【洋楽】ハードコアパンクの名曲・人気曲~入門編
パンク・ロックのアグレッシブな発展形として1970年代後半に生まれた、ハードコア・パンク。
ほとんどが1分や2分足らずの短くファストな曲の連打、ひたすら過激で激しい……といったイメージを持たれている方も多いかもしれません。
もちろんそういった面もハードコア・パンクの特徴であり魅力ではありますが、後にメタルやロックなどと融合してさまざまなサブジャンルが生まれたハードコア・パンクの奥深さは、一言で語れるようなものではありません。
本稿ではハードコア・パンクの草分け的なバンドを中心として、主に80年代に生まれた代表曲や名曲を選んでみました。
ジャンルの入門編としてもぜひご活用ください!
【洋楽】ハードコアパンクの名曲・人気曲~入門編(11〜20)
Kids of the Black HoleAdolescents

1981年にリリースされたこちらの楽曲は、Adolescentsのデビューアルバム『Adolescents』に収録された傑作です。
サザンカリフォルニアのパンクシーンを象徴する本作は、社会から孤立した若者たちの姿を鮮烈に描き出しています。
エネルギッシュな演奏と共に、若者の内なる葛藤や抗議の声を力強く表現しており、今なお多くのリスナーの心に響き続けています。
Adolescentsは1980年にカリフォルニア州フラートンで結成され、このデビューアルバムの成功により全米で認知度を高めました。
ハードコアパンクに興味のある方はもちろん、若者の孤独や反抗心に共感できる方にもおすすめの1曲です。
I’m Not a LoserDESCENDENTS

1982年リリースのデビューアルバム『Milo Goes to College』に収録された本作は、ハードコアパンクファンの心を鷲掴みにした名曲です。
社会からの評価に屈しない強い自我を歌った歌詞は、青春時代の葛藤を見事に表現しています。
低いズボンや汚れた服、穴の開いた靴といった外見で判断されることへの怒りを、激しいサウンドとともに吐き出しているのです。
Descendentsは1977年に結成され、この楽曲を含むアルバムでメロディックハードコアの先駆けとなりました。
反抗心と自己主張が詰まった本作は、自分の価値を他人に決められたくないあなたにぴったりな1曲です。
kids Aren’t AlrightThe Offspring

アルバム「Americana」に収録されています。
メロコアをメインストリームに押し上げた功労者の一バンド。
この曲ではどこか物悲し気なメロディにハードエッジなギターをかぶせて、歌詞の悲劇性と相まって、心にぐっときます。
Injustice System!Sick of It all

バンド名だけでも濃厚なハードコアの香りが漂うシック・オブ・イット・オールは、1986年にニューヨークはクイーンズにて結成されたニューヨーク・ハードコアの重鎮です。
メタルの要素を大幅に取り入れたニュースクール系のハードコアとは違い、あくまでハードコア・パンクの出自を守り続けるオールドスクールなタイプの象徴的な存在の1つとして、2020年代の今も活動を続ける大ベテランなのですね。
単に活動歴が長いというだけではなく、定期的に新作をリリースし続けているというのも同系統の大御所のバンドの中では非常に珍しいと言えるかもしれません。
そんな彼らが1989年にリリースしたデビュー・アルバム『Blood, Sweat and No Tears』のラスト曲として収録され、MV映像も作成された『Injustice System』を今回は紹介しましょう。
ゴリゴリのストロング・スタイルでポリティカルなメッセージを投げつけるサウンドは、まさにニューヨーク・ハードコアの何たるかをリスナーに教えてくれるものであり、同時に彼らの基本的な音楽スタイルはこの時点でほぼ完成されていた事実に改めて驚かされますね。
ハードコア・パンクを深掘りしていく中で、オールドスクールとは何ぞやといった疑問を抱いた方、シック・オブ・イット・オールを聴きましょう!
Wild in the StreetsCircle Jerks

