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ロック好きにもオススメ!~モダン・ブルースの名盤

ロックンロールやジャズのルーツと呼ばれるブルースの誕生は、19世紀後半にまでさかのぼります。

いわゆる戦前ブルースとも称されるデルタ・ブルースやカントリー・ブルース、戦後シカゴから発達したエレクトリックを用いたシカゴ・ブルースやモダン・ブルースなど、その形式はさまざまであって一口で語れるものではありません。

今回の記事では、2020年代の今も多くのミュージシャンがそのスタイルや魂を受け継ぐ、ブルースの名盤をご紹介します。

初心者の方でも聴きやすいモダン・ブルースをメインとしたラインアップとなっておりますので、日ごろロックを聴かれている方であっても、入りやすい内容となっておりますよ!

もくじ

ロック好きにもオススメ!~モダン・ブルースの名盤(1〜20)

Folk Singer

Long Distance CallsMuddy Waters

Muddy Waters – Long Distance Call (Folk Singer, 1964)
Long Distance CallsMuddy Waters

アコースティック・ギターの弾き語りというスタイルが中心だったデルタ・ブルースにエレクトリック・ギターを持ち込み、シカゴ・ブルースと呼ばれたジャンルの創成における最大の功労者と言えるのが、通称「シカゴ・ブルースの父」ことマディ・ウォーターズさんです。

1913年にアメリカのミシシッピ州で生まれたマディさんは、シカゴ移住後に南部ブルースを軸とした個性的なエレクトリック・ブルースを鳴らし、名門チェス・レコードからバンド・スタイルで録音した多くの名曲をリリースします。

その影響は後にブルース・ロックがブームとなるイギリスへ広がり、多くのロック・ミュージシャンがマディさんに憧れを抱きました。

とくにロック界の巨人ローリング・ストーンズは、マディさんのヒット曲が由来のバンド名にしているのですから、その影響力の大きさがわかるというものでしょう。

今回紹介しているアルバムは、そんなマディさんが時代的にもフォーク・ブームが巻き起こっていた1963年に発表した『Folk Singer』です。

マディさんのルーツであるデルタ・ブルースとシカゴ・ブルースの魂が混ざり合い、深みのある歌声と泣きのスライド・ギターを存分に楽しめます。

バディ・ガイさんのギターなど、参加したミュージシャンの素晴らしいプレイなど聴きどころも多く、ブルースを聴くなら一度はレコードの針を落としてみてほしいアルバムと言えましょう。

House of the Blues

Walkin’ the BoogieJohn Lee Hooker

「キング・オブ・ブギ」とも称され、その独特すぎるスタイルで50年に及ぶキャリアを駆け抜けたブルース・シンガー兼ギタリストが、ジョン・リー・フッカーさんです。

ロック・ミュージシャンを始めとする他ジャンルのミュージシャンとの共演にも積極的だったジョン・リーさんは、1991年にはロックの殿堂入りを果たしており、そういった経歴からもブルースの歴史における最重要人物の1人としてリスペクトされ続ける理由の一端が見えてくるのではないでしょうか。

そんなジョン・リーさんが1959年に名門チェス・レコードから発表した『House of the Blues』は、彼の独自の音楽スタイルがなければ生まれ得なかった不思議な魅力を放つ逸品です。

デルタ・ブルースに影響を受け、弾き語りスタイルでキャリアをスタートさせたジョン・リーさんによる、打楽器のようなアコギとエレキのプレイ、足踏みで刻まれるリズム、二重コーラス、これらすべてがジョン・リーさんの多重録音で作られたものであって、バンド・サウンドによる楽曲もありますが、基本はジョン・リーさんの1人舞台といった趣。

あえてブルース初心者の方がまっさらな状態で本作に触れてみれば、その圧倒的な個性とおもしろみに気付けるかも?

Right Place, Wrong Time

I Wonder WhyOtis Rush

アルバムのオープニング・ナンバー『Tore Up』のゴキゲンなギターと軽やかなピアノ、絶妙なオルガンの音色にハスキーな歌声を聴いただけで思わず心が弾んでしまいますね!

