ロック好きにもオススメ!~モダン・ブルースの名盤
ロックンロールやジャズのルーツと呼ばれるブルースの誕生は、19世紀後半にまでさかのぼります。
いわゆる戦前ブルースとも称されるデルタ・ブルースやカントリー・ブルース、戦後シカゴから発達したエレクトリックを用いたシカゴ・ブルースやモダン・ブルースなど、その形式はさまざまであって一口で語れるものではありません。
今回の記事では、2020年代の今も多くのミュージシャンがそのスタイルや魂を受け継ぐ、ブルースの名盤をご紹介します。
初心者の方でも聴きやすいモダン・ブルースをメインとしたラインアップとなっておりますので、日ごろロックを聴かれている方であっても、入りやすい内容となっておりますよ!
もくじ
- ロック好きにもオススメ!~モダン・ブルースの名盤
- All Your LoveMagic Sam
- Chicago BoundJimmy Rogers
- Somebody’s Acting Like a ChildJohn Mayall
- Crossroad BluesRobert Johnson
- The Sky Is CryingElmore James
- Have you ever loved a womanFreddie King
- SpoonfulHowlin’ Wolf
- Born Under a Bad SignAlbert King
- Mojo HandLightnin’ Hopkins
- First Time I Met the BluesBuddy Guy
- JukeLittle Walter
- Stormy Monday BluesT-Bone Walker
- Long Distance CallsMuddy Waters
- Walkin’ the BoogieJohn Lee Hooker
- I Wonder WhyOtis Rush
- Sweet Little AngelB.B. King
- Bad News Is ComingLuther Allison
- Hoodoo Man BluesJunior Wells’ Chicago Blues Band
- Voodoo Child (Slight Return)Stevie Ray Vaughan & Double Trouble
- Rock Me BabyJohnny Winter
- The Thrill Is GoneB.B. King
- Kitchin sink boogieHound Dog Taylor
- Red House (Electric Version)Jimi Hendrix
- Mannish boyMuddy Waters
- Rats In My KitchenSleepy John Estes
- You Got To Walk That Lonesome ValleyMississippi John Hurt
- Be Careful With A FoolJohnny Winter
- Bullfrog BluesRory Gallagher
- Baby, Please Don’t GoLightnin’ Hopkins
- Sweet Home ChicagoFreddie King
- Blues Before SunriseLeroy Carr
- Dust My BroomElmore James
- Boogie ChillenJohn Lee Hooker
- Bad bad whiskeyBuddy Guy & Junior Wells
- Stormy mundayAllman Brothers Band
- Got My Mojo WorkingJames Cotton
- Hoochie Coochie ManMuddy Waters
- Boom BoomJohn Lee Hooker
- T’aint nobodys businessOtis Spann
- She’s Only A WomanLonnie Johnson
- Walkin’ BluesPaul Butterfield
- Pony BluesCharlie Patton
- Death Letter BluesSon House
- Spoonful BluesCharley Patton
- Burn in HellJunior Kimbrough
- I’m Your Hooch Coochie ManWillie Dixon
- Fishing BluesHenry Thomas
- The Sun Is RisingHowlin’ Wolf
- How Long, How Long BluesLeroy Carr
- Rollin’ StoneMuddy Waters
- All Your Lovin’ (I Miss Loving)Otis Rush
- Today I Sing the BluesAretha Franklin
- EasyBig Walter Horton
- Easy Rider BluesBlind Lemon Jefferson
- Come OnEarl King
- Mississippi river bluesGeorge “Harmonica” Smith
- Tomorrow NihgtLonnie Johnson
- Littele Boy BlueOtis Spann
- The Bottom of The TopPhillip Walker
- king of boogieSavoy Brown
- How blue can you getThe Louisiana Gator Boys
- Born in the ChicagoThe Paul Butterfield Blues Band
- Members onlyBobby Bland
- Kind of blueMiles Davis
- Feeling GoodNina Simone
- It Hurts Me TooTampa Red
- DOWN HOME BLUESZZ Hill
- The Sky Is CryingSonny Boy Williamson II
- Spider in my stewBuster Benton
- Katie Mae BluesLightnin’ Hopkins
- All My LifeCharles Brown
- I’ll Play The Blues For YouAlbert King
- Key to the HighwayBig Bill Broozy
- Blue GuitarEARL HOOKER
- You Don’t Have To GoJimmy Reed
- Sweet Love and Evil WomenJohnny Winter
- Alabama trainLouisiana Red
- Do I Move YouNina Simone
- LucilleB.B. King
- Everything be alrightBig Mama Thornton
- Blues PowerEric Clapton
- Just Like YouKeb’ Mo’
- unlucky boyChicken Shack
- Leaving TrunkTAJ MAHAL
- Ain’t going to worry, about tomorrowRoosevelt ”Booba” Barnes
- Till Your Lovin’ Makes Me BlueAynsley Dunbar Retaliation
- Have You Ever Loved A WomanEric Clapton
- Somebody Loan Me A DimeFenton Robinson
- I`Cant Quit You BabyOtis Rush
- I’m so GladSkip James
- Mailman Blues (1966)Sleepy John Estes
- Catfish bluesLightnin’ Hopkins
- Blues PowerAlbert King
- Christo RedemptorCharley Musselwhite
- It Serves Me Right to SufferJimmy Dawkins
- Wang Dang DoodleKoko Taylor
- Season of the WitchMike Bloomfield, Al Kooper and Stephen Still
- She’s GoneHound Dog Taylor
- Fixing To Die BluesBuck White
- At lastEtta James
- …続く
ロック好きにもオススメ!~モダン・ブルースの名盤(1〜20)
All Your LoveMagic Sam