ストレートな曲名があまりにもクールでカッコいい!
ブラック・フラッグの初代ボーカリストだったキース・モリスさんと、バッド・レリジョンとの長きに渡った活動でも知られるギタリストのグレッグ・ヘットソンさんを中心として1979年にカリフォルニアはロサンゼルスにて結成されたバンドです。
幾度かの解散と再結成を繰り返しながら、2020年代の今も現役で活動を続ける西海岸パンクの生き字引のようなそんな材で、オフスプリングやペニーワイズといった西海岸系のパンク・バンドがその影響を公言してることでも知られていますね。
短く速く、それでいてキャッチーな要素も兼ね備えたサウンドは、まさにメロディック・ハードコア勢の基本的なスタイルの形成に重要な役割を果たしたのです。
本稿で取り上げている『Wild In The Streets』は、1982年にリリースされたセカンド・アルバムのオープニング・ナンバーにして表題曲。
実はオリジナル曲ではなく、ニューヨーク出身の多国籍なルーツを持つシンガーソングライター、ガーランド・ジェフェリーズさんが1973年にリリースした楽曲のカバーなのですね。
メロコア勢などが好んで挑戦している、往年の名曲をパンク風にアレンジというパターンをこの時期からやっていたという面においても、先駆者と言えるかもしれませんね。
Victim In PainAgnostic Front

一口にハードコア・パンクといっても、バンドそれぞれの出身のお国柄が出るというだけではなく、地域性も如実に出るところが実に興味深いですよね。
アメリカのハードコア・パンクだけ見ても、東海岸と西海岸というだけで全く違いますし、双方にシーンが存在しているのです。
1980年に結成されたアグノスティック・フロントは、北米におけるハードコア・シーンの立役者であり、いわゆる「ニューヨーク・ハードコア」の先駆的なバンドです。
1992年に一度解散してしまいますが、1997年にはオリジナル・メンバーのギタリストであるヴィニー・スティグマさんと、ボーカリストのロジャー・ミレットさんを中心としてバンドは再結成を果たし、以降は精力的に作品をリリースしてシーンの重鎮として活躍し続けていますね。
そんな彼らが1984年に発表した記念すべきデビュー・アルバムの表題曲『Victim In Pain』は、まさにニューヨーク・ハードコア、略してNYHCにおけるクラシックな名曲!
50秒に満たない楽曲ながらもうまく緩急をつけながら疾走していくプリミティブなハードコアであり、覚えやすいキャッチーなフックがきっちり盛り込まれているところに曲作りのうまさを感じさせますね。
【洋楽】ハードコアパンクの名曲・人気曲~入門編(21〜30)
We Gotta KnowCro-Mags

ハードコア・パンク、特にニューヨーク・ハードコアの歴史を語る上では欠かせない存在として君臨し続けるクロ・マグス。
ハードコアの暴力的かつ極悪な側面を体現しながらも、オリジナル・メンバーの1人であるボーカリストのジョン・ジョセフさんはクリシュナの信仰家でありビーガンとしても知られている、というバンドでもあり、同じくオリジナル・メンバーのベーシスト兼ボーカリストのハーレイ・フラナガンさんとの確執やバンドの分裂といった出来事も、ハードコアの歴史における非常に有名なトピックですね。
そのようなゴシップはともかく、スラッシュメタルなども融合させた彼らの極悪かつヘビーなクロスオーバー・スタイルは多くのバンドに影響を与えており、彼らが存在していなかったら後のハードコア・パンクの姿は大きく変わっていたのではないか、と言われるほど。
そんなクロ・マグスの記念すべきデビュー・アルバム『The Age of Quarrel』は1986年にリリースされた名盤中の名盤であり、ハードコア・ファンの間では聖典の如き人気を誇る作品です。
ボーカルを担当しているのはジョセフさんで、メタリックなギターが随所に盛り込まれながらもこの時点ではハードコアという出自が勝っている音というのが重要ですね。
そんな名盤のオープニングを飾る楽曲『We Gotta Know』は、まさにバンドの名刺代わりのような大名曲です!