現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲
現代音楽と言われても、そういった音楽ジャンルがあること自体知らない、という方が大多数なのではないかと思います。
知識として多少は知っていたとしても、敷居が高く難解なイメージを抱かれている方も多いのではないでしょうか。
クラシックのみならず、ミニマル・ミュージックからアヴァン・ポップ、フリージャズ、ノイズ・アヴァンギャルドにいたるまで、現代音楽の影響は多くの分野で根付いています。
そんな現代音楽の名曲とされる楽曲を軸として、幅広い分野における楽曲を選出してみました。
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現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲(1〜10)
月に憑かれたピエロArnold Schönberg

『月に憑かれたピエロ』という邦題でも知られるこちらの作品は、もともとはベルギーの詩人が発表したフランス語の詩集であり、ドイツ語訳のものを題材とした音楽作品。
複数の作曲が曲付けしている中で、最も有名な作品が、オーストリアの作曲家であるアルノルト・シェーンベルクさんが手掛けたものです。
シェーンベルクさんはいわゆる調性音楽を脱した「十二音技法」を創始したことで知られ、アメリカに移住してからは弟子にあのジョン・ケージさんを持つなど、現代音楽家に大きな影響を与えた存在です。
今回紹介している『月に憑かれたピエロ』は、十二音技法を確立する以前の作品であり、調性を放棄した無調が提示された作風で、現代音楽の傑作のみならず、20世紀の音楽史において重要な作品の1つです。
一般的な室内楽から著しく脱した不協和音の連続、歌と詩の朗読の中間のような歌曲が絡み合い、複雑で奇怪な世界を作り上げています。
美しい旋律は皆無、決して心地良いものではありませんが、他の音楽では味わえない音楽的な体験として、日本語の訳詞を片手にぜひ挑戦してみてください。
世の終わりのための四重奏曲Olivier Messiaen

1908年生まれ、フランスはアヴィニョン出身のオリヴィエ・メシアンさんは20世紀を代表する現代音楽家というだけでなく、オルガン奏者やピアニストでもあり、音楽教育者としても業界に多大なる貢献を果たした偉大な人物です。
メシアンさんの教えを受けた学生は、ピエール・ブーレーズさんやカールハインツ・シュトックハウゼンといった著名な方々がいることだけ見ても、メシアンさんが音楽史においてどのような立ち位置にいるのかがわかるというものでしょう。
そんなメシアンさんは作曲家としても多くの作品を残しておりますが、今回は第二次世界大戦中に収容所で捕虜となっていた過酷な時期に作曲された『世の終わりのための四重奏曲』を紹介しましょう。
ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノという異色の編成で演奏され、新約聖書「ヨハネの黙示録」から着想を得た宗教的な背景を持つ室内楽の大作です。
作品そのものの革新性や素晴らしさはもちろん、特殊な状況下で作曲された歴史的事実やどのように初演を迎えたのかなど、興味のある方はぜひご自身で調べてみてくださいね。
オラトリオ「日蓮聖人」黛敏郎

戦後の日本音楽界を代表する作曲家として知られる黛敏郎さん。
現代音楽のみならず映画音楽の分野でも活躍した音楽家です。
黛さんの作品のなかでも、仏教的世界観を西洋のオラトリオ形式で表現したこの大作は、まさに圧巻の一言に尽きます。
日蓮の生涯を「海・花・光・雪・山」の5部構成で描き、日本語の朗読と重厚な合唱、シンフォニックなオーケストラが一体となって壮大な物語を紡ぎだすのですね。
終盤、題目を反復しながら高揚していくクライマックスは、聴く者の魂を揺さぶるでしょう。
本作は、日蓮聖人第七百遠忌の記念事業として1982年4月に初演された作品です。
西洋音楽の枠組みに日本の精神性を融合させた、唯一無二の音楽体験を求める方にぜひ聴いていただきたい名曲です。
現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲(11〜20)
fullmoon坂本龍一

