歌が上手い。歌唱力が高い日本の女性歌手
ひと口に「歌が上手い」と言っても、その方向はさまざま。
驚異的にピッチ(音程)が安定していたり、超人的な音域があったり、絶妙なリズム感を持っていたり、圧倒的な歌声であったり。
今回は、そんな様々な方向から「歌が上手い」と定評のある女性シンガーさんたち、また僕が長年のボーカルプロデューサー、ボイストレーナーとしての経験から「この人は上手い!」と思う女性シンガーさんたちをピックアップしてみました。
もちろん、シンガー、ボーカリストの魅力は必ずしも「歌の上手さ」にだけあるわけではありませんが、たまには「上手さ」にこだわって聴いてみるのも良いのではないでしょうか?
シンガーを目指す方のご参考にもしていただけると幸いです。
歌が上手い。歌唱力が高い日本の女性歌手(61〜70)
やさしさで溢れるようにJUJU

日本の女性シンガー、JUJUの9作目のシングルでリリースは2009年2月。
高い歌唱力で定評のあるJUJUですが、元々ジャズに強く影響を受けていた彼女の歌唱は、デビュー当時は子音の発音など今とは全く違ったもので、また喫煙していたこともあって、現在のような透明感のあるハイトーンを生かしたものではなかったそう。
喫煙を止めることで声がクリアになり、音域も広がったとのことなので、歌う人間にとってタバコは良くない!と言う好例かもしれないですね。
彼女の歌唱、ジャズに影響を受けているだけあってか、16ビート感を失わないバイブのある歌唱も特筆ものですね。
One Last Kiss宇多田ヒカル

日本の女性シンガーソングライターの宇多田ヒカルさん。
彼女が非常に高い歌唱力を持たれていることは、ここであらためて筆者が技わざ言及しなくてもいいくらい、日本のファンの皆さんやリスナーの方もすでにご認識されていますよね!
その歌唱力、歌唱表現力の高さは今回ここでご紹介させていただく、アニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』のテーマソングでもある『One Last Kiss』でも存分に発揮されています。
とくに、彼女のようないわゆる「R&B系シンガー」の必須テクニックと言っても過言ではない、ミドルボイス(ミックスボイス)を巧みに使った歌唱表現は見事としか言いようがないと思います。
また、ニューヨーク生まれで英語環境でお育ちになったということも大いに関係するのではないかと思いますが、楽曲の中で「休符を歌う」ということがしっかりと実現されていて、スロー〜ミドルテンポのこの曲のような曲調の歌唱でも、歌が決して平板になっていないところも見事ですね!
筆者も普段のレコーディング業務等で、この「休符を歌う」ことの重要さをディレクションすることが多いですが、なかなかここまで見事に16分音符の裏拍まで表現してくれる日本人シンガーは少ないですよ。
レット・イット・ゴー ~ありのままで~松たか子

皆さんご存知、ディズニーアニメ「アナと雪の女王」日本語版の主題歌。
それを歌うのは、アニメの主役エルサの声も務める松たか子。
さすがは歌舞伎の家柄の中で生まれ、早くから舞台も多く経験している彼女、その安定した歌声、日本語歌詞の響のキレイさ、ハイトーンのヌケやキレ、どこを取っても非の打ち所のない歌唱を聴かせてくれます。
この松たか子の歌う日本語版は、海外でも「本家May.Jバージョンよりも心に響く!」と評判になっているようです。
透き通るようなハイトーンが素晴らしいとは先ほども書きましたが、この曲の聞き所は、何と言っても曲のエンディング部分、締めのフレーズじゃないかと思います。
ピッチは外さず、歌として立派に成立させつつも、セリフとしても十分に表現されています。
これ、なかなか普通のシンガーではできないんですよね。
ミュージカルを目指す方はぜひこれをお手本に頑張ってみてください!
mint宇野実彩子 (AAA)

ダンスボーカルグループAAA(トリプルエー)のメインボーカル、宇野実彩子のソロ名義としての3rdシングルで2019年5月リリース。
中学生の時に1ヶ月半のイギリス留学経験のあると言う彼女、ともすれば野暮ったく聞こえてしまう日本語のダンスナンバーを洋楽のように歌いこなしているのは、英語圏の生活を肌感覚で知っているからこそなのかもしれないですね。
また、普段から食事やフィットネスなどにも気を配り、食事・健康・美容に関する生活の公認ファスティングカウンセラーとしても活動しているということで、決していわゆる本格派シンガーと呼ばれる人たちのような太い声ではないものの、しっかりと芯のある歌声は、きっと日頃からの腹筋コントロールの鍛錬の賜物と言えるでしょう。
AAAの楽曲でもそうですが、少し機械っぽく加工した声のサウンドプロデュースの方向も、彼女の声質を生かしたものとなっていますね。
にじいろ絢香

絢香さんはデビュー当時から、その歌唱力が高く評価されていたシンガーさんですが、その歌唱力や表現力の高さは彼女の代表曲である『にじいろ』の少し弾んだリズムの軽快な楽曲の中でも健在。
その少しハスキーで魅力的な倍音成分を多く含んだ歌声の魅力を存分に味わえるんですよね。
この楽曲の中では決して超人的な歌唱は披露されていませんが、このようなシンプルで口ずさみやすいメロディの中でも安定した歌唱と高い表現力を感じさせてくれる歌唱は「さすが!!」の一言ですね!
飾りじゃないのよ涙は中森明菜

日本の歌手で女優の中森明菜さん。
アイドルの当たり年と言われた1982年にアイドルとしたデビューした彼女なので、世間であまりその「歌唱力」について評価される機会は少ないかもしれませんが、実は高い歌唱力を持ったシンガーさんだと思います。
たしかに誰もが驚くような超ハイトーンが得意とか男勝りのパワフルさはありませんが、おそらく彼女自身が最も得意とされているのであろう、中低域を生かした歌唱には、とても魅力を感じます。
派手さはないけれど、堅実な実力をお持ちのシンガーさんと言えるでしょう。
今回ご紹介している、この『飾りじゃないのよ涙は』でも、井上陽水さんによる難度の高いメロディを見事に歌いこなされていますね!
BAKU吉岡聖恵(いきものがかり)

日本のロックバンド、いきものがかりのメインボーカルの吉岡聖恵さん。
その歌唱力が高く評価されているシンガーさんですが、今回ここでご紹介させていただく2021年1月に配信リリースされたシングル『BAKU』でも、その実力を如何なく発揮されています。
いきものがかりというとなんとなく高音主体のかわいいイメージの歌を想像される方も多いかもしれませんが、この曲で特筆に値するのは、そのパワフルでしっかりとした中低域を生かした歌唱だと思います。
一度でもボイストレーニングなどを受けたことのある方なら実感されているのではないかと思いますが、しっかりとした中低域でパワフルに歌うのって、高音を張り上げて歌う以上にむずかしいんですよね。
吉岡さんのシンガーとしての実力の高さを垣間見られる楽曲に仕上がっていると思います。





