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【洋楽】ハードコアパンクの名曲・人気曲~入門編

パンク・ロックのアグレッシブな発展形として1970年代後半に生まれた、ハードコア・パンク。

ほとんどが1分や2分足らずの短くファストな曲の連打、ひたすら過激で激しい……といったイメージを持たれている方も多いかもしれません。

もちろんそういった面もハードコア・パンクの特徴であり魅力ではありますが、後にメタルやロックなどと融合してさまざまなサブジャンルが生まれたハードコア・パンクの奥深さは、一言で語れるようなものではありません。

本稿ではハードコア・パンクの草分け的なバンドを中心として、主に80年代に生まれた代表曲や名曲を選んでみました。

ジャンルの入門編としてもぜひご活用ください!

【洋楽】ハードコアパンクの名曲・人気曲~入門編(1〜10)

We are only gonna dieBad Religion

メロディック・ハードコア、メロコアとして日本でも愛されるジャンルにおける神様のような存在といえばバッド・レリジョンですよね。

1980年の結成から長きに渡り現役のパンク・バンドとして活動を続け、ハードコア・パンクを軸としながらも哀愁を帯びたメロディと難解極まりない歌詞を特徴として、2020年代の現在もバリバリの現役バンドとして活躍するカリフォルニア・パンクの生ける伝説です。

前述した通り、彼らはメロコアの先駆け的なサウンドを生み出したバンドとして知られていますが、最初期のサウンドは直球のハードコア・パンク・サウンドでした。

バンド最初期の名曲として現在もライブなどで人気の高い楽曲『We’re Only Gonna Die』は、1982年にリリースされた記念すべきデビュー・アルバム『How Could Hell Be Any Worse?』のオープニングを飾る楽曲であり、どこまでも荒々しいギター、疾走するドラムとベース、コード進行をなぞったボーカルがいかにもといった趣ではありますが、テンポ・チェンジしてがらりと雰囲気を変えるバンド・アンサンブルも印象的ですし、生物学の博士号を持つボーカリストのグレッグ・グラフィンさんならではの難解な歌詞もこの時点で確立されているのがすごいですね。

Do They Owe Us A Living?Crass

初期衝動に身を任せてうるさく速い爆音を鳴らす、といったタイプのハードコア・パンク・バンドとはまた違った、独自の思想や哲学を持ったバンドが存在します。

1977年、イギリスはエセックスにて結成されたクラスは、1984年に分裂するまでの数年間で、アナキストとしての政治思想やヒッピー的なライフスタイルを基盤として、自らがレーベルを設立してDIYの精神で作品のリリースやパフォーマンス・アートの表現を続けるなど、過激かつ先進的な活動で知られる伝説的なグループです。

ドラムと詩を担当しているヒッピー世代のアーティストであるペニー・ランボーさんと、ランボーさんより15歳近く若いパンクスのボーカリスト、スティーヴ・イグノラントさんが出会って結成されたという経緯だけ見ても、通常のパンク・バンドとは全く違う存在であることが分かるというものでしょう。

まさに真の意味で「パンク」を体現したクラスというバンドの実態は数曲聴いただけで理解できるようなものではないですが、今回紹介している1977年にリリースされたデビュー・アルバム『The Feeding of the 5000』に収録されているアンセム的な人気曲『Do They Owe Us A Living』の強烈すぎるメッセージを前にして、何か感じるものがあれば他の作品や伝記本などで彼らの実態を深掘りしてみてください。

Start TodayGorilla Biscuits

この楽曲のタイトルを見て、何となく見覚えがあるような……と感じられた方もいらっしゃるのでは?

知っている人には超有名、あの前澤友作さんがドラマーとして在籍していた、伝説のハードコア・バンドのSwitch Styleとして活動中に設立した会社の名前「有限会社スタート・トゥデイ」は、まさにこちらのゴリラ・ビスケッツによる大名曲『Start Today』から引用したものなのです。

80年代後半のストレート・エッジ~ニューヨーク・ハードコアにおけるカリスマ的な存在のゴリラ・ビスケッツは、メンバーがCIVやユース・オブ・トゥデイ、クイックサンドにライヴァル・スクールズといった、いわゆるユースクルー~ポスト・ハードコアの有名なバンドを結成したことでも知られていますね。

ゴリラ・ビスケッツ自体は5年ほどの活動で解散するも、その後は再結成を果たしてここ日本でも来日公演を実現させるなど、精力的な活動でファンを喜ばせています。

そんな彼らが1989年にリリースした大名盤にして唯一のアルバム『Start Today』の表題曲は、ハードコア由来のエッジの効いたサウンドながらも緩急をつけたアンサンブルが超カッコ良く、中盤の哀愁を帯びたハーモニカの導入もクール過ぎます。

