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【洋楽】ポストロックのすすめ~基本の名盤・オススメの1枚

従来のスタイルで鳴らされるロックの方法論とは違う、さまざまなアイデアや実験的な趣向を凝らして表現する音楽ジャンルがポストロックです。

定義としてはかなり曖昧な上にサブジャンルも多々あるのですが、ポストロックという括りの中でも世界的な成功を収めたバンドやアーティストは少なくありませんし、ここ日本でもポストロックの方法論に影響を受けた多く存在しているのです。

今回の記事では、最近ポストロックに興味を持ち始めた洋楽ファンに向けて「まずはこの1枚」な名盤の数々を一挙ご紹介します!

ポストロック全盛期の1990年代から2000年代のアルバムを中心としたラインアップとなっておりますから、ぜひチェックしてみてくださいね!

【洋楽】ポストロックのすすめ~基本の名盤・オススメの1枚(11〜20)

Winter Hymn Country Hymn Secret Hymn

FredericiaDo Make Say Think

カナダ出身のポストロック系の大所帯のバンドといえば、ゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーや少し毛色は違いますがブロークン・ソーシャル・シーンなどが挙げられますよね。

そのブロークン・ソーシャル・シーンのメンバーも在籍しているのが、カナダはトロント出身のドゥー・メイク・セイ・シンクです。

ギターやベースにドラムといったロック・バンドの基本的な楽器に加えて、トランペット奏者やバイオリン奏者などがメンバーとして参加、ジャズ的な素養も感じさせる長尺なインストゥルメンタル・ナンバーを特徴としています。

基本的に生楽器を中心とした温かみのあるアンサンブルを軸としながらも、ドラマチックな轟音ポストロックとはまた違った形でうなりを上げる轟音ギター、熱狂的なホーン・セクション、時にはドラムスにまでディストーションをかけた強烈なサウンド、不協和音もちりばめられた一筋縄ではいかないエクスペリメンタルな楽曲展開が、彼らならではのフリーキーでおもしろみのある音世界を演出。

同時に、実際に彼らのライブを見た私個人的には祝祭のような輝きに満ちた音楽に対する喜び、無邪気な好奇心が感じ取れるのが素晴らしいのですね。

そんな彼らの音世界が1つの頂点を迎えた2003年リリースのアルバム『Winter Hymn Country Hymn SecretHymn』を、ぜひ聴いてみてください!

Rusty

The Everyday World of BodiesRodan

スリントやバストロといった、ポストロック~マスロックの源流としても評価されている伝説的なバンドたちまでさかのぼった方であれば、ぜひ手にしていただきたいのがスリントと同じくアメリカはケンタッキー州ルイヴィルが生んだ伝説、ロダンです。

活動期間は3年程度、リリースしたオリジナル・フル・アルバムはたったの1枚ではありますが、冒頭で述べたようにポストロックやマスロック、ポスト・ハードコアのひな形のようなサウンドを作り上げた彼らの音楽は非常に高く評価されているのです。

後にジューン・オブ・44を結成するジェフ・ミューラーさん、マルチプレイヤーにしてシンガーソングライターとしても著名なタラ・ジェイン・オニールさんといったメンバーが在籍し、ゲスト参加していたメンバーがレイチェルズへと発展するといったように、USインディーズの裏歴史をたどる上でも絶対に欠かせないバンドなのですね。

こちらの『Rusty』には、それこそレイチェルズにも通じる「静」のパートを軸とした『Bible Silver Corner』のような楽曲もあれば、硬質なギターやドラムスがソリッドな緊張感と爆発的なサウンドを生み出す変則ハードコア・チューン『Shiner』があり、そのどちらの要素も内包した11分ごえの大作『The Everyday World of Bodies』といった曲も含まれているのです。

決して聴きやすい音というわけではないのですが、少しでも本作に興味を持たれた方はぜひCDやレコードを手にしてみてほしいですね。

Svefn-g-englarSigur Rós

アイスランドのポスト・ロック・バンドであるSigur Rósによって、1999年にリリースされたトラック。

彼らの母国外での最初のリリースとなったEPの、タイトル・トラックとして使用されました。

映画「Vanilla Sky」や「Cafe de Flore」などで使用されています。

Hex

A Street SceneBark Psychosis

「ポストロック」という音楽ジャンル名は、批評家であるサイモン・レイノルズさんがとあるバンドのアルバムを評する際に使った言葉が起源、とされています。

そのバンドこそがイギリスはロンドン出身のバーク・サイコシスであり、彼らが1994年にリリースしたデビュー・アルバム『Hex』が該当の作品なのですね。

ポストロックを定義付けた重要なアルバムと言えますし、ジャンルを掘り下げていく上では避けては通れない作品だと言えましょう。

バンド自体はデビュー・アルバムをリリース後に解散、2004年以降は中心人物にしてプロデューサーやミキサーとしても活躍しているグラハム・サットンさんのソロ・プロジェクトとして再始動しています。