1937年生まれのマジック・サムさんは、モダン・ブルースの時代の幕開けを告げる重要な存在であり、その素晴らしい才能で将来を期待されながらも32歳という若さでこの世を去った伝説的なブルースマンです。
アメリカはミシシッピ州で生まれたマジック・サムさんは、1950年にシカゴへと移住後に音楽活動を始め、1957年にはブルースの名盤を多くリリースしたレーベル、コブラ・レコードから音源を発表しています。
その後は紆余曲折ありながらも、1967年に満を持して発表されたオリジナル・アルバムが、こちらの『West Side Soul』です。
ブルースの歴史の中でもとくに評価の高いアルバムであり、まさにブルースの世界の扉を開く最初の1枚にふさわしいアルバムと言えましょう。
オープニング・ナンバーの『That’s All I Need』からごきげんなソウル風のポップなナンバーからスタートする本作は、ブルース初心者であってもとっつきやすく、聴きやすい内容です。
いなたさとメロディアスさとが同居したギター・リフの応酬、迫力のボーカル、すべてにブルースの魂が込められた、荒々しくもみずみずしい見事な傑作!
スタンダードナンバーとして知られる『Sweet Home Chicago』は、本作の収録バージョンから広く知られるようになったそうですよ。
Chicago BoundJimmy Rogers

シカゴ・ブルースの父とも呼ばれるマディ・ウォーターズさんの片腕的な存在として活躍し、シカゴ・ブルース創成期において重要な役割を果たしたブルース・ギタリストがジミー・ロジャーズさんです。
今回紹介している『Chicago Bound』は、ジミーさんが1950年代に名門チェス・レコードで録音した音源を集めた編集盤で、オリジナルは1970年にリリースされた作品です。
マディ・ウォーターズさんやリトル・ウォルターさんといった、そうそうたるブルースマンが参加した本作は、気の合う仲間とほろ酔い気分でセッションしたようなラフな雰囲気がとてもステキなのですね。
これぞブルースと呼べる楽曲であっても、ブルースと言われてイメージされるようなだみ声とは一味違うさわやかなロジャーズさんの歌声もあって、ブルース初心者にも優しい作品と言えそうです。
表題曲を始めとして『That’s Alright』や『Walking By Myself』など、ブルース定番の名曲も収録されております!
Somebody’s Acting Like a ChildJohn Mayall

