心に響く尺八の名曲集|心を揺さぶる日本の美しい調べ
悠久のときをこえて、日本の伝統楽器「尺八」が奏でる深い調べは、私たちの心に静寂と安らぎをもたらしてくれます。
古くから伝わる尺八曲には、自然の息吹や人々の思いが込められており、その音色は現代を生きる私たちの心も揺さぶります。
この記事では、心に響く尺八の名曲を集めました。
先人が紡いだ作品から、古典の響きと現代のエッセンスが調和した作品まで、幅広く選定しています。
和の心に触れたい方、日本の伝統音楽に興味をお持ちの方は、ぜひゆっくりとお楽しみください。
心に響く尺八の名曲集|心を揺さぶる日本の美しい調べ(21〜30)
砧巣籠

尺八古典本曲、巣籠り地・砧地の一種です。
琴古流の本曲で、裏組みの一曲。
前吹きとして芦の調と雁音柱の曲を吹くと云われてます。
曲の出自は不明で、3代目琴古の作だと云われてます(2代目琴古というものもある)。
砧鶴巣籠と書かれる場合もあります。
曲調は曙調子で、一閑流ではないようです。
裏組最後の曲であり、曙調子の曲でもあるためか、他の琴古流本曲よりも昔の雰囲気を色濃く残しています。
砧とは、洗濯し干した衣類を乾かしすために棒や木槌で叩いて残った水気を取ったり、皺を伸ばすための道具のことで、古くからある民具で、夜になるとどこの民家でもこの砧で叩く音が聴こえてきたといいます。
その人口的で印象的なリズムから、箏や三味線などの曲に持ちいたれたり、和歌などの題材になるなど、さまざまな芸能に影響を与えています。
無住心曲

神如道生曲の1つです。
昭和13年の夏頃、日支親善の為に民間使節として上海に赴き、その時の感動をもとに即興的に吹いたものです。
蒋介石のお宅で一曲吹くという約束があったが、数奇な運命で結局は叶わなかったようです。
神如道師の手癖ともいえるような曲で、阿字観や松巌軒鈴慕など古典本曲のそれぞれ良いとこ取りのようなおもしろみのある曲で、その為、非常に人気が高いです。
鼓吹きと呼ばれる、強弱をつけ遠近感を持たせた吹き方が入っているのも特徴のひとつです。
心に響く尺八の名曲集|心を揺さぶる日本の美しい調べ(31〜40)
曙調

尺八古典本曲、あるいは調子としての名称で江戸中期ごろから用いられる尺八五調子のなかの曙調子にあたるということで、この名があります。
曲名としては「アケボノノシラベ」と詠み、調子としては「アケボノチョウ」と詠むのが正しいとのことです。
曙調子の旧調子名は、一越調子になります。
琴古流(キンコ)の本曲の場合は2種類あり、一つは吉田一調譜に記述されている伝承が途絶えてしまったもの(曙調。
黄鐘調)と荒木竹翁(2代目古童)が一二三鉢返から移調したもの(「竹翁入れこの手」と呼ばれる旋律の追加は曙調では省かれている)。
三浦琴童の琴古流尺八本曲楽譜によれば現在もっぱら演奏されるのは、一二三鉢返調の曲の重奏用移調曲です。
布袋軒三谷

尺八古典本曲の1つで、三谷の一種。
奥州(現 宮城県県)にあった虚無僧寺・布袋軒に伝わった三谷。
妊婦にこの曲を聴かせると産後が安定するということから、別名に産安乃曲(サンヤスノキョク、サンアンノキョク)、奥州産安(オウシュウサンアン、オウシュウサンヤス)とも呼ばれています。
伝承によってかなり曲のフレーズが異なり、特に東学伝のものはかなり異なるようです。
打替虚霊

尺八古典本曲、虚霊の一種です。
琴古流の本曲。
琴古手帖の当流尺八曲目によると下総国船橋(現在の千葉県船橋市)の清山寺の御本則・川原丹蔵より伝来したと書かれており、さらにもっとも尺八吹合所で吹かれていたと書かれています。
真虚霊の打ち替えの手を取り入れたものがこの打替虚霊がはじめとされています。
松巌軒鈴慕

尺八古典本曲、奥州系の鈴慕の1つです。
根笹派錦風流の別伝、鈴慕の一種です。
伝承系統によって若干の曲相と名称が異なります。
小野寺源吉(オノデラゲンキチ、1854年~1928年)は、宮城県出身の尺八の名人で金成寺の虚無僧として托鉢行脚をしている時に弘前市の根笹派錦風流・乳井月影(ニュウイゲツエイ)と交流を持ったことから、小野寺源吉は、当地で錦風流を学び、そのかわりにこの鈴慕と巣籠りを錦風流に伝えたといわれています。
流し鈴慕

尺八古典本曲の1つです。
根笹派錦風(ネザサハキンプウ)流の本曲。
鈴慕の一種。
托鉢行脚などで吹かれていました。
根笹派の特有の吹奏法・コミ吹きで吹かれます。
高音の部分が特徴的で、さながら普化禅師の振る鐸の音のようであり、嫋嫋と悲哀が漂う様子がとれます。





