心に響く尺八の名曲集|心を揺さぶる日本の美しい調べ
悠久のときをこえて、日本の伝統楽器「尺八」が奏でる深い調べは、私たちの心に静寂と安らぎをもたらしてくれます。
古くから伝わる尺八曲には、自然の息吹や人々の思いが込められており、その音色は現代を生きる私たちの心も揺さぶります。
この記事では、心に響く尺八の名曲を集めました。
先人が紡いだ作品から、古典の響きと現代のエッセンスが調和した作品まで、幅広く選定しています。
和の心に触れたい方、日本の伝統音楽に興味をお持ちの方は、ぜひゆっくりとお楽しみください。
心に響く尺八の名曲集|心を揺さぶる日本の美しい調べ(1〜10)
甲乙山本邦山

ひとつの竹から生まれる低音と高音、その2つの響きの対話をテーマとして、人間国宝、山本邦山さんが自身のために作り上げた尺八独奏曲です。
ジャズ奏者との共演も積極的に行い、伝統の枠を越えてきた山本さんならではの、静寂のなかに鋭い緊張感を宿した調べが心に響きます。
本作は1985年頃に制作されたアルバム『山本邦山作品集成(七)』に収められた作品。
深く内省的ながら、どこか張り詰めた空気感をただよわせる音色からは、孤高の精神性さえ感じられるでしょう。
旅人の唄福田蘭童

どこかもの悲しく、郷愁を誘う尺八の音色が心に深く響く名曲です。
この曲を手掛けたのは、伝統的な邦楽に洋楽のエッセンスを取り入れた作曲家、福田蘭童さんです。
民謡を思わせる親しみやすい旋律のなかに、故郷を離れて旅を続ける人の心に宿る哀愁や、望郷の念が切々と描き出されています。
この楽曲は名盤『福田蘭童尺八名曲選』に収録されているほか、2016年8月には新たな解釈で演奏されたミニアルバム『尺八独奏曲集』にも収められました。
一人静かに物思いにふけりたいときや、故郷に思いをはせたいときに聴くと、心にじんわりと染み渡るのではないでしょうか。
風のとおり道久石譲

となりのトトロの挿入曲である『風のとおり道』。
ジブリ作品の音楽のなかでも特に人気の高い本作を尺八で演奏すると、哀愁ただよう雰囲気がプラスされ、また違った魅力がありますよね。
久石譲さんが紡ぐ素朴なメロディは、和楽器との相性も抜群!
原曲との聴き比べを楽しむのもオススメですよ!
心に響く尺八の名曲集|心を揺さぶる日本の美しい調べ(11〜20)
都山流本曲「木枯」初代中尾都山

都山流本曲の一つです。
初代中尾都山さんが大正12年11月に作曲した本作は、関東大震災後の灰と化した東京のもの悲しさ、厳しさを木枯しに例えたとされています。
もみ手や回しユリを利用し、一陣の風が通り抜けていくかのような荒々しさと高音の緊張感、虚無感をあらわしている点は、見事としかいいようのないもの。
西洋的な音楽表現と東洋の本曲的要素が組み合わさった名曲です。
千鳥の曲吉沢検校

冬の海辺に響く千鳥の鳴き声と打ち寄せる波の情景をテーマに、幕末期に箏と胡弓のために作られた作品です。
古今和歌集の和歌を基にした歌詞が、友を呼ぶ千鳥の姿と重なり、聴く者の心に深い旅情や郷愁を呼び起こします。
本作は和歌を基にした楽曲群『古今組』の1曲で、もとは胡弓と箏の合奏曲でしたが、現在では尺八を加えた編成も広く親しまれています。
日露戦争の前夜、海戦に向かう艦上で提督が尺八で奏でたという逸話もある本作。
歴史の情景に思いをはせながら、その美しい調べに心をゆだねてみてはいかがでしょうか。
詩曲二番松村禎三

幼少期から邦楽器に親しんできた日本人作曲家、松村禎三さん。
彼が尺八独奏のために作曲したこの楽曲は、深い精神性を感じさせる作品です。
息をのむような静寂と、内から湧き上がる激しいエネルギーが交錯し、聴く者の心を揺さぶります。
1972年11月に初演された本作は、1996年発売の名盤『詩曲/松村禎三 作品選集 II』にも収録されています。
日常の喧騒を忘れ、静かに自分と向き合いたい夜にピッタリの1曲。
邦楽の伝統と現代的な感性が融合した唯一無二の調べに、じっくりと耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
ノヴェンバー・ステップス 第十段武満徹

日本の現代音楽を世界に知らしめた、武満徹さんによる画期的な作品です。
西洋のオーケストラと日本の伝統楽器を融合させるのではなく、あえて対峙させることで、それぞれの音の持つ異質な美しさが際立ちます。
武満さんが「垂直に樹のように起る」と表現した尺八の音色は、まるで静寂のなかにすっくと立つ1本の竹のような、孤高の精神性を感じさせます。
この楽曲は1967年11月、ニューヨーク・フィルハーモニックの委嘱作品として初演され、1970年の万国博覧会でも演奏されました。





