ムソルグスキーの名曲。人気のクラシック音楽
組曲『展覧会の絵』、『禿山の聖ヨハネ祭の夜』で有名なモデスト・ムソルグスキーの名曲を紹介します。
「展覧会の絵」はラヴェルではないの?
「禿山の一夜」なら聞いたことがあるけどという方も多いかもしれませんが、原曲はもちろんムソルグスキーで、アレンジで演奏されて有名になりました。
実際のムソルグスキーは以外にも管弦楽単体の曲は少なく、歌曲やピアノ曲を多く残しています。
本来のムソルグスキーの音楽をぜひ知って頂きたいと思い、今回はそのムソルグスキーの名曲を紹介していきます。
ムソルグスキーの名曲。人気のクラシック音楽(1〜10)
涙 ト短調(Une larme g-moll)Modest Petrovich Mussorgsky

シンプルながらも情感が豊かなピアノソロ曲です。
わずか数分の長さながら、深い感情を表現し、聴く人の心に強く響きます。
ト短調の哀愁が漂う旋律と和音が特徴で、涙の一滴が持つ感情の重さと儚さを見事に描写しています。
曲中の和声の不安定さや短調の流れが、内面の葛藤を表現しているようです。
感情表現を重視する演奏者や、静かな中にも強い感動を求める方におすすめの一曲といえるでしょう。
1880年頃の作曲とされ、当時のロシア音楽の革新性を感じさせる珠玉の小品です。
瞑想曲-アルバムの綴り ニ短調(Medetation-Feuillet d’album d-moll)Modest Petrovich Mussorgsky

この1曲は、繊細な感情表現と深い内面の探求が特徴的です。
ニ短調の穏やかなメロディが、静かな瞑想的な雰囲気を醸し出し、聴く人の心に深く響きます。
ゆっくりとしたテンポで進行する音楽は、作曲家の心の動きを映し出すかのよう。
シンプルながら感情が豊かな表現が魅力で、ピアノの音色だけで様々な感情を喚起させます。
内省的な時間を過ごしたい方や、深い音楽表現を味わいたい方におすすめの一曲です。
1880年に作曲されたこの楽曲は、今なお多くの人々の心を捉えて離しません。
歌劇「ホヴァーンシチナ」より「シャクロヴィートゥイのアリア」Modest Petrovich Mussorgsky

歌劇『ホヴァーンシチナ』から、ロシアの運命を嘆くシャクロヴィートゥイのアリアをご紹介します。
この曲は、17世紀のロシアの動乱期を背景に、国の未来を憂う深い感情を表現しています。
低い声部と重いオーケストレーションが、絶望的な心情を見事に描き出しています。
ロシア音楽の魅力が詰まった本作は、歴史ドラマが好きな方や、オペラの壮大さを堪能したい方におすすめです。
1886年の初演以来、多くの聴衆の心を揺さぶり続けてきた珠玉の一曲です。
歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」より、ピーメンのアリアModest Petrovich Mussorgsky

弦楽四重奏の中でも名曲として知られるこの楽曲は、オペラの一場面から生まれた名作です。
修道士ピーメンの深い洞察と宗教的な思索が、重厚な旋律とともに表現されています。
ゆったりとした進行の中に、ロシア正教の精神性が垣間見える素晴らしい曲調です。
1874年1月にサンクトペテルブルクで初演されたこの曲は、ロシアの民族音楽の影響を強く受けており、聴く者の心に深い印象を残します。
クラシック音楽に興味のある方はもちろん、人間の内面や歴史に関心のある方にもおすすめの一曲です。
スケルツォ 変ロ長調Modest Petrovich Mussorgsky

