奥深いDUBの魅力~オススメの名盤・人気の1枚
ダブという音楽ジャンルを知っている方は、レコードショップに足しげく通っているような、かなりの音楽好きではないかと思われます。
レゲエから派生したジャンルではありますが、音楽制作の手法でもあり、その世界はあまりにもディープで奥深いものがあるのですね。
本稿は、初心者にもオススメの定番の名盤を中心としながらも、本場ジャマイカのルーツ・ダブからUKダブ、ポスト・パンクやニューウェーブといったダブの影響を感じさせる作品にも目を向けたラインアップでお届けする記事となっております。
日ごろはロックを中心に聴いているという方でも楽しめる内容となっておりますから、ぜひご覧ください!
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奥深いDUBの魅力~オススメの名盤・人気の1枚(1〜10)
Vanishing DubPrimal Scream

ロック・サイドからダブの要素を巧みに取り入れ、自分たちの音楽として表現したバンドの代表格の1つといえばプライマル・スクリームでしょう。
カメレオンのように音楽性を変えるスタイルも有名な彼らが1997年に発表した『Vanishing Point』は、まさにオルタナティブロック世代の感性とダブ・ミュージックの要素が融合した傑作です。
本稿で取り上げている『Echo Dek』は、そんな『Vanishing Point』を丸ごとダブ・ミックスした作品なのですね。
英国ダブのゴッドファーザー、エイドリアン・シャーウッドさんが全曲ミックス・プロデュースを担当し、ロック的解釈でダブを取り入れた楽曲を、ダブの第一人者が改めてダブ・アルバムとして再構築するというのが実におもしろい試みですよね。
Jah RockHerman Chin Loy

レゲエ~ダブ・ミュージックの歴史の中でも、メロディカを駆使した独創的なサウンドで著名なオーガスタス・パブロさんの初レコ―ディング作品に携わった重要人物が、中国系ジャマイカ人のハーマン・チン・ロイさんです。
ジャマイカはキングストンに「アクエリアス・レコーズ」というレコードショップをオープンさせ、レーベルやスタジオを経営するなど、ジャマイカの音楽史において重要な役割を果たした存在なのですね。
そんなハーマンさんがプロデュース・ミックスを手掛け、1973年頃にリリースされた『Aquarius Dub』は最初期のダブ・アルバムとして知られる作品です。
ルーツ色の強いファンキーなレゲエ・インスト集といった趣で、元ネタとなっている楽曲と比べて極端なエフェクト効果などを加えているわけではない、というのがポイントですね。
余談ではありますが、本作は「史上初のダブ・アルバム」と評されることもあります。
ダブの発祥自体が諸説あるため一概には言えませんが、最初期の作品であることは間違いないでしょう。
Blue LinesMassive Attack

トリップ・ホップと呼ばれる音楽ジャンルの震源地であるイギリスはブリストル出身、ブリストル・サウンドのオリジネイターとして著名なマッシヴ・アタック。
前身となったグループを含めれば、1980年代の初頭から活動を続けている彼らの名を世界的に知らしめたデビュー・アルバム『Blue Lines』は、1991年にリリースされました。
最初のトリップ・ホップのアルバムとも評される本作には、ヒップホップやダブ、レゲエにソウルなどのブラック・ミュージックを独自に解釈したサウンドでシーンに衝撃を与え、ジャンルの枠内をこえた影響力を誇る大傑作アルバムです。
純然たるダブというわけではありませんが、ダンスミュージックの狂騒とはまったく違ったダークさとひんやりした質感は、ダブ・ミュージックから派生した90年代ならではのオルタナティブな音という点において、ダブに興味のある方もぜひチェックして頂きたい作品だと言えましょう。
奥深いDUBの魅力~オススメの名盤・人気の1枚(11〜20)
Swan LakePublic Image Ltd

ダブやレゲエに強く影響を受けたイギリスのポストパンク勢が残した名盤としては、やはりPILことパブリック・イメージ・リミテッドの『Metal Box』を挙げざるをえないでしょう。
70年代パンクにおいて最も知名度の高いバンド、セックス・ピストルズの解散後にボーカリストだったジョン・ライドンさんが新たに始めたパブリック・イメージ・リミテッドが1979年に発表した衝撃的な作品です。
オリジナル盤は音質の良さを考慮した12インチ・シングルの3枚組としてメタル缶のケースでリリース、ある意味において真のパンク精神が存分に発揮された挑戦的でアナーキーな作品だった、と言えるかもしれません。
沈み込むような重々しいベース・ラインと独特のリズムを生み出すドラムス、空間を切り裂くようなギター、自由奔放なボーカル……そのどれもがロック的な激情とはかけ離れたクールネスを感じさせ、浮遊する音響空間は一度はまったら抜け出せない魅力を放ちます。
本作もまた、奥深きダブ・ミュージックの影響から生まれたアルバムとして、ダブに興味を持った方々にもぜひ一度はチェックしてもらいたい名盤ですよ!
Dance Of The VampiresScientist

ダブマスターとして名高いキングタビーのスタジオで助手としてミックスワークを学んだサイエンティスト。
1981年リリースのアルバム『Scientist Rids the World of the Evil Curse of the Vampires』は、ルーツ・レゲエを元としたダブに収まりきらず、マンガや映画、テレビゲームのような多角的かつ不思議な世界観を表現した変態的ダブ。
エコー、リバーブ、フィルターなどの強烈なエフェクトワークを軸に、リスナーをアルバムジャケットにも表れているぶっ飛んだ次元へ連れて行ってくれる招待状のような作品に仕上がっています。
Off The Beaten TrackAfrican Head Charge

ダブ、レゲエファンに限らず世界中の音楽ファンからそのプリミティブかつアーティスティックな音象が支持され続けているアフリカン・ヘッド・チャージ。
1986年にリリースされた『Off the Beaten Track』は、ブライアン・イーノさんが提唱したサイケデリックアフリカという概念を、同作品のリリース元であるOn-U Soundを設立したことでも知られているエイドリアン・シャーウッドさんという奇才によって見事に作品に落とし込まれ、サンプリングと生楽器の融合によって創出された不思議なダンスミュージックは幾度もの復刻を重ね、2020年代を過ぎた現代でも世界中のダンスフロアでかかり続けて人々を揺らし踊らせているのです。
Electrochargedennis bovell

バルバトス・セントピーター出身でギターやベースなどマルチなプレーヤーであり、ブラックベアードという名義でも活躍している天才、デニス・ボーヴェルさん。
1980年に発表された『I Wah Dub』はブラックベアード名義でリリースされたアルバムであり、プレーヤーとしてだけではなく、プロデューサー、レコーディング・エンジニアとしても有名でダブ、英国ラヴァーズ・ロック、ポストパンクとトラディショナルなものから実験的な音源まで、その多彩な音楽的素養を遺憾なく発揮した英国ダブ・ミュージックの傑作!
実はリリース当時に日本盤のアナログ・レコードが出ていた事実もあり、コレクターであれば入手しておきたいところですよね。