「教授」こと坂本龍一さんは、今さら説明するまでもなく、日本が世界に誇る偉大な音楽家ですよね。
今回、現代音楽というテーマで坂本さんの楽曲を取り上げたのは、いわゆる基本的な音楽理論を身に付けた上で、それらのフォーマットを用いた素晴らしい名曲を多く生み出しながらも、10代で現代音楽に目覚め、既存の形式やルールにとらわれない作曲活動を続けてきたという経緯を踏まえたことが理由としてあります。
こちらの『fullmoon』は、2017年にリリースされたソロ名義としては8年ぶりとなったオリジナル・アルバム『async』の収録曲で、ヴォーカル入りの楽曲。
坂本さんが映画音楽を手掛けた小説『The Sheltering Sky』から引用された文章、というのも興味深いですね。
アルバム自体に「架空のアンドレイ・タルコフスキー監督の映画音楽」というコンセプトがあり、非常に映像的なイメージを感じさせる作品なのです。
音楽というものの先入観をできる限り取っ払って、無心で向き合ってみてください。
海の音調への練習曲Salvatore Sciarrino

何はともあれ、この楽曲については演奏動画をご覧いただきたいです。
カウンターテナー、フルート四重奏、サクソフォン四重奏、パーカッションという編成に加えて、なんと100本のフルートと100本のサクソフォンで表現する壮大な音響実験の如き作品なのですね。
200人以上の奏者がステージに立つ姿だけでも壮観ですが、そもそもこれをやろうという発想自体に感服してしまいます。
原題は『Studi per l´Intonazione del Mar』というこちらの楽曲を生み出したのは、イタリア出身の現代音楽作曲家、サルヴァトーレ・シャリーノさん。
基本的に独学で作曲を学ばれたそうで、常識的なクラシック音楽の理論では絶対に表現できない、シャリーノさんの独創的な作品群は高く評価されています。
こちらの楽曲も、いわゆるメロディアスで美しいフレーズなどは皆無、まさしく海そのものが生み出す音の調べであり、できればCD音源ではなく実際にホールで体験すべき音世界であると言えましょう。
THE HEART ASKS PLEASURE FIRSTMichael Nyman

スティーヴ・ライヒさんなどに代表されるミニマル・ミュージック界における著名な作曲家であり、映画音楽としても大成、音楽評論家の顔も持つイギリス出身のマイケル・ナイマンさん。
音楽評論の中で初めて「ミニマル」という概念を持ち込んだのもナイマンさんであり、実験音楽についての研究論文などは、後の現代音楽評論にも大きな影響を与えています。
そんなナイマンさんの名前を世界的なものとして、ミニマル・ミュージックに興味がない層へもその才能を知らしめた作品と言えば、1992年に公開された名作映画『ピアノ・レッスン』の映画音楽でしょう。
とくにピアノ・ソロ曲で『楽しみを希う心』という邦題でも知られるこちらの楽曲は際立って美しく、ヒーリング・ミュージックとしても大人気となりました。
寄せては返す波のように反復していくメロディの素晴らしさ、圧倒的なエモーションの洪水の中で味わう音楽体験は極めて特別なものと言えます。
未見の方は、ぜひ映画本編もチェックしてみてくださいね。
交響曲第3番 「悲歌シンフォニー」Henryk Gorecki

たとえこの楽曲が持っているバックグラウンドを何も知らなかったとしても、ゆったりとしたテンポでじっくりと展開していく楽曲構成の中に身を委ねて、深い悲しみを秘めた旋律の美しさを聴いていれば自然に厳粛な気持ちにさせられるのではないでしょうか。
『悲歌の交響曲』という邦題でも知られているこちらの交響曲は、ポーランド出身の現代音楽家ヘンリク・グレツキさんが1976年に作曲した作品です。
20世紀後半で最も成功した交響曲とも言われており、グレツキさんの代表作の1つでもあります。
初期のグレツキさんに見られた前衛的な作風は幾分か抑えられ、反復していくミニマリズムと沈黙、信仰心に基づいた宗教音楽的な側面を押し出して、従来の交響曲の持つ形式からは逸脱しながらも、親しみやすい古典的なフレーズを多く備えた素晴らしい作品となりました。
現代音楽そのものに興味がないという方であっても、クラシックが嫌いでなければ一度は触れていただきたい普遍的な魅力があると言えましょう。
こういう作品はCD録音もいいですが、やはりコンサート会場で体験したいですよね。





