尺八の名曲。おすすめの人気曲
厳かな竹の響きが心を震わせる尺八の世界。
虚無僧たちが守り継いだ古典本曲から、琴古流や明暗真法流といった各流派が生み出した多彩な曲まで、それぞれに深い歴史と魅力が刻まれています。
遊郭での演奏が禁じられたという伝説を持つ曲や、夢の中で得られたとされる神秘的な曲など、一つ一つの尺八曲には心揺さぶる物語が息づいています。
もくじ
尺八の名曲。おすすめの人気曲(1〜20)
無住心曲

神如道生曲の1つです。
昭和13年の夏頃、日支親善の為に民間使節として上海に赴き、その時の感動をもとに即興的に吹いたものです。
蒋介石のお宅で一曲吹くという約束があったが、数奇な運命で結局は叶わなかったようです。
神如道師の手癖ともいえるような曲で、阿字観や松巌軒鈴慕など古典本曲のそれぞれ良いとこ取りのようなおもしろみのある曲で、その為、非常に人気が高いです。
鼓吹きと呼ばれる、強弱をつけ遠近感を持たせた吹き方が入っているのも特徴のひとつです。
越後三谷

尺八古典本曲、三谷の一種です。
越後(現 新潟県)にあった虚無僧寺・明暗寺(通称 越後明暗寺)に伝わった三谷。
正式名称は、越後明暗寺伝の三谷で、数回の焼失の為に最後は中野原に移されたが、それ以前は南蒲原郡下田郷にあった為、その地名から下田三谷(シタダサンヤ、※シモダサンヤ)とも呼ばれる。
明暗寺伝や布袋軒伝・錦風流伝などの他流派に伝わっている三谷と曲の構成などはほぼ同じであるが、表現の仕方(首振りなど)がかなり独特な為、全く違った雰囲気を持っています。
下り葉

尺八古典本曲の1つです。
琴古(キンコ)流、錦風(キンプウ)流、明暗真法(ミョウアンシンポウ)流の本曲。
別字に下り波(サガリハ、サガリナミ)、降り葉、下李葉、さがり葉、くだり葉ともよばれています。
祇園祭礼の山車が帰って行く時の囃しに吹かれた曲とも云われています。
砧巣籠

尺八古典本曲、巣籠り地・砧地の一種です。
琴古流の本曲で、裏組みの一曲。
前吹きとして芦の調と雁音柱の曲を吹くと云われてます。
曲の出自は不明で、3代目琴古の作だと云われてます(2代目琴古というものもある)。
砧鶴巣籠と書かれる場合もあります。
曲調は曙調子で、一閑流ではないようです。
裏組最後の曲であり、曙調子の曲でもあるためか、他の琴古流本曲よりも昔の雰囲気を色濃く残しています。
砧とは、洗濯し干した衣類を乾かしすために棒や木槌で叩いて残った水気を取ったり、皺を伸ばすための道具のことで、古くからある民具で、夜になるとどこの民家でもこの砧で叩く音が聴こえてきたといいます。
その人口的で印象的なリズムから、箏や三味線などの曲に持ちいたれたり、和歌などの題材になるなど、さまざまな芸能に影響を与えています。
葦草鈴慕

琴古流本曲の1つで、琴古(キンコ)流と呼ばれています。
伊豆鈴慕とともに鈴法寺二十六世嘯山勇虎尊師からの伝来と記されています。
曲名の由来は、天文元年(1532年)~慶長18年(1613年)までの間、鈴法寺が武蔵国川越の葦草村にあったことから葦草鈴慕と呼ばれてます。
霧海箎鈴慕

尺八古典本曲の虚鈴(キョレイ)・虚空(コクウ)と並ぶ根源曲・三虚霊の一曲です。
虚霊山明暗寺開基の虚竹禅師(寄竹)が夢の中で得た曲との伝説が2説あり、どちらがただしいとかは分かっていません。
琴古流の霧海箎鈴慕の曙調子・雲井調子は、三谷菅垣を参考に初代黒澤琴古が移曲したといわれてます。