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現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲

現代音楽と言われても、そういった音楽ジャンルがあること自体知らない、という方が大多数なのではないかと思います。

知識として多少は知っていたとしても、敷居が高く難解なイメージを抱かれている方も多いのではないでしょうか。

クラシックのみならず、ミニマル・ミュージックからアヴァン・ポップ、フリージャズ、ノイズ・アヴァンギャルドにいたるまで、現代音楽の影響は多くの分野で根付いています。

そんな現代音楽の名曲とされる楽曲を軸として、幅広い分野における楽曲を選出してみました。

現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲(1〜10)

世の終わりのための四重奏曲Olivier Messiaen

Olivier Messiaen Quatuor pour la fin du temps Quartet for the End of Time 1941 from YouTube
世の終わりのための四重奏曲Olivier Messiaen

1908年生まれ、フランスはアヴィニョン出身のオリヴィエ・メシアンさんは20世紀を代表する現代音楽家というだけでなく、オルガン奏者やピアニストでもあり、音楽教育者としても業界に多大なる貢献を果たした偉大な人物です。

メシアンさんの教えを受けた学生は、ピエール・ブーレーズさんやカールハインツ・シュトックハウゼンといった著名な方々がいることだけ見ても、メシアンさんが音楽史においてどのような立ち位置にいるのかがわかるというものでしょう。

そんなメシアンさんは作曲家としても多くの作品を残しておりますが、今回は第二次世界大戦中に収容所で捕虜となっていた過酷な時期に作曲された『世の終わりのための四重奏曲』を紹介しましょう。

ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノという異色の編成で演奏され、新約聖書「ヨハネの黙示録」から着想を得た宗教的な背景を持つ室内楽の大作です。

作品そのものの革新性や素晴らしさはもちろん、特殊な状況下で作曲された歴史的事実やどのように初演を迎えたのかなど、興味のある方はぜひご自身で調べてみてくださいね。

Epitaph for MoonlightRaymond Murray Schafer

いわゆる「サウンドスケープ」という概念を提唱したことで有名なカナダの作曲家、レーモンド・マリー・シェーファーさん。

日本の合唱団のために書かれた合唱曲も多く、残念ながら2021年の8月14日に亡くなられてしまったことも記憶に新しいですね。

そんなシェーファーさんが1968年に発表した『Epitaph for Moonlight』は、邦題では『月光への碑文』と呼ばれる人気の作品です。

学生合唱団のための練習曲として書かれたものだそうですが、楽曲の持つ幻想的かつ神秘的な響きは聴いているだけで厳粛な気持ちにさせられます。

メイン・フレーズの反復やきっちりとした拍分割をするタイプの楽曲ではなく、自由度の高さが特徴的で、無伴奏や金属打楽器群を用いて演奏される場合もあり、それぞれのパートが個性豊かに表現しながら、1つのアンサンブルを作り上げていく様は、まさに「音の風景」というべきものかもしれませんね。

月に憑かれたピエロArnold Schönberg

Complete performance: Schoenberg’s Pierrot lunaire
月に憑かれたピエロArnold Schönberg

『月に憑かれたピエロ』という邦題でも知られるこちらの作品は、もともとはベルギーの詩人が発表したフランス語の詩集であり、ドイツ語訳のものを題材とした音楽作品。

複数の作曲が曲付けしている中で、最も有名な作品が、オーストリアの作曲家であるアルノルト・シェーンベルクさんが手掛けたものです。

シェーンベルクさんはいわゆる調性音楽を脱した「十二音技法」を創始したことで知られ、アメリカに移住してからは弟子にあのジョン・ケージさんを持つなど、現代音楽家に大きな影響を与えた存在です。

今回紹介している『月に憑かれたピエロ』は、十二音技法を確立する以前の作品であり、調性を放棄した無調が提示された作風で、現代音楽の傑作のみならず、20世紀の音楽史において重要な作品の1つです。

一般的な室内楽から著しく脱した不協和音の連続、歌と詩の朗読の中間のような歌曲が絡み合い、複雑で奇怪な世界を作り上げています。

美しい旋律は皆無、決して心地良いものではありませんが、他の音楽では味わえない音楽的な体験として、日本語の訳詞を片手にぜひ挑戦してみてください。

現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲(11〜20)

Music for 18 MusiciansSteve Reich

Steve Reich, “Music for 18 Musicians” – FULL PERFORMANCE with eighth blackbird
Music for 18 MusiciansSteve Reich