「今日から始めよう」といった力強いメッセージは、いつの時代もキッズたちやかつてキッズだった大人たちの心を鼓舞し続けるのです。

【洋楽】ハードコアパンクの名曲・人気曲~入門編(11〜20)

Walk Together Rock Together7 Seconds

2018年に解散を発表したことで多くのファンが悲しんだことも記憶に新しい、アメリカン・ハードコア・パンクの重鎮、7セカンズ。

ファストなサウンドとシンガロング必至のメロディックさを武器として、ハードコア・パンクの人気バンドというだけではなく、後続のメロディック・ハードコア勢にも多大なる影響を及ぼしました。

彼らが作り上げるメロディの良さは突出しており、ポジティブな雰囲気で多くのパンクスを盛り上げるアンセムを多く生み出しているのですね。

今回取り上げている『Walk Together, Rock Together』は、大傑作と名高い1984年リリースのデビュー・アルバム『The Crew』と並んで人気の高い、1985年作の12インチEP作品の表題曲。

後にコンピレーション音源とライブ音源などを追加した形の編集盤としてリリースされた作品でもありますが、疾走するドラムとラウドなギター、キャッチーなコーラスの三位一体で織り成すまさにメロコアの原型といった趣で、シンプルながらも最高にカッコいいキラーチューンです!

楽曲の後半、テンポチェンジしてがらりと雰囲気を変えてくるセンスもナイスですね。

This Ain’t No PicnicMinutemen

1980年の結成から、中心人物のギタリスト兼ボーカリスト、D・ブーンさんの死去で解散を余儀なくされてしまった1985年までという短い期間ながら、奇妙で変則的にねじれた独自のハードコア・サウンドを展開、レッド・ホット・チリ・ペッパーズといった大物バンドから、後のポスト・ハードコアやエモコア勢にも多大なる影響を及ぼした80年代USハードコア界の異才、ミニットメン。

トリオの一角を成すベーシストのマイク・ワットさんは、バンドの解散後もソロ活動も含めて多くのバンドに参加するなど、USインディーズ・シーンにおいて欠かせない存在として活躍し続けていますね。

そんなワットさんのうねるように隙間を埋めていくベース・ラインと独特のコード感を持ったギターのソリッドなカッティング、しなやかなドラムスがトリオならではのアンサンブルを作り上げる『This Ain’t No Picnic』は、1984年にリリースされたバンドにとっての通算3枚目にして43曲入りというとんでもない大作アルバム『Double Nickels on the Dime』に収録されたナンバーです。

リリース元はブラック・フラッグの創始者であるギタリストのグレッグ・ギンさんが運営するSSTレコードであり、ハードコアという文脈の中でも彼らのようなバンドが存在していたということは、ぜひ知っておいてもらいたいですね。

Vicious CircleZero Boys

1982年に発表されたアルバム『Vicious Circle』からのタイトル曲は、愛と関係性の複雑さを探る内容となっています。

無限ループのような関係の苦悩と破綻を描写し、お互いを傷つけ合う様子をリアルに表現しています。

Zero Boysは、1980年にインディアナポリスで結成されたハードコアパンクバンドです。

本作は1981年2月にリリースされ、当時のパンクシーンに大きな影響を与えました。

Zero Boysの音楽は、ブルースロックの要素を取り入れつつも、独自のハードコアパンクスタイルを確立しており、人間関係の複雑さや苦悩に共感を覚える方にぴったりの1曲です。

Don’t Want to Know If you are LonelyHüsker Dü

1980年代のUSハードコア勢の中で、ミニットメンなどハードコア・パンクの枠内に収まらない異色のバンドも多く誕生しましたが、本稿の主役であるハスカー・ドゥもまさにそういったバンドの1つです。

ブラック・フラッグのグレッグ・ギンさん主宰の名門レーベルSSTから初期の3枚のアルバムをリリースしている時点で由緒正しきハードコア出身でありつつ、90年代以降のオルタナティブ・ロックやポスト・ハードコア勢に多大なる影響を及ぼすサウンドへと変化していったことで著名なバンドなのですね。

ハードコア・パンクとしての彼らを知りたければ初期の作品を聴くべきではあるのですが、今回はハードコアから脱却を図り、より幅広い音楽性を手にしたメジャー・デビュー・アルバム『Candy Apple Grey』の中から、ドラマーのグラント・ハートさんが作曲した『Don’t Want to Know If you are Lonely』を紹介します。

何ともナイーブで内向的な雰囲気の漂うタイトル、哀愁のメロディとハードコア・パンクとオルタナティブ・ロックを結ぶようなギター・サウンドを聴けば、知らない方であればニルヴァーナなどのバンドよりもずっと前に彼らのような音を鳴らすバンドがいた、という事実に驚かれるのではないでしょうか。

余談ですが、こちらの楽曲はあのグリーン・デイもカバーしていますよ。