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現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲

現代音楽と言われても、そういった音楽ジャンルがあること自体知らない、という方が大多数なのではないかと思います。

知識として多少は知っていたとしても、敷居が高く難解なイメージを抱かれている方も多いのではないでしょうか。

クラシックのみならず、ミニマル・ミュージックからアヴァン・ポップ、フリージャズ、ノイズ・アヴァンギャルドにいたるまで、現代音楽の影響は多くの分野で根付いています。

そんな現代音楽の名曲とされる楽曲を軸として、幅広い分野における楽曲を選出してみました。

現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲(11〜20)

海の音調への練習曲Salvatore Sciarrino

Salvatore Sciarrino: “Studi per l´Intonazione del Mare” 1. Teil / 1st Part
海の音調への練習曲Salvatore Sciarrino

何はともあれ、この楽曲については演奏動画をご覧いただきたいです。

カウンターテナー、フルート四重奏、サクソフォン四重奏、パーカッションという編成に加えて、なんと100本のフルートと100本のサクソフォンで表現する壮大な音響実験の如き作品なのですね。

200人以上の奏者がステージに立つ姿だけでも壮観ですが、そもそもこれをやろうという発想自体に感服してしまいます。

原題は『Studi per l´Intonazione del Mar』というこちらの楽曲を生み出したのは、イタリア出身の現代音楽作曲家、サルヴァトーレ・シャリーノさん。

基本的に独学で作曲を学ばれたそうで、常識的なクラシック音楽の理論では絶対に表現できない、シャリーノさんの独創的な作品群は高く評価されています。

こちらの楽曲も、いわゆるメロディアスで美しいフレーズなどは皆無、まさしく海そのものが生み出す音の調べであり、できればCD音源ではなく実際にホールで体験すべき音世界であると言えましょう。

断ち切られた歌Luigi Nono

Luigi Nono – La lontananza nostalgica utopica futura for violin and tape (1988)
断ち切られた歌Luigi Nono

イタリアはヴェネツィア出身のルイジ・ノーノさんは、戦後の現代音楽~前衛音楽において中心的な役割を果たした作曲家です。

20世紀ドイツ最大の交響曲作家とも言われるカール・アマデウス・ハルトマンさんが、バイエルン放送と共同で主催した現代音楽の演奏会「ムジカ・ヴィーヴァ」でその名を知られるようになったとも言われており、いわゆるセリエル技法を習得した初期から電子音楽に興味を持ち始めた中期、新たな地平へと進んだ後期で作風が違うことでも有名な存在ですね。

エドガー・ヴァレーズさんやカールハインツ・シュトックハウゼンさんといった先鋭的な作曲家と交流しながらも後に決別している、という点もノーノさんが独自の道を歩むタイプであることを物語るエピソードと言えそうです。

共産主義者でもあり、政治的な思想を作曲へと落とし込むタイプのノーノさんが1955年から1956年にかけて作曲した『Il canto sospeso』は、彼の代表作と言える声楽作品、カンタータです。

『断ち切られた歌』という邦題のこの作品は、戦時中の抵抗運動の闘士たちによる遺書からインスパイアされ、十二音技法と独自のセリエル技法を駆使したもので、当時大ヒットを記録したそうです。

音だけでなく、その背景にあるメッセージ性はぜひ知っておくべきものと言えるでしょう。

Jeux vénitiensWitold Lutosławski

戦後におけるポーランドの前衛的な現代音楽家として知られるヴィトルト・ルトスワフスキさんは、欧州ではいわゆる「ポーランド楽派」とも呼ばれ、その代表的な作曲家兼ピアニストとして著名な方です。

ここ日本においても高く評価されており、第9回京都賞精神科学・表現芸術部門において受賞を果たしています。

新古典主義からその作風をスタートさせるも、調性にとらわれない手法を取り入れ、たとえばジョン・ケージさんの『ピアノとオーケストラのためのコンサート』に衝撃を受けるなど、時代の流れとともに常に新しい音楽の表現方法を模索し続けた作風で、独自の個人様式を追求し続けたルトスワフスキさんの作品の中でも、今回は転換期と呼ばれる時期の1961年に作曲された『Jeux vénitiens』を紹介します。

「コントロールされた偶然性」を導入したと言われ、演奏者たちの自由な演奏に任せているようで、実は厳密にコントロールされているという作風の管弦楽曲です。

アドリブという名の偶然性を、あくまでコントロールされたルールの下で成立させることによって、カオティックな音の混乱ではない精密かつ壮絶な音世界を作り上げているのですね。

