鹿児島の大地に根付いた民謡やわらべうたには、郷土の心と暮らしが色濃く映し出されています。
埋め立て工事の労苦、島の人々の祈りと喜び、若者たちの純真な恋心……さまざまな心情を切り取った名曲たちは、世代をこえて受け継がれ、現在も地元の人々や故郷を離れて暮らす人々から愛されています。
本記事では、そんな鹿児島愛にあふれた民謡、童謡、わらべうたを集めました。
心に染み入る鹿児島の民謡の世界を、お楽しみください。
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【鹿児島民謡の世界】郷土の心を歌い継ぐ伝統の調べ(1〜10)
長雲節島唄

唄遊びの際の「別れ唄」として知られるようになった『長雲節』。
地方によってとらえ方が異なり、ある地域では祝いの唄として、別の地域ではもののけを誘い出す歌として親しまれているのだそうです。
三味線の調べにのせて紡がれる歌声は、まるで島特有のゆったりとした時間そのものを感じさせますよね。
元ちとせさんのアルバムにも収められている島唄の名作を聴きながら、人々を癒やす不思議な魅力を持つ奄美地方に思いをはせてみるのもよいのではないでしょうか。
奥深い調べは、夜一人で静かに過ごす際のBGMにも最適ですね。
鹿児島浜節

鹿児島の雄大な海の情景と、そこに生きる人々の心が重なる伝統の調べ。
ゆったりとした節回しに三味線の音色が寄り添い、聴く者をあたたかく包み込みます。
本作は、鹿児島湾の西海岸沿いの情景を歌った民謡で、もともとは鹿児島に伝わる舟こぎ唄の一種でした。
のちにお座敷歌として全国に広まり、現在も、地元の催しなどで鹿児島の文化を伝える役割を担っています。
故郷の風景に思いをはせたいとき、そっと寄り添ってくれる1曲といえるのではないでしょうか。
なこかい とぼかいわらべうた

「さあ、泣いている暇があったら、思い切って跳んでみようじゃないか!」そんな薩摩の心意気がまっすぐに伝わってくる、元気いっぱいのわらべうたです。
江戸時代、薩摩藩の子供たちが日々の遊びのなかで口ずさみ、困難に立ち向かう積極性を育んだという、まさに「まず行動せよ」という力強いメッセージを体現した1曲。
リズミカルな言葉の掛け合いは、聴いているだけで心がウキウキしてくるようですね。
何か新しい一歩を踏み出したいとき、あるいは少し気持ちがくじけそうなときにも、勇気を与えてくれそうな気がしませんか?
行きゅんにゃかな節島唄

愛する人との別れを歌った、切なくも美しい奄美の伝統的な調べの1曲。
故郷や家族への深い思い、そして夜も眠れないほどの切実な感情が、聴く者の胸にせまります。
元ちとせさんやNHK大河ドラマ『西郷どん』のテーマを歌唱した里アンナさんをはじめ、島唄を愛する多くのアーティストによって歌い継がれ、世代をこえて愛される本作は、奄美の心を今に伝えるかけがえのない名曲といえるでしょう。
大切な人を思う夜や、故郷に思いをはせるひとときのBGMにも最適です。
チェスト!おはら

鹿児島の伝統的な調べに若者の力強い掛け声が重なり合う、エネルギッシュなパフォーマンス曲です。
世代を超えて受け継がれる郷土の心を、現代的な感覚でよみがえらせた点が魅力といえるでしょう。
「渋谷・鹿児島おはら祭」で披露され、親しまれている本作は、2011年頃からこの祭りの演目として定着し、渋谷区や鹿児島県と連携した地域活性化の一環として感動を与えています。
祭りのにぎわいや、故郷を愛する人々の熱意を体感したい方に、ぜひ聴いていただきたい1曲です。
薩摩音頭

懐かしさと温かさに満ちたメロディが心に響く1曲です。
ゆったりとした曲調から、にぎやかなお囃子へと移り変わる様子は、まるで祭りの情景が目に浮かぶようです。
鹿児島の歌を伝える多くの民謡歌手たちに歌い継がれてきた本作は、1940年代後半から1950年前後に広く世に知られるようになり、現在でも鹿児島市の「おはら祭り」をはじめ各地の祭りで愛されています。
故郷を思うとき、また鹿児島の文化に心ひかれるとき、きっと特別な1曲になるでしょう。
ゆうなのきのしたでわらべうた

南の島の穏やかな風を感じるような、優しい調べが魅力のわらべうた。
ゆうなの木陰で風鈴が心地よく響き、眠る赤ちゃんをあやす親の深い愛情が、ゆったりとした旋律にのせて歌われています。
「りんりらりん」という言葉の響きも、聴く人を安心感でそっと包み込んでくれますね。
鹿児島の島々で古くから大切に歌い継がれてきた本作は、徳之島混声合唱団による島民劇の題材にもなるなど、地域文化として今も大切にされています。
小さなお子さんを寝かしつけるひとときに、歌ってみてはいかがでしょうか。