現代音楽というカテゴリーの中で、ミニマル・ミュージックと呼ばれるジャンルが存在します。

クラシック音楽を源流に持ったミニマル・ミュージックは、ミニマルという言葉が持つ意味の通り、音の動きを最小限に抑制した上で、1つのパターンが反復していく手法で生み出される音楽。

後のミニマル・テクノなども、そういったミニマル・ミュージックの音楽的方法論を取り入れたジャンルの1つです。

そんなミニマル・ミュージックを代表する作曲家、スティーヴ・ライヒさんの名曲『18人の音楽家のための音楽』を紹介しましょう。

1974年の5月から1976年の3月にかけて作曲され、複数のモチーフが反復しながら少しずつ楽曲が変化していくミニマル・ミュージックの基本的な音楽構成を持ちながらも、タイトル通り演奏には大規模な編成を要求され、音楽の歴史に新たな可能性を生み出した重要な作品と言っても過言ではないでしょう。

難解のようで意外に聴きやすく、既存のメロディとは違う豊潤な響きを持ったフレーズが繰り返される中で、受け手は体験したことのない世界の扉を開く事となるでしょう。

THE HEART ASKS PLEASURE FIRSTMichael Nyman

スティーヴ・ライヒさんなどに代表されるミニマル・ミュージック界における著名な作曲家であり、映画音楽としても大成、音楽評論家の顔も持つイギリス出身のマイケル・ナイマンさん。

音楽評論の中で初めて「ミニマル」という概念を持ち込んだのもナイマンさんであり、実験音楽についての研究論文などは、後の現代音楽評論にも大きな影響を与えています。

そんなナイマンさんの名前を世界的なものとして、ミニマル・ミュージックに興味がない層へもその才能を知らしめた作品と言えば、1992年に公開された名作映画『ピアノ・レッスン』の映画音楽でしょう。

とくにピアノ・ソロ曲で『楽しみを希う心』という邦題でも知られるこちらの楽曲は際立って美しく、ヒーリング・ミュージックとしても大人気となりました。

寄せては返す波のように反復していくメロディの素晴らしさ、圧倒的なエモーションの洪水の中で味わう音楽体験は極めて特別なものと言えます。

未見の方は、ぜひ映画本編もチェックしてみてくださいね。

fullmoon坂本龍一

Ryuichi Sakamoto – “fullmoon” (from “async”)
fullmoon坂本龍一

「教授」こと坂本龍一さんは、今さら説明するまでもなく、日本が世界に誇る偉大な音楽家ですよね。

今回、現代音楽というテーマで坂本さんの楽曲を取り上げたのは、いわゆる基本的な音楽理論を身に付けた上で、それらのフォーマットを用いた素晴らしい名曲を多く生み出しながらも、10代で現代音楽に目覚め、既存の形式やルールにとらわれない作曲活動を続けてきたという経緯を踏まえたことが理由としてあります。

こちらの『fullmoon』は、2017年にリリースされたソロ名義としては8年ぶりとなったオリジナル・アルバム『async』の収録曲で、ヴォーカル入りの楽曲。

坂本さんが映画音楽を手掛けた小説『The Sheltering Sky』から引用された文章、というのも興味深いですね。

アルバム自体に「架空のアンドレイ・タルコフスキー監督の映画音楽」というコンセプトがあり、非常に映像的なイメージを感じさせる作品なのです。

音楽というものの先入観をできる限り取っ払って、無心で向き合ってみてください。

A Rainbow in Curved AirTerry Riley

Terry Riley – A Rainbow in Curved Air – Full CD (HQ)
A Rainbow in Curved AirTerry Riley

テリー・ライリーさんは、スティーヴ・ライヒ さんやフィリップ・グラスさん、そしてラ・モンテ・ヤングさんらと並んでミニマル・ミュージックの代表的な作曲家として挙げられる存在です。

2020年の2月、新プロジェクト実施のために佐渡島へ来日していたライリーさんが、パンデミックの影響もあり、85歳という年齢でそのまま日本へ移住することを決意したことも記憶に新しいですよね。

そんなまだまだバリバリ現役なライリーさんが1969年にリリースした、2曲入りの傑作『A Rainbow in Curved Air』の表題曲を紹介します。

1つのフレーズが反復していくミニマル・ミュージックの手法を軸として、オーバーダビングを用いた電子オルガンやハープシコード、タブラッカといった楽器で生み出された18分をこえる音世界は、まさに虹色のサイケデリアのごとし。

どこか異国情緒を感じさせる、というのもポイントです。

あのザ・フーのギタリスト、ピート・タウンゼントさんがこの曲に影響を受けて名曲『Baba O’Railey』を作ったという逸話も踏まえると、この楽曲の偉大さが理解できるというものでしょう。