ロシアの誇るクラシック音楽の代表作です。
軽快で快活な雰囲気を持つこの短い楽曲は、初めのワルツのようなリズムが特徴的で、軽やかに進行します。
中盤には穏やかなトーンで進行するトリオのセクションがあり、前半のにぎやかなセクションとは対照的に、落ち着きと温かさを感じさせます。
全体として非常に軽快で、モデスト・ムソルグスキーの若き日の作品として注目に値します。
クラシック音楽に興味のある方や、ロシア音楽の魅力を知りたい方にぜひおすすめしたい1曲です。
1860年にサンクトペテルブルクで初演され、好評を博した本作は、ムソルグスキーの音楽的な成長を示す重要な作品として評価されています。
セレナヘリブの陥落(The Destruction of Sennacherib)(1866-67)Modest Petrovich Mussorgsky

アッシリアの軍勢が栄光の中で滅びる様を描いた名曲です。
戦争と神の力の対比を見事に表現し、軍事力への過信の無力さを訴えかけます。
力強い合唱とオーケストラの響きが、聴く者の心に深い感動を与えます。
1866年から1867年にかけて作曲されたこの楽曲は、ロシア音楽の革新性を示す珠玉の作品といえるでしょう。
クラシック音楽に興味のある方はもちろん、壮大な物語性を持つ音楽作品を楽しみたい方にもおすすめです。
本作を通じて、人間の力の限界と信仰の大切さを感じ取れます。
紡ぎ女(1871)Modest Petrovich Mussorgsky

ロシアの作曲家モデスト・ムソルグスキーによる静謐な名曲です。
紡ぎ女の労働を描いた曲で、軽快なリズムと繊細なメロディが特徴的です。
8分の9拍子を基調としつつ、8分の12拍子を織り交ぜることで、糸を紡ぐ動作の繰り返しと、その中に潜む感情の揺れを表現しています。
1872年にサンクト・ペテルブルクで発表され、当時の音楽シーンに一定の影響を与えました。
紡ぎ女の日々の営みや、その背後にある感情を巧みに描き出した本作は、ロシアの民俗音楽に興味がある方や、繊細な音楽表現を楽しみたい方におすすめです。
組曲「展覧会の絵」より、鶏の足のうえの小屋 (バーバ・ヤガー)Modest Petrovich Mussorgsky

モデスト・ムソルグスキーによるロシア音楽の魂が響く名曲です。
恐ろしい魔女バーバ・ヤガーの小屋を鮮やかに描き出す、まさに音の絵画とも言えるでしょう。
激しいリズムと不安定な和音が、聴く者の心に不気味さと緊張感を巻き起こします。
1874年に友人の画家ヴィクトル・ハルトマンの遺作展をきっかけに生まれたこの曲は、ロシアの民間伝承を音楽で表現する革新的な試みでした。
音楽で物語を語る手法に触れられる素晴らしい1曲ですよ。
行進曲『カルスの奪還』Modest Petrovich Mussorgsky

モデスト・ムソルグスキーの代表作として知られる管弦楽曲です。
ロシア帝国の軍事的勝利を讃える華やかな行進曲で、力強いファンファーレから始まります。
中間部では東洋的な旋律が登場し、ロシアとトルコの対立を音楽で表現しています。
1878年10月に初演され、大成功を収めました。
ロシア民謡の要素を取り入れた荘厳な曲調は、聴く人の心に深い印象を残すでしょう。
クラシック音楽に興味のある方はもちろん、軍隊や歴史が好きな方にもおすすめの一曲です。
組曲「展覧会の絵」より、キエフの大門Modest Petrovich Mussorgsky

組曲『展覧会の絵』の中で、最も代表とする名曲です。
驚きの光景を通して日本の魅力を発見するテレビ朝日の番組『ナニコレ珍百景』で、驚きや衝撃の光景を紹介するBGMとして流れ、一部は聴いたことがある方も多いのではないでしょうか。
キエフの大門とは黄金の門とも言われ、ウクライナの首都キーウの歴史的地区にある史跡、キエフ大公国時代のキエフの中央門のことです。
ピアノ版が原曲ですが、ラヴェル編曲によるオーケストラでの演奏版もよく知られており、大合奏によるロングトーンの迫力は圧巻です。
モデスト・ムソルグスキーは10枚の絵を見てインスピレーションを得て作曲したそうですが、実際の絵の場所を見に行くともしかしたら珍百景が見られるかもしれませんね。
組曲最後の曲なので、通して聞くと大感動するでしょう。
ムソルグスキーの名曲。人気のクラシック音楽(11〜20)
イエス・ナヴィヌス(ヨシュア)Modest Petrovich Mussorgsky