ジョン・メイオールさんは、ブリティッシュ・ブルースの重要人物として知られる凄腕のミュージシャンです。
ピアノやオルガンを巧みに操り、時にはギターも弾くマルチな才能の持ち主なんですよ。
1968年にリリースされた『Blues from Laurel Canyon』は、ジョン・メイオールさんのソロ・デビュー作。
ロサンゼルスのローレル・キャニオンでの体験をもとに作られたこのアルバムは、ブルース・ロックの名盤として高く評価されています。
録音はわずか3日間で完了したそうですが、その短期間で素晴らしい作品が生まれたのは驚きですね。
2,024年の7月、90歳で亡くなるまで現役のブルースマンとして駆け抜けたレジェンドの若き日の音楽にぜひ触れてみてはいかがですか。
Crossroad BluesRobert Johnson

今回のテーマ記事では、比較的聴きやすいモダン・ブルースを中心とした名盤を紹介しておりますが、デルタ・ブルースの第一人者にして、ロック・ミュージシャンにも多大なる影響を与えたロバート・ジョンソンさんの作品はやはり取り上げておきたいところ。
悪魔に魂を売り渡し、卓越したギター・プレイを身に付けたとうわさされた伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソンさんが27歳という短い生涯の中で残した音源が収録され、1961年に発表された永遠の名盤『The King of Delta Blues Singers』です。
戦前ブルースの貴重な証言であり、ブルースの歴史において最重要な音源の1つである本作で聴けるサウンドは、過酷な生活を強いられていた黒人のリアルな日常の告白、人生の悲哀や情念がそのまま音楽として表現された、まさにブルースという音楽そのものです。
ロック畑のリスナーが突然本作を聴いても取っ付きづらいかもしれませんし、まずはシカゴ・ブルースの名盤などでブルースに慣れつつ、悪魔の音楽へと足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
The Sky Is CryingElmore James

アルバート・キングさんを始めとする多くのブルース・ミュージシャンが取り上げ、エリック・クラプトンさんなどの有名なロック・ミュージシャンも好んでカバーしたブルースの名曲『Dust My Broom』で知られるエルモア・ジェームスさん。
ボトルネック奏法の第一人者としても著名で、独特のスライド・ギターは先述したエリック・クラプトンさんやジミ・ヘンドリックスさんにデュアン・オールマンさんといった偉大なギタリストへ多大なる影響を与えています。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンさんが愛情を込めてカバーした、エルモア・ジェームスさんのもう一つのスタンダードナンバーである名曲をタイトルに冠した『The Sky is Crying』は、エルモアさんが亡くなった直後の1965年にリリースされた作品です。
1960年から1961年までの録音を収録しており、ミュージシャンとして脂の乗ったエルモアさんの名演が存分に楽しめる1枚となっております。
Have you ever loved a womanFreddie King

ブルース・ギタリストの歴史には、3人の偉大な「キング」が存在します。
B.B.キングさん、アルバート・キングさん、そしてフレディ・キングさん。
3人のキングの中では最も若い年齢だったフレディさんはテキサス出身で、メタルピックとプラスチックのサムピックを併用して弾くようにかき鳴らす攻撃的なギター・スタイルは「テキサスの弾丸」と称され、いわゆるたすき掛けではないギターの持ち方は「テキサス掛け」と呼ばれたそうです。
最高のブルースマンであり、ロック的なフィーリングを兼ね備えたフレディさんのプレイは、エリック・クラプトンさんやデュアン・オールマンさん、ジェフ・ベックさんといったそうそうたる面々に大きなインパクトと影響を与えました。
自身が作曲した優れたインスト曲も多くリリースしており、キャリアの後年はロック色も強くなっていくフレディさんが1961年に発表したデビュー作『Freddy King Sings』は、タイトル通りフレディさんのギターだけでなく歌声も楽しめるアルバムです。
ストレートな王道のブルースであり、演奏も歌も文句なし、アルバムとしての完成度も高い1枚ですね。
後のブルース・ロックへどのような影響を与えたのかを意識しながら聴いてみれば、さまざまな発見があるかもしれません!