限りなく前衛的な作品ではありますが、あえてそういったことは気にせずこの音の奔流に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

SinfoniaLuciano Berio

Berio – Sinfonia (1969) with score
SinfoniaLuciano Berio

1968年から1969年にかけて作曲された『Sinfonia』は、ニューヨーク・フィルハーモニックの125周年を記念して委嘱された作品です。

作曲を担当したのは、イタリアの著名な現代音楽作曲家のルチアーノ・ベリオさん。

ピアノ~クラリネット奏者として活動するも軍隊生活の中で右手を負傷、その後はいわゆるミュージック・セリエルに興味を抱きつつ、1950年代には電子音楽へと接近。

70年代にはオペラに取り組むなど、多くの領域で活躍した多作なタイプの作曲家です。

そんなベリオさんが手掛けたこちらの『Sinfonia』は5つの楽章で構成されている、8人の混声重唱を伴う管弦楽曲で、それぞれの楽章に興味深いテーマが設けられています。

細かい説明は省きますが、社会人類学者のクロード・レヴィ=ストロースの引用から始まって、キング牧師へのオマージュと言える第二部、マーラーの交響曲第2番「復活」を始めとするさまざまなクラシック音楽や詩人の言葉などのコラージュ……と、何とも不思議な世界が繰り広げられる前衛的なオーケストラです。

元ネタを知っている方が楽しめますから、先にこの作品で引用されている曲などを調べた上で、聴いてみるのもいいかもしれません。

Un tranquillo posto di campagna, Pt. 11Ennio Morricone

Ennio Morricone – Un tranquillo posto di campagna, Pt. 11 – (1968)
Un tranquillo posto di campagna, Pt. 11Ennio Morricone

2020年7月26日、映画音楽の歴史において最も重要な作曲家の1人であるエンニオ・モリコーネさんが91歳の生涯を終えました。

1928年にイタリアはローマで生まれたこの偉大なマエストロは、1960年代初頭に映画音楽家としてデビューして以来、映画史に残る素晴らしい楽曲を生み出し続け、映画の添え物ではなく、時には主役級の輝きを放つスコアを提供し、名画の誕生に貢献したとも言えるでしょう。

そんなモリコーネさんは『荒野の用心棒』などの初期のマカロニウエスタンにおける哀愁漂う名曲、または『ニュー・シネマ・パラダイス』などのメロディアスで美しい作風以外にも、実験的な音楽家としての顔を持っています。

今回紹介している楽曲は、1969年に公開された『怪奇な恋の物語』のサウンドトラックで、モリコーネさん自身が所属していた即興演奏グループによる現代音楽ど真ん中のサウンドを聴けば、一般的なモリコーネさんのイメージはがらりと変わるはずです。

モリコーネさんによるトランペット演奏も含まれており、複雑怪奇でトライバル、原始的な音の祭典のような曲も作ってしまうマエストロの新たな一面を、ぜひこの機会に知ってください!

Piano ConcertoElliott Carter

1908年生まれ、2012年に103歳という生涯を終えるまで、現役で在り続けたのがアメリカ出身の現代音楽家の巨匠、エリオット・カーターさんです。

その長い作曲家人生は、一般的には新古典主義の初期、調性を離れて複雑なリズムを取り入れて、ピッチクラス・セット理論と呼ばれる概念を打ち出した中期、ヨーロッパに紹介されて世界的な名声を得た後期の3つに分けられています。

今回紹介している『Piano Concerto』は1964年に作曲された中期の楽曲であり、いわゆる通常の『ピアノ協奏曲』とは違う、非常に複雑で難解な作品となっており、現在においてもあまり演奏される機会はないそうです。

美しいメロディやフレーズ、といったようなものを求めている方にとっては「これは音楽なのか」と感じてしまうかもしれませんね。

典型的な現代音楽のスタイルとも言える作風ですから、この作品を聴いて何か感じ入るものがあれば、より深掘りしていくきっかけとなるのではないでしょうか。

現代音楽(芸術音楽)の名曲。おすすめの人気曲(21〜30)

バレエ音楽:「ワイルドスワン」より エリザのアリアElena Kats-Chernin

鳥肌ものの名曲です。

「現代音楽」ということばから想起されるのは、ヘリコプターの音だったり、4分33秒ものあいだ何も聴かなかったり、楽譜に書かれた下手くそな絵を見ながら自由気ままに演奏することなどですが。

もうそろそろ、現代音楽ということばの次を考えないといけません。

それは今を生きる私たちの役目かも知れません。