聖書の物語を題材にした合唱曲で、カナンの地を征服するヨシュアの勝利を描いています。
力強い合唱とピアノ伴奏が特徴的で、聖書の世界観を音楽で表現しています。
作曲は1874年から1877年にかけて行われ、モデスト・ムソルグスキーの宗教的な信念が反映されています。
神への信仰と戦いの勇気が込められた歌詞は、聴く人の心に響きます。
ロシアの伝統音楽の要素も取り入れられており、民族色豊かな曲調も魅力です。
宗教音楽や合唱曲に興味がある方、聖書の物語を音楽で体験したい方におすすめの一曲です。
古典様式による交響的間奏曲Modest Petrovich Mussorgsky

古典的な様式を取り入れながらも、独自の音楽表現を追求した一曲です。
オーケストラによる重厚な響きが特徴的で、古典的な形式の中にモデスト・ムソルグスキーらしい陰影のあるメロディが織り込まれています。
静かな導入から次第に高揚感を増していく展開は、聴く者の心を捉えて離しません。
1867年に完成されたこの作品は、ムソルグスキーの音楽的な探求心を示す重要な一曲といえるでしょう。
クラシック音楽に親しみたい方や、ロシア音楽に興味がある方におすすめです。
また、音楽の形式や構造に関心がある方にとっても、興味深い聴き所が多い作品となっています。
村にて ニ長調(Au village D-Dur)Modest Petrovich Mussorgsky

ピアノソロの名曲が、明るく軽やかなメロディーと自然を描写するような音楽で魅了します。
作曲家の故郷への愛情が込められた作品で、聴く人に田舎のまったりとした雰囲気を感じさせます。
1880年頃に作られた本作は、民俗音楽の要素を取り入れたロシア音楽の特徴をよく表しています。
田園風景を音で表現した珠玉の一曲で、ロシアの自然や文化に興味がある方におすすめです。
クラシック音楽入門にも適していて、穏やかな気分になりたい時にぴったりの曲です。
歌劇「ソローチンツィの定期市」序曲Modest Petrovich Mussorgsky

ロシア民謡の影響を受けたモデスト・ムソルグスキーによる壮大な序曲です。
ウクライナの村祭りを舞台に、にぎやかな市場の様子や村人たちの生活を生き生きと描いています。
トランペットやティンパニが奏でる力強いリズムが印象的で、民俗音楽の要素を巧みに取り入れた独創的な音楽表現が特徴です。
1911年3月に初演された本作は、ロシア音楽の革新性を示す重要な作品として評価されています。
クラシック音楽に興味のある方や、ロシアの民族音楽を感じたい方におすすめの一曲です。
組曲「展覧会の絵」より、 カタコンブ (ローマ時代の墓)Modest Petrovich Mussorgsky

ロシアの民族性と墓地の暗い雰囲気を見事に描き出した名曲です。
響き渡るピアノの音色が、カタコンベの神秘的な空間を表現しています。
静寂と重苦しさの中にも、希望の兆しが垣間見える、深い哲学性を感じさせる曲想が魅力です。
1874年に作曲されたこの曲は、友人の画家ハルトマンの絵画からインスピレーションを得たとされています。
ピアノの技巧を駆使した表現力が豊かな演奏で、聴く人の想像力をかき立てます。
クラシック音楽の奥深さを味わいたい方や、音楽で描かれる情景に浸りたい方におすすめの一曲です。
組曲「展覧会の絵」より、死せる言葉による死者への話しかけModest Petrovich Mussorgsky

