強く勇ましい思いを伝える一曲です。
江口夜詩さんの経験が活きた壮大な軍楽の中にも、故郷への想いや平和への願いが込められています。
海軍軍楽隊時代からクラシック、そして大衆音楽まで幅広く活躍した大作曲家の本領が、この曲でも遺憾なく発揮されているといえます。
本作は1925年に軍楽隊として活躍していた時期のもので、行進曲の中でも威厳のある楽曲として高い評価を受けました。
威風堂々とした曲調は、式典や記念行事など、厳かな場面での演奏に適しています。
大海軍行進曲(ビッグ・マーチ)海軍軍楽隊

海軍軍楽隊の手による、ある勇壮な行進曲は、聴く者の心を奮い立たせる力強さに満ちています。
その魅力は、力強いリズムと心を鼓舞する旋律にあり、わずか2分36秒という短さの中に、前奏から主部、そして華やかなトリオへと展開する緻密な構成が見事です。
この楽曲は1933年10月にSPレコードとして登場し、時代を超えて1995年にはアルバム『戦前日本の名行進曲集~海軍軍楽隊篇~』などに収録され、再び注目を集めました。
海上自衛隊の観艦式といった公式の場で演奏されることもあり、その格調高さが伺えます。
日本の吹奏楽の歴史や、勇壮な音楽に触れたい方におすすめしたい作品です。
歩兵の本領永井建子

明治の浪漫と気概を伝える、永井建子さんによる珠玉の一曲です。
1911年、陸軍中央幼年学校の行事で披露されたこの楽曲は、若き加藤明勝さんの詞に、永井さんが勇壮な魂を吹き込みました。
その力強くもどこか哀愁を帯びた旋律は、聴く者の胸を打ち、当時の兵士たちの覚悟や祖国への想いを鮮やかに描き出します。
アルバム『軍歌「あゝ陸軍」』やCD『軍歌・戦時歌謡<完全限定生産スペシャルプライス盤>』などにも収録されています。
映画『太平洋の奇跡』で、この旋律が効果的に使われた場面を記憶されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日本の歴史の一節を音楽から感じ取りたい方や、心を揺さぶる力強い調べを求める方におすすめです。