1950年代から長きに渡って活躍したブルース・ギタリストにしてシンガーのオーティス・ラッシュさんが、1971年に完成させたにもかかわらず、5年もお蔵入りとなって1976年にようやく日の目を見た名盤『Right Place, Wrong Time』を紹介します。

チョーキングやビブラートが特徴的なラッシュさんのギター奏法は、シカゴ・ブルースを新たなステージへと推し進めただけでなく、エリック・クラプトンさんを始めとするロック系のギタリストから多大なリスペクトを寄せられており、その功績はブルースという枠内だけでは収まらないほどに大きなものなのですね。

そんなラッシュさんの代表作の1つと称される『Right Place, Wrong Time』は、ロック・リスナーにこそ聴いてもらいたい楽曲がめじろ押しです。

アップテンポなナンバーやメロウなバラードであっても、全編に渡って弾きまくっているギターには確実にブルースの魂が宿っており、ブルース初心者もとっつきやすいキャッチーさを兼ね備えた素晴らしい1枚。

ダンディな歌声も味わい深く、すんなり最後まで聴き通せる好盤です!

Live at the Regal

Sweet Little AngelB.B. King

B.B. King – Sweet Little Angel (Live)
Sweet Little AngelB.B. King

ブルースの名盤とされる作品の多くにライブ・アルバムが含まれているのは、傑作とされる本作を聴けばその理由がよく分かるのではないでしょうか。

ブルースに限ったことではありませんが、やはりライブにこそミュージシャンの本質が出るというのはある種必然なわけで、ブルースのような音楽であればなおさらと言えるかもしれませんね。

1925年にアメリカはミシシッピ州で生まれ、1950年代から長きに渡り音楽シーンにおいて活躍したブルースギタリストの代表的な存在であり、音楽界の偉人であるB.B.キングさんの残した作品の中でも、とくに高い評価を得ているのが1965年に発表された『Live at the Regal』です。

1964年、シカゴの会場リーガル・シアターにおけるライブ・パフォーマンスを収録した作品で、演者と観客の熱気がリアルに伝わってくる名演の数々は、音楽史において歴史的な価値を持った重要な記録です。

B.B.キングさんの名人芸が炸裂するギター・プレイは多くのロック・ギタリストをも魅了し、エリック・クラプトンさんやジェフ・ベックさんといった偉大なギタリストたちが本作をフェイバリット・アルバムとして挙げています。

Bad News Is Coming

Bad News Is ComingLuther Allison

ルーサー・アリソンさんは、シカゴブルースの名手として知られるギタリストです。

1939年生まれのアリソンさんは、若くしてフレディ・キングやハウリン・ウルフといったブルースの巨匠たちと共演を重ね、その経験が彼の音楽性に大きな影響を与えました。

1972年にリリースされた『Bad News Is Coming』は、モータウンのゴーディーレーベルからの発表作。

シカゴブルースとモダンエレクトリックブルースのスタイルを融合させた意欲作で、力強いボーカルとギター演奏が特徴的です。

アリソンさんの代表作として高く評価され、ブルース愛好者の間で人気を集めました。

ロック好きの方にもおすすめの1枚ですよ。

Hoodoo Man Blues

Hoodoo Man BluesJunior Wells’ Chicago Blues Band

ジュニア・ウェルズさんといえば、ハーモニカの名手として知られる伝説的なブルースマンですね。

1965年にリリースされた『Hoodoo Man Blues』は、彼のキャリアを代表する傑作アルバムです。

シカゴ・ブルースの真髄を存分に堪能できる1枚で、荒々しくも情感豊かなウェルズさんの歌声と、卓越したハーモニカ・プレイが随所で光ります。

バディ・ガイさんのギターとの絶妙な掛け合いも聴きものですよ。

ブルース・ファンはもちろん、ロック好きの方にもぜひおすすめしたい名盤です。

ブルースの醍醐味を存分に味わえる逸品ですから、ぜひ一度耳を傾けてみてください。