神秘的な雰囲気が漂う曲です。
静謐な旋律が、生者と死者の対話を想起させます。
モデスト・ムソルグスキーが友人の死をきっかけに作曲した本作は、深い感情が込められています。
1874年に発表されたピアノ組曲『展覧会の絵』の一部で、後にモーリス・ラヴェルによって管弦楽に編曲されました。
死者への呼びかけを表現した曲想は、聴く人の心に強く響きます。
静かな中にも力強さを感じさせる本作は、人生や死について深く考えたい方におすすめです。
クラシック音楽の奥深さを味わえる一曲となっています。
交響詩「禿山の一夜」Modest Petrovich Mussorgsky

交響詩「禿山の一夜(A Night on the Bare Mountain)」。
聖ヨハネ祭前夜、禿山に魔物や精霊達が現れ大騒ぎするが、夜明けとともに消え去っていくという民話を元にしています。
原典版は『禿山の聖ヨハネ祭の夜』というタイトルで、紹介している動画のようによく知られる「禿山の一夜」という名称は、ロシア五人組として知られる作曲家リムスキー=コルサコフによる改訂版です。
近年では原典版も演奏されますが、作曲者本人であるモデスト・ムソルグスキー生前では演奏されることはなく、何度もお蔵入りされた曲でした。
リムスキー=コルサコフによっての本曲の復活とともにムソルグスキーの名声も上がるようになりました。
今ではオーケストラのコンサートや吹奏楽版のアレンジもあり、吹奏楽コンクールや定期演奏会でも演奏される名曲となっています。
組曲「展覧会の絵」より、プロムナード1Modest Petrovich Mussorgsky

組曲「展覧会の絵」より、プロムナード(Promenade)。
「展覧会の絵」の中では「キエフの大門」とともに有名な曲です。
この曲はモデスト・ムソルグスキーが友人であったヴィクトル・ハルトマンの遺作展へ訪れた際の散歩の様子を作曲しました。
タイトルとなっているは10枚の絵ですが、プロムナードは第5まであり、合わせると16曲ほどになっています。
一番有名なのは組曲冒頭で演奏される第1プロムナードですが、比べて聞いていくと主題をさまざまな形で変奏されて雰囲気も変わっていく様子が味わい深く、また第4プロムナードでは短調になっており、親友であったハルトマンを悲しんでいる様子が音楽からも感じ取れます。
それぞれのプロムナードもぜひ聞いてほしいと思います。
組曲「展覧会の絵」より、ビドロModest Petrovich Mussorgsky

組曲「展覧会の絵」より、ビドロ(牛車)。
ビドロ(Bydlo)は、ポーランド語で「牛車」という意味がありますが、その他に「(牛のように)虐げられた人」の意味があります。
作曲された際にタイトルを決めた後にナイフで削った跡があり、モチーフとなっているハルトマンの遺作展を開いたロシアの芸術評論家ウラディーミル・スターソフがモデスト・ムソルグスキーへ尋ねた際、「われわれの間では『牛車』ということにしておこう。」と答えたそうです。
実際にハルトマンの絵には「ポーランドの反乱」と題された作品があり、この絵があることにより2つの意味があるものだと推測されました。
有名なラヴェル編曲版ではピアニッシモで始まりますが、原曲では力強く、かつ重い演奏で始まることが多くイメージの違いを感じ取れます。
ラヴェル版ではテューバのソロがあるのですが、テューバにしてはとても高い音域でソロを吹くので必聴です。
組曲「展覧会の絵」より、小人Modest Petrovich Mussorgsky

組曲「展覧会の絵」より、小人(グノーム)です。
組曲としての「展覧会の絵」では2曲目なのですが、絵のタイトルでは1曲目です。
曲名のグノーム(Gnomus)は、大地を司る精霊・妖精のことで、主に地中で生活し、老人のような容貌をした小人だそうです。
小人というとかわいらしいイメージがあると思いますが、この小人は地中にいるという設定なのか曲想は非常に重い曲になっています。
画像を検索すると実際に飾られた絵が見られますが、恐らく想像とは違う小人だと思うことでしょう。
一度実際の絵を検索してみてください。
音楽の曲想に納得がいきますよ。