こちらの『Hex』ですが、作品のリリース当初は残念ながら商業的な成功を収めることはできませんでしたが、その先鋭的な作風が高く評価され、前述したようにポストロックの歴史における金字塔的な作品として君臨し続けています。

ロック的なダイナミズムを意図的に排除、ジャズ的な要素を取り入れた緩やかなアンサンブルとアンニュイなボーカルを軸として、細部にまでこだわりを見せるアンビエントな音響空間、生楽器と打ち込みやサンプリングの絶妙な融合から生まれるインテリジェンスな音楽は、リリース時点では「ポストロック」としか呼べなかったというのも理解できるはず。

90年代英国ロックの裏名盤としても、ぜひ。

Ocean Songs

Distant ShoreDirty Three

オーストラリアはメルボルンにて1992年に結成されたダーティ・スリーは、多くのポストロック・バンドの中でもギターとドラム、そしてバイオリンという変則的なトリオとして世界的に知られているバンドです。

リズムを担うドラムスとハーモニーやメロディを生み出すギター、そして隙間の多いサウンドを埋めるように物悲しげな旋律で存在感を放つバイオリンという特異なアンサンブルは、既存のロックとは全く違った音世界を生み出しています。

スロウコアの文脈で語られることもあるミニマルな展開、ロードムービー的と称されるイメージを持った世界観は、まさに唯一無二の個性を放っているのですね。

そんな彼らが1998年にシカゴの名門レーベル、タッチ・アンド・ゴーよりリリースしたサード・アルバム『Ocean Songs』は、彼らの名前を広く世に知らしめ、高い評価を受けた素晴らしい傑作。

アルバムのタイトルにあるように、楽曲にも海にまつわる題名が付けられており、一種のコンセプチュアルな作品としても楽しめる本作は、USインディーズ~ハードコア・シーンにおける最重要ミュージシャン兼エンジニア、スティーヴ・アルビニさんがレコーディング・エンジニアを手掛けたこともあり、ひりついた緊張感に満ちた音像も印象深いですね。

バストロやガスター・デル・ソウルといったバンドを率いたデイヴィッド・グラブスさんもゲスト参加、シカゴ人脈も関わった作品という意味でも、ポストロックを掘り下げたい方には必ずチェックすべき作品だと言えましょう。

Their Helicopters’ SingGodspeed You! Black Emperor

Godspeed You! Black Emperor – Their Helicopters’ Sing
Their Helicopters' SingGodspeed You! Black Emperor

Godspeed You! Black Emperorは、1994年に結成されたカナダのエクスペリメンタル・ミュージック・グループです。

このトラックは2012年にリリースされたアルバム「’Allelujah! Don’t Bend! Ascend!」に収録されています。

このアルバムはPolaris Music Prizeを受賞しています。

【洋楽】ポストロックのすすめ~基本の名盤・オススメの1枚(21〜30)

Dream Signals In Full Circles

RespiraTristeza

叙情的なエレクトロニカやポストロックを融合させた美しい音楽で、ここ日本でも熱心なファンの多いジミー・ラヴェルさんのソロ・プロジェクト、アルバム・リーフ。

そのジミーさんがかつてギタリストとして在籍していたバンドが、ポストロックの名バンドであるトリステザです。

ポストロックやエモといったジャンルに詳しい方でないとあまり知られていないバンドかもしれませんが、とくにアルバム・リーフがお好きでトリステザを知らない、もしくは叙情性豊かなインストゥルメンタル・サウンドを鳴らすバンドを探しているという方であれば、ぜひ知っていただきたい存在なのですね。

今回は、ジミーさん在籍時の2000年にリリースされた傑作アルバム『Dream Signals In Full Circles』を紹介しましょう。

揺らめくようなギターのアルペジオと淡い音像で紡がれる音世界は心地良さを感じさせ、それでいて芯の強さを持ったリズム隊が生み出す反復するビートが、雰囲気重視のバンドとは一線を画す説得力を生み出しています。

この音をハードコアや激情エモーショナル・コアといったジャンル出身のミュージシャンたちが鳴らしている、ということ自体が素晴らしい。

2000年代以降の日本のポストロック系のバンドにも大いに影響を与えた名盤です!