日本の哀歌に込められた魂の叫び。心に響く至極の名曲を紐解く
悲しみや切なさを美しい旋律に昇華した日本の哀歌の世界。
忌野清志郎さん率いるRCサクセションが紡ぐ寂しい情景から、あがた森魚さんの心揺さぶる詩世界、そしてVOCALOID「GUMI」が歌う透明な想いまで。
時代を超えて人々の心に寄り添い続けてきた珠玉の名曲には、失恋、孤独、別れ…。
人生の様々な場面で感じる魂の叫びが込められています。
静かに心に染み入る歌声と共に、深い感動の世界へ誘います。
日本の哀歌に込められた魂の叫び。心に響く至極の名曲を紐解く(1〜10)
秋桜(コスモス)山口百恵

1977年10月リリース。
それまで都会的でツッパッた路線の楽曲が多かった山口百恵さんが、一転、花嫁として家を出て行く娘が母に贈る歌を歌ったことで、当時のファンはざわつきました。
さだまさしさんの作詞作曲で、さだまさしさん本人も歌っています。
エルフAdo

孤独な存在として知られる伝説のエルフたちを想起させる壮大な物語が、Adoさんの圧倒的な歌唱力によって鮮やかに描き出されます。
果てしない旅路の中で、自分自身と向き合い、葛藤や苦悩を乗り越えていく魂の成長物語が胸を打ちます。
TBS系金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』の主題歌として2025年1月から放送され、広瀬すずさん演じる主人公の心情と見事に重なり合います。
本作は、戦いの道のりで感じる孤独や哀しみに寄り添いながらも、前に進む勇気を持つすべての人の心に響く一曲となっています。
精霊流しさだまさし

親しい人を失うという喪失の痛みを、優しく切ない旋律に包み込んだ音楽の祈り。
さだまさしさんが描いた哀愁漂う物語は、長崎の伝統行事をテーマに、遺された者の思いを繊細に紡ぎ出しています。
生きていた頃の大切な約束や、ともに作った思い出の品、変わりゆく家族の姿を通して、深い愛情と寂しさが胸に迫ります。
グレープが1974年4月にリリースした本作は、中京地区を中心にじわじわと広がり、オリコン2位、130万枚のヒットを記録。
2003年にはNHKドラマの主題歌として再び輝きを放ちました。
大事な人との別れを経験した方の心に、そっと寄り添う珠玉のバラードです。
残像の愛し方Tele

心の奥底に潜む痛みや後悔を優しく包み込むように紡がれる繊細な音世界。
Teleさんがゆったりと流れる叙情的な旋律に乗せて歌い上げる、失われた愛への思いは、聴く人の心に静かに寄り添います。
優しく、そして、ささやきかけるようなボーカルと、夜の街を映し出すような幻想的なサウンドスケープが織りなす空間は、どこか懐かしい切なさに満ちています。
2025年2月にリリースされた本作は、Teleさんの全国ツアーのテーマ曲として、3月からスタートする9都市12公演のライブを彩ります。
愛する人との別れを経験した方や、心に秘めた思いを持つ方に、そっと寄り添える一曲です。
浅草キッドビートたけし

1986年8月にリリースされたアルバム『浅草キッド』に収録。
売れない浅草芸人だった時代を思いながら、ビートたけしさん自ら作詞作曲を担当しています。
哀愁のある歌詞は芸人でなくてもグッときます。
余談ですが漫才の浅草キッドは1987年結成です。
楓スピッツ

はかなくも美しい別れの情景を、透明感のある旋律で紡ぎ出した珠玉のバラード。
スピッツがアルバム『フェイクファー』から1998年7月に発表した本作は、失った存在への思いを切なく歌い上げています。
時の流れの中で次第に和らいでいく傷心と、それでも前を向いて歩もうとする強さが、温かみのある演奏に乗せて描かれています。
1999年のフジテレビ系ドラマ『Over Time』での起用を皮切りに、2022年の同局『silent』まで、多くの作品で物語を彩ってきました。
心に深い傷を負った時、あるいは大切な人との別れを経験した時に聴いてほしい一曲です。
優しく寄り添うような草野マサムネさんの歌声が、必ずや心の支えとなってくれることでしょう。
哀歌(エレジー)平井堅

現在のアーティストの中で、哀愁のある美声の持ち主といえば代表は平井堅さんでしょうか。
この『哀歌』は通算25枚目のシングルで、2007年1月リリース。
R-15指定で話題になった映画『愛の流刑地』の主題歌にもなっています。